健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

プーアール茶、プーアル茶、ポーレイ茶 [英]Pu-er tea、Pu-erh tea、Pu’er tea、Pu’erh tea、Po-rei tea、Chinese black tea [学名]Camellia sinensis (L.) Kuntze 、Camellia sinensis var. assamica (Mast.) Kitam.

概要

プーアール茶は中国雲南省南部を原産とする中国茶の一種。茶を日光で乾燥させた後、加熱処理した生茶をAspergillus属などの微生物によって発酵させる後発酵茶で、黒茶 (ヘイチャ) 、微生物発酵茶などとも呼ばれる。生茶を長期間、自然発酵させた茶をプーアール熟茶という。緑茶や烏龍茶と比較して、加工工程で遊離のカテキン類より変化した重合カテキン、タンニンの加水分解やガレート型カテキンからの遊離による没食子酸が豊富である。


●有効性
俗に、「ダイエットによい」「コレステロールを下げる」「血糖値を下げる」「免疫力を高める」などと言われており、日常的な摂取により、注意力、認知能力の低下予防に有効性が示唆されているものの、その他の有効性については、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。


●安全性
飲料として適量を摂取する場合、安全性が示唆されているが、カフェインを含むため、多量の摂取は危険性が示唆されている。プーアール茶に含まれるカフェインが病気の症状に影響する可能性がある。出血性疾患患者、不安障害患者、下痢および過敏性腸症候群患者、循環器系疾患患者、糖尿病患者、緑内障患者、高血圧患者、骨粗鬆症患者の摂取は注意が必要であるため、自己判断でのサプリメントの摂取は控えること。



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法規・制度

■食薬区分
・チャ (アッサムチャ/プーアルチャ/フジチャ/リョクチャ) 茎、葉、葉の精油、花(蕾を含む):「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・緑茶や烏龍茶と比較して、総カテキン含量が著しく少なく、没食子酸が豊富である (101) 。
・加工工程で遊離型カテキン類が減少し、重合カテキン (テアフラビン、テアルビジン、テアブラウニンなど) の含有量が増加する (102) 。
・フラボノイド (ケルセチン、ケンフェロール、ミリセチンなど) 、アルカロイド (カフェイン、テオブロミン、テオフィリンなど) を含む (102) 。

分析法

・プーアール茶に含まれるカテキン類、没食子酸、メチルキサンチン類 (カフェイン類) をHPLCにより同時分析した報告がある (101) 。
・プーアール茶 (生茶、熟茶) に含まれるカテキン類、没食子酸、テオブロミン、カフェインをHPLCで分析した報告がある (PMID:21793506)

有効性








循環器・
呼吸器


RCT:国内
・境界型高コレステロール血症患者47名 (試験群25名、平均62.7±1.4歳、日本) を対象とした二重盲験無作為化プラセボ対照試験において、プーアール茶抽出物333 mg×3回/日、3ヶ月間摂取させたところ、血中脂質 (TC、LDL-C) の低下が認められた (PMID:19083445)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

RCT:国内
【機能性表示食品】健康な成人17名 (29〜64歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、米飯200 gとともにプーアール茶抽出物粉末2 g (ポリフェノール 18 mg没食子酸当量含有) を単回摂取させたところ、食後血糖 (60分、90分、120分およびAUC) の低下が認められた (103) 。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

一般情報
・プーアール茶やカフェインを含む飲料を日常的に摂取することは、注意力、認知能力の低下予防に対して有効性が示唆されている (94) 。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

RCT:国内
【機能性表示食品】過体重の成人36名 (試験群18名、平均52.2±2.8歳、日本) を対象とした二重盲験無作為化プラセボ対照試験において、食事の前にプーアール茶抽出物粉末333 mg (没食子酸2.9%以上含有) ×3回/日を12週間摂取させたところ、体重およびBMI、CT測定による内臓脂肪面積が低下した (PMID:21745623)

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

-



安全性

危険情報

<一般>
・飲料として適量を摂取する場合、安全性が示唆されている (94) 。
・カフェインを含むため、多量の摂取は危険性が示唆されており、不眠、緊張、不安、胃の不快感、吐き気、嘔吐、頻脈、頻呼吸、振戦、せん妄、痙攣、利尿、頭痛、興奮、耳鳴り、低カリウム血症、呼吸性アルカローシス、胸痛、期外収縮、不整脈などを生じる可能性がある。ただし、これらの有害事象はカフェインレスのプーアール茶の摂取では生じない (94) 。カフェイン摂取に関して、詳しくは「カフェイン」を参照。
<妊婦・授乳婦>
・飲料として適量を摂取する場合、安全性が示唆されている(94) 。
・カフェインを含むため、多量の摂取は危険性が示唆されており、カフェインの摂取量が過剰にならないよう管理する必要がある (94) 。詳しくは「カフェイン」を参照。
・授乳中のプーアール茶の摂取は、乳児の苛立ち、消化管運動の亢進を引き起こす可能性がある (94) 。
<小児>
・飲料として適量を摂取する場合、安全性が示唆されている (94) 。
・プーアール茶に含まれるカフェインの摂取により、小児の不眠、乳児の哺乳不耐、消化器症状を生じる可能性がある (94) 。
・乳児のプーアール茶の摂取は、小赤血球性貧血を生じる可能性がある (94) 。
<病者>
【プーアール茶に含まれるカフェインによる影響】

・出血性疾患患者は、症状が悪化する可能性がある (94) 。
・不安障害患者、下痢症患者、過敏性腸症候群患者は、多量摂取により症状が悪化する可能性がある (94) 。
・循環器系疾患患者は、不整脈を生じる可能性があるため、注意を要する (94) 。
・糖尿病患者は、インスリン抵抗性が高まる可能性がある。また、1型糖尿病患者の低血糖発症リスクが高まる可能性がある (94) 。
・緑内障患者は、眼圧が上がる可能性がある (94) 。
・高血圧症患者は、一時的に血圧が上がる可能性がある (94) 。
・骨粗鬆症患者は、カルシウムの尿中排泄量が増加する可能性がある (94) 。
<その他>
・カフェインに過敏症がある人は、アナフィラキシーを生じる可能性がある (94) 。

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
【プーアール茶に含まれるカフェインが医薬品等の代謝、作用に影響】

・アデノシンとの併用は、アデノシンの効果を減弱させる可能性がある (94) 。
・アンフェタミン (中枢神経刺激薬:CYP2D6基質) 、コカイン、ニコチン (生活改善薬:CYP1A2基質) との併用は、中枢神経系への作用を強める可能性がある (94) 。
・抗凝固薬や抗血小板薬、血小板凝集に作用するハーブやサプリメントとの併用は、出血のリスクを高める可能性がある (94) 。
・糖尿病治療薬との併用は、血糖コントロールを妨げる可能性がある (94) 。
・β-アドレナリン作動薬と多量のプーアール茶との併用は、心筋収縮作用を強める可能性がある (94) 。
・クロザピン (抗精神病薬:CYP1A2、CYP3A4基質) との併用は、クロザピンの毒性を高め、症状を急激に悪化させる可能性がある (94) 。
・ジピリダモール (狭心症治療薬) との併用は、ジピリダモール依存性血管拡張を阻害する可能性がある (94) 。
・MAO阻害薬と多量のプーアール茶との併用は、急激な血圧上昇を引き起こす可能性がある (94) 。
・テオフィリン (喘息治療薬:CYP1A2基質) と多量のプーアール茶との併用は、血中テオフィリン濃度を上昇させ、テオフィリン毒性を高める可能性がある (94) 。
・ペントバルビタール (催眠薬) との併用は、催眠作用を無効化する可能性がある (94) 。
・フェニルプロパノールアミン (血管収縮薬) との併用は、血圧を上昇させる可能性がある (94) 。
・クレアチンとの併用は、運動機能に対する作用に影響する可能性がある (94) 。

【医薬品等が、プーアール茶に含まれるカフェインの作用を増強】
・アルコール、シメチジン (消化性潰瘍治療薬) 、避妊薬、ジスルフィラム (アルコール中毒治療薬) 、エストロゲン、フルコナゾール (抗真菌薬) 、フルボキサミン (うつ病治療薬:CYP2D6基質) 、メキシレチン (不整脈治療薬:CYP1A2、CYP2D6基質) 、キノロン系抗生物質、テルビナフィン (抗真菌薬:CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP3A4基質) 、ベラパミル (カルシウム拮抗薬:CYP1A2、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7、P糖タンパク質基質) 、カフェインを含むハーブやサプリメントとの併用は、カフェインの血中濃度を上昇させ、有害事象を起こす可能性がある (94) 。

【その他】
・エフェドリン、エフェドラとの併用は、興奮性の作用により高血圧症、心筋梗塞、脳卒中などの致死的な有害事象のリスクを高める可能性がある (94) 。
・突然のプーアール茶の摂取中止は、急激なカフェイン離脱によりリチウムの血中濃度を上げる可能性がある (94) 。
・リルゾール (筋萎縮性側索硬化症治療薬) との併用は、カフェイン、リルゾールの血中濃度を上昇させ、両者の副作用リスクを高める可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・プーアール茶抽出物を投与:ラット経口 (単回) >10 g/kg (PMID:21134434)
2.TDLo (最小中毒量)
・プーアール茶抽出物、sevag画分、酢酸エチル画分、エタノール沈殿物、残余を投与:マウス経口50 mg/kg (内分泌) (91) 。
・プーアール茶抽出物を投与:ラット経口 (間欠的) 245 g/kg/14日、352.5 g/kg/141日、210 g/kg/12週、35 g/kg/14日、1.4 g/kg/7日 (91) 。
・プーアール茶抽出物を投与:ラット経口 (間欠的) 455 g/kg/91日 (消化管、肝臓、内分泌) (91) 。
・プーアール茶抽出物を投与:ラット経口 (間欠的) 113.75 g/kg/91日 (栄養代謝) (91) 。
・プーアール茶抽出物を投与:雄性ラット経口 (交配14週間前〜出生後21日) 598 g/kg、雌性ラット経口 (受胎後1〜19日) 50 g/kg (胎児毒性) (91) 。
3.無毒性量 (NOAEL)
・プーアール茶抽出物を投与:ラット経口 (91日間) 2,500 mg/kg/日 (PMID:22710291)
・プーアール茶抽出物を投与:ラット経口 (28日間) 5,000 mg/kg/日 (発酵茶) 、1,250 mg/kg/日 (生茶) (PMID:20028013)

AHPAクラス分類
及び勧告

・完全に発酵させた葉茎:クラス1 (22) 。

総合評価

安全性

・飲料として適量を摂取する場合、安全性が示唆されている。
・カフェインを含むため、多量の摂取は危険性が示唆されており、不眠、緊張、不安、消化不良、吐き気、嘔吐、頻脈、頻呼吸、新鮮、せん妄、痙攣、利尿、頭痛、興奮、耳鳴り、低カリウム血症、呼吸性アルカローシス、胸痛、期外収縮、不整脈などを生じる可能性がある。また、カフェインに過敏症がある人は、アナフィラキシーを生じる可能性がある。
・妊娠中、授乳中は、飲料として適量を摂取する場合、安全性が示唆されているが、カフェインを含むため、多量の摂取は危険性が示唆されている。
・授乳中のプーアール茶の摂取は、乳児の苛立ち、消化管運動の亢進を引き起こす可能性がある。
・プーアール茶に含まれるカフェインの摂取により、小児の不眠、乳児の哺乳不耐、消化器症状が生じる可能性がある。
・乳児のプーアール茶の摂取により、小赤血球性貧血が生じる可能性がある。
・出血性疾患患者、不安障害患者、下痢および過敏性腸症候群患者、循環器系疾患患者、糖尿病患者、緑内障患者、高血圧症患者、骨粗鬆症患者の摂取は注意が必要であるため、自己判断でのサプリメントの摂取は控えること。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」 (別添2、別添3、一部改正について)
(101) J. Agric. Food Chem., 1998, 46 (9), pp 3635-3642
(102) Food Research International. 2013; 53:608-618.
(PMID:21793506) J Agric Food Chem. 2011 Aug 24;59(16):8754-60
(PMID:18455823) Int J Food Microbiol. 2008 May 31;124(2):199-203
(PMID:19439385) Int J Food Microbiol. 2009 Jun 30;132(2-3):141-4
(PMID:19083445) Nutr Res. 2008 Jul;28(7):450-6
(PMID:21745623) Nutr Res. 2011 Jun;31(6):421-8
(PMID:21134434) J Ethnopharmacol. 2011 Mar 8;134(1):156-64
(PMID:22710291) J Ethnopharmacol. 2012 Aug 1;142(3):836-44
(PMID:20028013) J Agric Food Chem. 2010 Jan 27;58(2):1350-8
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(94) Natural Medicines

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