健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

魚油 [英]Fish oil [学名]-

概要

魚油はドコサヘキサエン酸 (DHA) やエイコサペンタエン酸 (EPA) といったn-3系と呼ばれる多価不飽和脂肪酸を多く含む。DHAおよびEPAの機能性については、それぞれを20〜30%程度含む魚油を用いて明らかにされているものが多い。DHAおよびEPAの機能については各項目を参照。魚油の摂取による、心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患予防効果が報告されている。俗に、「がんの発生を抑制する」「記憶力を高める」「アトピーやアレルギーなどによい」などと言われているが、ヒトにおける有効性については、脂質異常症を除いて、調べた文献中に信頼できる十分なデータは見当たらない。 安全性については、適切に用いればおそらく安全であるが、3 g以上の大量摂取は危険性が示唆されている。有害事象としてげっぷ、吐き気、鼻血、軟便が報告されている。 その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・米国ではGRAS (一般的に安全と見なされた物質) 認定。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・n-3系と呼ばれる長鎖多価不飽和脂肪酸を多く含む (94) 。

分析法

-

有効性








循環器・
呼吸器


<血中脂質、血中マーカー>
一般情報

・サプリメントや食品中に含まれる魚油はトリグリセリド値を20〜50%低下させる (94) 。魚油製剤 (LOVAZA;EPA 465 mg、DHA 375 mg含有) は食習慣の改善と併用して、高トリグリセリド血症治療にFDAが承認している (94) 。また、LDLコレステロール値に関する検討も報告されている。
メタ分析
・1995年6月までを対象に、3種のデータベースで検索できた介入試験26報について検討したメタアナリシスにおいて、魚油の摂取はトリグリセリドを低下させ、I型糖尿病患者においては空腹時血糖を下げ、HDLコレステロールを増加させるが、全試験解析結果およびII型糖尿病患者でLDLコレステロールを上昇させる (PMID:9571330)
RCT
・アテローム産生性リポタンパク表現型 (ALP:心血管疾患マーカー) の可能性がある健常男性50名 (平均56±61歳、イギリス) を対象とした、二重盲検クロスオーバー試験において、6 g/日の魚油 (EPA 27.9%、DHA 22.3%) を6週間摂取したところ、空腹時トリグリセリド値、食後のトリグリセリド時間曲線下面積 (AUC) 、LDL-3 (心筋梗塞のリスクを増大させる)の割合が減少した (PMID:10938022)
・ 血清総コレステロール濃度が5.2 mmol/mL (200 mg/dL) 以上の患者46名 (平均45.4±11.1歳、カナダ) を対象とした無作為化比較試験において、1日900 mgのニンニク錠剤と12 g魚油の一方または両方を12週間摂取させたところ、魚油単独摂取群では血清LDLコレステロールとトリグリセリドが、併用群では血清総コレステロール、LDLコレステロールおよびトリグリセリドが低下した (PMID:9022529)
・高トリグリセリド血症のII型糖尿病患者42名 (試験群20名、平均63.5歳、デンマーク) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、魚油 (EPA 40.2%、DHA 25.4%含有) 4 g/日を8週間摂取させたところ、総コレステロールおよびHDL-2aコレステロールが減少し、HDL-2bコレステロールが上昇した (PMID:12351465)
・肥満男性48名 (平均53.9歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、魚油 (EPA 45%、DHA 39%含有) 4 g/日を6週間摂取させたところ、魚油単独摂取群では血漿トリグリセリドが減少、HDLコレステロールが上昇し、ApoB貯蔵VLDLが減少、VLDLからIDL、IDLからLDLへの変換率が上昇した (PMID:12145148)
・普段から魚をよく食べる健康な中年男性17名 (平均50.1±9.2歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、魚油カプセル1,500 mg×3回/日 (EPA 1,260 mg/日、DHA 540 mg/日含有) を4週間摂取させたところ、血漿中の中性脂肪、総コレステロール、LDLコレステロール濃度や血液粘性に影響は認められなかった (PMID:19255890)
・過体重または肥満の男性10名 (平均56.2±6.18歳、カナダ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、朝食に高脂肪、高フルクトース食と共に魚油7.0 g (EPA 2.8 g、DHA 1.4 g含有) 、大豆イソフラボン (グリコシドイソフラボンとして150 mg) を単独または併用で4日間摂取させたところ、食事摂取後の血清トリグリセリド濃度、酸化ストレスマーカー (脂質ヒドロペルオキシド、酸化LDL、総抗酸化能) に影響は認められなかった (PMID:19339704)
・オランザピンとリチウムまたはバルプロ酸の併用療法を受けている精神疾患患者41名 (試験群20名、平均31.10±9.98歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油1 g/日を1週間、2 g/日を1週間、3 g/日を4週間、続けて摂取させたところ、血中のリポ蛋白a濃度の増加抑制が認められたが、その他の血中マーカー (総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、フィブリノーゲン、高感度C反応性蛋白) や、血圧、体重、BMI、腹囲に影響は認められなかった(PMID:23351198)
・リウマチ性関節炎の女性患者84名 (試験群40名、平均50歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較において、魚油1 g/日を3ヶ月間摂取させたところ、血清HDLコレステロール濃度、アリルエステラーゼ、パラオキソナーゼ活性の増加が認められた (PMID:22924372)
・過体重または肥満の成人20名 (平均52±12歳、オランダ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、魚油3.7 g/日 (EPA 1.7 g/日+DHA 1.2 g/日含有) を6週間摂取させたところ、血清中、LDLコレステロール値の増加とトリグリセリド値の低下が認められたが、総コレステロール値、HDLコレステロール値、遊離脂肪酸値、炎症マーカーに影響は認められなかった (PMID:21429719)
・脳卒中の既往歴のある患者102名 (試験群51名、平均64±10歳、ニュージーランド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油3 g/日 (約1.2 gのn-3系脂肪酸含有) を12週間摂取させたところ、血漿中の脂質、炎症および血液凝固マーカー、気分に影響は与えなかった (PMID:19745175)
・長期間血液透析を受けている末期腎臓病患者33名 (試験群18名、平均57歳、アメリカ)を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、市販の魚油カプセル (摂取量はEPA 0.96 g/日、DHA 0.6 g/日) を6ヶ月間摂取させたところ、血漿中リポ蛋白 (a) 濃度に影響は認められなかった (PMID:19748798)
その他
・継続した3剤併用免疫抑制治療を受け、食事制限を受けている30〜60歳の腎移植患者24名 (ギリシャ) を対象とした臨床試験において、夕食後にプラバスタチン (脂質異常症治療薬) 20 mgと魚油1 gを8週間摂取させたところ、血漿トリグリセリドが減少したという予備的な報告がある (PMID:11474227)

<心臓>
一般情報

・魚油による心血管疾患保護効果の程度には議論の余地があり、異なる解析結果が得られている (94) 。
・食事から魚油 (魚油の多い魚を1週間に2サービング) を摂取すると、心血管疾患の発症リスクが減少すると考えられる (94) 。ただし、魚油を含む食品を日常的に摂取している人では、魚油をサプリメントで摂取してもさらなる心血管疾患予防効果は得られないと考えられる (94) 。
・食事またはサプリメントで1日1 gの魚油を摂取すると、心筋梗塞、脳卒中、アテローム性動脈硬化症の進行のリスクを軽減することが示唆されている (94) 。しかし、超高用量の魚油を食事から摂取すると、脳卒中リスクが上昇すると考えられる。46 g/日以上の魚を摂取する場合あるいは660 mg/日を超える用量のn-3系脂肪酸を摂取する場合、虚血性脳卒中または脳出血の発症率が約2倍になる可能性がある (94) 。魚を適量 (週に1〜2回) 摂取することはよいが、過度に魚油を摂取することは害を及ぼす可能性がある (94) 。
・食事またはサプリメントで魚油を摂取すると、全死亡率を23%、心血管が原因の死亡率を32%減少するという疫学的研究がある (94) 。また、心血管疾患の患者においても、死亡率が低下することが示唆されている (94) 。
・魚油に関する多くの疫学的研究は魚の調理方法を考慮していないが、魚の調理方法が重要である可能性がある (94) 。
メタ分析
・2013年8月までを対象に、5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験8報について検討したメタ分析において、心臓外科手術患者における不飽和脂肪酸 (n-3系不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、魚油) の摂取は、術後心房細動の発生リスク (8報) 低下、入院期間 (3報) 短縮と関連が認められた (PMID:24556447)
・2012年11月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験8報について検討したメタ分析において、心臓手術を受ける患者による周術期の魚油摂取は、術後心房細動リスク (8報) 、入院期間 (7報) 、大出血リスク (5報) 、周術期死亡率 (4報) 、ICU滞在期間 (3報) に影響は与えなかった (PMID:24039820)
・ 2011年8月までを対象に2つのデータベースで検索できたコホート研究7報について検討したメタ分析において、魚の摂取 (5報) またはEPA/DHAの摂取 (6報) は心不全発症リスクを低下させた (PMID:22682084)
・2011年8月までを対象に3つのデータベースで検索できたコホート試験7報、無作為化比較試験11報について検討したメタ分析において、n-3系不飽和脂肪酸または魚/魚油の摂取は心房細動の発症リスクに影響は与えなかった (PMID:22661621)
・2種類のデータベースで検索できた無作為化比較試験10報について検討したシステマティックレビューにおいて、平均37ヶ月間のn-3系脂肪酸の摂取は亜急性または急性心筋梗塞および狭心症患者の全死亡率と心筋梗塞による死亡率を減少させた (PMID:15482380)
・2007年5月までを対象に4種のデータベースで検索できた無作為化比較試験 (RCT) 3報についてのメタ分析において、魚油の1〜2年間の摂取に、埋め込み型除細動器 (ICD) を利用している患者における不整脈発作の再発や全死亡の発生を低減する効果は認められなかった (PMID:18195289)
・2006年11月までを対象に、15種のデータベースで検索できた無作為化比較試験 (RCT) 12報についてのシステマティックレビューにおいて、魚油の摂取により心臓病による死亡は減少したが、不整脈には効果が認められなかった (PMID:19106137)
・3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験15報について検討したメタ分析において、魚油の摂取は心拍変動パラメーターの中で、高周波成分 (HF、迷走神経緊張度の指標) (7報) の増加と関連が認められたが、低周波成分 (LF) (7報) 、LF/HF (5報) などと関連は認められなかった (PMID:23515005)
RCT
・心臓手術を受ける患者1,516名 (試験群758名、平均63.8±12.6歳、アメリカ・イタリア・アルゼンチン) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、魚油カプセル (EPA 465 mg/g、DHA 375 mg/g含有)を、手術前3〜5日間で10 g (または2日間で8 g)、手術後に2 g/日を最長10日間摂取させたところ、術後心房細動の発生に影響はなかった (PMID:23128104)
・埋め込み型除細動器 (ICD) を利用している患者546名 (試験群273名、平均60.5歳、オランダ) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、魚油カプセル (EPA 464 mg、DHA 335 mg含有) を2 g/日、約365日間 (14〜376日) 摂取させたところ、不整脈発作の再発や全死亡の発生を低減する効果は認められなかった (PMID:16772624)
その他
・30〜55歳の看護師の女性79,839名 (アメリカ) を対象としたコホート研究において、食事からの魚の摂取が多い人程、血栓性およびラクナ梗塞の発生率が低かったが、アスピリンを投与している患者では、魚の摂取によるリスク低下は見られない (PMID:11176840)
・65歳以上の男女3,910〜4,778名 (アメリカ)を対象とした疫学調査 (追跡期間9もしくは12年以上) において、食事からの魚の摂取量が多い程、心血管疾患や虚血性脳梗塞のリスクは低下するが、フライおよびfish sandwichの摂取が多いとそのリスクは上昇した (PMID:12642356) (PMID:15668367)

<血管狭窄>
一般情報

・魚油の摂取と血管狭窄に関する検討が報告されているが、その見解は一致していない。個々の情報は下記のようになっている。
<<血管狭窄に効果が認められたという報告>>
RCT
・冠動脈狭窄のため血管再開通術を6ヶ月以内に計画または施術した患者223名 (試験群112名、平均58.9±8.1歳、ドイツ) を対象とした無作為化比較試験において、最初の3ヶ月は6 g/日、その後21ヶ月は3 g/日の魚油 (α-リノレン酸0.6%、EPA 35.4%、DHA 21.5%、DPA 9.7%など含有) を摂取させた結果、冠動脈部分の進行および退化が抑制された (PMID:10189324)
・冠動脈バイパス術を受けた患者610名 (ノルウェー) を対象とした無作為化比較試験において、術後2日目からアスピリンまたはワルファリンと魚油 (EPA 51%、DHA 32%含有) 4 g/日を術後1年まで摂取させたところ、1年後の静脈移植血管閉塞率が抑制された (PMID:8540453)
・血液透析のための人工血管移植の必要がある患者24名 (試験群12名、平均52±6歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、4 g/日の魚油 (n-3系脂肪酸エチルエステル80%;EPA 44%、DHA 24%含有) を移植後2週間以内から1年間または血栓症が進行するまで摂取させたところ、血管の閉塞率を抑制し、最高・最低血圧を低下させた (PMID:11752036)
<<血管狭窄に効果が認められなかったという報告>>
RCT
・経皮経管冠動脈形成術 (PTCA) を行った患者447名 (試験群226名、アメリカ) を対象とした無作為化比較試験において、10 g/日の魚油サプリメント (n-3系脂肪酸エチルエステル80.6%; EPA 4.1 g、DHA 2.8 g含有) を6ヶ月摂取させたが、再狭窄率は減少しなかった (PMID:7955181)
・冠動脈血管形成術を行った患者120名 (試験群60名、イギリス) を対象とした無作為化比較試験において、術後1〜2日後から魚油カプセルを3 g/日 (EPA 1.8 g、DHA 1.2 g含有) を摂取させたが、再狭窄率は変化しなかった (PMID:1289091)
・経皮経管冠動脈形成術 (PTCA) を行う患者653名 (29〜78歳、試験群325名、カナダ) を対象とした無作為化比較試験において、魚油サプリメント (1日あたりn-3系多価不飽和脂肪酸5.4 g; EPA 1,080 mg、DHA 720 mg含有) を48時間以上 (平均6日) 前から18週間後まで摂取させたところ、AST、ALTの上昇およびTGの減少は見られたが、血管の内径には影響が認められなかった (PMID:8840843)
・血漿脂質は正常で、主要心血管が30%以上狭窄した30〜75歳の患者59名 (試験群31名、アメリカ) を対象とした無作為化比較試験において、6 g/日 (EPA 2.88 g、DHA 1.92 g含有) の魚油を3ヶ月摂取させ、冠状動脈硬化症の進行を2.4年追跡調査したが、狭窄の抑制はみられなかった (PMID:7759696)
・冠動脈疾患の患者171名 (試験群87名、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化試験において、最初の3ヶ月は6 g/日 (n-3系多価不飽和脂肪酸含量3.3 g/日) 、その後21ヶ月は3 g/日 (n-3系多価不飽和脂肪酸含量1.65 g/日) を摂取させたが、頚動脈内膜中膜厚 (アテローム性経動脈硬化症スコア) を改善しなかった (PMID:12062374)
・慢性腎臓病患者196名 (試験群99名、平均62.5歳、カナダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油4 g/日をグラフト形成術後7日目から12ヶ月間摂取させたところ、グラフト閉鎖率や収縮期血圧の低下などが認められたが、グラフト開存維持率に影響は認められなかった (PMID:22550196)

<血圧、血流>
メタ分析

・2012年2月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験16報について検討したメタ分析において、魚油の摂取は血流依存性血管拡張反応 (FMD) の増加と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きく、二重盲検無作為化プラセボ比較試験 (12報) のみの解析では関連が認められなかった (PMID:23029372)
・2011年1月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験およびクロスオーバー試験17報について検討したメタ分析において、8週間以上の魚油サプリメント摂取は、高血圧患者 (8報) では収縮期・拡張期血圧の低下と関連が認められ、正常血圧の成人 (9報) では血圧への影響は認められなかった (PMID:22345681)
RCT
・薬物治療を受けていない高血圧患者78名 (20〜56歳、試験群38名、ノルウェー) を対象とした無作為化比較試験において、4 g/日の魚油 (EPAおよびDHAで85%含有) を16週間摂取させたところ、血清トリグリセリド、VLDLおよび最高血圧、平均動脈圧を低下させ、HDLを上昇させた (PMID:7486485)
・原発性または二次性レイノー症状のある32名 (平均47.4歳、アメリカ) を対象とした無作為化比較試験において、魚油12 g/日 (EPA 3.96 g、DHA 2.64 g含有) を12週間摂取させたところ、原発性レイノー症の患者において寒さへの耐性が高まり、血管痙攣の発現を遅らせたという予備的な報告がある (PMID:2536517)
・過体重で高血圧の患者43名 (試験群23名、平均41.7±3.4歳、中国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油3 g/日 (EPA 540 mg、DHA 360 mg含有) を8週間摂取させたところ大動脈の弾力性が増加したが、血圧や脈圧には変化が認められなかった (PMID:17805229)
・妊娠30週の妊婦180名 (試験群108名、平均29.9±4.6歳、デンマーク) を対象とした無作為化比較試験において、魚油カプセル (n-3系長鎖不飽和脂肪酸2.7 g/日含有) を出産時まで摂取させたところ、その子どもの19歳時における血圧、心拍数、心拍変動に影響は認められなかった (PMID:22313729)
・正常血圧の成人38名 (試験群19名、平均24±2歳、アメリカ) または血圧が高めの成人29名 (試験群15名、平均23±1歳) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油9 g/日 (EPA 1.6 g、DHA 1.1 g含有) を8週間摂取させたところ、いずれの試験群においても安静時平均動脈圧、筋交感神経活動、心拍に影響は認められなかった (PMID:22707560)
その他
・肥満、高血圧、異常脂質血症かつ糖尿病でタンパク尿の患者19名 (平均56.7歳、イスラエル) を対象とした臨床試験において、魚油5 g×3/日 (1 g中EPA 180 mg、DHA 120 mg含有) を13日間摂取させたところ、摂取前と比較して血圧およびトリグリセリドが低下し、非糖尿病患者では血小板沈着を改善したという予備的な報告がある (PMID:10509862)

<呼吸器>
一般情報

・魚油の摂取は成人における喘息の改善は認められないが、小児の喘息ではピークフローを改善し、薬の使用と咳を減少させる可能性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・1986年から2001年を対象に検索できた、無作為化比較試験9報について検討したシステマティックレビューにおいて、魚油の摂取は喘息患者を対象とした解析結果に一貫性が見られなかったが、小児を対象とした1報では、魚油サプリメントを組み合わせた食事療法でピークフローの改善と薬の使用の減少が見られた (PMID:12137622)
RCT
・新生児616名 (オーストラリア) を対象とした無作為化比較試験において、1日にマグロ魚油500 mg (n-3系脂肪酸184 mg含有) を6ヶ月から3歳まで摂取させたところ、アトピー性の咳の発症率が減少した (PMID:15480319)
・妊婦528名 (試験群263名、デンマーク) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、妊娠30週から出産時までの間、魚油 (n-3系高度不飽和脂肪酸) 2.7 g/日を摂取させたところ、オリーブ油を摂取した群と比較して16年後の子どもの喘息発症リスクが低下した (PMID:18614738)
その他
・44〜79歳のアメリカ人男性医療従事者38,378名を対象とした疫学調査 (追跡期間10年) において、α-リノレン酸の摂取が多いと肺炎のリスクが低いが、魚油および長鎖n-3系脂肪酸の摂取量の増加による肺炎リスク低減は明確には認められなかった (PMID:16155282)
・乳児554名 (オーストラリア) にDHAを含む魚油を1日500 mg、6ヶ月間経口摂取させた研究において、18ヶ月間の喘鳴を予防することを示唆した (PMID:12532113) 。一方、4週間 (平均65.2±8.4歳、日本) 摂取しても喘息に対する効果がみられなかった (PMID:7791267)


消化系・肝臓

<消化器>
メタ分析

・2008年7月までを対象に6つのデータベースで検索できた無作為化比較試験9報について検討したシステマティック・レビューおよびメタ分析において、魚油もしくはn-3系不飽和脂肪酸の6ヶ月以上の摂取は、クローン病の再発リスクをわずかに減少させたが試験の質にばらつきが大きく、潰瘍性大腸炎の再発リスクには影響を与えず、下痢や上部消化管症状の有害事象リスクが認められた (PMID:20564531)
RCT
・非潰瘍性消化不良の患者199名 (平均47歳、スイス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、4,500 mg/日の魚油 (n-3系脂肪酸33.5%含有) とパントプラゾール、クラリスロマイシンを7日間併用し、平均16ヶ月追跡調査したところ、症状の改善およびヘリコバクターピロリの除菌に効果は認められなかった (PMID:11380323)
その他
・DHA・EPAを含む魚油の経口摂取が潰瘍性大腸炎に対して有効性を示唆した (PMID:1553930) (PMID:1312317)

糖尿病・
内分泌

一般情報
・II型糖尿病患者に魚油を摂取させても、空腹時血糖値およびヘモグロビンA1cに対する効果を示さないが、トリグリセリド濃度の低下などの他の効果は期待出来る (94) 。
メタ分析
・2013年5月までを対象に3つのデータベースで検索できた前向きコホート研究11報について検討したメタ分析において、油の多い魚の摂取量 (4報) が多いとII型糖尿病のリスク低減と関連が認められたが、魚介類全般の摂取量 (10報) やn-3系不飽和脂肪酸の摂取量 (6報) との関連は認められなかった (PMID:24089611)
・2011年6月までを対象に4つのデータベースを元に検索できたコホート研究16報について検討したメタ分析において、魚や魚介類の摂取や、EPA+DHAの摂取、α-リノレン酸の摂取はII型糖尿病の発症リスクと関連が認められなかったが、試験によるばらつきが大きく、さらなる検討が必要 (PMID:22591895)
RCT
・試験開始時に糖代謝異常、空腹時血糖異常またはII型糖尿病と診断された男女33名 (試験群16名、平均61.8歳、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、食事療法とともに魚油6 g (n-3系不飽和脂肪酸3.9 g) /日を9ヶ月間摂取させたところ、高インスリン・アミノ酸・グルコースクランプ試験におけるたんぱく質処理増加が認められたが、空腹時のたんぱく質代謝および糖代謝への影響は認められなかった (PMID:26537735)

生殖・泌尿器

<生殖>
RCT

・月経困難症の少女37名 (15〜18歳、試験群18名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化クロスオーバー試験において、魚油 (1日あたりEPA 1,080 mg、DHA 720 mg、ビタミンE 1.5 mg含有) を2ヶ月摂取させたところ、症状の改善 (Cox Menstrual Symptom Scale) が見られた (PMID:8623866)
・月経困難症の16〜68歳の女性78名 (デンマーク) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、魚油 (EPA 0.97 g、DHA 0.65 g含有) 2.5 g/日とビタミンB12 7.5 g/日の一方または両方を摂取させたところ、魚油単独摂取群では日常生活支障を、併用群では痛みと日常生活での支障を軽減した (104) 。

<腎臓>
RCT

・3ヶ月以上前からシクロスポリン処置を受けている肝臓移植患者26名 (試験群13名、平均44.8±9歳、スペイン) を対象とした無作為化比較試験において、魚油 (EPA 2.16 g、DHA 1.44 g含有) を12 g/日、2ヶ月間摂取させたところ、摂取前と比較して有効腎血漿流量、糸球体ろ過量が増加し、算出総腎血管抵抗および尿中トロンボキサンB2が減少し、シクロスポリンによる腎機能障害を抑制したという予備的な報告がある (PMID:7489976)
・IgA腎症患者 (73〜75名、アメリカ) を対象としたオープンラベル無作為化比較試験において、魚油を4〜8 g/日2年間摂取させたところ、血清クレアチニン値の上昇を抑制し、腎機能喪失を遅らせる可能性がある (PMID:10446945) (PMID:11274240)
その他
・門脈の高血圧を伴い、腹水のある肝硬変患者17名と健常者6名 (スペイン) を対象とした比較試験において12 g/日の魚油を1ヵ月摂取したところ、腎機能が正常な患者では糸球体ろ過率および尿流量が増加したが、GFR (糸球体ろ過量;通常120 mL/分程度) が60 mL/分未満の患者では変化が見られず、肝硬変患者の腎機能障害には効果がないという予備的な報告がある (PMID:9021940)

脳・神経・
感覚器

<脳・神経>
一般情報

・食事からの魚の摂取が少ないとうつ病と自殺のリスクが高い (PMID:11343534) および魚の摂取量が多いと大うつ病の有病率が低い (PMID:9643729) という相関関係があるという疫学的な調査結果がある (94) 。
メタ分析
・2009年12月までを対象に7つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験7報について検討したメタ分析において、EPA、DHA、魚油の4週間以上の摂取は、周産期のうつ症状に影響を与えなかった (PMID:21078211)
RCT
・双極性障害の患者45名 (試験群30名、平均40〜45歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油2 g×2回/日を4ヶ月、単独またはシチジン1 g×2回/日と併用させたところ、躁うつ症状に影響は認められなかった (PMID:22926607)
・軽度〜中程度のうつ病の高齢者66名 (試験群33名、平均79.64±7.39歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油1 g/日を6ヶ月間摂取させたところ、老年期うつ病評価尺度 (GDS-15) のスコアが改善した (PMID:21318452)
・アルツハイマー病の患者174名 (試験群89名、平均72.6 ± 9.0歳、スウェーデン) を対象とした、二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油カプセル (EPA 600 mg、DHA 1720 mg含有) またはプラセボ (リノール酸2.4 g含有) を6ヶ月間摂取させたところ、認知能 (ミニメンタルステート検査、臨床痴呆評価尺度) の低下には差がなかった (PMID:17030655)
・Conners ADHD Indexが2以上のオーストラリア人注意欠陥過活動性障害 (ADHD) 児童患者 (7〜12歳) 104名を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、多価不飽和脂肪酸 (魚油400 mgおよび月見草油100 mg含有) または多価不飽和脂肪酸とマルチビタミン・ミネラルを15週間摂取させたところ、主なADHD症状 (不注意、多動・衝動、the Conners Parent Rating Scale) が改善した (PMID:17435458)
・破壊的行動障害の小児21名 (平均10.3±2.2歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、魚油4 g/日 (EPA 400 mg/日、DHA 2,000 mg/日含有) を6週間摂取させたところ、多動性の1項目 (SDQ Hyperactivity) のみ改善が認められたが、その他の攻撃性 (Children's Aggression Scale、Modified Overt Aggression Scale) 、情動や行動 (Strengths and Difficulties Questionnaire、ADHD Rating Scale、Family Assessment Device) 、認識機能 (Stop Signal Task、Trail-Making Task、Eriksen Flanker Task) に影響は認められなかった (PMID:24689967)
・健康な成人67名 (平均24±1歳、試験群34名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油9 g/日を8週間摂取させたところ、精神ストレス負荷時のストレス評価7項目中3項目 (心拍、総筋交感神経活動、下腿血流コンダクタンス) で改善が認められたが、4項目 (血圧、筋交感神経のバースト頻度および反応性、上腕血流コンダクタンス) に影響は認められなかった (PMID:23408034)
・妊婦143名 (19〜35歳、試験群82名、ノルウェー) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、妊娠18週から出産後3ヶ月まで、タラ肝油10 mL/日を摂取させたところ、子どもが7歳になった時の知能検査結果 (k-ABC心理・教育アセスメントバッテリー) には影響を与えなかった (PMID:18676533)
・妊婦154名 (18〜40歳、試験群109名、ドイツ、スペイン、ハンガリー) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、妊娠20週から出産時まで、魚油 (DHA 500 mg/日、EPA 150 mg/日) 、5-メチルテトラヒドロ葉酸400μg/日を単独または併用摂取させ、魚油摂取群の子どもには6ヶ月齢までDHA 0.5%、アラキドン酸0.4%含有ミルクを与えたところ、子どもの6.5歳時における認知機能 (K-ABC) に影響は認められなかった (PMID:21849596)
・健康な乳児287名 (試験群138名、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、DHA高含有魚油 (DHA 250〜280 mg/日、EPA 60〜110 mg/日) を出生時から6ヶ月齢まで摂取させたところ、12ヶ月齢および18ヶ月齢時における言語発達評価 (MCDI) の6項目中2項目でのみ向上が認められたがその他の項目や、神経発達評価 (BSID-III) 、情緒・行動評価 (CBCL) に影響は認められなかった (PMID:22348468)
・子ども408名 (試験群206名、平均8.60±2.18歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油カプセル (DHA+EPA 750 mg/日、γ-リノレン酸60 mg/日含有) を40週間 (登校日のみ) 摂取させたところ、人物描画テスト結果が向上したが、読み、スペリングテスト結果に影響は認められなかった (PMID:23756346)
・健康な若年成人140名 (18〜35歳、試験群92名、イギリス) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、DHA 450 mg/日+EPA 90 mg/日またはDHA 200 mg/日+EPA 300 mg/日含有の魚油1 g/日を12週間摂取させたところ、認知機能に与える影響はごくわずかであり、気分への影響は認められなかった (PMID:21864417)
・健康な若年成人64名 (18〜29歳、試験群44名、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油1 g/日または2 g/日を12週間摂取させたところ、認識作業中の前頭前皮質の血流量増加が認められたが、認識能力にはごくわずかな影響しか与えなかった (PMID:22020134)
・健康な高齢男性45名 (平均67.1±3.4歳、試験群30名、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、オキアミ油 (リン脂質としてのn-3系脂質を含む) またはイワシ油 (トリグリセリドとしてのn-3系脂質を含む) を0.25 g×4個×2回/日、12週間摂取させたところ、オキアミ油摂取群においてのみ、記憶テスト中の脳波における事象関連電位P300潜時の短縮が認められたが、P300振幅に影響は認められず、イワシ油摂取群においてはいずれも影響は認められなかった (PMID:24098072)

<感覚器>
RCT

・ドライアイ患者535名 (試験群349名、平均58.3±13.5歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンE 3 mgとともに、魚油由来n-3系脂肪酸3,000 mg (EPA 2,000 mg+DHA 1,000 mg含有) /日を12ヶ月間摂取させたところ、ドライアイの自覚症状 (Ocular Surface Disease Index) 、目の不快感および痛み (Brief Ocular Discomfort Index) 、健康関連QOL (SF-36) 、ドライアイ診断指標 (角膜および結膜染色スコア、涙液層破壊時間、シルマーテスト) に影響は認められなかった (PMID:29652551)
・加齢黄斑変性の親を持つが自身は症状を発症していない成人120名 (試験群60名、平均57.6±6.5歳、フランス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ルテイン5 mg+ゼアキサンチン1 mg+魚油33 mg+ビタミンC 90 mg+ビタミンE 15 mgを含むサプリメントを2回/日、6カ月間摂取させたところ、偏心度0.98°における黄斑色素光学密度に影響は認められなかった (PMID:28973076)
・ドライアイの患者121名 (試験群58名、平均60±11.75歳、フランス、イタリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、n-3およびn-6不飽和脂肪酸カプセル (魚油855 mg/日、ボリジ油15 mg/日、ビタミンC60 mg/日、ビタミンE10 mg/日、ビタミンB6 2 mg/日、ビタミンB12 0.99 mg/日、硫酸亜鉛10 mg/日含有) を3ヶ月間摂取させたところ、結膜上皮の炎症マーカー (HLA-DR) の低下が認められたが、主観的・客観的症状スコアに影響は認められなかった (PMID:21834921)
・5〜12歳の失読症 (失読症には行動不全を合併することが多い) の児童15名 (イギリス) にマグロ油、月見草油、タイム油およびビタミンEの混合物 (DHA 480 mg、アラキドン酸35 mg、γ-リノレン酸96 mg、ビタミンE 24 mg含有) を4ヶ月摂取させたところ、運動能が改善したという予備的な報告がある。また、失読症の若年成人5名にDHA高含有魚油 (DHAとして480 mg/日) を1ヶ月摂取させたところ、暗順応が改善されたという予備的な報告もある (PMID:10617990)
・妊娠18〜21週の妊婦185名 (試験群91名、平均29.5±5.5歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、 魚油カプセル0.5 g×3回/日 (DHA 800 mg/日、EPA 100 mg/日含有) を出産まで摂取させたところ、子どもの4ヶ月齢時における視覚機能 (VEP) に影響は認められなかった (PMID:21490140)
その他
・49歳以上の3654名 (オーストラリア) を対象とした疫学調査において、週2回以上魚を摂取する人では、初期の加齢性黄斑変性症の発症率が低くなる傾向があるという予備的な報告がある (PMID:10721964)
・健常女性32,470名 (45〜84歳、アメリカ) を対象とした調査解析において、食事からのn-3系脂肪酸、特にマグロの摂取が多い人程ドライアイになりにくいという予備的な報告がある (PMID:16210721)

免疫・がん・
炎症

<免疫>
一般情報

・リウマチ患者に魚油単独もしくは非ステロイド性抗炎症薬ナプロキセンとの併用投与により、朝のこわばりの時間が短縮すると考えられる (94) 。また、魚油を併用することで、非ステロイド性抗炎症薬の投与量を減量することも可能であると考えられる (94) 。
RCT
・関節リウマチ患者59名 (試験群49名、平均58歳、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、タラ肝油10 g/日 (n-3系脂肪酸2.2 g含有) を9ヶ月間摂取させたところ、非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) の投与量を減量することができた (PMID:18362100)
・子どもが遺伝的にアレルギーになりやすいと考えられる妊婦706名 (試験群368名、平均29.6±5.7歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、妊娠21週から出産時まで、魚油カプセル (n-3系不飽和脂肪酸900 mg/日含有) を摂取させたところ、子どもの1歳時における卵アレルギー発症率の低下が認められたが、他の免疫グロブリンE関連のアレルギー疾患 (アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど) の発症率に影響は認められず (PMID:22294737) 、3歳時までにおいてはいずれの免疫グロブリンE関連のアレルギー疾患リスクにも影響を与えなかった (PMID:24111502)
・遺伝的にアトピーになりやすいと考えられる乳児420名 (試験群218名、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油サプリメント (DHA 280 mg/日、EPA 110 mg/日含有) を産まれてから6ヶ月齢まで摂取させたところ、6ヶ月齢時および12ヶ月齢時 (323名、試験群156名) の喘息、食物アレルギー、皮膚炎、アレルギー感作の発症率に影響は認められなかった (PMID:22945403)
・リウマチ患者150名 (アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、ボリジ種子油カプセル (γ-リノレン酸1.8 g含有) +ヒマワリ油カプセル (52名、平均60.3±9.2歳) 、魚油カプセル (EPA 2.1 g+DHA 1.4 g含有) +ヒマワリ油カプセル (53名、平均57.3±12.3歳) 、ボリジ油カプセル+魚油カプセル (45名、平均60.5±13.0歳) を18ヶ月間摂取させたところ、いずれの群においても、摂取前と比較してリウマチの臨床指標 (DAS、CDAI) のスコアの低下が認められたが、群間差は認められず、抗リウマチ薬の使用率に影響は認められなかった (PMID:24803948)

<がん>
RCT

・結腸のポリープまたは粘膜内がんの既往歴のある成人98名 (平均61.4歳、試験群50名、カナダ) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、葉酸1 mg、魚油2 g、カルシウム500 mgを1日3回、28日間併用摂取させたところ、大腸炎症マーカー (便中calprotectin、血漿中C反応性蛋白) に影響は認められなかった (PMID:16136044)
・進行がん患者60名 (試験群30名、平均63.0±9.1歳、カナダ) を対象とした単盲検無作為化比較試験において、1日平均9.8 gの魚油 (EPA 17.8%、DHA 12.8%等含有) を14日間摂取させたが、除脂肪体重、三頭筋皮下脂肪、上腕外周に変化はみられなかった (PMID:12506181)
その他
・50〜74歳の閉経後スウェーデン人女性3,597名 (試験群709名) を対象とした症例対照研究において、魚油を多く含む魚の摂取が多いほど子宮内膜がん患者が少なかった (PMID:11815413)
・大規模なコホート研究において、魚油を多く含む魚の摂取量が高いと前立腺ガンのリスクが低下した (PMID:11403817)
・男性医師20,167名 (アメリカ) を対象とした前向きコホート研究において、平均19年の追跡調査をしたところ、魚の摂取と前立腺がんの発症率には相関が認められなかった (PMID:18996866)
・体重減少の著しい治療不可能な悪性腫瘍患者43名 (42〜84歳、アメリカ) を対象とした臨床試験において、魚油 (n-3系脂肪酸77.3%;EPA 42.7%、DHA 25.5%) を0.15 g/kg/日、平均1.2ヶ月摂取させたところ、体重の減少が緩やかになったという予備的な報告 (PMID:15241836)
・切除不能な膵臓腺がん患者20名 (イギリス) を対象とした臨床試験において、魚油高含有サプリメント (620 kcal、EPA 2.18 g、DHA 0.96 g含有) を3週間摂取させたところ、3〜7週目で体重が増加、体重あたり安静時エネルギー消費量および除脂肪体重が減少し、3週目ではがん患者の状態を表す指標および食欲が改善したという予備的な報告 (PMID:10487616)
・魚油の抗うつ効果が悪液質に有効であるという説がある (PMID:15578655)

<炎症>
一般情報

・急性および慢性の乾癬に対してn-3系脂肪酸の静脈内投与で重症度の軽減がみられるが、経口投与では効果を示さないという報告があり (94) 、個々の情報は下記のようになっている。
メタ分析
・2011年11月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験7報について検討したメタ分析において、慢性心不全患者による魚油摂取は、血中のTNF-α (6報) 、IL-1 (2報) 、IL-6 (5報) 濃度低下と関連が認められたが、高感度C反応性蛋白 (4報) 、sICAM-1 (2報) 、sVCAM-1 (2報) 濃度と関連は認められなかった (PMID:22994912)
RCT
・体表面の8%以上を占める慢性斑状乾癬の患者145名を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、魚油 (EPA 51%、DHA 32%含有) を6 g/日、4ヶ月摂取させたが、症状の改善は認められなかった (PMID:8502270)
・慢性安定斑状乾癬の患者32名を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、魚油 (EPA 1.8 g含有) を10 g/日、12週間摂取させたところ、そう痒、紅斑、落屑が改善したという予備的な報告がある (PMID:2893189)
・透析を受けていない慢性腎臓病患者31名 (試験群17名、平均64.1±9.5歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油2.4 g/日 (EPA 1,400 mg + DHA 1,000 mg 含有) を8週間摂取させたところ、血中のIL-1β濃度の増加抑制が認められたが、IL-6、TNF-α濃度に影響は認められなかった (PMID:22285316)
その他
・乾癬患者19人 (日本) に、DHA 0.1 gを含む魚油カプセルを1回2〜3カプセル、1日3回 (DHAとして0.6〜0.9 g/日) 12週間投与したところ、症状の軽減が見られた (102) 。
・DHAを含む魚油の経口摂取がアトピー性皮膚炎に対して有効性を示唆した (103)。また、アトピーの妊婦 (オーストラリア) がn-3系多価不飽和脂肪酸3.7 g (EPA 27.7%、DHA 56.0%) を含む魚油を20週間摂取することにより、子供のアトピー性皮膚炎の重症度が軽減された (PMID:14657879)

骨・筋肉

メタ分析
・1861年から2003年6月までを対象に、6種のデータベースで検索できた無作為化比較試験4報について検討した質的分析において、n-3系脂肪酸の骨密度に対する影響は一定しない (PMID:15133890)
RCT
・骨粗鬆症または骨減少症と診断された高齢女性60名 (平均79.5歳、試験群29名、南アフリカ) を対象とした無作為化比較試験において、1日600 mgのカルシウムと月見草油と魚油の混合物 (リノール酸60%、γ-リノレン酸8%、EPA 4%、DHA 3%含有) を6 g/日、18ヶ月摂取させたところ、大腿骨の骨ミネラル濃度の低下を抑制したという予備的な報告がある (PMID:9932142)
・やや過体重の男児78名 (試験群38名、平均14.3±0.7歳、デンマーク) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、高DHA含有魚油入りパン (n-3系多価不飽和脂肪酸1.1 g/日含有) を16週間摂取させたところ、骨密度や骨形成に影響は認められなかった (PMID:22337227)
・間欠性跛行の患者32名 (試験群16名、平均65.5±10.4歳、オランダ) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、魚油 (EPA 1.8 g、DHA 1.2 g含有) を6 g/日、4ヶ月摂取させたところ、歩行距離に変化は見られなかった (PMID:2240382)
・22名 (アメリカ) を対象とした無作為化比較試験において、魚油 (n-3系脂肪酸として1.8 g/日) 、30日間摂取し運動したところ、筋肉痛および上腕周囲などに対する効果は認められなかった (PMID:12370562)

発育・成長

RCT
・協調運動発達障害の児童117名 (5〜12歳、試験群60名、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、魚油 (80%) と月見草油 (20%) のサプリメント (1日あたりEPA 558 mg、DHA 174 mg、α-リノレン酸60 mg、ビタミンE 9.6 mg含有) を3ヶ月摂取させたところ、運動能には効果が見られなかったが、読み書きおよび注意欠陥過活動性障害 (ADHD) の指標であるCTRS-Lを改善した (PMID:15867048)
・授乳婦122名 (試験群62名、平均29.6±4.3歳、デンマーク) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油4.5 g/日 (n-3系不飽和脂肪酸1.5 g/日含有) を出産後から4ヶ月間摂取させたところ、子どもの4ヶ月齢時における視覚機能 (PMID:15233397) 、9ヶ月齢時における問題解決能力 (PMID:16188206)、7歳時における認知機能 (PMID:21512889) 、13歳時における第二次性徴の進行 (PMID:28065179) に影響は認められなかったが、男児において1〜2歳時での言語能力の低下 (PMID:16188206) 、7歳時での身体活動レベルの低下、拡張期および平均血圧の上昇 (PMID:19091800) 、組織的行動評価の低下 (PMID:21512889) 、13歳時における拡張期血圧、平均血圧の上昇がみられ、男女ともに13歳時の身長が低かった (PMID:28065179)

肥満

RCT
・3ヶ月以上高血圧治療を受けている、過体重で非喫煙男性および閉経後女性63名 (40〜70歳、オーストラリア) を対象とした無作為化比較試験において、カロリー制限食と食事からの魚の摂取のいずれかまたは両方を16週間継続したところ、魚摂取群では血清トリグリセリド値の低下が、カロリー制限食との併用では空腹時インスリン値およびトリグリセリド値の低下、HDL2コレステロールの上昇が見られた (PMID:10539741)
・BMIが25 kg/m2以上かつ心血管疾患リスクファクターが1つ以上ある25〜65歳男女65名 (オーストラリア) を対象とした無作為化比較試験において、魚油 (EPA 360 mg、DHA 1,560 mg含有) を6 g/日、12週間摂取させたところ、トリグリセリドを減少、HDLコレステロールを上昇させ、週3回の45分の走行または歩行と併用することで脂肪の減少が見られるという予備的な報告がある (PMID:17490962)
・妊婦533名 (試験群266名、平均29.4±4.4歳、デンマーク) を対象とした無作為化比較試験において、妊娠30週から出産まで、魚油カプセル4 g/日 (n-3系不飽和脂肪酸2.7 g/日含有) を摂取させたところ、子どもの19歳時におけるBMI、腹囲、血中のインスリン、糖、HbA1c、HOMA-IR、レプチン、アディポネクチン、インスリン様成長因子 (IGF-I) 、高感度C反応性蛋白に影響は認められなかった (PMID:21775563)
・乳児133名 (試験群61名、デンマーク) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油5 mL/日を9〜18ヶ月齢の間摂取させたところ、皮下脂肪厚比 (上腕三頭筋部/肩甲骨下角部) の低下が認められたが、体重、身長、BMI、頭囲などの体格のZスコアや血中アディポカイン濃度に影響は認められなかった (PMID:21691253)
・過体重の成人50名 (試験群25名、平均58.0±7.4歳、デンマーク) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油カプセル2 g/日 (n-3系不飽和脂肪酸1.1 g/日含有) を6週間摂取させたところ、血清アディポネクチン濃度が増加したが、その影響は小さく、IL-6、高感度C反応性蛋白、TNF-αなどの炎症マーカーに影響は認められなかった (PMID:22260859)
・体重減少プログラムに参加している肥満成人33名 (試験群15名、平均39.94±11.70歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油1 g×6/日 (DHA1.62 g/日+EPA0.42 g/日含有) を12週間摂取させたところ、体重、体脂肪、BMI、腹囲、血中脂質、炎症マーカーの変化にプラセボ群との違いは認められなかった (PMID:23697585)

その他

一般情報
・慢性疲労症候群に対して、EPAを含む魚油の摂取で有効性が検討されているが、結果は明確になっていない (PMID:2270749) (PMID:10071170)
RCT
・慢性的な乳房痛がある閉経前女性120名 (平均37.6歳、オランダ) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、魚油 (EPA 37.6%、DHA 23.8%、ビタミンE 1 mg含有) を3 g/日、6ヶ月摂取したところ、乳房痛には効果が見られなかった (94) (PMID:12439536)
・閉経後女性126名 (試験群85名、平均75±6歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、魚油カプセル2個/日 (EPA+DHA 1.2 g含有) を6ヶ月間摂取させたところ、歩行速度が上昇したが、握力、立ち上がり運動、血中炎症マーカー (IL-6、TNF-α、高感受性CRP) に影響は認められなかった (PMID:23299384)





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・通常食品に含まれる量を摂取する場合、おそらく安全である (94) 。
・一般に3〜4 g/日以下であれば耐容性が高い (94) 。
・大量摂取で危険性が示唆されている (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<その他>
・魚油サプリメントは魚臭がし、げっぷ、口臭、胸焼け、消化不良、悪心、軟便、発疹を起こすことがある (94) 。
・3 g/日を超える用量を摂取した場合、血液凝集能が低下し、出血のリスクを増大することや出血性脳卒中のリスクを上昇することがある(94) 。
・3 g/日以上の魚油を摂取すると、免疫能に悪影響を及ぼす。魚油はT細胞およびB細胞機能を抑制し、サイトカインの産生を減少すると考えられるが、このことは高齢者やHIVウィルス感染者に有害である (94) 。
・3〜9 g/日の魚油を摂取すると、LDLコレステロール値が上昇する可能性があるため、魚油を摂取している人はLDLコレステロールをモニターする必要がある (94) 。
・n-3系脂肪酸のような多価不飽和脂肪酸がLDL (低密度リポタンパク質) の酸化を促進するという懸念が以前あったが、魚油がLDLコレステロールに悪影響を及ぼしたりアテローム性動脈硬化症の発症原因とはならないと考えられる (94) 。
・魚油摂取により、チオバルビツール酸反応性物質 (TBARS) が上昇するが、現在ではTBARSが正確にLDLの酸化を反映するとは考えられていない。F2-イソプロスタンおよびマロンジアルデヒドのような、過酸化脂質反応の特異的な指標は、魚油がLDLに悪影響を及ぼしたり、アテローム性動脈硬化症のリスクがある可能性が低いと考えられている (PMID:10966889)
・魚油サプリメントは、アテローム硬化性プラークの形成に役割を担うとも考えられている血小板由来増殖因子または形質転換増殖因子βのような増殖因子の血清濃度に影響しない (PMID:11002380)
・魚油製品によっては高用量のビタミンAおよびDを含むため、長期または大量に摂取するとビタミンAおよびDによる毒性のリスクがある (94) 。
・n-3系脂肪酸、特にDHAの血清中濃度が上昇すると、萎縮性胃炎のリスクが上昇するという予備的な報告がある (PMID:11165751)

・魚介類を摂取した場合では、魚肉中に含まれるヒスタミンによるアレルギーが考えられるが、ヒスタミンは水溶性であるため、精製魚油には含まれない。また、魚の脂質 (粗油) には海洋汚染物質であるダイオキシンやPCB、有害物質であるメチル水銀等の脂溶性物質が含まれているが、魚油の生成段階で除去される (101) 。
・原材料の魚が汚染された海で捕獲されたものであると、魚油が毒素や農薬によって汚染されている懸念があり、重金属、特に水銀は深刻な影響があるとみられているが、魚油サプリメントは一般的に安全であると思われる (94) 。水銀は魚油より魚肉に蓄積し、魚油サプリメントからは検出されないと考えられる (94) 。
・魚が汚染された水系で捕獲されたり養殖魚であると、ポリ塩化ビニル (PCB) で汚染されている可能性がある。特に淡水魚は高濃度のPCBを含む可能性が高い (94) 。しかし、魚油サプリメントの臭気を取り除く過程でPCPやその他汚染物質の濃度は低下すると考えられる (94) 。
・市販の魚油5製品についてPCBおよび有機塩素系殺虫剤、水銀を測定した結果、いずれの製品についても検出されなかった (PMID:15628911) (PMID:14632570)
・魚油はカロリー摂取の一因となるので、長期間摂取すれば体重増加の原因となる (94) 。
<被害事例>
・アレルギー性鼻炎および喘息の既往歴があり、カニアレルギーの45歳女性 (カナダ) が魚油カプセルを摂取したところ (摂取量不明) 、30分後に舌、喉、顔面の腫脹および呼吸困難などのアナフィラキシー症状が生じて医療機関を受診。加療後も喘鳴および舌の腫脹、球感覚 (のどに瘤や塊があるような感覚) が3回再発し、9日後に回復した (PMID:22798474)
・高血圧、冠動脈疾患、糖尿病、脂質異常症、胃食道逆流症、閉塞性睡眠時無呼吸症の既往歴があり、アスピリン (抗血小板薬) 、クロピドグレル (抗血小板薬) 、クロナゼパム、ゲムフィブロジル、メトプロロール、バルサルタン、ロスバスタチン、ラニチジン、ナイアシンを服用中で、夜間に持続的気道陽圧装置の鼻マスクをつけて就寝している63歳男性 (アメリカ) が、2ヶ月前からビタミンE 1,000 IU/日、魚油サプリメント (摂取量不明) の摂取を開始したところ、約1ヶ月後に左目、2ヶ月後に右目の眼窩周囲に斑状出血を起床時に生じた。ビタミンEと魚油サプリメントの摂取中止により改善したことから、アスピリン、クロピドグレルとの併用が原因と考えられた (PMID:23243409)
・大うつ病のためフルオキセチン服用中の男性 (55歳、アメリカ) が、EPA高含有魚油サプリメント2 g/日 (EPA 1,000 mg/日含有) を8年間摂取し症状が改善したため、フルオキセチン服用を中止、魚油サプリメントを継続したところ、6ヶ月後から不安、不眠、軽いパニック症状を生じ、ロラゼパムを処方されたが症状が持続したため、魚油サプリメント摂取を中止したところ、数日で症状が改善した。魚油サプリメントを2日間再摂取してみたところ、不安症状が再発し、摂取の中止で改善した (106) 。
・55歳男性 (インド) が、n-3系不飽和脂肪酸375 mgとオレイン酸150 mg含有サプリメントを3回/日、ニンニク10 mgとタイム50 mg含有サプリメントを2回/日、3ヶ月間摂取し、オフポンプ冠動脈バイパス術を受けたところ、術中および術後に過剰な出血とそれに伴う挫傷が認められた (PMID:27751305)
・慢性腰痛の手術歴、末梢神経障害の既往歴があり、疼痛緩和のためガバペンチンを服用中の74歳女性 (イギリス) が、魚油、魚由来n-3系不飽和脂肪酸、貝由来グルコサミン硫酸塩、イチョウのサプリメントを推奨量以上摂取していたところ、血中および尿中ヒ素濃度が上昇し、末梢神経障害が悪化した。すべてのサプリメントの使用中止により改善し、魚油、n-3系不飽和脂肪酸、グルコサミンサプリメントに含まれていたヒ素による中毒と診断された (PMID:23761379)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・冠動脈疾患、心房細動、認知症、高血圧でクエチアピン、ドクサートナトリウム、ドネペジル、レボチロキシン、メトプロロール、シンバスタチン、ワルファリンの服用とともに魚油サプリメントを摂取 (摂取量等の詳細不明) していた83歳男性 (アメリカ) が、自動車事故による鈍的頭部外傷のため救急搬送された。CT検査で脳内血腫が認められたが、INR (国際標準比) が高値を示しており、プロトロンビン複合体製剤とビタミンK投与でも改善しなかったため開頭処置ができず、搬送から3日後に死亡した。魚油サプリメント中のn-3系不飽和脂肪酸とワルファリンの相互作用による凝血障害と考えられた (PMID:28033135)
・3〜6 g/日の魚油の摂取はワルファリン使用患者におけるINR (国際標準比) に影響を与えなかったという予備的な報告がある (PMID:10767122)
・魚油 (n-3系不飽和脂肪酸として10 g/日) の摂取はアセチルサリチル酸 (100 mg) の作用に影響は見られなかった (PMID:12031825)
・魚油3±1.25 gの摂取はアスピリン (161±115 mg) 及びクロピドグレル (平均75 mg) との併用患者 (平均61±11歳) の出血傾向に影響を与えなかった (PMID:19801023)
<試験管内・動物>
・動物実験 (ラット) において、魚油 (n-3系不飽和脂肪酸43%以上含有) の摂取は肝臓におけるCYP2E1遺伝子およびタンパク質発現を誘導した (PMID:27442787)
<理論的に考えられる相互作用>
・高用量の魚油は抗血小板作用を有するため、抗凝固薬や抗血小板薬およびこれらの作用を有するハーブと併用すると出血のリスクが増大する可能性がある (94) 。
・魚油には血圧降下作用があり、降圧薬治療を受けている患者には相加作用を及ぼすことがあるため注意が必要である (94) 。
・避妊薬は魚油によるトリグリセリド低下作用を阻害する可能性がある (94) (105) 。
・末梢性肥満改善薬 (脂肪吸収阻害):消化管でリパーゼと結合し、脂肪の吸収を阻害するオーリスタット (orlistat) は、魚油と併用することで魚油の脂肪酸の吸収を阻害する (94) 。潜在的相互作用を避けるために、少なくとも2時間の間隔を空けること (94) 。
・ビタミンEの値を低下させる。機序は不明であるが、吸収の低下もしくは他の組織でのビタミンEの消費増加によると考えられる (94) 。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・通常食品に含まれる量を摂取する場合、おそらく安全である。3 g/日以上の大量摂取では危険性が示唆されている。
・妊娠中・授乳中は食事に含まれる量であればおそらく安全である。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・有効性が示唆されているのは血中脂質の改善、心血管疾患発症リスクの低減であり、それ以外に対する有効性については信頼出来る十分な情報がない。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
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