コラーゲンって本当に効果があるの? (Ver.181029)

画面を閉じる

 

 

発信者

構築グループ

本文

1.「美肌」「関節」のためにコラーゲンっていいの?
 現在、市場にはコラーゲンを含むドリンク、ゼリー、錠剤などの健康食品 (コラーゲン製品) がたくさん出回っています。これらは「肌によい」「足腰の痛みによい」「血管を正常に保つのによい」といった魅力的なうたい文句で宣伝されています。さらに、「年をとると体内のコラーゲン量が減るから摂った方がよい」とうたって販売されていることもあり、あたかもコラーゲン製品を食べれば美肌や足腰の健康を保つことができるような錯覚にとらわれます。
 ここでは、そもそもコラーゲンとはどのようなもので、コラーゲンを摂ることで本当に皮膚や関節に期待する効果を得られるのかを解説します。

2.コラーゲンってなに?その効果は?
 コラーゲンはタンパク質の一種で、からだを構成する全タンパク質の約30%を占めています。体内コラーゲンのうち40%は皮膚に、20%は骨や軟骨に存在し、その他は血管や内臓など全身に広く分布しています。コラーゲンは、アミノ酸 (グリシン、プロリン、ヒドロシキプロリンなど) がつながったポリペプチド鎖が3本でらせん構造をとっており、いろいろなタイプがあります。皮膚や腱などの主要なコラーゲンはI型、軟骨の主要なコラーゲンはII型と呼ばれています。
 コラーゲンは皮膚や骨・軟骨を構成する物質としてなくてはならないタンパク質なので、「それを食べれば、皮膚や関節によいに違いない」と思うかもしれませんが、現時点での科学的知見では、コラーゲンを食べることで「美肌」や「関節の健康維持」といった効果が出るかどうかは不明です。

3.コラーゲンを食べても体内のコラーゲンが増えるとは限らない?!
 食べたものは、体の中で消化されてから吸収されます。コラーゲンを含むすべてのタンパク質は、体内で消化酵素によってアミノ酸やペプチド (アミノ酸が2〜3個結合したもの) などのとても小さい分子にまで分解されるので、そのままの形で吸収されることはありません。吸収されたアミノ酸は、体の中でタンパク質を合成する材料になります。コラーゲンを食べることは、コラーゲンや他のタンパク質の材料であるアミノ酸を摂取することにはなりますが、そのアミノ酸が再び皮膚やひざの関節など期待する特定の部位でのコラーゲン合成に利用されるのかは定かではありません。
最近では、コラーゲンが消化されて出来たペプチド(ジペプチドやトリペプチド)が吸収されたのち、関節などのからだの特定部分で何らかの機能を発揮している可能性が考えられていますが、ヒトでの効果について根拠となるデータは現時点では十分でないため、摂取したコラーゲン(アミノ酸、ペプチド)がどの程度、皮膚や関節のコラーゲンの再合成に利用されているかは明らかではありません。同様に、コラーゲンの安全性についても十分なデータがないため、コラーゲン製品を利用する際には「利用メモ」をつけてご自身の体調の変化をモニターすることをおすすめします。「健康食品手帳」の記載方法については、こちらのページをご参照ください。

4.吸収されやすい「低分子コラーゲン」なら効果がある?
 コラーゲンを酵素分解した「低分子コラーゲン (コラーゲンペプチド) 」と呼ばれるものが「吸収されやすい」などと宣伝され市場に出回っています。低分子コラーゲンはある程度分解されているため、高分子のコラーゲンと比べれば消化・吸収が効率よく行われると考えられますが、吸収するためには消化管でアミノ酸やペプチドにまで分解する必要がある点は高分子のコラーゲンと同じです。つまり、「吸収されやすい」のは事実ですが、吸収されたものがコラーゲンの合成に利用されやすいことを指すわけではありません。

5.「コラーゲン鍋」ならよい?
 コラーゲンを多く含む食品としては、鶏の手羽や鶏皮、フカヒレ、牛すじなどがあり、これらを使った「コラーゲン鍋」などが流行したこともありましたが、タンパク質の消化吸収の過程はどの食材からどんな料理で食べても同じですので、いずれの食材由来のコラーゲンであっても体内でアミノ酸やペプチドに分解されます。ちなみにコラーゲンは熱をかけると3本のらせん構造が壊れることにより水によくとけるようになります。

6.コラーゲンばかり食べていると栄養が偏る?!
 上で述べたとおり、食べたタンパク質は体内で消化され、アミノ酸として吸収されたのち、タンパク質の再合成に利用されています。アミノ酸には、体内で十分な量が合成できないため食事から摂取する必要がある「必須アミノ酸」と、体内でも合成が出来る「非必須アミノ酸」の二種類があります。必須アミノ酸は必要量が設定されていますので、それぞれのアミノ酸を十分に摂取することが大切です。また、コラーゲンの合成やその他のアミノ酸代謝には、さまざまなビタミンやミネラルも必要なため、コラーゲンばかりに気を取られるよりも、食事全体のバランスを意識した方が良いようです。皮膚や関節を含む身体の健康維持という観点から考えても、コラーゲンの摂取にこだわるよりも、さまざまな食品をバランスよく適量摂取し、「栄養・運動・休養 (健康づくりの三要素) 」を見直す方が大切です。特定の食品ばかりを摂取するのではなく、もう一度自分自身の食事や、生活スタイルなどを振り返ってみましょう。

7.コラーゲンについてもっと詳しく知るには?
 素材情報データベース「コラーゲン」のページでは、コラーゲンの効果と安全性に関する研究情報をまとめています。そこで紹介しているように、現時点ではコラーゲンを食べることでどのような効果が得られるか、という十分な情報は見当たりません。その一方で、現在、さまざまな食品や食品以外の保湿クリーム等にもコラーゲンが配合されており、それらを要因としたアナフィラキシーの事例も複数あります。特に、コラーゲンの濃縮物摂取では体質によってアレルギーを誘発する場合があるので注意が必要です。アレルギーが疑われる症状が出た場合はすぐに利用を止め、医療機関を受診するようにしましょう。妊娠中・授乳中においては、コラーゲンをサプリメントのような形で多量に摂取することの安全性について十分なデータがありません。食物アレルギーのある方の摂取や、妊娠・授乳中の方のコラーゲン製品の多量摂取には注意が必要です。
 加齢により唾液の分泌量が減少したり、骨密度が減少したりと、体には様々な量的変化が生じており、コラーゲンも例外ではありません。コラーゲンについては現時点で「どのくらい摂ったらよいか」「本当に摂った方がよいのか」「過剰摂取による弊害」などが明確になっていないため、「加齢により減少したから補うべき」とするには、まだまだ根拠があいまいな状況です。

参考文献
ハーパー生化学 原書30版 清水孝雄監訳 丸善出版
生化学辞典 第4版 東京化学同人
生物学辞典 東京化学同人
日本人の食事摂取基準 (2015年版) 「たんぱく質」
日本食生活学会誌 2014 25(1) 5-8

© National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition. All Rights Reserved.