エキナセアが新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対して効果があるようにうたう宣伝が見受けられますが、
現時点ではそのような効果は確認されていません。
同じウイルス性感染症であるインフルエンザの予防に対する効果を検討した論文を検索したところ、論文は見つかりませんでした。
エキナセアは風邪によいと言われていることから、風邪を含む上気道感染症への効果を調べたところ、風邪や上気道感染症の発症率の低下が認められたメタ分析 (複数の試験を総合的に評価した結果) 4報が見つかりました。しかし、子どもを対象とした別のメタ分析では、予防に影響は認められませんでした。
個々の研究を見てみると、風邪や呼吸器感染症の発症や重症度に影響はなかった結果も複数あり、エキナセアの効果は摂取するエキナセアの種類や部位、摂取する人の状況などにより異なるようです。
このように、現時点では、インフルエンザや上気道感染症の予防に対して「エキナセアが効く」といえる十分な情報は見当たりません。
新型コロナウイルス感染症に対して検討した論文も見当たりませんので、情報の拡大解釈にはご注意ください。
新型コロナウイルスに対しては、手洗いなど、正しい予防を心掛けましょう。
新型コロナウイルス感染予防のために (厚生労働省)は、こちら
(参考文献)
・上気道感染症の発症率が低下した
(PMID:31126553)Complement Ther Med. 2019 Jun;44:18-26.
・再発性呼吸器感染症の発症リスクを低下させた
(PMID:25784510)Adv Ther. 2015 Mar;32(3):187-200.
・風邪に発生率と持続時間が減少した
(PMID:17597571)Lancet Infect Dis. 2007 Jul;7(7):473-80.
・風邪の発症率を低下させたが、症状に影響は認められなかった
(PMID:16678640)Clin Ther. 2006 Feb;28(2):174-83.
・子どもにおいて、気道感染症の発症率に影響は認められなかった
(PMID:28610802)Acad Pediatr. 2018 Jan – Feb;18(1):8-19.
・風邪や呼吸器感染症の発症率、重症度に影響はなかった
(PMID:16049208)N Engl J Med. 2005 Jul 28;353(4):341-8.
(PMID:10817735)Antimicrob Agents Chemother. 2000 Jun;44(6):1708-9.
(PMID:10230741)Am J Med. 1999 Feb;106(2):138-43.
(PMID:9821828)Arch Fam Med. 1998 Nov-Dec;7(6):541-5.
(PMID:18450126)Ann Allergy Asthma Immunol. 2008 Apr;100(4):384-8.
<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>
© National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition. All Rights Reserved.