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「感染症予防にプロバイオティクスが効く」等の情報に注意

更新日:2023/11/22

プロバイオティクス新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対して効果があるようにうたう宣伝が見受けられます。

しかし、現時点では、新型コロナウイルス感染症に対する予防効果が検討されていますが、

いずれも予備的な検討であり、科学的根拠を示すまでには至っていません。


 

同じウイルス性感染症であるインフルエンザの予防に対する効果を検討した論文を検索したところ、論文は見つかりませんでした。

プロバイオティクスは風邪に良いと言われることから、風邪や上気道感染症の予防に対する効果を解析したメタ分析 (複数の研究を総合的に判断した評価の結果) について調べたところ6報の論文が検索され、3報ではプロバイオティクスの摂取は、急性気道感染症における発生リスクや発症数の減少との関連が認められていました。別の2報では、子どもにおいて気道感染症の発症数の減少との関連は認められましたが、残りの1報では、気道感染症の発生リスクとの関連は認められませんでした。

また、低栄養の幼児において、特定の乳酸菌の摂取は急性呼吸器感染症の発生率減少が認められた論文が1報ありました。別のもう1報では、健康な成人において、風邪の罹患者数や累積罹患率、重症度とは関連が認められませんでした。

このように、呼吸器感染症などに対して予防効果が確認された報告と、予防効果が確認されなかった報告の両方が存在しています。摂取する人の年齢や健康状態、プロバイオティクスの種類などにも依存すると考えられます。

現時点では、インフルエンザや呼吸器感染症の予防に対して「プロバイオティクスが効く」といえる十分な情報は見当たりません。

新型コロナウイルス感染症に対して検討した論文も見当たりませんので、情報の拡大解釈にはご注意ください。

新型コロナウイルスに対しては、手洗いなど、正しい予防を心掛けましょう。

 

新型コロナウイルスを感染予防のために (厚生労働省) は、こちら

 


【参考文献】
・健康な成人において、風邪の罹患者数や累積罹患率、重症度に影響は認められなかった
(PMID:33296464) J Nutr. 2021 Jan 4;151(1):214-222.

(メタ分析)
・急性気道感染症発生リスク低下と関連が認められた
(PMID:34183001) Nutr J. 2021 Jun 28;20(1):61. doi: 10.1186

・急性上気道感染症の発症数の減少との関連が認められた
(PMID:25927096) Cochrane Database Syst Rev. 2015 Feb 3;(2):CD006895.

・気道感染症発生リスク低下と関連が認められた
(PMID:35948276) Adv Nutr 2022;13(6):2277-2295.

 

[研究の対象者:子ども]
・低栄養の幼児において、特定の乳酸菌 (L. casei YIT 9029) の摂取は、急性呼吸器感染症の発症率の減少が認められた
(PMID:32981933) Eur J Clin Nutr. 2021 Mar;75(3):513-520.

(メタ分析)
・健康な子どもにおいて、気道感染症の発生リスクと関連は認められなかった
(PMID:34861367) Complement Ther Med. 2021 Dec;63:102795

・子どもにおいて、呼吸器感染症の発症数の減少との関連が認められた
(PMID:27495104) Eur J Pediatr. 2018 Jul;177(7):979-994.

・健康な保育園児において、気道感染症の発症数の減少との関連が認められた
(PMID:29752587) Medicine (Baltimore). 2016 Aug;95(31):e4509.

 

 

<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>

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