健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

トマト [英]Tomato、Extrait de Tomate、Love Apple、Tamatar、Tomate [学名]Lycopersicon esculentum Mill.

概要

トマトはペルー、エクアドル原産のナス科の一年生草本。高さ1〜1.5 m程度に生長する。果実は生鮮野菜やホールトマト、ケチャップなどの加工品として広く一般に食用とされているほか、果実の抽出物がサプリメントとして販売されている。

●有効性
俗に、「がんの予防によい」「血糖値を下げる」「喘息によい」「花粉症によい」などと言われているが、膀胱がん、乳がん、糖尿病に対して効果が無いことが示唆されている。その他のトマトの有効性に関しては、信頼できる十分な情報が見当たらない。


●安全性
果実や果実加工品を通常の食事で利用する場合はおそらく安全であるが、サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。葉を摂取することは危険性が示唆されている。妊娠中・授乳中に果実または果実加工品を摂取することはおそらく安全であるが、サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性は信頼できる十分な情報が見当たらないため使用を避ける。



果実に多く含まれるリコピンについてはこちらを参照

▼他の素材はこちら



法規・制度

■食薬区分
・果実:「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。

■食品添加物
・既存添加物
 トマト色素 (トマトリコピン/カロチノイド/カロチノイド色素/カロテノイド/カロテノイド色素/野菜色素):着色料
・一般飲食物添加物
 トマトジュース
・天然香料基原物質リスト
 トマトが収載されている。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・カロテノイド類 (リコピンなど) (94) 、ステロイドアルカロイド、ステロイドサポニン (101) などを含む。
・トマト中のリコピンは生鮮果実よりもトマト加工品の方が、吸収率が高い (94) 。

分析法

-

有効性








循環器・
呼吸器


メタ分析
・2016年8月までを対象に3つのデータベースで検索できた介入試験21報 (検索条件:年齢>18歳) について検討したメタ分析において、トマトまたはトマト製品の継続摂取は、血中脂質 (LDL-C (6報)) 、炎症マーカー(IL-6 (3報)) の低下、血管内皮機能 (FMD) の改善 (3報) と関連が認められた。リコピンの摂取は収縮期血圧 (5報) の低下と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:28129549)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

一般情報
・糖尿病に対して効果がないことが示唆されている (94) 。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・膀胱がんに対して効果がないことが示唆されている (94) 。
・乳がんに対して効果がないことが示唆されている (94) 。
メタ分析
・2012年6月までを対象に2つのデータベースで検索できた観察研究7報 (コホート研究1報、症例対照研究6報) について検討したメタ分析において、トマトの摂取量は胃がんリスクの低下と関連が認められた (PMID:23352874)
・2012年1月までを対象に6つのデータベースで検索できた前向き研究17報 (コホート研究6報、コホート内症例対照研究11報) について検討したメタ分析において、生トマト (3報) およびトマトソース (2報) の摂取は前立腺がん発症リスクに影響を与えず、リコピンの摂取は前立腺がん発症 (5報) および進行 (4報) リスクとの関連は認められなかった (PMID:23883692)
・2016年6月までを対象に2つのデータベースで検索できた観察研究24報 (症例対照研究17報、コホート研究7報) について検討したメタ分析において、トマトの摂取は、前立腺がんのリスク低下と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:27841367)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。



安全性

危険情報

<一般>
・トマト果実や果実加工品を通常の食事に含まれる量で摂取する場合はおそらく安全である (94) 。サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関しては信頼できる十分な情報が見当たらない。
・葉を摂取することは危険性が示唆されている (94) 。
・葉を摂取した場合の有害事象として、吐き気、下痢、疝痛などを含む重度の粘膜刺激、めまい、知覚麻痺、頭痛、徐脈、呼吸障害、痙攣などの中毒症状が生じる可能性がある。きわめて重篤なケースでは、呼吸不全によって死に至る可能性もある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・トマト果実や果実加工品を通常の食事に含まれる量で摂取する場合はおそらく安全であるが、サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらないため、使用を避ける (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<病者>
・痛風発作の引き金となる食品を1つ以上報告した痛風患者 (1,447名、ニュージーランド) のうち、292名 (20.2%) がトマトと回答したという調査結果が報告されている (PMID:26286027)
<その他>
・アメリカで行われた3つのコホート研究のデータを統合して解析したところ、トマトの摂取頻度と血清尿酸濃度との間に正の相関が認められた (PMID:26286027)
<被害事例>
・トマト摂取によるアレルギーの症例が多数報告されている (PMID:21980801) (PMID:16784018) (PMID:18973105) (1995012388) (2008224995) (1999161139) (PMID:12833845) (PMID:16047718) (PMID:12001794)
・喘息の既往歴がある花粉症の8歳男児 (イタリア) がトマトピザを摂取した後に運動を行ったところ、15分後に顔面の血管性浮腫および舌のうずきが出現。同様の症状を過去に2度経験しており、食物運動負荷試験において、運動後のトマト摂取時に顔面の血管性浮腫および結膜炎が出現したため、トマトによる食物依存性運動誘発性アナフィラキシーと診断された (PMID:16487121)
・虫垂炎の既往歴がある逆流性食道炎、十二指腸潰瘍の58歳男性 (日本) が、ビール約2,000 mL/日にトマトジュースを加えた自家製カクテルを約4年3ヶ月間摂取していたところ、落下胃石による小腸閉塞を生じて摘出術を受けた。術後も量を増やして自家製カクテルの摂取を9ヶ月間続けたところ、腹痛、嘔吐が生じて胃石による腸閉塞の再発が認められ再手術により改善した。トマトジュースに含まれている食物繊維と多量のアルコールによる胃内容排出遅延によって胃石が形成されたと診断された (2012009936) 。
・19歳女性 (イタリア) が、大きな赤いトマトを4〜5個とトマトソースのパスタを毎日、3年間摂取したところ、額、鼻唇溝、掌、足底の橙黄色の色素沈着および反復性腹痛を生じて医療機関を受診。毎日のトマト摂取を制限したところ、色素沈着および腹痛が消失したため、トマトの過剰摂取による高リコピン症と診断された (PMID:11204525)
・回腸新膀胱造設術を受けた68歳男性 (アメリカ) が、十分な量の水分 (12〜15杯以上/日) 摂取を指導され、主な補給源として大量のトマトジュースを2週間摂取したところ、無力、掻痒、食欲不振が生じて医療機関を受診。血清カリウム値、BUN、クレアチニン値が高値であり、トマトジュースの過剰摂取による高カリウム血症と診断され、加療と食事指導により改善した (PMID:14665924)
・花粉症、ダニアレルギー、アトピー性皮膚炎、キウイフルーツに対する食物アレルギーの既往歴があり、4年間トマト栽培の研究業務に従事していた26歳女性 (日本) が、トマトのビニールハウス内での業務中の鼻水、くしゃみ、目の痒み、咽喉頭部の違和感、呼吸困難、茎、葉への接触時のみみず腫れ、果実摂取時の口腔アレルギー症候群といった症状を呈するようになり、医療機関を受診。プリックテスト、抗原誘発吸入試験、環境負荷試験の結果トマトに対して陽性を示し、トマトを原因とするアレルギー性鼻結膜炎、接触性蕁麻疹および食物アレルギーと診断された。作業時の抗原曝露制限により、症状は抑制された (2015303827) 。
・乳がんと緑内障の既往歴があり、アスピリン (抗血小板薬) 、デュロキセチン (うつ病治療薬) 、フルラゼパム (催眠薬) を服用中の69歳女性 (ブラジル) が、便秘改善を目的にパパイヤ (約500 g/日) 、トマト (約300 g/日) 、緑黄色野菜を積極的に摂取していたところ、医療機関受診時に手掌、足底を中心とする皮膚黄変が認められた。通常の食事を摂取しはじめて2ヶ月で改善が認められたため、パパイヤ、トマトの過剰摂取による血中カロテン、リコピン濃度上昇が原因と診断された (PMID:23605606)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<動物・試験管内>
・動物実験 (ラット) において、トマト粉末、リコピン、フィトフルエンの摂取は、いずれもCYP3A1活性に影響を及ぼさなかったが、リコピンはCYP3A1遺伝子発現を阻害した (PMID:17056806)
・in vitro試験 (ヒト酵素タンパク) において、トマトジュースはCYP3A4活性を阻害した (PMID:28867739)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、トマトジュースはCYP3A4活性に影響しなかった (PMID:16415112)
・in vitro試験 (ヒト酵素タンパク) において、トマト果汁および市販トマトジュース3製品はいずれもCYP3A4活性を阻害した (PMID:22382318)

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・抽出物を投与:マウス腹腔内825 mg/kg (91) 。
2.TDLo (最小中毒量)
・抽出物を投与:ラット経口 (間欠的) 35 mg/kg/7日間、ラット経口 (間欠的) 50 mg/kg/10日間、ラット経口 (間欠的) 70 mg/kg/14日間 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・果実および加工品を通常の食事に含まれる量で摂取する場合はおそらく安全である。
・葉の摂取は危険性が示唆されている。
・妊娠中・授乳中のトマト抽出物摂取は、安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらないため避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・膀胱がん、乳がん、糖尿病に対して効果がないことが示唆されている。

参考文献

(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(29) 牧野和漢薬草大図鑑 北隆館
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」 (別添2、別添3、一部改正について)
(35) 新訂 牧野新日本植物図鑑 北隆館
(76) 日本食品大事典 医歯薬出版株式会社
(80) 植物レファレンス事典 日外アソシエーツ
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
(101) PDR for Herbal Medicines Fourth Edition,Thomson.
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