健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

画面を閉じる

項 目

内 容

名称

海藻 [英]Seaweed [学名]-

概要

コンブやワカメ、ヒジキなどに代表される海藻類は、「ミネラルの宝庫」といわれ、カルシウムリン亜鉛ヨードなどを多く含んでいる。健康食品の素材としては、海藻中の成分であるフコイダンアルギン酸海苔オリゴペプチド、多糖を加工した寒天などが注目され、利用されている。


●有効性
俗に、「便秘を解消する」「コレステロールを下げる」などと言われているが、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。


●安全性
通常の食品として摂取する場合、おそらく安全であるが、サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。



▼他の素材はこちら



法規・制度

■食薬区分
・海藻 海中の食用藻類:「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。
・コンブ (モエン) 全草:「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。

■食品添加物
・既存添加物
 海藻灰抽出物:製造用剤
 アルギン酸 (昆布類粘質物) :増粘安定剤
・一般飲食物添加物
 ノリ色素 (海苔色素) :着色料
 海藻セルロース:増粘安定剤
 褐藻抽出物 (褐藻粘質物) :増粘安定剤
・天然香料基原物質リスト
 海藻 (シーウィード) 、コンブが収載されている。

■特定保健用食品
・海藻由来の低分子化アルギン酸ナトリウムを関与成分とし「コレステロールが高めの方に適する」保健用途を表示できる特定保健用食品が許可されている。
・低分子アルギン酸ナトリウムおよび寒天由来の食物繊維を関与成分とし「おなかの調子を整える」保健用途を表示できる特定保健用食品が許可されている。
・フクロノリ抽出物(フノラン) を関与成分のひとつとし「歯を丈夫で健康に保つ」保健用途を表示できる特定保健用食品が許可されている。
・海苔オリゴペプチド(ノリペンタペプチド(AKYSY)として)を関与成分とし「血圧の高い方に適する」保健用途を表示できる特定保健用食品が許可されている。
・低分子化アルギン酸ナトリウムと水溶性コーンファイバーを関与成分とし「おなかの調子を整える」保健用途を表示できる特定保健用食品が許可されている。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・マンノース、ガラクトース、ステロール、ビタミン、ミネラルなどを含む (101) 。

分析法

・フコキサンチンは、ワカメなど褐藻類に特有のカロテノイドであり、フコキサンチンのHPLCによる分析例が報告されている(PMID:10227153)
・海藻に含まれる多糖類 (フコイダン・アルギン酸・ガラクタン・カラギーナンほか) の定量については、ポリマーを加水分解して生成した単糖をHPLCなどで測定する従来の方法は多くある。また、個別の分離・精製や構造決定の報告は一部あり、今後定量法を検討する上で参考になる(PMID:12526839) (PMID:11330683) (PMID:12062529) (PMID:11755912) (PMID:10075810) 。しかしながら、ポリマーそのものについて一般化された定量方法は現在のところないと考えられる。

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・低分子化アルギン酸ナトリウムを関与成分とし、「コレステロールが高めの方に適する」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。
・海苔オリゴペプチド(ノリペンタペプチド(AKYSY)として)を関与成分とし「血圧の高い方に適する」保健用途を表示できる特定保健用食品が許可されている。


消化系・肝臓

一般情報
・低分子アルギン酸ナトリウムおよび寒天由来の食物繊維を関与成分とし「おなかの調子を整える」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

RCT:海外
・中程度活動的な高齢者60名 (試験群28名、平均72.35±5.54歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、醗酵マコンブ (Laminaria japonica) 1.5 g/日を6週間摂取させたところ、神経心理学の指標6項目中4項目 (韓国版MMSE、数字記憶テスト、アイコニックメモリーテスト、レーヴン漸進的マトリックス) 、体力の指標2項目中1項目 (6分間歩行テスト) の改善、抗酸化マーカー (GPx、グルタチオン還元酵素、SOD) の上昇、酸化ストレスマーカー (TBARS、8-OHdG) の低下 、成長関連因子3項目中2項目 (IGF-1、BDNF) の上昇が認められた (PMID:30008787)

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

一般情報
・フクロノリ抽出物(フノラン)を関与成分のひとつとし、「歯を丈夫で健康に保つ」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。





試験管内・
動物他での
評価

-



安全性

危険情報

<一般>
・通常の食品として摂取する場合、おそらく安全であるが、サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。
<妊婦・授乳婦>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。

<被害事例:国内>
・2型糖尿病、C型肝炎・肝硬変、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症、腰部脊柱菅狭窄症、狭心症の既往歴があり、多数の薬剤とともに慢性甲状腺炎および甲状腺機能低下症のためレボチロキシン (甲状腺ホルモン製剤) を服用中の68歳男性 (日本) が、根昆布10 gで作った多量の昆布水 (ヨウ素約13,000μg含有) を2カ月間摂取したところ、全身倦怠感を訴え、それまで安定していた甲状腺ホルモンおよびサイログロブリン値の上昇、TSHの低下が認められ、ヨード誘発性甲状腺機能亢進症と診断された。レボチロキシン中止後も改善せず、昆布水の摂取中止と加療により改善した (2017288139) 。
・10歳女児 (日本) が、昆布おにぎり (推定ヨウ素摂取量1.2 mg/日) を毎日摂取していたところ (摂取期間不明) 、健康診断でLDL-C低値、頻脈を認め、甲状腺中毒症疑いで受診した。検査の結果、T3、T4上昇、TSH低下と甲状腺中毒症を認め、ヨウ素過剰摂取による無痛性甲状腺炎と診断されたが、昆布の摂取制限により改善した (2020028058) 。
・無痛性甲状腺炎、アレルギー性鼻炎、喘息の既往歴があり、モンテルカスト、モメタゾンを服用中の12歳女児 (日本) が、昆布菓子 (推定ヨウ素摂取量20 mg/日) を日常的に摂取していたところ (摂取期間不明) 、易疲労感、四肢の痛み、悪寒、食欲低下を生じ受診した。検査の結果、T4低下、TSH上昇を認め、ヨウ素過剰摂取による甲状腺機能低下症の可能性が疑われたが、昆布の摂取中止により改善した (2020028058) 。

<被害事例:海外>
・54歳女性 (アメリカ) が2年間以上継続して摂取していたケルプサプリメント中に、83.6 mg/kgのヒ素が含まれていたため、記憶障害、嘔吐、下痢、疲労などのヒ素中毒症状を呈した (PMID:17450231)
・甲状腺がんで放射性ヨウ素治療を受けている55歳男性 (アメリカ) が、複数のサプリメントを摂取し、体内ヨウ素濃度が高値を示して治療の妨げとなった。摂取していた製品の表示にヨウ素含有の記載はなかったが、セレンサプリメント中のケルプがヨウ素源となっていた (PMID:19164199)
・45歳女性 (イタリア) が、体重減少を目的にケルプ含有のダイエット食 (ヨウ素1,800μg/日含有) を10日間摂取したところ、甲状腺機能亢進症状を呈し、約2ヶ月後に甲状腺機能低下症状を呈した (PMID:25355748)
・2型糖尿病の既往歴がある40歳女性 (スリランカ) が、糖尿病治療のため、自家製の中国茶 (白米、香料、昆布含有) を3杯/日、2ヶ月間 (初めの1ヶ月はメトホルミン (糖尿病治療薬) と併用、残りの1ヶ月は単独) 摂取したところ、黄疸、掻痒を呈し受診。摂取中止により改善し、中国茶中の昆布による肝毒性と考えられた (PMID:26157821)
・乳がんによる乳房切除および化学療法を受けている41歳女性 (中国) が、海藻を主成分とした中国ハーブ製品 (ヨウ素362.4 mg/kg含有) を約2年の間に500 g以上摂取し、甲状腺腫瘍を生じた (PMID:24433506)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<動物・試験管内>
・動物実験 (ラット) において、Fucus vesiculosus 抽出物の摂取は、アミオダロン (不整脈治療薬:CYP3A4基質) の血中濃度 (Cmax、AUC) を低下させた (PMID:23178632)

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・通常の食品として摂取する場合、おそらく安全であるが、サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。
・特定保健用食品では、個別に製品ごとの安全性が評価されている。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・特定保健用食品は個別に製品ごとの有効性が評価されているが、その他、人での有効性については、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではない。

参考文献

(PMID:10227153) Biosci Biotechnol Biochem. 1999 63(3):605-7.
(PMID:12526839) Carbohydr Res. 2003 338(2):153-65.
(PMID:11330683) Biosci Biotechnol Biochem. 2001 65(3):654-7.
(PMID:12062529) Carbohydr Res. 2002 337(12):1137-44.
(PMID:11755912) Carbohydr Res. 2002 337(1):57-68.
(PMID:10075810) Anal Biochem. 1999 268(2):213-22.
(PMID:17450231) Environ Health Perspect. 2007;115(4):606-8.
(PMID:19164199) N Engl J Med. 2009 Jan 22;360(4):424-6.
(PMID:23178632) Food Chem Toxicol. 2013 Feb;52:121-8.
(PMID:25355748) BMJ Case Rep. 2014 Oct 29;2014.
(PMID:26157821) ACG Case Rep J. 2013 Oct 8;1(1):55-7.
(PMID:24433506) Curr Pharm Biotechnol. 2013;14(9):859-63.
(2017288139) 日本病態栄養学会誌. 2017;20(2):223-8.
(PMID:30008787) Evid Based Complement Alternat Med. 2018 Jun 12;2018:8109621.
(101) 食品大百科事典 (独)食品総合研究所編 朝倉書店
(2020028058) 日本甲状腺学会雑誌. 2019;10(2):119-124.

© National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition. All Rights Reserved.