「科学的根拠に基づく情報」との向き合い方 (Ver.191101)

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基礎知識

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■はじめに
テレビや雑誌、インターネットなどにあふれる健康情報には、信頼できるものからそうでないものまで様々なものがあります。その中で、あやしい情報に振り回されないようにするには、科学的根拠に基づいた情報の選択が重要です。健康食品などの宣伝や広告で見られる「医師が勧めている」や「学会で効果が発表された」といった謳い文句は、本当に信頼できるものなのでしょうか?

■「科学的根拠」って?
どのような分野においても、その情報が確からしいと証明するためには根拠や証拠(エビデンス)が必要です。医療や栄養などの健康情報として、ある食品や成分を食べた場合の有益な効果 (有効性) を示す場合、科学的に適切な、信頼度の高い研究デザインで、人を対象に行われた研究の結果を「科学的根拠」といいます。情報の科学的根拠は、複数の研究結果によって支持されることで、より強固な信頼性の高い情報になります。

■科学的根拠に基づいた情報かどうかを見極めよう
健康についての気になる情報を見たり聞いたりしたときに、その有効性の情報が科学的根拠に基づいているといえるかどうかを判断するためのフローチャートを示しました。これらの5つのステップをクリアできているか確かめてみてください。以下では、各ステップについて解説します。

健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック (第一出版) 第7版
p356 より引用・改変


1. 具体的な研究に基づいているか?
有名人が愛用していたり、家族や身近な人が使用して効果があったという話を聞いたりすると、それが効果を示す証拠のように感じられるかもしれません。しかしこのような体験談は、その効果が本当にその健康食品を使用したことによって得られたものか、生活習慣や環境の変化など他の要因によるものかを見極めることはできません。たとえば、「普段の食事の一部を健康食品に置き換えたら痩せた」などと言う体験談の場合、その人の普段の食事量が分かっていないため、体重が減少したのは健康食品の効果というよりも、単に摂取するエネルギー(カロリー)が減少したことが原因かもしれません。具体的な研究結果の示された情報を探すようにしましょう。

2. 研究は、ヒトを対象としたものか?
動物や細胞実験の結果を有効性の根拠とした健康食品が見受けられます。しかし、そうした基礎研究で使用される動物と人間とでは生物学的な違い(種差)があるため、動物でみられた効果を人間も同じように得られるとは限りません。実際に、動物では何ともないのに人間が食べると下痢をする食品もあります。「動物に健康食品の成分を与えたら内臓の機能が改善した」などの基礎研究の結果だけを示している情報は、簡単に鵜呑みにしないようにしましょう。

3. 学術誌で論文として報告されているか
科学的な研究の成果を発表する場には、学会発表と学術誌の2種類があります。このうち、科学的根拠となり得るのは、学術誌に掲載された論文に限られます。
学会は研究成果を発表したい人に平等に開かれている場ですので、その学会の会員であれば内容について厳密な審査を受けずに成果を公表できます。一方、専門的な学術誌に発表される学術論文は、掲載される前にその分野の専門家によって内容が審査(査読)され、世に公表するだけの価値があるかどうかが判断されます。また、論文はデータベースに蓄積され、多くの科学者に参照・引用されながら繰り返し評価をされます。学会発表のみの研究結果では、第三者の目による客観的な評価が不十分です。

4. 信頼できる研究デザインか
たとえば、「ある食品を食べたら症状が良くなった」というように、食べる前と後を比較しただけの結果では、研究参加中に食べた他の食品、研究に参加することによる生活習慣の変化などが結果に影響してしまう場合があります。こうした「他の要因」による影響をできるだけ小さくした研究手法が信頼できる研究デザインと言えます。信頼性の高い研究デザインの結果がないと、有効性の科学的根拠は不十分です。

5. 複数の研究で評価されているか
学術誌に論文として発表された研究成果は、多くの科学者によって参照され、次の研究へとつながります。このような研究の積み重ねの結果、同じように効果があることを示す研究結果が複数報告されている情報は、より強固な科学的根拠に基づく情報と判断することができます。
たとえ信頼性の高いデザインで行われた研究でも、その後の研究の積み重ねの結果、効果がないという報告の方が多かったという場合もあるため、最新の情報を得る必要があります。また、その効果を支持する論文が特定の研究グループからしか報告されていない場合も、その情報が信用できるかは慎重に判断しましょう。

■おわりに
巷の健康情報の中には、一見するととても大きな効果がありそうに感じられるものがあるかもしれません。しかし、口コミや有名人の勧めは科学的根拠ではありません。健康情報と向き合うときには、科学的根拠に基づいた情報と言えるかどうかを、信頼性を評価するためのフローチャートに当てはめて考えてみてください。また、当サイトの素材情報データベースでは、さまざまな食品・成分の効果(有効性)と安全性について現時点で報告されている学術論文の情報を掲載していますので、あわせてご参照ください。



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