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「酸素水」の効果に関する情報

カテゴリー:素材
更新日:2009/02/19

 最近、「酸素水」や「高濃度酸素水」と呼ばれる水が話題になっています。皆様から提供して頂きました情報を元に、調べられた範囲で酸素水に関する情報をまとめてみました。

 一般に水の中には酸素が溶解していますが、この溶存酸素濃度を高めたものが「酸素水」と呼ばれているようです。酸素は、0℃1気圧において49 mL/L (70 mg/L) の溶解度を持つ気体で、温度の上昇と共に水に溶ける量は減少し、同じ温度においては気圧に比例して水に溶ける量は増加します。従って低温で保存し、開栓後はできるだけ早く飲まないと酸素はどんどん抜けていくことになります。

 

新聞の画像酸素水は一般的に、「スポーツ時の酸素補給や酸素不足から来る疲れなどの体調不良の解消」、「頭がすっきりする」、「ダイエットによい」などと言われています。しかし、その効果を検証した論文は少なく、あったとしても、「酸素水」のそのような効果については否定的な内容となっています。以下は収集できた論文の簡単な紹介です。

 

 

運動能力に対する検討

文献1 [ (PMID:16541380) 、Int J Sports Med. 2006]

 平均年齢24±2.5歳の健常男性20名に180 mg/Lの酸素を含む水を1日1.5 L、2週間摂取させた二重盲検クロスオーバー試験において、自転車運動をした際の最大運動強度 (Wmax) 、心拍数、酸素摂取量 (VO2) 、二酸化炭素排出量 (VCO2) 、呼吸交換比 (RER) 、血中乳酸を測定。いずれの測定値にも酸素水摂取による有意な変化は見られなかった。著者らは精神状態が身体能力を支持するとコメントしている。

 

文献2 [ (PMID:16521851) 、 Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2005]

自転車に乗る人の画像 平均年齢26.6±5.2歳の男性9名 (運動選手ではなく、趣味で自転車を楽しむレベル) に酸素水を35 mL/kg/day (酸素含有量は不明) の用量で試験2時間前に500 mL摂取させ、高度4600 mL匹敵する低酸素下で自転車運動を行い、動脈血中酸素、二酸化炭素、血中乳酸、心拍数、オキシヘモグロビン飽和率、体重変化、尿比重を測定。その結果、いずれの測定項目にも群間で有意な変化はなし。著者らは低酸素下における運動能力に関して酸素水の摂取は影響しないと結論づけている。

 

文献3 [ (PMID:14612475) 、JAMA. 2003]

 平均年齢35±7歳の健常成人11名 (男性7名、女性4名) に22.6 mL/100 mLの酸素を含む水を運動試験の5分前に355 mL摂取させた二重盲検無作為化クロスオーバー試験において、サイクルエルゴメーターによる運動を負荷して最大運動能を測定。その結果、酸素水の影響はなし。5銘柄の酸素濃度の測定値は、ガラスボトルのものが最も高かった。著者らは、大気中の酸素が20.9%であり、通常の一回の呼吸 (500 mL) に100 mLの酸素が含まれるため、1回呼吸をすると酸素水1本 (12オンス=355 mL) より多くの酸素が摂取できることになる、とコメントしている。また、呼吸によってヘモグロビンはほぼ酸素で飽和していることを考えると、血漿中に少量の酸素が溶解しても、最大運動能に影響しないだろうと結論づけている。

 

体内組成等に対する影響の検討

文献4 [ (PMID:15896427) 、Clin Nutr. 2005]

 18~63歳のボランティア24名に10-15℃に冷やした190.6±5.0 mg/Lの酸素を含む水を1日3回食事前に500 mL、28日間摂取させた二重盲検無作為化試験で、通常の血液検査、肝臓酵素 (ALAT、ASAT、γ-GT) 、免疫能を測定。その結果、血液検査項目には変化なし。酸素水摂取グループでは14日目、21日目で血中アスコルビン酸ラジカルが摂取前に比較して有意に上昇 (ただし対象群との間に有意差なし) 。また、酸素水摂取グループでTh2細胞、IgG、NK細胞が減少し、Th1/Th2比が上昇。著者らは、酸素水を長期的に摂取することは概ね安全で、肝機能には影響しないこと、Th1/Th2比の上昇はアレルギーに関与している可能性があるが、この実験からは結論づけられないとコメントしている。

 

文献5 [(PMID:11953281) Eur J Med Res. 2002]

博士の画像 21~64歳のボランティア66名 (平均年齢43歳) に59.5±5.1 mg/Lの酸素を含む水 (対照飲料は6.4±2.0 mg/L含有) を300 mL摂取させ、経時的に採血。その結果、酸素水摂取で血中ラジカル濃度が有意に上昇したが、120分後には正常値に回復。また、酸素濃度が15, 30, 50, 70 mg/Lの酸素水を300 mL摂取し、30分後に採血をした結果、30~70 mg/Lでラジカル生成が増加。59.5±5.1 mg/Lの酸素水もしくは対照の水300 mLを1日3回21日間摂取し、最終日に酸素水を摂取30分後に採血をした結果、酸素水を21日間摂取した群では21日目における試験前のラジカル濃度は初日に比べて有意に上昇していたが、21日目の摂取前後の値には有意な変化なし。結論としては研究の規模およびデザインに限界があり、酸素水の効果を特定できないとコメントしている。

 

参考情報

動物実験ですが消化管からの酸素の吸収に関しては、以下のような論文があります。

文献6 [ (PMID:11726308) 、Eur J Med Res. 2001]

うさぎの画像 雄性ウサギに酸素濃度45, 80, 150 mg/Lの水を胃内強制投与し、胃内,腹腔および門脈の酸素分圧を測定。その結果、胃内から腹腔、門脈へと吸収され、用量依存性が確認されたが、消化管からの酸素供給が肝臓の代謝過程に影響を及ぼすか否かについては更なる検討が必要と結論づけている。

 
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