健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ブラックジンジャー 、クラチャイ・ダム [英]Black Ginger、Kura-Chai-Dum 、Kaempferia parviflora [学名]Kaempferia parviflora

概要

ブラックジンジャーは、タイ原産のショウガ科の多年生草本。タイではクラチャイ・ダム、日本では黒ショウガ、黒ウコンなどとも呼ばれる。根茎部は東南アジア地域において民間療法として利用されている。


●有効性
俗に、「関節痛によい」「ダイエットによい」「滋養強壮、精力増強作用がある」などと言われているが、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。


●安全性
サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。



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法規・制度

■食薬区分
・ブラックジンジャー (Kaempferia parviflora) 根茎:「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・根茎はフラボノイド類 (フラボン (4’-ヒドロキシ-5,7-ジメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-4’,7-ジメトキシフラボン、5-ヒドロキシ-3,4’,7-トリメトキシフラボン、3,4’,5,7-テトラメトキシフィラボン) 、フェノール配糖体 (ケンフェロシドA、C〜F) など)を含む (101) 。

分析法

・根茎から抽出したフラボノイドを、GC法にて分析した報告がある (PMID:17266972)
・根茎から抽出したレクチン (糖鎖に結合活性を示すタンパク質の総称) をLC/MS/MS法にて分析した報告がある (PMID:20549650)
・根茎から抽出したフェノール類を、HPLC法にて分析した報告がある (PMID:22223376)

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

RCT:国内
・健康な高齢者34名 (試験群17名、平均68.4±2.7歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ブラックジンジャー抽出物150 mg/日を8週間摂取させたところ、体力の指標 (6分間歩行テスト) の改善が認められた (2020090696) 。
RCT:海外
・健康な高齢者 45名 (タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、乾燥ブラックジンジャー抽出物25 mg/日 (15名、平均61.53±6.39歳) または90 mg/日 (15名、平均62.66±6.33歳) を8週間摂取させたところ、25 mg/日摂取群では、酸化ストレスマーカー (SOD、カタラーゼ) 、90 mg/日摂取群では、体力の指標2項目中1項目 (6分間歩行テスト) 、酸化ストレスマーカー (SOD、カタラーゼ、GPx、MDA) の改善が認められた。一方、いずれの群においても体力の指標2項目中1項目 (30秒椅子立ち上がりテスト) 、握力、身体機能 (タンデム肢位) に影響は認められなかった (PMID:22899957)

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

・過体重または肥満の成人74名 (試験群38名、平均50.2±8.0歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ブラックジンジャー抽出物150 mg/日を12週間摂取させたところ、内臓脂肪面積の減少が認められた (PMID:30214264)

その他

RCT:国内
・健康な成人男性12名 (平均23.5±2.0歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、朝食後にブラックジンジャー抽出物150 mgを摂取させたところ、自転車エルゴメーターによる運動負荷中の呼吸商の増加抑制が認められた。一方、心拍変動パワースペクトルに影響は認められなかった (2017254516) 。
RCT:海外
・健康な男子学生19名 (平均19.0±1.0歳、タイ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、乾燥ブラックジンジャー抽出物1.35 gを摂取し、90分後にウィンゲートテスト (全力自転車運動) を行ったところ、パワー発揮への影響は無かった。同様に、健康な男子学生17名 (平均21.0±1.5歳) を対象とした自転車運動試験において、乾燥ブラックジンジャー抽出物1.35 g摂取後の影響を検討したところ、疲労困憊までの時間および血中乳酸値に影響は認められなかった (PMID:20845210)
・サッカー選手の男性60名 (試験群30名、平均15.73±0.81歳、タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、ブラックジンジャー根茎抽出物180 mg/日を12週間摂取させたところ、右手の握力増加が認められたが、他の身体能力 (柔軟性、敏捷性、VO2max) に影響は認められなかった (PMID:25957542)





試験管内・
動物他での
評価

-



安全性

危険情報

<一般>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が見当たらない。
<妊婦・授乳婦>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が見当たらない。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が見当たらない。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が見当たらない。
<被害事例:国内>
・鼻炎、喘息、高血圧の既往歴があり、約23年前より線香、御焼香の卸販売をしている54歳女性 (日本) がブラックジンジャー含有製品を含む5種類のサプリメントを摂取したところ、約2時間後に急激な腹痛、嘔気、全身の蕁麻疹、呼吸困難が出現し受診。成分プリックテストよりブラックジンジャーのみに陽性を示し、ブラックジンジャーによるアナフィラキシーと診断された。線香、御焼香の原料 (C. longa) に由来する経皮または経気道感作による交差反応の可能性が考えられた (PMID:30152038)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<動物・試験管内>
・in vitro (マウス肝ミクロソーム) およびin vivo試験 (マウス) において、ブラックジンジャー抽出物はCYP1A1、CYP1A2、CYP2B、CYP2E1活性を誘導した (PMID:22465145)
・in vivo試験 (マウス) において、5,7-ジメトキシフラボンの10日間の摂取はミダゾラム (催眠薬:CYP3A基質) の血中濃度を増加させ、肝臓のCYP3A11、CYP3A25遺伝子発現を減少させた (PMID:29550915)

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最小中毒量)
・エタノール抽出物を投与:ラット経口150 mg/kg 、ラット経口 (間欠的) 2,800 mg/kg/4週、マウス経口 (間欠的) 1,750 mg/kg/7日 (91) 。
・エタノール抽出ヘキサン分画を投与:ラット経口150 mg/kg (91) 。
・エタノール抽出酢酸エチル分画を投与:ラット経口150 mg/kg (91) 。
・エタノール抽出クロロホルム分画を投与:ラット経口150 mg/kg (91) 。
・メタノール抽出酢酸エチル分画を投与:マウス経口 (連続的) 8.4 g/kg/週、17.64 g/kg/7週、33.6 g/kg/4週、20.16 g/kg/8週、67.2 g/kg/8週 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が見当たらない。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添1、別添2、一部改正について)
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
(PMID:17266972) J Chromatogr A. 2007 Mar 2;1143(1-2):227-33.
(PMID:20549650) J Sci Food Agric. 2010 Aug 30;90(11):1920-5.
(PMID:22223376) Chem Pharm Bull. 2012;60(1):62-9.
(PMID:20845210) J Sports Sci. 2010 Sep;28(11):1243-50.
(PMID:22465145) J Ethnopharmacol. 2012 Jun 14;141(3):831-9.
(PMID:25957542) Med Sci Monit Basic Res. 2015 May 6;21:100-8.
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(PMID:29550915) J Nat Med. 2018; 72 (3) 607-14.
(PMID:30152038) J Dermatol. 2019 Feb;46(2):e56-e57.
(2017045154) J Environ Dermatol Cutan Allergol. 2016;10(4):467.
(101) 健康・機能性食品の基原植物事典 中央法規
(PMID:30214264) Diabetes Metab Syndr Obes. 2018 Aug 28;11:447-458.
(2017254516) 薬理と治療. 2016;44(12):1757-62.
(2020090696) 薬理と治療. 2019;47(6):927-36.
(PMID:22899957) Evid Based Complement Alternat Med. 2012;2012:732816.

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