ビタミンD解説

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ビタミンD解説


A.ビタミンDとは?
 ビタミンDとは、ビタミンD2 (エルゴカルシフェロール) とD3 (コレカルシフェロール) の総称です。紫外線の照射によって、ビタミンD2は植物に存在するエルゴステロールから生成され、ビタミンD3は動物に存在する7-デヒドロコレステロール (7-DHC) から生成されます (10) (14) 。ビタミンDは、カルシウムやリンなどのミネラルの代謝や恒常性の維持、骨の代謝に関係しており、不足すると子どもではくる病、成人では骨軟化症などが起こることが知られています (10) (11) 。

B.ビタミンDの供給源になる食品
 主な食品のビタミンD含有量は以下の通りです (5) 。(可食部100 gあたり)


※ビタミンDを多く含むレシピ紹介はこちら

C.ビタミンDの特性 (単位・化学的安定性)
 ビタミンDについても、ビタミンAと同様にビタミンD効力 (国際単位:IU) の表示を行ってきましたが、近年はビタミンD効力に代え、重量 (μg) で表示する傾向があります。μgからIUへ換算する時は、μg×40、IUからμgへ換算する時はIU×0.025で計算することができます (10) 。
 ビタミンD2およびD3は共に有機溶媒に溶け、水には溶けません。光、熱、空気酸化、酸には不安定で、アルカリには比較的安定です (10) 。

D.ビタミンDの吸収や働き
 ビタミンDは、食品からの摂取と生体内での合成の2つの方法で供給されています。7-デヒドロコレステロールは、動物の皮膚において紫外線によってビタミンDへ転換された後、肝臓で25位が水酸化されて25ヒドロキシビタミンD (25-OH-D) が生成されます。続いて腎臓で1α位が水酸化されて活性型の1α-25ジヒドロキシビタミンD (1α-25 (OH) 2D) に代謝され、体内で利用されます (11) 。食品由来のビタミンDは、体内に吸収されるとカイロミクロンに取り込まれて、リンパ管を経て、最終的には肝臓、腎臓で同様に代謝されます (12) 。
生体内でのビタミンDの代謝は以下の図の通りです (10) (12) 。



 ビタミンDは、小腸や腎臓でカルシウムとリンの吸収を促進します。骨組織においてビタミンDは、甲状腺から分泌されるペプチドホルモンのカルシトニンや副甲状腺ホルモン (PTH) と協力しあって、血液中のカルシウムやリン酸の恒常性を維持します (10) (11) 。ビタミンDの代謝は、血漿カルシウム濃度やPTHのほかに、カルシトニンや血中リン濃度によって調節されます (10) 。

E.ビタミンD不足の問題
ビタミンD不足はどのような時に起こるの?
 食事から充分な量を摂取できなかった時、消化管からの吸収が不十分な時、腎臓でビタミンD活性型 (1,25 (OH) 2D) に変換されない時、日光に当たる時間が不十分な時などにおこることがあります (11) 。

ビタミンD不足の判断基準
 血中25ヒドロキシビタミンD (25-OH-D) は血液中のビタミンD代謝物の中で最も濃度が高く、ビタミン補充状態をよく反映するため、体内ビタミンDレベルの指標となっています。血中25-OH-Dの基準値は15〜40 ng/mL、10 ng/mL以下は潜在性ビタミンD欠乏症であると判断されます (10) 。

ビタミンDが不足すると、どのような症状が起こるの?
 ビタミンDが不足すると、カルシウムの吸収低下や骨代謝異常を引き起こします。代表的な症状として、子どもではくる病、大人では骨軟化症が起こることが知られています (10) (11) 。くる病になると、くるぶし、ひざ、手首などの関節が肥大して二重関節になります (10) 。近年、積雪寒冷地域在住の完全母乳栄養児で、日照を受ける機会が少ないことによるビタミンD不足が報告されており、くる病のリスクが高いことが指摘されています (2012344306) 。高齢者では、ビタミンD不足状態が長期間続いた場合、骨密度が低下し、骨粗しょう症や骨折のリスクが高まると言われています (11) 。

F.ビタミンD過剰摂取のリスク
 ビタミンDを短期的、または長期的に過剰摂取すると、骨からのカルシウムの動員が激しく起こり、血清中のカルシウムとリン酸濃度が高くなり、腎臓や筋肉へのカルシウムの沈着や軟組織の石灰化が見られます (10) (11) 。その他の症状としては、嘔吐、食欲不振、体重減少などが起こることがあります (10) 。

G.ビタミンDはどのぐらい摂取すればよいの?
 各年齢別のビタミンDの食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2020年版) は以下の通りです (11) 。

<ビタミンDの食事摂取基準 (μg/日) 1

性別男性女性
年齢等  目安量  
(AI)
耐容上限量
(UL)
  目安量  
(AI)
耐容上限量
(UL)
0〜5 (月)5.0255.025
6〜11 (月)5.0255.025
1〜2 (歳)3.0203.520
3〜5 (歳)3.5304.030
6〜7 (歳)4.5305.030
8〜9 (歳)5.0406.040
10〜11 (歳)6.5608.060
12〜14 (歳)8.0809.580
15〜17 (歳)9.0908.590
18〜29 (歳)8.51008.5100
30〜49 (歳)8.51008.5100
50〜64 (歳)8.51008.5100
65〜74 (歳)8.51008.5100
75以上 (歳)8.51008.5100
妊婦8.5-
授乳婦8.5-


目安量 (AI,adequate intake)
 ある性・年齢階級に属する人々が、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量。
 (特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量)
耐容上限量 (UL,tolerable upper intake level)
 ある性・年齢階級に属するほとんど全ての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことがないとみなされる習慣的な摂取量の上限。
1:日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ、フレイル予防を図る者はもとより、全年齢区分を通じて、日常生活において可能な範囲内での適度な日光浴を心掛けるとともに、ビタミンDの摂取については、日照時間を考慮に入れることが重要である。


H.ビタミンD摂取状況
 2018 (平成30) 年の国民健康・栄養調査では男性で平均6.9μg/日、女性で平均6.3μg/日摂取しています (6) 。

I.栄養機能食品としての関連情報
 ビタミンDは基準値を満たした場合に栄養機能食品として表示することができます。
・下限値:1.65μg、上限値:5.0μg
・栄養機能表示
「ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。」
・注意喚起表示
「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。」

 栄養機能食品の表示に関する基準の詳細についてはこちらの資料をご参照ください。

■有効性と安全性に関する研究情報をまとめている「素材情報データベース」や関連情報もあわせてご覧ください。
・素材情報データベース
 カルシウム
 リン
 カツオ
 マッシュルーム
 シイタケ
・その他ビタミンの解説はこちら
・ミネラルの解説はこちら

■「健康食品」の安全性・有効性情報のトップページはこちら



<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>


参考文献

(1) Dietary Reference Intake :National Academy Press
(2) 栄養学総論:三共出版株式会社
(3) PDR for Nutritional Supplement :MEDICAL ECONOMICS
(4) 体に役立つ脂溶性ビタミンとそのファミリー:雪印乳業株式会社健康生活研究所
(5) 日本食品標準成分表2015年版 (七訂)
(6) 平成30年 国民健康・栄養調査報告
(7) ビタミンハンドブック1 脂溶性ビタミン 日本ビタミン学会編:化学同人
(8) 専門領域の最新情報 最新栄養学 第8版:健帛社
(9) 薬理書 第9版:廣川書店
(10) ビタミンの事典:朝倉書店
(11) 日本人の食事摂取基準 2020年版
(12) ハーパー・生化学:丸善株式会社
(13) Q&A 保健機能食品制度の手引き:新日本法規
(14) 生化学辞典 第4版:東京化学同人
(2012344306) 小児科臨床 2012 65(8) 1860-4

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