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妊娠中のハーブやカフェインって大丈夫?

カテゴリー:その他
更新日:2023/09/12

妊娠中は、薬の他、ハーブやカフェインの利用に制限があり、何かと困ることがありますね。
日頃から「食後にコーヒー」という習慣があるあなた。
妊娠したら、コーヒーの代わりに何を飲みますか。
ソフトドリンクなどが思いつくかもしれません。

ここでは、妊娠中の摂取で注意が必要な、カフェインやハーブの利用について
日本や海外の情報をまとめてみました。

カフェイン

日本では、妊娠または授乳中のカフェインは、約 300 mg 以下であれば、おそらく安全であると考えられています (1) 。

🔳 この 約 300 mg とは、いったいどのくらいの量なのでしょうか。

身近な緑茶やコーヒーなどで考えてみましょう。

緑茶なら、6杯/日 (1)。
コーヒーなら、2杯/日 (2)。

他にも、カフェインは、紅茶、ココア、ウーロン茶、せん茶、ほうじ茶、玄米茶、マテ茶、チョコレート、コーラ、エナジードリンクなど、さまざまなものに含まれています (3) (4) 。

 

カフェイン量をコーヒーと比べてみましょう(各飲料 100ml あたり)

 

 

せん茶や紅茶、ウーロン茶のカフェイン濃度はコーヒーより少なめですが、玉露やエナジードリンクにはカフェイン含有量が多いことがあるので少量でも注意が必要といえそうです (3) 。

 

全く飲めないとなるとストレスですが、節度をもって、摂取量に注意すると良いようです。

アイスコーヒーの画像

🔳 なぜ、カフェインは控えなければならないのでしょうか。

 流産や早産を引き起こさないためです。

また、カフェインは睡眠を妨げ、吐き気やふらつきを引き起こす可能性があります。カフェインはまた、排尿量を増加させ、脱水症状を引き起こす可能性があります (7) 。
さらに胎児が、低体重となる可能性も指摘されています (4) 。

 

ハーブ

日本においてハーブは、「カフェインを含まない」「お産をスムーズに」「妊娠時不足しがちな鉄分やミネラル補給に」「つわりに」などといわれて、市場に出回っているようです。
カフェインを含まないハーブもありますが、それだけで安全といえるのでしょうか。

 

🔳 海外では、妊娠中のハーブの取り扱いは、どのようになっているのでしょうか。

FDA (アメリカ食品医薬品局)
ハーブを利用する前に、必ず医師、看護師、または薬剤師に相談してください(7)。

NHS (イギリス国民保健サービス)
妊娠中のハーブは安全とはいえません。
使用される製品によっては高品質ではないことがあり、鉛などの有害な可能性のある他の物質が含まれている場合があります。
ハーブを利用している場合は、助産師、医師、または薬剤師に伝えてください (8) 。

 

🔳 料理にハーブを使用するのは大丈夫?

料理によく使われるハーブは、柑橘類の皮や、ショウガ、ニンニクなどいつもの食品に含まれる量であれば、妊娠中に有害であるとは考えられません (2) (5) 。
しかし、一般的に使用されるハーブであっても大量または濃縮した形で使用すると害を引き起こす可能性があります(5)。

 

🔳 妊娠中に、特に注意しなければならないハーブは?

伝統的に使用されているハーブは安全なのでしょうか。
アーモンドオイルは妊娠線予防のため腹部に塗り続けることがありますが、早産と関連している可能性があります (5) 。
また、ジャーマンカモミール※1は、長年、妊娠中のつわり対策として利用されてきましたが、子宮を収縮させ早産の可能性があるため、1日2杯程度までにするのが良いようです (5) 。
※1 ジャーマンカモミールとローマンカモミールは同じカモミールのようですが、種が異なる別の草花です (9) 。

 

妊娠中の利用において、何らかのリスクの可能性があるハーブ一覧表

ハーブ名 早産/子宮筋腫 催奇形性 その他 詳細不明
アーモンドオイル      
亜麻(亜麻仁)      
アロエベラ      
イチョウ  
分娩時過剰出血
 
イラクサ      
ウコン      
食事量以上は注意
エキナセア      
エフェドラ、麻黄      
オウシュウヨモギ      
黄連      
カバカバ      
ジャーマンカモミール      
ローマンカモミール      
甘草
大量摂取時
     
クランベリー      
クロウメモドキ樹皮      
高麗人参、朝鮮ニンジン      
昆布茶      
コンフリー      
サッサフラス      
ジュニパーベリー      
セイヨウヤドリギ      
セージ      
セントジョーンズワート  
動物実験
   
センナ    
羊水過多の可能性
 
ターメリック      
大豆      
食事量以上は注意
チェストベリー      
月見草油      
鉄分が豊富なハーブ      
汚染物質の可能性
ノコギリヤシ      
ノニ      
パセリ、カラトウキ      
パッションフラワー      
バレリアン      
フェヌグリーク    
フキタンポポ      
ブルーコホシュ    
ペニーロイヤル  
肝毒性
 
ペパーミント      
ムワナフェボ    
新生児死亡と関連
 
ヨヒンベ      
ライコウトウ      
ラズベリーの葉  
帝王切開のリスク
 
ラブラドールティー      
緑茶
摂りすぎ注意
     
レッドクローバー      
ローズヒップ      
ロペリア      

*1 参考 (1) (2) (5) (6)
*2 ここに記載されているハーブは、上記参考より表を作成しています。そのため、掲載されていないハーブでも妊娠中に避けるべき、慎重に使用すべきハーブは他にも多く存在します。

 

まとめ

上の表だけでも、妊娠中に利用を避けた方が良いハーブがたくさんありましたね。
ハーブは、伝統的に利用されていたとしても、まだまだ安全とはいえなさそうです (6)

 

〈参考文献〉
(1) 厚生労働省eJIM(イージム:「統合医療」情報発信サイト)
(2) カナダ公衆衛生局 健康な妊娠へのガイド
(3) 食品安全委員会 食事中のカフェイン
(4) 国民生活センター 飲料のカフェイン含有量に関する調査
(5) SPS (NHSより委託をうけた薬局サービス) 妊婦におけるハーブの安全性
(6) (PMID:30969204) Obstet Gynecol.2019 May;133(5):920-932.
(7) FDA (アメリカ食品医薬品局) 医学と妊娠
(8) NHS (イギリス国民保健サービス) 妊娠中の薬
(9) メディカルハーブ安全性ハンドブック第2版

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