ビタミンA解説

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脂溶性

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どんな栄養素?
 ビタミンA (レチノール) は水にとけにくく油にとけやすい脂溶性ビタミンの1つです。おもに動物性食品に含まれ、体内ではレチノール、レチナール、レチノイン酸といった3種の形で作用します。ビタミンAは目の正常な機能の維持、皮膚や粘膜の正常保持、成長および分化に関与しているため、不足すると夜盲症、皮膚や粘膜の乾燥、成長障害、胎児の奇形などを引き起こすおそれがあります (1) 。ビタミンAは、レチノールとして食品から摂取する以外に、プロビタミンA (ビタミンAの前駆体) としても摂取されます。

供給源になる主な食べもの
 ビタミンA (レチノール) は動物性食品 (とくに肝臓や卵) に多く、プロビタミンA のカロテノイドは植物性食品 (とくに濃い色の野菜 (緑黄色野菜) や果物) に多く含まれています (2) 。

動物性食品
食品名1食あたり
の重量(g)
ビタミンA(μgRAE)
1食あたり100gあたり
鶏レバー405,60014,000
うなぎ かば焼801,2001,500
ぎんだら701,0501,500
ほたるいか304501,500
牛レバー404401,100
くろまぐろ (脂身)50135270
卵黄2096480
アイスクリーム (高脂肪)9090100
全卵 (生)5583150
さば缶詰 (みそ煮)1807642

(「日本食品標準成分表2015年版 (七訂)」(2) のデータより引用)

植物性食品
食品名1食あたり
の重量(g)
ビタミンA(μgRAE)
1食あたり100gあたり
にんじんジュース2069,2704,500
モロヘイヤ (生)60504840
ほうれん草 (ゆで)80360450
西洋カボチャ (ゆで)100330330
小松菜 (ゆで)80208260
にら (ゆで)50185370
あしたば (ゆで)40176440
にんじん (皮むき、ゆで)20144720
すいか (赤肉種)20013869
みかん1008484

(「日本食品標準成分表2015年版 (七訂)」(2) のデータより引用)

プロビタミンAについて
プロビタミンAは生体内でビタミンA効力を示す物質に変換されるものの総称です。おもに小腸で変換されます。植物性食品に含まれている赤や黄色の色素であるカロテノイドがよく知られています (3) 。プロビタミンAカロテノイドは約50種類程度で、中でもβ-カロテンは、他のカロテノイドに比べて効率よくレチノールに変換されます (1) 。また、β-カロテンはプロビタミンAとしての働き以外に抗酸化作用を持っており、β-カロテンの吸収を高めるには、加熱料理が適していることが知られています (4) (5) (6) 。

おもなプロビタミンA
α-カロテン
β-カロテン
γ-カロテン
β-クリプトキサンチン

食品中のビタミンAや一日に摂取するビタミンAの基準値は、体内でのプロビタミンAの変換効率を考慮したレチノール活性当量 (μgRAE) という単位で表され、以下の式によって求められます。
レチノール活性当量 (μgRAE) =レチノール (μg) +β-カロテン (μg) ×1/12+α-カロテン (μg) ×1/24+β-クリプトキサンチン (μg) ×1/24+その他のプロビタミンAカロテノイド (μg) ×1/24

不足するとどうなるの?
 不足の一番の問題は視覚障害です。ビタミンAが不足すると目の角膜や粘膜がダメージを受け、症状が悪化すると視力が落ち、失明する場合もあります (1) 。発展途上国では、多くの子どもがビタミンA不足により失明しています (1) 。また、過度のアルコール摂取は、貯蔵されているビタミンAを消耗します。比較的軽微な症状として、夜盲症や免疫機能の低下などがありますが、一般に、よほど長期にわたってビタミンAを含まない食事に偏らないかぎり、不足する危険性は低いようです (3) 。

とりすぎるとどうなるの?
 脂溶性のため、とりすぎると体内に蓄積され、さまざまな健康被害を引き起こすおそれがあります。成人が過剰摂取した場合、短期間では吐き気、頭痛、めまい、目のかすみなどが起こります (1) (7)。長期間では中枢神経系への影響、肝臓の異常、骨や皮膚の変化が起こります。子どもが過剰摂取した場合は、長期間では頭蓋内や骨格の異常が見られます (1) 。また、妊婦では胎児の奇形が知られています。カロテノイドを食事から摂取する場合では、ビタミンA特有の過剰症は心配ないとされていますが、サプリメントからβ-カロテンを大量に摂取した場合には有害な作用も報告されているため避けた方が良いようです。

日本人の摂取状況と摂取基準
2017(平成29)年の国民健康・栄養調査では、男性では平均530μgRE/日、女性では平均510μgRE/日摂取していました (REはレチノール活性。日本人の食事摂取基準2010年版までの単位) (8) 。『日本人の食事摂取基準』では、ビタミンAについて推奨量(1歳以上)、目安量 (1歳未満) 、耐容上限量が示されています。各年齢別のビタミンAの食事摂取基準 (『日本人の食事摂取基準 2015 年版』) は以下の通りです。

栄養機能食品としての関連情報
 ビタミンAは基準値を満たした場合に栄養機能食品として表示することができます。
・下限値:231μg、上限値:600μg
・栄養機能表示
「ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です。」
「ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」
・注意喚起表示
「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守ってください。」
「妊娠3か月以内又は妊娠を希望する女性は過剰摂取にならないように注意してください。」

 栄養機能食品の表示に関する基準の詳細についてはこちらの資料をご参照ください。

参考文献
1. ビタミン総合事典:朝倉書店
2. 日本食品標準成分表2015年版 (七訂)
3. ハーパー・生化学:丸善株式会社
4. コツと化学の調理事典(第3版):医歯薬出版
5. (PMID:9209178) Am J Clin Nutr 1997;66(1);116-22
6. (PMID:10801917) J Nutr 2000;130(5);1189-96
7. 日本人の食事摂取基準 2015年版:第一出版
8. 平成29年 国民健康・栄養調査報告



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