緑茶が新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対して効果があるようにうたう宣伝が見 受けられます。
しかし、現時点では、新型コロナウイルス感染症に対する予防効果が検討されていますが、
いずれも予備的な検討であり、科学的根拠を示すまでには至っていません。
同じウイルス性感染症であるインフルエンザの予防に対する効果を解析したメタ分析(複数の研究を総合的に判断した評価の結果) について調べたところ1報の論文が検索され、緑茶の摂取はインフルエンザ発症リスク低下と関連が認められていましたが、対象者の約半数がインフルエンザワクチンを接種していた研究が評価に含まれていました。
緑茶は風邪に良いと言われることから、風邪や上気道感染症の予防に対する効果を検討した論文を検索したところ、1報の論文が検索され、緑茶の摂取は中~重症の鼻水、鼻づまり、頭痛の症状持続時間の短縮が認められていました。一方、寒気、発熱、関節痛、喉の痛み、咳に影響は認められませんでした。
このように、現時点では、インフルエンザや呼吸器感染症の予防に対して「緑茶が効く」といえる十分な情報は見当たりません。
新型コロナウイルス感染症に対して検討した論文も見 当たりませんので、情報の拡大解釈にはご注意ください。
新型コロナウイルスに対しては、手洗いなど、正しい予防を心掛けましょう。
新型コロナウイルス感染予防のために (厚生労働省) は、こちら
【参考文献】
・緑茶の摂取は、中~重症の鼻水等の症状持続時間の短縮が認められたが、発熱等に影響は認められなかった
(PMID:35565823) Nutrients. 2022;14 (9):1856.
(メタ分析)
・緑茶の摂取はインフルエンザ発症リスク低下との関連が認められた
(PMID:34209247)Molecules 2021 June 30;26(13):4014.
<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>
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