健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ヘスペリジン [英]Hesperidin [学名]-

概要

ヘスペリジンはビタミン様物質であるビタミンPの一種で、主に未熟な柑橘類の果皮に多く含まれるフラボノイド (フラバノン) であり、食品添加物として利用されている。俗に、「冷え性によい」「アレルギーによい」「コレステロールによい」「発がんを抑制する」「血圧に効果がある」「骨代謝改善作用がある」などと言われているが、ヒトでの有効性については、調べた文献の中に十分な情報が見当たらない。安全性については、食事から適切に摂取する場合はおそらく安全であり、短期間適切に摂取する場合の安全性は示唆されているが、妊娠中・授乳中、小児の安全性については、信頼できる十分な情報が見当たらないため使用を避ける。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。また、ビタミンPについては、こちらを参照。

法規・制度

・「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・「指定添加物」:メチルヘスペリジンは強化剤 (78) 。
・「既存添加物」:ヘスペリジン、酵素処理ヘスペリジンは強化剤 (78) 。
・ヘスペリジンを酵素処理して糖をひとつ付けた「モノグルコシルヘスペリジン」を関与成分とし、「中性脂肪の高めの方に適する」「血圧が気になる方に適する」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・C28H34O15、分子量610.56 、融点は258〜262℃である (101) 。
・針状結晶で、水に難溶性だがアルカリやピリジンには非常に良く溶ける (101) 。
・無味である (PMID:11101467)
・柑橘類の果実にみられるフラバノンジグリコシドである (94) 。

分析法

・分析には、紫外可視検出器 (波長282 nm) を装着したHPLC法が用いられる (PMID:9518163)

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・ヘスペリジンを酵素処理して糖をひとつ付けた「モノグルコシルヘスペリジン」を関与成分とし、「中性脂肪の高めの方に適する」「血圧が気になる方に適する」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。

メタ分析
・2018年12月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験6報 (検索条件:年齢≧18歳) について検討したメタ分析において、ヘスペリジンサプリメントの摂取は、炎症マーカー (VCAM-1 (3報)) の低下と関連が認められた。一方、炎症マーカー (CRP (5報) 、IL-6 (4報) 、ICAM-1 (3報) 、E-セレクチン (3報)) との関連は認められなかった (PMID:30991044)
・2018年5月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験10報 (検索条件:年齢≧18歳) について検討したメタ分析において、ヘスペリジンの摂取は血中脂質 (TC (8報) 、LDL-C (8報) 、HDL-C (8報) 、TG (8報)) 、収縮期血圧 (7報) 、拡張期血圧 (7報) に影響は認められなかった (PMID:30632207)

<脂質>
RCT
・高コレステロール血症患者194名 (総コレステロール値5.0〜8.0 mmol/L、試験群59名、平均61.0±8.6歳、オランダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ヘスペリジン800 mg/日を4週間摂取させたところ、血中脂質 (TC、LDL-C、HDL-C、TG) に影響は認められなかった (PMID:20660284)
・メタボリックシンドロームの成人24名 (平均52±2歳、イタリア) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、ヘスペリジン500 mg/日を3週間摂取させたところ、血流依存性血管拡張反応 (FMD) の増加、炎症マーカー (高感度CRP、SAAタンパク質、可溶性Eセクレチン) 、血中脂質 (TC) の低下が認められたが、その他の血中脂質、血圧、体格に影響は認められなかった (PMID:21346065)
・中性脂肪値が正常高値からやや高め (120〜200 mg/dL) の男女85名 (試験群42名、平均45±12歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、糖転移ヘスペリジン340 mg配合飲料を12週間摂取させたところ、中性脂肪値の低下が認められたが、その他の血清脂質に関する項目、臨床検査に関する項目に影響は認められなかった (2008352612) 。
・中性脂肪値が正常高値からやや高め (120〜200 mg/dL) の男女99名 (試験群50名、平均50.2±9.0歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、糖転移ヘスベリジン340 mg配合飲料を12週間摂取させたところ、血中脂質 (TG、RLP-C、RLP-TG) の低下が認められたが、その他の血清脂質に関する項目に影響は認められなかった。また、MCH (平均ヘモグロビン量) の上昇が認められたが、その他の臨床検査項目に影響は認められなかった (2010330489) 。

<冷え>
RCT
・冷えを感じている女性11名 (平均29.6±3.9歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、酵素処理ヘスペリジン250 mg(ヘスペリジンアグリコン170.7 mg 相当量)の摂取40分後に15℃冷水にて1分間の左手冷却負荷試験を行ったところ、表面温度が冷却負荷20、25、30分後で回復が認められ、血流量は負荷20、25分後で改善が認められたが、その他の時間では影響は認められなかった。引き続き、酵素処理ヘスペリジン250 mg/日を7日間摂取させ冷却負荷試験を行ったところ、冷却負荷15、20、25分後に表面温度の回復が認められ、負荷15、20分後に血流量の改善が認められたが、血管幅変化量に影響は認められなかった (2008377743) 。
・冷えが気になる健康な女子学生46名 (18〜22歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、24℃設定の部屋に移動した9分後にα-グルコシルヘスペリジン500 mg含有カプセルを摂取させ、その1分後より表面温度を測定したところ、摂取45〜60分後に指とつま先の表面温度低下抑制と、摂取9〜15分後、39〜42分後、51〜54分後に鼓膜の温度低下抑制が認められたが、額、首、手首、脚首に影響は認められなかった (PMID:20378967)
・冷えが気になる健康な女子学生12名 (18〜22歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、22℃設定の部屋に移動した40分後に60℃のα-グルコシルヘスペリジン500 mg含有飲料200 mLを摂取させたところ、摂取15〜45分後で左手中指の表面温度維持、摂取25〜40後に血流量維持が認められたが、その他の部位(首、手首、つま先など)に影響は認められなかった (PMID:20378967)
・冷えが気になる健康な女子学生11名 (18〜22歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、22℃設定の部屋に移動した40分後に37℃のα-グルコシルヘスペリジン500 mg含有飲料100 mLを摂取させたところ、摂取30〜60分後に心拍における高周波値および低周波/高周波値の上昇が認められた (PMID:20378967)
・冷え性の女性6名 (18〜22歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、37℃のヘスペレチン34 mg含有飲料100 mLの摂取15分後、15℃冷水にて5分間の左手冷却負荷試験を行ったところ、負荷試験20分後 (摂取35分後) に指の表面温度の回復が認められた (PMID:22307524)
・冷え症の女性10名 (18〜22歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、22℃設定の部屋に移動した30分後にヘスペレチン17 mgまたは170 mg含有する37℃の飲料100 mLを摂取させたところ、いずれの摂取量においても70分後の左手中指の表面温度と血流量の低下抑制が認められた (PMID:22307524)


消化系・肝臓

一般情報
・内痔核の症状や再発に対してジオスミン (レモンやオレンジなどの柑橘類に含まれるフラボノイド類のひとつ) との併用で有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・急性内痔核患者100名 (試験群50名、平均33.3±11.1歳、インド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ヘスペリジン50 mg+ジオスミン450 mg 含有タブレット6粒/日を4日間、4粒/日を3日間、2粒/日を83日間摂取させたところ、止血率の増加、止血までの時間の短縮、再発率の低下が認められた (PMID:10931020)

糖尿病・
内分泌

RCT
・2型糖尿病患者60名 (試験群31名、平均51.3±8.6歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ヘスペリジン 500 mg/日を6週間摂取させたところ、収縮期血圧、平均血圧、炎症マーカー (TNF-α、IL-6) 濃度の低下が認められた。一方、拡張期血圧、総抗酸化能、高感度CRPに影響は認められなかった (PMID:29468764)

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・静脈うっ血性潰瘍に対して圧迫包帯を使用し、ジオスミンとの併用で有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2016年6月までを対象に2つのデータベースで検索できた食事由来のフラボノイド摂取量とがん発症リスクに関する観察研究 (症例対照研究またはコホート研究) 143報について検討したメタ分析において、ヘスペリジンの摂取 (症例対照研究2報) は、肺がんの発症リスクとの関連は認められなかった (PMID:27943649)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・短期間、適切に摂取する場合は安全性が示唆されている (94) 。
・有害事象として、腹痛、下痢、胃炎などの消化器症状、頭痛が知られている (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中の使用については、ジオスミンと併用する場合の安全性は示唆されているが、その他に信頼できる十分な情報が見当たらないため使用を避ける (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<動物・試験管内>
・動物実験 (ラット) において、ヘスペリジンの摂取はジルチアゼム (降圧薬:CYP3A4基質) の血中濃度 (AUC、Cmax) を増加させたことから、肝臓と小腸のCYP3A、および小腸のp糖タンパクを阻害した (PMID:19505375)
・動物実験 (ラット) において、ヘスペリジンの摂取はベラパミル (カルシウム拮抗薬:CYP1A2、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7、P糖タンパク質基質) の血中濃度 (AUC、Cmax) を増加させ、全身クリアランス (CL/F) を低下させたことから、小腸のCYP3Aおよびp糖タンパクを阻害した (PMID:18449511)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、ヘスペリジンを含む柑橘類はCYP2C9、2D6、3A4をわずかに阻害した (PMID:18451520)
・in vitro 試験 (Caco-2細胞) おいて、ヘスペリジンはp糖タンパクの活性を阻害した (PMID:19782062)

<理論的に考えられる相互作用>
・ヘスペリジンは血小板凝集を阻害するため、抗凝固薬や抗血小板薬との併用は出血のリスクを増加させる可能性がある (94) 。
・モノヘスペリジンは血圧を下げる可能性があるため、抗高血圧薬との摂取は低血圧のリスクを増大させることがある (94) 。
・ジアゼパム (抗不安薬:CYP2C19、CYP3A4基質) と併用すると鎮静作用が増すことが示唆されている (94) 。
・へスペリジンは鎮静作用を有することが示唆されているため、中枢神経抑制薬と併用すると、相加効果が生じる可能性がある (94) 。
・ヘスペリジンは血中AUC濃度を低下させることがあるため、セリプロロール (β遮断薬) の効果を低下させる可能性がある (94) 。
・ヘスペリジンはジルチアゼム (降圧薬:CYP3A4基質) の効果を増加させる可能性がある (94) 。
・ヘスペリジンはベラパミル (カルシウム拮抗薬:CYP1A2、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7、P糖タンパク質基質) の効果を増加させる可能性がある (94) 。
・ヘスペリジンはP糖タンパク質の作用を阻害し、P糖タンパク質の基質である薬物の血中レベルを増加させる可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最小中毒量)
・ラット経口 (間欠的) 2,750 mg/kg/22週、2,000 mg/kg/10日 (91) 。
・マウス経口 (間欠的) 70 mg/kg/7日 (91) 。
・ラット経口 (連続的) :12,600 mg/kg/6週 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・短期間、適切に摂取する場合は安全性が示唆されているが、妊娠中・授乳中、小児の安全性については、信頼できる十分な情報が見当たらないため使用を避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ジオスミンとの併用摂取により、内痔核および静脈うっ血性潰瘍に有効性が示唆されているが、ヘスペリジン単独摂取による有効性については、調べた文献の中に十分な情報が見当たらない。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS).
(78) 改訂 食品添加物インデックス 和名・英名E No.検索便覧 中央法規 社団法人日本輸入食品安全推進協会
(PMID:9518163) J Chromatogr B Biomed Sci Appl. 704(1-2): 299-305, 1997.
(PMID:20660284) J Nutr. 2010 Sep;140(9):1615-20.
(PMID:21346065) J Clin Endocrinol Metab. 2011 May;96(5):E782-92.
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(PMID:19505375) J Pharm Pharmacol. 2009 Jun;61(6):825-9.
(PMID:18449511) Arch Pharm Res. 2008 Apr;31(4):518-22.
(PMID:18451520) Biol Pharm Bull. 2008 May;31(5):925-30.
(PMID:19782062) Eur J Pharmacol. 2010 Jan 25;626(2-3):139-45.
(94) Natural Medicines
(PMID:27943649) Mol Nutr Food Res. 2017 Apr;61(4). Epub 2017 Feb 7.
(101) The Merch Index 14th edition 2006 807
(2008352612) 健康・栄養食品研究 2008 11(2) 15-28
(2008377743) 日本栄養・食糧学会誌 2008 61(5) 233-239
(2010330489) 薬理と治療 2010 38(6) 553-568
(PMID:20378967) Biosci Biotechnol Biochem 2010 74(4) 707-15
(PMID:2230752) Food Funct 2012 3(4) 389-98
(PMID:11101467) Am J Clin Nutr 2000 72 1424-35
(PMID:29468764) Phytother Res. 2018 Jun;32(6):1073-1079.
(PMID:30991044) Chem Biol Interact. 2019 Jul 1 307 8-15.
(PMID:30632207) Phytother Res. 2019 Mar;33(3):534-545.

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