健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

コーヒー、コーヒーノキ [英]Coffee [学名]Coffea arabica L.

概要

コーヒーは、エチオピア原産のアカネ科の植物。アフリカに自生し、熱帯各地で広く栽培されている。成熟果実を採取して精製後、焙煎し、熱湯で抽出したものが嗜好飲料として世界中で飲用されている。含有成分のカフェインについての情報は、該当の素材ページを参照のこと。


●有効性
俗に、「眠気覚ましによい」「ダイエットによい」「抗酸化作用がある」などといわれている。睡眠不足後の精神覚醒におそらく有効であり、また終日にわたる摂取は、注意力、認知力の低下予防におそらく有効である。その他の有効性については、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。


●安全性
適切に摂取する場合はおそらく安全であるが、カフェインを含むため、多量の摂取は危険性が示唆されている。カフェイン入りコーヒーの摂取により、頭痛、利尿、胃痛、神経過敏、嘔吐、不眠症、不安、興奮、耳鳴り、胸痛、心臓の期外収縮が起こる可能性がある。妊娠中、授乳中の摂取は、適量を摂取する場合、安全性が示唆されているが、多量の摂取は危険性が示唆されている。 出血性疾患患者、双極性障害患者、不安障害患者、統合失調症患者、てんかん患者、緑内障患者、尿失禁患者、骨粗鬆症患者、糖尿病患者、下痢症患者、過敏性腸症候群患者の摂取は注意が必要であるため、自己判断での多量摂取や、サプリメントなど濃縮物の摂取を控えること。



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法規・制度

■食薬区分
・コーヒーノキ (アラビアコーヒー) 果実:「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。

■食品添加物
・既存添加物
 生コーヒー豆抽出物:酸化防止剤
・天然香料基原物質リスト
 コーヒーが収載されている。

■特定保健用食品
・コーヒー豆マンノオリゴ糖 (マンノビースとして) を関与成分とし、「体脂肪が気になる方に適する」「おなかの調子を整える」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。
・コーヒーポリフェノール (クロロゲン酸類) を関与成分とし、「体脂肪が気になる方に適する」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。
・クロロゲン酸類を関与成分とし、「血圧が高めの方に適する」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・カフェイン、クロロゲン酸、フェルロイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、カフェオール、ジテルペン等を含む (PMID:17884997)
・ヘミセルロース (マンナン、アラビノガラクタンなど) を含む (2002049419) 。

分析法

・HPLC-MSにてロブスタコーヒー緑豆中のクロロゲン酸69種類を同定した報告がある (PMID:20681662)
・コーヒー豆数種 (緑豆、焙煎豆) のクロロゲン酸をHPLC法により定量分析した報告がある (PMID:19530715)

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・クロロゲン酸類を関与成分とし、「血圧が高めの方に適する」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。
メタ分析
・2015年7月までを対象に2つのデータベースで検索できた前向き研究4報と、スウェーデンの男性41,881名 (45〜79歳) 、女性34,594名 (49〜83歳) を対象に12年間追跡したコホート研究の結果を合わせて検討したメタ分析において、コーヒーの摂取量と心房細動の発症リスクとの関連は認められなかった (PMID:26394673)
RCT:国内
【特定保健用食品】血圧が高めの成人100名 (試験群49名、平均51.6±1.4歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、クロロゲン酸299 mg含有ヒドロキシヒドロキノン低減コーヒー (0.05 mg含有) 1本/日を12週間摂取させたところ、クロロゲン酸不含ヒドロキシヒドロキノン低減コーヒーに比較し、収縮期血圧の低下が認められた。一方、拡張期血圧に影響は認められなかった (2006318600) 。


消化系・肝臓

一般情報
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) では、急性の下痢に対する使用が承認されている (58) 。
・コーヒー豆マンノオリゴ糖 (マンノビースとして) を関与成分とし、「おなかの調子を整える」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。
メタ分析
・2018年12月までを対象に4つのデータベースで検索できた観察研究16報 (症例対照研究12報、前向きコホート研究4報) について検討したメタ分析において、コーヒーの摂取量と、クローン病発症リスク低下 (5報) との関連は認められなかった (PMID:31124976)

糖尿病・
内分泌

メタ分析
・2019年7月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験10報について検討したメタ分析において、グリーンコーヒー豆抽出物の摂取は、空腹時血糖値 (10報) の低下と関連が認められた。一方、インスリン濃度 (5報) との関連は認められなかった (PMID:32159261)
・2017年2月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験27報 (検索条件:期間>2週間) について検討したメタ分析において、コーヒーの摂取はインスリン (4報) の増加と関連が認められた。一方、空腹時血糖 (4報) 、糖負荷試験2時間値 (2報) 、HOMA-IR (2報) との関連は認められなかった。また、カフェイン抜きコーヒー摂取と空腹時血糖 (2報) 、糖負荷試験2時間値 (2報) 、インスリン (2報) 、HOMA-IR (2報) との関連は認められなかった (PMID:30591664)
RCT:海外
・自転車競技選手の男性10名 (平均26±5歳、メキシコ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照において、運動実施直後にカフェイン5 mg/kg体重またはグリーンコーヒー豆抽出物10 mg/kg体重を摂取させ、経口糖負荷試験を行ったところ、血糖値およびインスリン濃度に影響は認められなかった (PMID:25592006)

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

一般情報
・カフェインを含むコーヒーは睡眠不足後の精神覚醒におそらく有効であり、また、終日にわたる摂取は、注意力、認知力の低下予防、におそらく有効である (94) 。

メタ分析
・2017年2月までを対象に2つのデータベースで検索できた観察研究8報 (コホート研究3報、横断研究5報) について検討したメタ分析において、コーヒーの摂取はうつ病の発生リスク低下と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:29500461)
RCT:国内
・もの忘れを自覚する健康な成人38名 (試験群20名、平均59.3±5.0歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、就寝前に生コーヒー豆熱水抽出物含有飲料100 mL (クロロゲン酸類300 mg含有) を16週間摂取させたところ、認知機能評価指標 (日本語版CNSVS) の7項目 (言語記憶テスト、視覚記憶テスト、指たたきテスト、SDC (Symbol Digit Coding) テスト、ストループテスト、注意シフトテスト、持続処理テスト) に影響は認められなかった (PMID:30241302)

免疫・がん・
炎症

一般情報
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) では、口腔内粘膜の炎症に対する使用が承認されている (58) 。
メタ分析
・2018年11月までを対象に3つのデータベースで検索できた観察研究11報 (コホート研究8報、症例対照研究3報) について検討したメタ分析において、コーヒーの摂取 (11報) およびコーヒーとチャの摂取 (4報) は脳腫瘍発症リスク低下との関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった。一方、チャの摂取 (8報) との関連は認められなかった (PMID:30876465)
・2017年3月までを対象に、2つのデータベースで検索できた前向きコホート研究7報について検討したメタ分析において、カフェイン入りコーヒーの摂取量 (4報) が多いとメラノーマ発症リスクが低下したが試験によるばらつきが大きく、総コーヒー摂取量、カフェインレスコーヒー摂取量 (各4報) との関連は認められなかった (PMID:28891369)
・2016年12月までを対象に2つのデータベースで検索できた観察研究22報 (症例対照研究16報、コホート研究6報) について検討したメタ分析において、コーヒーの摂取量と腎細胞がん発症リスクとの関連は認められなかった (PMID:28892303)
・2016年2月までを対象に4つのデータベースで検索できた観察研究13報について検討したメタ分析において、カフェイン含有コーヒー (4報) の摂取は非メラノーマ皮膚がんの発症リスク低下と関連が認められたが、カフェインレスコーヒー (3報) の摂取との関連は認められなかった (PMID:27388462)
・2015年6月までを対象に2つのデータベースで検索できたコホート研究20報について検討したメタ分析において、コーヒーの摂取量が多いとすい臓がん発症リスクの低下が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:27022386)
・2012年7月までを対象に2つのデータベースで検索できたコホート研究16報、症例対照研究10報について検討したメタ分析において、コーヒーの摂取は乳がん発症リスクとの関連は認められなかった (PMID:23308117)
・2011年10月までを対象に4つのデータベースで検索できた症例対照研究またはコホート研究24報について、チャまたはコーヒーの摂取と食道がん発症リスクとの関連を検討したメタ分析において、緑茶は症例対照研究 (14報) 、中国 (11報) 、女性 (2報) 、アジア (7報) でリスク低下が認められたが、いずれもばらつきが大きく、全体 (16報) との関連は認められなかった。また、紅茶 (3報) との関連も認められず、コーヒーはアジア (7報) でのみリスク低下と関連が認められたが全体 (14報) との関連は認められなかった (PMID:2336908)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

一般情報
・コーヒー豆マンノオリゴ糖 (マンノビースとして) を関与成分とし、「体脂肪が気になる方に適する」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。
・コーヒーポリフェノール (クロロゲン酸類) を関与成分とし、「体脂肪が気になる方に適する」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。
メタ分析
・2015年5月までを対象に2つのデータベースで検索できた観察研究11報 (横断研究7報、コホート研究3報、症例対照研究1報) について検討したメタ分析において、コーヒーの摂取量はメタボリックシンドロームの発症リスク低下 (11報) と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:26431818)
・2015年3月までを対象に2つのデータベースで検索できた観察研究14報 (横断研究9報、コホート研究3報、症例対照研究2報)について検討したメタ分析において、コーヒーの摂取はメタボリックシンドロームの発症リスク低下 (11報) と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:27060021)
【機能性表示食品】2015年10月までを対象に、15のデータベースで検索できた無作為化比較試験5報 (検索条件:摂取量≧3 g、期間≧12週) について検討したメタ分析において、過体重の健康な成人におけるコーヒー豆マンノオリゴ糖の摂取は、腹部総脂肪面積 (5報) 、腹部内臓脂肪面積 (5報) の低下と関連が認められた (2017175772) 。

その他

一般情報
・長期間の日常的なコーヒーの摂取は総死亡リスクの低下に有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2013年11月までを対象に、2つのデータベースで検索できた前向きコホート研究17報について検討したメタ分析において、コーヒーの摂取は全死亡率低下と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:25089347)
RCT:国内
・重度の皮膚乾燥と鱗屑を有する成人女性31名 (試験群16名、平均31.1±3.7歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、クロロゲン酸類を主成分とする生豆由来コーヒーポリフェノール297.8mg/日を4週間摂取させたところ、顔面頬部の皮膚の乾燥度の低減が認められた。一方、口周囲部の乾燥度、皮膚の滑らかさの主観評価および寒冷ストレス後の皮膚温度の回復に影響は認められなかった (PMID:29225313)





試験管内・
動物他での
評価

-



安全性

危険情報

<一般>
・適量を摂取する場合、おそらく安全であるが、カフェインを含むため、多量の摂取は危険性が示唆されている (94) 。カフェインの安全性については、「カフェイン」を参照のこと。
・カフェイン入りコーヒーの摂取により、頭痛、利尿、胃痛、神経過敏、嘔吐、不眠、不安、興奮、耳鳴り、胸痛、心臓の期外収縮が起こる可能性があり、カフェインの摂取量に伴い発症しやすくなる (94) 。

・高血圧でない女性155,594名 (アメリカ) を対象としたコホート研究で、1〜数杯/日のコーヒー摂取は高血圧のリスクを増大させなかった (PMID:16278361)
・消化性潰瘍疾患またはヘリコバクターピロリの治療を受けていない男女447名 (15〜79歳、ドイツ) を対象とした横断研究において、コーヒーの摂取量が3杯/日以上でヘリコバクターピロリ菌の感染リスクが増加した (PMID:9420488)
・健康な成人64名 (平均43歳、オランダ) を対象としたクロスオーバー試験において、フィルターを通さず抽出したコーヒー (フレンチプレスコーヒー) を1 L/日、2週間摂取させたところ、血漿ホモシステインが10%、コレステロールが10%、TGが36%上昇した (PMID:10648261)
・関節炎を発症していない成人6,809名を対象とした横断研究において、コーヒーの摂取量とリウマチ因子陽性リスクは相関し、また、関節炎の罹患歴のない成人18,981名 (平均45歳) を対象としたコホート研究において、コーヒーの摂取量が4杯/日以上ではリウマチ因子陽性関節炎を発症するリスクが高かった (PMID:10913061)

<妊婦・授乳婦>
・妊娠中は、適量を摂取する場合、安全性が示唆されているが、カフェイン入りコーヒーの多量摂取は、危険性が示唆されている。胎児への影響 (流産、死産、早産、胎児の発育遅延、先天性奇形など) を避けるため、カフェインの総摂取量は300 mg/日 (コーヒー3カップ分) 以下に維持すること (94) 。

・授乳中の摂取は安全性が示唆されているが、多量摂取は危険性が示唆されている (94) 。

<小児>
・適量を摂取する場合、安全性が示唆されているが、カフェインを含むため多量の摂取は避けること (94) 。
・カフェイン入りコーヒーによる有害事象は、通常、成人よりも重篤となる (94) 。

<病者>
・出血性疾患患者、双極性障害患者、不安障害患者、統合失調症患者は、症状が悪化する可能性があるため、注意を要する (94) 。
・てんかん患者は、コーヒーに含まれるカフェインが発作を誘発する可能性があるため、多量摂取を避けること (94) 。
・緑内障患者は、カフェイン入りコーヒーの摂取により眼圧が上昇する可能性がある (94) 。
・尿失禁患者は、カフェインの利尿作用のため症状を悪化させる可能性がある (94) 。
・骨粗鬆症患者は、カフェイン入りコーヒーの摂取によりカルシウムの排泄量が増加する可能性がある (94) 。
・糖尿病患者は、コーヒーに含まれるカフェインが食後の血糖コントロールに影響をおよぼす可能性があるため、注意を要する (94) 。
・下痢症患者、過敏性腸症候群患者は、多量摂取により症状が悪化する可能性がある (94) 。

<その他>
・喫煙者、喫煙歴がある者のカフェイン入りコーヒー摂取は、死亡率の上昇と関連する可能性がある (94) 。

<被害事例:国内>
【コーヒーに含まれるカフェインによる被害】
・多種の向精神薬を服用している31歳男性 (日本) が、口渇のためにコーラおよび砂糖入りコーヒーを毎日6〜9 L (カフェイン700〜800 mg/日、糖質200〜300 g/日) 摂取したところ (摂取期間不明) 、四肢の疼痛が出現し、自力歩行が困難となり受診、コーラおよびコーヒーの多飲が原因と考えられる低カリウム血症性四肢麻痺と診断された (2012098471) 。
・高血圧の既往がある61歳女性 (日本) が、ジョッキ5杯/日のアイスコーヒーを1ヶ月間、これに加えて1.5〜2 L/日のコーラを2ヶ月間 (推定カフェイン量約2,000 mg/日) 摂取したところ、腰部の違和感と四肢近位部の筋力低下を生じ、頭部拳上および歩行困難となり受診。低カリウム血症性ミオパチーと診断され、加療とカフェイン含有飲料の摂取を控えることにより回復した (2015300901) 。
・統合失調症の既往歴がある64歳女性 (日本) が、朝方に口喝を覚えたため、アイスコーヒーをコップ約200杯 (約30 L、カフェイン約12 g含有) 摂取したところ、昼過ぎより四肢の振戦を生じ、体動困難を呈して救急搬送された。高度の低ナトリウム血症、軽度意識障害、頻脈を呈し、検査の過程で全身の強直性けいれん、高度意識障害を生じて入院した。入院治療中にさらに軽度の横紋筋融解症を生じたが、加療により改善した。多量のコーヒー摂取による水中毒およびカフェイン中毒と考えられた (2021010443) 。
【コーヒーに含まれるポリフェノール過剰摂取による被害】
・34歳女性 (日本) が妊娠初期よりノンカフェインコーヒー1杯/日 (推定ポリフェノール量420 mg) 、そば茶3杯/日 (推定ポリフェノール量96 mg) 、出産1ヶ月前よりアサイー入りサプリメント1錠/日 (推定ポリフェノール量9.2 mg) 、出産1週間前よりノンアルコールビール (摂取量、ポリフェノール量不明) を摂取したところ、妊娠33週1日に胎動減少がみられ受診。緊急帝王切開により胎児を娩出、臨床症状や検査所見から、胎児動脈管早期収縮と診断された。妊娠中の薬剤投与、食品嗜好聴取により、妊娠後期に摂取した過剰ポリフェノールが関与したと推定された (2019010992) 。
・妊婦 (年齢不明、日本) が、妊娠初期よりカフェインレスコーヒーを連日摂取していたところ (摂取量不明) 、胎児水腫、胎児循環不全が認められ、妊娠35週6日に緊急帝王切開で出産。出生後の検査で胎児の動脈管早期収縮と診断され、カフェインレスコーヒーに含まれるポリフェノール長期摂取との関連が疑われた (2017323666) 。

<被害事例:海外>
【コーヒーに含まれるカフェインによる被害】
・44歳女性 (台湾) が、眠気覚まし目的でブラックコーヒー4カップ (1 L、推定カフェイン摂取量565 mg) を数時間のうちに摂取したところ、6時間後に吐き気、嘔吐、胸部絞扼感、筋痙攣、動悸、茶褐色尿を生じて受診。血中クレアチンキナーゼ、AST、ALTの上昇が認められ、カフェイン過剰摂取による横紋筋融解症と診断され、加療により回復した (PMID:24220878)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト症例>
・てんかんのためフェノバルビタール (抗てんかん薬:CYP3A4基質) を服用中の18歳男性 (ブラジル) が、コーラ1.5 L/日を日常的に摂取し (期間不明) 、抗リン脂質抗体症候群のためワルファリン (抗凝固薬:CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4基質) 20 mg/日の服用を開始したところ、コントロール不良 (INR1.5未満) の状態が続いた。コーラの摂取量を350mL/日に減量したところ、ワルファリン7.5 mg/日の服用で数年間INRは目標範囲で維持されたが、エスプレッソコーヒー5杯/日の日常的な摂取により再びINRは1.1まで低下したが、エスプレッソコーヒーの摂取量を1杯/日に減量したところ、INRは安定した (PMID:21852006)
・数年間にわたり日常的にカフェインを含むコーヒー10〜12杯を摂取しており、大うつ病性障害のためトラニルシプロミン (うつ病治療薬) を服用していた56歳男性 (オランダ) が、トラニルシプロミンを50 mg×2回/日に増量したところ、血圧上昇を伴う激しい頭痛と集中力の低下を生じた。コーヒーの摂取中止により改善し、ノンカフェインコーヒーに切り替えたところ、症状の再発は起こっていない (PMID:24798537)
・HIV陽性でプロテインS欠乏症の27歳男性 (ブラジル) が、日常的に多量のコーヒーを摂取し (摂取量、期間不明) 、深部静脈血栓症とくるぶしの潰瘍のためワルファリン (抗凝固薬:CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4基質) 20 mg/日の服用を開始したところ、コントロール不良の状態が続いた。コーヒーの摂取量を1杯/日に減量したところ、4日後にINRが8まで上昇し、その後ワルファリン5 mg/日の服用でINRは安定した (PMID:21852006)
・双極性障害のためアリピプラゾール (抗精神病薬) 24 mg/日、リスペリドン (抗精神病薬:CYP2D6、CYP3A4基質) 5 mg/日、バルプロ酸 (抗てんかん薬) 600 mg/日を服用していた54歳男性 (日本) が、コントロール不良のため炭酸リチウム (躁うつ病治療薬) 400 mgより服用開始後、約1ヶ月で1,400 mg/日まで増量したが、血中リチウム濃度は治療域下限を下回った状態が持続した。コーヒー13〜20杯/日 (カフェイン約1,300〜2,000 mg/日含有) を摂取していたため10杯/日までに減量したところ、血中リチウム濃度が上昇し、精神症状が改善した (PMID:28622205)

<理論的に考えられる相互作用>
・カフェインとの相互作用については「カフェイン」を参照のこと。

【コーヒーが医薬品等の代謝、作用に影響】
・アレンドロン酸 (骨代謝改善薬) との併用は、アレンドロン酸の生物学的利用能が低下する可能性があるため、摂取の間隔を2時間空けること (94) 。
・レボチロキシン (甲状腺ホルモン製剤) との併用は、レボチロキシンの吸収を阻害する可能性がある (94) 。

【その他】
・フェノチアジン (アレルギー治療薬) や三環系抗うつ薬との併用は、コーヒーに含まれるタンニンが薬剤を析出させる可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最小中毒量)
・コーヒーを投与:ヒト (男性) 経口7,143 mg/kg (不整脈) 、ラット経口 (連続的) 58.1 g/kg/10日間 (酵素阻害・誘導) 、マウス経口 (連続的) 18 g/kg/5日間 (肝臓) 、ラット経口 (間欠的) 14.014 g/kg/7週間 (腎臓) (91) 。
・コーヒーを投与:雌性ラット経口 (交配35日前〜受胎後1〜22日) 2,811 g/kg (生殖毒性:頭蓋顔面奇形、骨格筋奇形) 、雌性ラット経口 (交配35日前〜受胎後1〜22日) 5,622 g/kg (生殖毒性:泌尿生殖器奇形) 、雌性ラット経口 (交配91日前〜出生後21日) 670 mg/kg (生殖毒性:筋骨格奇形) 、雌性ラット経口 (交配91日前〜出生後21日) 1,340 g/kg (生殖毒性:新生児成長遅延) (91) 。
・コーヒー豆抽出物を投与:ラット経口0.5 g/kg (糸球体) (91)
・コーヒー豆抽出物を投与:雌性マウス経口 (交配3日前) 33 mg/kg (生殖毒性:母体) 、雌性マウス経口 (受胎後1〜21日) 21 mg/kg (生殖毒性:新生児) 、雌性マウス経口 (受胎後1〜21日、出産後21日) 42 mg/kg (生殖毒性:新生児) (91) 。
・インスタントコーヒーを投与:ラット経口 (間欠的) 9 g/kg/15日間 (肝臓、血液組成) (91) 。
・グリーン・ブラジルコーヒー豆20%メタノール抽出物を投与:ラット経口 (間欠的) 30 g/kg/30日間 (血液組成) (91) 。
・カフェインレスコーヒー抽出物を投与:ラット経口 (連続的) 6.75 g/kg/15日間 (肝臓、血液組成) (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・焙煎した種子の仁:クラス1 (22) 。

総合評価

安全性

・適切に摂取する場合はおそらく安全であるが、カフェインを含むため、多量の摂取は危険性が示唆されている。カフェイン入りコーヒーの摂取により、頭痛、利尿、胃痛、神経過敏、嘔吐、不眠症、不安、興奮、耳鳴り、胸痛、心臓の期外収縮が起こる可能性がある。
・妊娠中、授乳中の摂取は、適量を摂取する場合、安全性が示唆されているが、多量の摂取は危険性が示唆されている。
・出血性疾患患者、双極性障害患者、不安障害患者、統合失調症患者、てんかん患者、緑内障患者、尿失禁患者、骨粗鬆症患者、糖尿病患者、下痢症患者、過敏性腸症候群患者の摂取は注意が必要であるため、自己判断での多量摂取や、サプリメントなど濃縮物の摂取を控えること。
・特定保健用食品は個別に製品ごとに安全性が評価されている。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・睡眠不足後の精神覚醒におそらく有効であり、終日にわたる摂取は、注意力、認知力の低下予防におそらく有効であるが、その他の有効性については情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) では、急性の下痢と口腔内粘膜の炎症に対する使用が承認されている。
・特定保健用食品では個別に製品ごとに有効性が評価されている。

参考文献

(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(78) 改訂 食品添加物インデックス 和名・英名E No.検索便覧 中央法規 社団法人日本輸入食品安全推進協会
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
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