■注意喚起および勧告内容
2022年6月14日、厚生労働省と神奈川県相模原市が、医薬品成分 (シブトラミン) を含む製品に注意喚起。当該製品との因果関係が疑われる健康被害が1件報告されている。
■解説
相模原市の女性1名 (年齢不明) が、ダイエット用健康食品とうたって販売されていた「Detoxeretゼリー」および「DETOXERET Chokolade」をSNS (ソーシャルネットワーキングサービス) を通じて購入し、摂取したところ、食欲不振、倦怠感、息苦しさ、貧血等を生じた旨が通報された。当該女性は当該製品の摂取を中止したが、現在も通院を続けている。
「Detoxeretゼリー (Detoxeret Jelly)」は、西宮市と千葉市においても摂取との関連が疑われる健康被害が発生しており、医薬品成分であるシブトラミンの検出が報告されている (詳細はこちら) 。今般、「DETOXERET Chokolade」も体調不良への関与が強く疑われたことから検査を行ったところ、医薬品成分のシブトラミンが検出された。
厚生労働省は、当該製品を摂取すると健康被害が起こるおそれがあるため、直ちに摂取を中止し、健康被害が疑われる場合には速やかに医療機関を受診するとともに、最寄りの保健所に連絡するように注意をうながしている。
■関連成分
シブトラミン (sibutramine)
シブトラミンは、1997年に肥満抑制薬としてアメリカFDAの許可を受けたが、日本では未承認。副作用として血圧上昇および心拍数増加などが報告され、心臓病の方は服用を避けたほうがよいとされている。アメリカ国内ではFDAの許可後、2003年8月までに54例の死亡事例 (うち30例は心血管が原因) が報告された。2005年8月、FDAはシブトラミンの使用停止に関する消費者団体の請願書に対し、シブトラミンの使用に細心の注意を呼びかけ、その安全性を監視することにより、引き続き医薬品として承認していくことを公表した。しかし、心血管疾患歴のある患者では心血管疾患再発リスクが高くなるという欧州で実施されたSCOUT試験 (Sibutramine Cardiovascular OUTcome Trial) の結果をうけ、2010年10月、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでメーカーによる任意回収が決定。開発したメーカーはすでに販売・流通を中止している。2010年11月、インド医薬品規制当局 (Drugs Controller General of India、DCGI) も販売を禁止した。
■関連情報
厚生労働省ウェブページ (2022年6月14日) →「医薬品成分を含有する製品による健康被害(疑い)の発生について」
外国製健康食品の入手や個人輸入等についての注意事項等→「健康食品や医薬品、化粧品、医療機器等を海外から購入しようとされる方へ (厚生労働省作成2012年版) 」