注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.
項 目
内 容
名称
プロバイオティクス [英]Probiotics、Probiotic、Probiotique [学名]-
概要
プロバイオティクスは、「適切な量を摂取したとき、宿主に健康上有益な作用をもたらす生きた微生物」であり、乳酸菌、ビフィズス菌などが該当するが、これらの生菌を含む食品 (発酵乳製品や植物性発酵食品など) も含めて、プロバイオティクスと呼ばれる。ただし、加熱処理により不活化した菌株においても有効性が検証されている。ここでは、これら微生物を複数組み合わせて、または総合的に評価した情報を取り扱う。乳酸菌、ビフィズス菌、サッカロマイセス ブラウディのそれぞれの素材は、個別のページを参照のこと。 ●有効性 俗に、「整腸作用がある」「免疫力を高める」「風邪やインフルエンザ予防に良い」「アレルギー体質を改善する」などと言われているが、成人の便秘、下痢や旅行者下痢症予防、小児の中耳炎予防、呼吸器感染症の予防に有効性が示唆されている。一方、肥満、不安症、運動誘発性呼吸器感染症予防、加齢に伴う認知機能の低下に効果がないことが示唆されている。 ●安全性 適切に摂取する場合おそらく安全である。妊娠中、授乳中に特定の乳酸菌またはビフィズス菌を短期間、適切に摂取する場合、安全性が示唆されているが、その他のプロバイオティクスの安全性は信頼できる十分な情報が見当たらないため、自己判断での濃縮物、サプリメントの摂取を控えること。免疫不全患者、腸疾患患者 (短腸症候群、潰瘍性大腸炎、腸閉塞など) 、心弁膜症患者の摂取は注意が必要であるため、自己判断でのサプリメントなど濃縮物の摂取を控えること。 ▼他の素材はこちら
法規・制度
■食薬区分 「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」にも「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」にも該当しない。
成分の特性・品質
主な成分・性質
・「適切な量を摂取したとき、宿主に健康上有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義されている (PMID:24912386) (101) 。
分析法
-
有効性
ヒ ト で の 評 価
循環器・呼吸器
<循環器> メタ分析 ・2010年10月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験11報について検討したメタ分析において、プロバイオティクスの摂取は血中脂質 (TC (11報) 、LDL-C (11報)) の低下と関連が認められた。一方、血中脂質 (HDL-C (10報) 、TG (10報)) に影響は認められなかった (PMID:21930366) 。 RCT:海外 ・健康な成人男性38名 (平均42歳、フィンランド) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、プロバイオティクス (Lactobacillus rhamnosus LC705 と Propionibacterium freudenreichii ssp shermanii JSを各2×10(10) cfu含有) /日、4週間摂取させたところ、血中脂質 (TC、LDL-C、HDL-C、TG) に影響は認められなかった (PMID:18978162) 。 ・過体重の中高年者156名 (オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、プロバイオティクス (Lactobacillus acidophilus La5 と Bifidobacterium animalis subsp. lactis Bb12を 3.0×10(9) cfu/日以上含有) を含むヨーグルト (37名、平均68±9歳) 、カプセル (39名、平均65±7歳) または両方 (40名、平均68±8歳) を6週間摂取させたところ、いずれの群でも血圧、血中脂質に影響は認められなかった (PMID:25171898) 。 <呼吸器> メタ分析 ・2020年12月までを対象に6つのデータベースで検索できた二重盲検無作為化プラセボ対照試験6報について検討したメタ分析において、プロバイオティクスの摂取は、呼吸器感染症の重症度 (2報) との関連は認められなかった (PMID:33604601) 。 ・2020年9月までを対象に5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験14報 (検索条件:≧18歳) について検討したメタ分析において、アスリートにおけるプロバイオティクスの摂取は、上気道感染の総重症度スコア (5報) 、炎症マーカー (IL-6 (3報) 、TNF-α (3報)) の低下と関連が認められた。一方、上気道感染症の疾病期間 (4報) 、症状発現回数 (5報) 、症状発現時間 (7報) 、炎症マーカー (IL-10 (4報)) 、IgA (4報) との関連は認められなかった (PMID:33481001) 。 ・2016年4月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ対照試験23報について検討したメタ分析において、子どものプロバイオティクスの摂取は、気道感染症の疾患日数 (6報) 、発症数 (15報) 、学校の欠席日数 (8報) 減少との関連が認められたが、発症数、学校の欠席日数はばらつきが大きかった。一方、平均症状出現期間 (9報) に関連は認められなかった (PMID:27495104) 。 ・2014年7月までを対象に9つのデータベースで検索できた無作為化比較試験12報について検討したメタ分析において、プロバイオティクスの摂取は急性上気道感染症の発症数 (6報) 、症状出現期間 (3報) 、抗生物質の使用人数 (3報) の減少が認められた。一方、発症率 (5報) に関連は認められなかった (PMID:25927096) 。 RCT:海外 ・保育所に通う幼児599名 (試験群300名、平均4±1歳、ロシア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、発酵乳 (Lactobacillus paracasei subsp paracasei 10(10) cfu以上+Streptococcus thermophilus+Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus 10(9) cfu以上含有) 100 g×2回/日を3ヶ月間摂取させたところ、感染症 (上気道、下気道、消化管) の発症回数、罹患期間、重症度、医薬品の利用回数および利用期間、欠席日数に影響は認められなかった (PMID:27168455) 。 ・健康な成人465名 (オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、Bifidobacterium animalis subsp. lactis Bl-04 2.0×10(9) cfu/日 (Bl-04群161名、平均36±12歳) または Lactobacillus acidophilus NCFM+Bifidobacterium animalis subsp. lactis Bi-07の均等混合 1.0×10(10) cfu/日 (NCFM+Bi-07群155名、平均36±11歳) を150日間摂取させたところ、Bl-04群では上気道感染症の発症リスクの低下が認められたが、罹患者数、総罹患数、症状の重症度、持続期間、医療機関の受診率、医薬品の利用率、消化管障害の罹患者数に影響は認められなかった。NCFM+Bi-07群では、いずれの項目にも影響は認められなかった (PMID:24268677) 。
消化系・肝臓
メタ分析 ・2020年8月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験17報 (検索条件:≦18歳) について検討したメタ分析において、急性下痢と脱水症の乳幼児、小児のプロバイオティクスの摂取は、4日間以上続く下痢の減少 (6報) 、下痢の持続時間 (12報) 、入院期間 (8報) の短縮との関連が認められたが、下痢の持続時間と入院期間は試験によるばらつきが大きかった (PMID:33411344) 。 ・2019年12月までを対象に5つのデータベースで検索できた介入試験82報について検討したメタ分析において、急性感染性下痢におけるプロバイオティクスの摂取は、48時間以上続く下痢の減少 (33報) 、下痢の平均持続時間の短縮 (52報) と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:33295643) 。 ・2019年6月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験33報 (検索条件:年齢≧18歳) について検討したメタ分析において、過敏性腸症候群患者によるプロバイオティクスの摂取は、症状の重症度 (global symptoms score、17報) の改善、シンバイオティクスの摂取は腹痛 (3報) の改善との関連が認められたが、プロバイオティクスについては試験によるばらつきが大きかった。一方、プロバイオティクスの摂取と腹痛 (25報) 、プレバイオティクスの摂取と症状の重症度 (3報) に影響は認められなかった (PMID:32190365) 。 ・2018年2月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験34報 (検索条件:年齢<18歳) について検討したメタ分析において、急性下痢症の未成年によるプロバイオティクスまたはシンバイオティクスの摂取は、下痢の期間 (27報) 、入院期間 (15報) 、3日間の排便回数 (7報) 、嘔吐期間 (7報) の短縮、3日間の排便回数 (7報) 、3日間続く下痢の頻度 (12報) の減少との関連が認められたが、いずれも試験によるばらつきが大きかった (PMID:31517810) 。 ・2017年10月までを対象に5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験6報について検討したメタ分析において、急性下痢症の小児 (<18歳) によるBacillus clausii の摂取は、下痢の期間 (6報) および入院期間 (3報) の短縮と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった。一方、排便頻度 (4報) との関連は認められなかった (PMID:30103531) 。 ・2014年3月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験14報 (検索条件:≧18歳) について検討したメタ分析において、成人におけるプロバイオティクスの摂取は、消化管通過時間の短縮 (3報) 、排便回数の増加 (10報) 、便の硬さの改善 (9報) との関連が認められたが、排便回数と便の硬さは試験によるばらつきが大きかった (PMID:25099542) 。 ・4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験20報について検討したメタ分析において、小児の下痢に対するプロバイオティクスの摂取は、下痢の期間 (19報) 、発熱期間 (4報) 、入院期間 (10報) の短縮と関連が認められた。一方、嘔吐の期間 (5報) や排便回数 (3報) に影響は認められなかった (PMID:22309079) 。
糖尿病・内分泌
RCT:海外 ・過体重の中高年156名 (オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、プロバイオティクス (Lactobacillus acidophilus La5 と Bifidobacterium animalis subsp. lactis Bb12を 3.0×10(9) cfu/日以上含有) を含むヨーグルト (37名、平均68±9歳) 、カプセル (39名、平均65±7歳) または両方 (40名、平均68±8歳) を6週間摂取させたところ、いずれの群でも糖代謝マーカー (インスリン、HbA1c) に影響は認められず、ヨーグルト群ではHOMA-IRの上昇、カプセル群では血糖の上昇が認められた (PMID:24569536) 。
生殖・泌尿器
調べた文献の中に見当らない。
脳・神経・感覚器
RCT:国内 ・健康な高齢者38名 (試験群20名、平均69.9±3.0歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、プロバイオティクス (Bifidobacterium longum subsp. longum BB536+B. longum subsp. infantis M-63+B. breve M-16V+B. breve B-3各×1.25×10 (10) cfu含有) を12週間摂取させたところ、認知機能評価 (MoCA-J)スコアに影響は認められなかった (PMID:30198326) 。
免疫・がん・炎症
<アレルギー> メタ分析 ・2018年8月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験13報について検討したメタ分析において、妊婦または乳児におけるプロバイオティクス摂取は、乳児の喘息発症リスク (13報) との関連は認められなかった (PMID:30656984) 。 ・2014年12月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験29報について検討したメタ分析において、妊娠中、授乳中、乳児期のいずれかまたは各期間通してのプロバイオティクス摂取は、子どもの湿疹 (15報) 、アトピー性皮膚炎のリスク低下 (11報) と関連が認められたが、いずれもばらつきが大きかった。一方、その他のアレルギー (喘息や喘鳴 (8報) 、食物アレルギー (3報) 、アレルギー性鼻炎 (5報) 、いずれかのアレルギー (3報)) との関連は認められなかった (PMID:26044853) 。 ・2013年9月までを対象に1つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ対照試験10報について検討したメタ分析において、妊娠中の母親または出生後の乳児によるプロバイオティクス摂取は、食物アレルギーリスク (10報) との関連は認められなかった (PMID:25264881) 。 ・2013年8月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験20報について検討したメタ分析において、妊娠中の母親または生後1年以内の乳児によるプロバイオティクス摂取は、子どもの喘息 (9報) 、喘鳴 (9報) 、下気道感染症 (6報) リスクとの関連は認められなかった (PMID:24304677) 。 ・2013年3月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ対照試験18報について検討したメタ分析において、妊娠・授乳中の母親または2歳未満の乳幼児におけるプロバイオティクス (14報) の摂取は、湿疹の発症リスク低下と関連が認められた。一方、プレバイオティクス (3報) との関連は認められなかった (PMID:23908398) 。 ・2013年3月までを対象に5つのデータベースで検索できた二重盲検無作為化プラセボ対照試験25報について検討したメタ分析において、胎児と乳児期または乳児期のみのプレバイオティクスの摂取は、IgE濃度の低下 (9報) 、アトピー感作の減少 (15報) と関連が認められた。一方、喘息 (11報) リスクとの関連は認められなかった (PMID:23958764) 。 ・2011年10月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ対照試験18報について検討したメタ分析において、妊娠中または乳児期のプロバイオティクス摂取は、子どもの7歳時までのアトピー性皮膚炎 (13報) とIgE関連アトピー性皮膚炎 (10報) の発症リスク低下と関連が認められた (PMID:22441545) 。 ・2018年8月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ対照試験18報について検討したメタ分析において、妊娠中のプロバイオティクスの摂取は 、子どものアトピー性皮膚炎 (7報) 、湿疹 (7報) の発症リスク低下と関連が認められた。一方、アレルギー疾患 (5報) 、IgE関連アレルギー疾患 (3報) 、喘息 (3報) 、感作 過敏症 (7報) との関連は認められなかった (PMID:31856928) 。 RCT:海外 [乳児] ・アレルギーの家族歴がある乳児253名 (試験群127名、シンガポール) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、生後6ヶ月まで、プロバイオティクスミルク (Bifidobacterium longum 1×10(7) cfu/g、Lactococcus rhamnosus 2×10(7) cfu/g含有) を少なくとも60 mL/日摂取させたところ、12ヶ月齢までの湿疹、アトピー性皮膚炎の発症や、アレルギー感作 (プリックテスト) 、免疫マーカー (IgE) に影響は認められなかった (PMID:19134020) 。 [妊婦とその子ども] ・妊婦278名 (試験群138名、平均29.97±3.84歳、ノルウェー) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、妊娠36週から出産後3ヶ月の母乳栄養期間中、プロバイオティクスミルク250 mL/日 (Lactobacillus rhamnosus GG 5×10(10) cfu、Bifidobacterium animalis subsp. Lactis Bb-12 5×10(10) cfu、 Lactobacillus acidophilus La-5 5×9(10) cfu含有) を摂取させ、子どもが2歳時に評価したところ、アトピー性皮膚炎の累積罹患率、非IgE関連アトピー性皮膚炎に低下が認められた。一方、IgE関連アトピー性皮膚炎、喘息、アトピー感作 (プリックテスト) に影響は認められなかった (PMID:20545688) 。 ・妊婦および新生児378組 (試験群187組、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、母親に妊娠36週から出産まで、子どもには6ヶ月まで、プロバイオティクス (Lactobacillus salivarius CUL61、Lactobacillus paracasei CUL08、Bifidobacterium animalis subspecies lactis CUL34、Bifidobacterium bifidum CUL20、併せて10(10) 生菌数/日含有) を摂取させたところ、子どもが2歳時に湿疹と診断され累積頻度に影響は認められなかった (PMID:24947281) 。 ・児のアレルギーリスクが高い妊娠36週の妊婦891名 (試験群445名、30.8±4.8歳、フィンランド) と出生児を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、プロバイオティクス (Lactobacillus rhamnosus GG 5×10(9) cfu、Lactobacillus rhamnosus LC705 5×10(9) cfu、Bifidobacterium breve Bb99 2×10(8) cfu、Propionibacterium freudenreichii ssp. shermanii JS 2×10(9) cfu) 含有のカプセルを、母親には2回/日を出産まで、出生児には0.8 gのガラクトオリゴ糖を加えて1回/日を6ヶ月齢まで摂取させたところ、出生児における5歳時でのアレルギー性疾患の発症リスクに影響は認められなかった (PMID:19135235) 。 <免疫> メタ分析 ・2020年11月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験15報について検討したメタ分析において、プロバイオティクスの摂取 (7報) は、気道感染症の発症リスク低下と関連は認められなかった (PMID:34861367) 。 ・2020年10月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験22報について検討したメタ分析において、プロバイオティクスの摂取は急性気道感染症発症リスク低下 (22報) と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:34183001) 。 RCT:海外 [小児の感染症] ・健康な乳幼児285名 (試験群143名、平均10.0±0.8ヶ月齢、デンマーク) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、プロバイオティクス (Bifidobacterium animalis subsp lactisおよびLactobacillus rhamnosus 各10(9) cfu含有) を6ヶ月間摂取させたところ、感染症による保育所欠席日数、呼吸器および消化器感染症状発症回数および発症者数、医療機関受診回数に影響は認められなかった (PMID:28674113) 。 ・8〜13歳の健康な子ども80名 (試験群40名、平均12±0.6歳、タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、冬季にLactobacillus acidophilus + Bifidobacterium bifidum (各10(9) 以上含有) を2回/日、3ヶ月間摂取させたところ、発熱、咳、鼻水、風邪による欠席のリスク低下が認められた。一方、嘔吐、下痢のリスク、および、抗生物質の利用頻度には影響は認められなかった (PMID:22507276) 。 ・急性中耳炎リスクの高い乳幼児224名 (試験群112名、平均10.8±1.8ヶ月齢、フランス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、プロバイオティクス (Streptococcus thermophiles NCC 2496 1×10(7) cfu/g、Streptococcus salivarius DSM 13084 2.5×10(7) cfu/g、Lactobacillus rhamnosus LPR CGMCC 1.372 1×10(7) cfu/g含有) とプレバイオティクス (Raftilose、Raftiline含有) を300〜360 mL/日、12ヶ月間摂取させたところ、急性中耳炎、下気道感染症のリスクや抗生物質による治療の必要性に影響は認められなかった (PMID:23429555) 。
骨・筋肉
メタ分析 ・2020年11月までを対象に3つのデータベースで検索できた二重盲検無作為化比較試験5報について検討したメタ分析において、閉経後の女性におけるプロバイオティクスサプリメントの摂取は、腰椎の骨塩密度増加 (5報) との関連が認められた。一方、大腿近位部骨塩密度 (5報) に関連は認められなかった (PMID:33653743) 。
発育・成長
メタ分析 ・2010年までを対象に13個のデータベースで検索できた無作為化比較試験25報について健康な満期出生児の成長を検討したメタ分析において、プレバイオティクス (12報) の摂取は男女とも体重増加 (8報) との関連が認められたが、身長、頭囲の増加に関連は認められなかった。一方、シンバイオティクス (3報) 、プロバイオティクス (10報) の摂取は、いずれの項目とも関連は認められなかった (PMID:23035863) 。
肥満
その他
参 考 情 報
試験管内・ 動物他での評価
安全性
危険情報
<小児> ・2006年12月までを対象に、7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験12報について検討したシステマティックレビューにおいて、プロバイオティクスの摂取は小児の湿疹の改善に影響はみられず、症状の悪化に関与する可能性が認められた (PMID:18843705) 。 <被害事例:国内> ・慢性閉塞性肺疾患 (COPD) による肺炎で入院治療中の78歳男性 (日本) が、下痢のためClostridium butyricum含有プロバイオティクスを24日間服用していたところ、嘔吐、意識障害、低酸素症、低血圧を生じた。血中からC.butyricumが検出され、同菌による菌血症と診断された。プロバイオティクスの服用中止と加療により回復した (2021116883) 。 <被害事例:海外> ・極低出生体重の早産児3名 (スイス) が、壊死性腸炎予防のためにプロバイオティクス製品 (Bifidobacterium longum、Lactobacillus Acidophilus含有) を6〜14日間投与されたところ、B. longumによる菌血症を起こした (PMID:25402825) 。 ・帝王切開にて誕生した超低体重出生児 (在胎期間27週5日、出生時体重600 g、ドイツ) が、出生9日目からプロバイオティクス製品 (Bifidobacterium. infantis、Lactobacillus. Acidophilus含有) を10日間投与されたところ、Bifidobacterium属による敗血症を起こし、投与中止により改善した (PMID:22058179) 。 ・急性B細胞リンパ芽球性白血病で化学療法を受け、腹部不快感や便秘を訴えていた2歳男児 (スロベニア) が、腹部膨張、疝痛を伴う容体の悪化を生じ、プロバイオティクス製品 (Lactobacillus spp.、Bifidobacterium longum含有) の摂取 (摂取量、期間不明) が関連したBifidobacterium breveによる敗血症と診断された (PMID:26291071) 。 ・出生時体重970 gの早産児 (オーストラリア) が腸形成術を受けた7日後からプロバイオティクス製品 (Bifidobacterium bifidum、Lactobacillus Aciophilus含有) を45日間投与されたところ、Lactobacillus rhamnosusによる敗血症を生じた。投与された製品からL. rhamnosusが検出されたことから、プロバイオティオティクス製品による敗血症と診断され、加療により改善した (PMID:26780534) 。 ・2014年4月から2015年8月までにノルウェーで超早産児として出生した290名が、壊死性腸炎予防のためプロバイオティクス製品 (Bifidobacterium longum 10(9) +Lactobacillus acidophilus 10(9) /個含有) を出生1週目より1/2〜1個/日投与されたところ、3名がB. longumを原因とする菌血症を発症した (PMID:27532215) 。個々の症例は以下のとおり。 1) 生後8日の男児が、敗血症、血圧低下を生じ抗菌薬による治療を開始したが翌日より消化器症状 (腹部膨満、消化不良、摂食困難) を発症し、回腸穿孔、腸管壊死が認められた。加療により改善した。 2) 生後12日の男児が、無呼吸、徐脈、体温不安定となり、プロバイオティクスの中止と加療により改善した。 3) Enterococcus faecalisによる菌血症の既往歴がある女児が、治癒後にプロバイオティクスの投与を継続していたところ、生後46日に血圧低下、代謝性アシドーシス、続発性イレウスを発症したが、プロバイオティクスの中止と加療により改善した。 ・先天性心疾患のある5ヶ月男児 (インド) が、3ヶ月齢時に水様性下痢の改善のためプロバイオティクス (Bacillus clausii 2×10(9) ×2回/日を3日間摂取したところ、3週間後に発熱、頻脈、頻呼吸、両側性ロンカイを生じ、受診。B. clausiiが関連した多臓器不全を伴う多剤耐性敗血症により死亡した (PMID:31033906) 。
禁忌対象者
医薬品等との 相互作用
動物他での 毒性試験
AHPAクラス分類 及び勧告
総合評価
・適切に摂取する場合、おそらく安全である。 ・妊娠中、授乳中に特定の乳酸菌またはビフィズス菌を短期間、適切に摂取する場合、安全性が示唆されているが、その他のプロバイオティクスの安全性は信頼できる十分な情報が見当たらないため、自己判断での濃縮物、サプリメントの摂取を控えること。 ・妊娠中に乳酸菌を単独またはビフィズス菌と併用する場合、妊娠高血圧腎症のリスクを高める可能性がある。 ・プロバイオティクスの摂取により、軽い胃腸障害を引き起こす可能性がある。 ・免疫不全患者、腸疾患患者 (短腸症候群、潰瘍性大腸炎、腸閉塞) 、心弁膜症患者の摂取は注意が必要であるため、自己判断でのサプリメントなど濃縮物の摂取を控えること。
(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。) ・情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。
参考文献
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