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α-リポ酸

カテゴリー:素材
更新日:2021/01/29

もくじ

(リーフレット版はこちら)

  1. はじめに
  2. α-リポ酸ってきくの?
  3. α-リポ酸は安全なの?
  4. からだに悩みがあるときは
  5. まとめ

 

もっと詳しく知りたい方はこちら

  1. α-リポ酸とはどんなもの?
  2. インスリン自己免疫症候群 (IAS) とはどのような病気?
  3. 医薬品とサプリメントのα-リポ酸に違いはあるの?
  4. アドバイザリースタッフとは?

 

はじめに

 「α (アルファ) -リポ酸」「Rリポ酸」という健康食品が、ダイエット、美容効果、アンチエイジング、疲労回復など、さまざまな効果をうたって販売されています。カプセル状の商品が多く流通しているようですが、ドラッグストアやスポーツジムなどで見かけたことはありますか?α-リポ酸には、体内でエネルギーを作り出す際に大事な役割があり、老化 (体のサビ) の原因から体を守る働きが期待されているようです。

 α-リポ酸は医薬品としても使われている成分で、栄養補給を目的とした医薬部外品のビタミン含有保健剤にも含まれています。食品であるサプリメントは安全で、かつ、医薬品や医薬部外品と同じような効果があると思われがちですが、α-リポ酸を含む製品の利用による症状が重たい健康被害も多数報告されています。
 α-リポ酸の有効性や安全性、注意点について、今分かっていることをわかりやすく解説します。

 

α-リポ酸ってきくの?

 α-リポ酸は、私たちの体を構成している細胞の中にも存在し、体内の糖質をエネルギーに変える役割があります。そのためか、α-リポ酸を含む製品では、肥満を解消する、美容や老化防止によい、疲労を回復するといった効果が期待されています。
 そこで、私たちがα-リポ酸を摂ったときに望ましい効果があるのかどうか研究を調べたところ、肥満の解消については、高度の肥満者に対して体重減少させる可能性が認められていますが、その減少量はわずかで、肥満を解消させるとまでは言えませんでした。美容や老化予防については、効果があったという報告もありましたが、効果が認められなかったという報告の方が多くなっていました。さらに、疲労回復や肌への影響を検討した報告は見当りませんでした。
 現時点では、肥満、美容や老化防止、疲労回復への効果の根拠は十分でないようです。

 

α-リポ酸は安全なの?

α-リポ酸は適切に摂取すれば安全性が高いと考えられますが、摂取により、悪心、嘔吐を起こす可能性があり、サプリメントの摂取によってアレルギー反応を起こしたという被害の報告もあります。市販のサプリメントには、医薬部外品で指定された1日の分量として最大含めることができる量 (5 mg) を超えたα-リポ酸を含む製品が流通しており、注意が必要です。

 α-リポ酸の摂取で最も注意しなければならないのは、インスリン自己免疫症候群 (IAS) です。α-リポ酸の摂取により低血糖発作が起こって、発汗、手指のふるえ、動悸、めまい、意識障害などが見られる症状で、日本人で多く報告されています。体の不調を感じたら、すぐに摂取を止め、医療機関を受診するようにしてください。
 インスリン自己免疫症候群の詳細は「▼もっと詳しく知りたい方はこちら」を参照ください。

 また、血糖値を下げる薬と併用すると、薬のききめが強くなって低血糖を起こす可能性があります。その他の薬でもききめに影響する可能性があるので、お薬を服用している場合は必ず医師や薬剤師などのアドバイスを受けましょう。
 妊娠中の方については、短期間、適切に摂取する場合、安全であると言われていますが、授乳中の方については、信頼できる十分な情報が見当たらないため、自己判断によるα-リポ酸のサプリメントでの摂取を控えてください。
 また、糖尿病、甲状腺疾患、アルコール依存症の方は、特に注意が必要であり、自己判断での摂取を控える必要があります。

 

からだに悩みがあるときは

 日常の生活でからだに悩みがあるときは、α-リポ酸などの健康食品を試してみる前に、お近くの病院で医師の診断を受け、指示に従ってください。健康食品はあくまでも日ごろの食事の補助的なもので、病気の治療に用いるものではありません。健康維持のために、バランスのとれた栄養、適切な運動、十分な睡眠を心がけましょう。

●どうしてもα-リポ酸の健康食品を利用したい場合
 「医薬品や医薬部外品で使われている成分」と聞くと、安全で効果がありそうな印象を受けるかもしれませんが、人によっては体調不良を起こす可能性があります。α-リポ酸の健康食品を使用する前に必ず医師や薬剤師、管理栄養士、健康食品・サプリメントのアドバイザリースタッフなど専門の知識を持った方にご相談ください。健康食品を利用する際は「利用メモ」をつける、製品の箱や容器を写真に残しておくなどし、体調の変化に注意するようにしてください。

●α-リポ酸の健康食品を利用して体調の異常を感じた場合
 すぐに利用をやめて、症状に応じた診療所を受診してください。その際には、必ず、α-リポ酸の健康食品を利用していたことをお伝えください。病院に行くほどの体調不良でない場合は、お近くの保健所へ相談してください。体調不良を感じた時の対応方法については、こちらのページもご覧ください。

 

まとめ

 α-リポ酸を含む健康食品が、ダイエット、美容効果、アンチエイジング、疲労回復など、さまざまな効果をうたって販売されています。しかし、私たちがα-リポ酸を含む製品を摂ったときの効果は今のところはっきりわかっていないばかりか、アレルギー反応やインスリン自己免疫症候群による低血糖発作などの健康被害が多く報告されています。
 α-リポ酸は医薬品として使われてきましたが、医薬品と同じような効果や安全性が期待できるとは限りません。効果を期待してすぐに飛びつくのではなく、まずは生活習慣を見直して本当に必要かどうかを冷静に判断し、利用するときには薬剤師や管理栄養士、健康食品・サプリメントのアドバイザリースタッフなどに相談しましょう。

 

もっと詳しく知りたい方はこちら

 

α-リポ酸とはどんなもの?

 書籍によってはα-リポ酸 (別名:チオクト酸) をビタミンと記載しているものもありますが、私たちの体内で合成することができるため、正しくはビタミン様物質になります。α-リポ酸は細胞内のミトコンドリアに存在し、補酵素として糖代謝およびエネルギー産生 (クエン酸回路) をサポートしています (1) 。また、抗酸化作用 (老化の原因を抑える働き) を有するといわれていますが、具体的な体への影響については明らかではありません。

 

インスリン自己免疫症候群 (IAS) とはどのような病気?

 インスリン自己免疫症候群 (Insulin Autoimmune Syndrome:IAS) とは、体内で、インスリンに対する自己抗体が産生される病気です。最終的に体内に大量のインスリンが存在することにより、血糖が極端に低下した状態を引き起こしてしまう病気です (2、3) 。一般的な症状としては、冷や汗、手足のふるえ、めまい、動悸、意識障害などが報告されています。インスリン自己免疫症候群の症例の90%は東アジア、特に日本において報告されています。日本人に多いとされる特定の遺伝子素因 (ヒト白血球抗原の型 (HLA-DRB1*0406)) や、チオール基 (SH基) を持つ薬剤が原因として疑われています。α-リポ酸の一部は体内で還元され、SH基を持つジヒドロリポ酸に変化するため、α-リポ酸を摂ることによりIASが生じる可能性があります。また、α-リポ酸でIASを発症した被害事例では、200~800 mg/日を数週間、摂取していた報告が多く見られます。

 

医薬品とサプリメントのα-リポ酸に違いはあるの?

 α-リポ酸は、医薬品として使用されていますが、2004年3月の「医薬品の範囲に関する基準の一部改正」により、食品でも利用できるようになりました。
現在α-リポ酸は、医薬品としては注射用のお薬に、新指定医薬部外品としては、ビタミン含有保健剤に配合されています。1日の最大分量は、ビタミン含有保健剤の有効成分としてチオクト酸 (α-リポ酸の別名) として5 mg、チオクト酸アミドとして15 mgとされています。厚生労働省では、α-リポ酸のように、医薬品として用いられることがある健康食品の成分については、医薬品の量を超えないように1日あたり摂取目安量を設定するよう指導しています (食安発第0228001号) 。しかし、サプリメントとして市販されているα-リポ酸の含有量は、1日当たり200~600mgの製品が多くみられ、医薬部外品における最大量の40~120倍に相当しています。α-リポ酸は比較的安全な成分と言われていますが、サプリメントを利用する際には含有量の確認が必要です。
健康食品に医薬品や医薬部外品と同じ成分が含まれていると効果や安全性を期待するかもしれませんが、健康食品はあくまで食品であり、同じ成分であっても、その品質・製造管理など医薬品とは異なりますので、α-リポ酸の健康食品の情報が「医薬品と同じである」と判断することはできません。詳しくは、基礎知識「健康食品は薬の代わりにはなりません」を参照してください。

 

アドバイザリースタッフとは?

 アドバイザリースタッフとは、健康食品やサプリメントについての正しい知識を持ち、身近で気軽に相談を受けてくれる、民間の資格をもった言わば健康食品の専門家です。主な資格として、NR・サプリメントアドバイザー (一般社団法人日本臨床栄養協会) 、食品保健指導士 (公益財団法人日本健康・栄養食品協会) 、健康食品管理士 (一般社団法人日本食品安全協会) などがあります。アドバイザリースタッフの中には、講演会などを通じて、健康食品の適切な利用や、利用による健康被害の防止活動をしている方もいます。
身近なところでは、アドバイザリースタッフは、薬局や薬店、病院などにいます。健康食品を購入・利用する際には、是非、アドバイザリースタッフに相談しましょう。

 

参考文献

1. ハーパー・生化学 (丸善出版)
2. (20080504679) 糖尿病 2007 50(8):623-6.
3. (PMID:10717808) Hum Immunol. 2000 Feb;61(2):154-7./p>

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