健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ブロンドサイリウム、サイリウム、プランタゴ・オバタ [英]Blond psyllium、Psyllium [学名]Plantago ovata Forssk.、Plantago fastigiata、Plantago insularis、Plantago isphaghula、Plantago decumbens

概要

サイリウムは、一般的にオオバコ科オオバコ属植物の種子または種皮をさす。主に用いられる種類は、インド原産のブロンドサイリウム (Blond psyllium:プランタゴ・オバタ) や地中海地方原産のブラックサイリウム (Black psyllium:プランタゴ・プシリウム) である。この項ではブロンドサイリウムについて記載する。ブロンドサイリウムは便秘に対して有効性が示されているほか、高コレステロール血症に対しておそらく有効とされ、下痢や過敏性腸症候群などの消化器症状、成人の高血圧、肥満、II型糖尿病に対する有効性が示唆されている。特定保健用食品としての表示許可を得ているサイリウム由来の食物繊維を関与成分とした製品は、ブロンドサイリウムを原料としている。安全性については、適切に摂取すれば、妊娠中・授乳中を含め、おそらく安全である。ただし、腹痛、下痢等の胃腸障害を生じる場合があり、消化管に狭窄などの障害がある場合は使用すべきではない。なお、上部消化管閉塞などの原因となるおそれがあるため、十分な量の水とともに摂取する必要がある。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。また、ブラックサイリウムに関する情報は別項を参照。

法規・制度

・プランタゴ・オバタ種子・種皮は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・既存添加物:サイリウムハスク、サイリウムシードガムは増粘安定剤。
・サイリウム種皮由来の食物繊維を関与成分とし、「コレステロールの吸収を抑える」、「おなかの調子を整える」保健用途の表示をした特定保健用食品が許可されている。
・米国FDAは、サイリウムを1.7 g/サービング以上含む食品において「サイリウム含有食品を低脂肪食の一部として摂取することは心疾患リスクを低下させるかもしれない」旨の表示をすることを許可している。

成分の特性・品質

主な成分・性質

-

分析法

-

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・軽度〜中等度の高コレステロール血症に対して、おそらく有効である (94) 。
・成人の高血圧に対して有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2005年8月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験19報 (検索条件:期間≧2週間) について検討したメタ分析において、軽度から中等度の高コレステロール血症患者におけるサイリウム摂取は、総コレステロール値 (19報) 、LDLコレステロール値 (19報) の低下と関連が認められたが、HDLコレステロール値、トリグリセリド値に影響は認められなかった (PMID:18985059)
RCT
・過体重の高血圧患者141名 (試験群48名、平均58.4±2.5歳、イタリア) を対象としたオープンラベル無作為化比較試験において、食事指導とともにサイリウム3.5 g×2回/日を6ヶ月間、食事の20分前に摂取させたところ、食事指導のみと比較して、空腹時血糖値、HOMA-IR、LDLコレステロール値、血圧の低下がみられたが、BMI、インスリン濃度、総コレステロール値、HDLコレステロール値、トリグリセリドに影響は認められなかった (PMID:17729055)
・過体重または肥満の成人57名 (試験群16名、平均41.3±2.3歳、オーストラリア) を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、サイリウム7 g×3回/日、12週間摂取させたところ、血圧、血管機能に影響は認められなかった (PMID:21787454)
・軽度から中等度高コレステロール血症患者51名 (6〜19歳、試験群26名、ブラジル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、食事指導とともにサイリウム7 g/日を8週間摂取させたところ、血清総コレステロール、LDLコレステロールの低下が認められたが、HDLコレステロール、トリグリセリド、LDLコレステロール/HDLコレステロール比に影響は認められなかった (PMID:25391814)


消化系・肝臓

一般情報
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) では、ブロンドサイリウムの種子および種皮について、慢性便秘、便を軟らかくして排便を容易にすることが望まれる疾患 (裂肛、痔核、直腸および肛門の手術後、妊娠中) 、下痢の補助的治療、過敏性大腸の治療に対する利用を承認している (58) 。
・便秘に、あるいは便を軟らかくする目的での使用は有効である (94) 。
・下痢に対し有効性が示唆されている (94) 。
・ミソプロストール (消化性潰瘍薬) による下痢に対して、有効性が示唆されている (94) 。
・過敏性腸症候群 (IBS) に対して、有効性が示唆されている(94) 。
・潰瘍性大腸炎の再発予防に有効性が示唆されている (94) 。
・脱肛以外の痔核からの出血を抑えるのに、micronized purified flavonidic fraction (Daflon、経口痔核治療薬) との併用で有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・便秘傾向の女性29名 (平均30.6±5.6歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、サイリウム種皮5 g含有即席麺を2週間摂取させたところ、排便日数、排便回数、排便量、便の性状に影響は認められなかった (2005189773) 。

糖尿病・
内分泌

一般情報
・種皮の摂取は、II型糖尿病に対して有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2014年4月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験35報について検討したメタ分析において、サイリウムの摂取は、II型糖尿病患者において、空腹時血糖値 (4報) 、HbA1c値 (3報) 、食後血糖のピーク値 (6報) の低下と関連が認められたが、食後インスリンのピーク値 (3報) に影響は認められず、健康またはII型糖尿病前症の人においては、食後血糖のピーク値 (9報) 、食後インスリンのピーク値 (5報) の低下と関連が認められたが、空腹時血糖値 (14報) に影響は認められず、いずれも試験によるバラツキが大きかった (PMID:26561625)

生殖・泌尿器

一般情報
・末期の腎疾患に対して、効果がないことが示唆されている (94) 。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

一般情報
・結腸直腸腺腫の再発予防に、効果がないことが示唆されている (94) 。
RCT
・結腸腺腫の既往歴がある患者552名 (ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、アイルランド、イスラエル、イタリア、ポルトガル、スペイン、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、サイリウム種皮3.5 g/日 (198名、平均59.1±8.9歳) またはカルシウム2 g×2回/日 (176名、平均58.8±8.8歳) を3年間摂取させたところ、カルシウム摂取による影響は認められず、サイリウム摂取群で腺腫再発リスクが上昇した (PMID:11073017)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

一般情報
・過体重または肥満者の体重減少に有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・過体重または肥満の成人158名 (40〜65歳、アメリカ) を対象とした単盲検無作為化比較試験において、サイリウム7 g/日 (54名、平均50.6±6.1歳) もしくは14 g/日 (51名、平均51.4±6.4歳) を3ヶ月間摂取させたところ、14 g/日摂取群において血中フィブリノーゲン濃度の低下が認められたが、高感度CRP、IL-6、白血球数に影響は認められなかった (PMID:18332401)

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・適切に用いれば、おそらく安全である (94) 。ただし、鼓張、腹痛、下痢、便秘、消化不良、吐き気などの消化器症状を呈するおそれがあるため、少量から摂取を開始し、慎重に摂取量を決定する必要がある (94) 。
・水なしでの摂取、嚥下困難者の摂取は、食道や胃腸の障害が起きる場合がある (94) 。種皮3.5〜5 gまたは種子7 gあたり少なくとも240 mL以上の水とともに摂取することが勧められている (94) 。
・ときに頭痛、背部痛、鼻炎、咳、副鼻腔炎が起きることが報告されている (94) 。
・アレルギーを起こす可能性がある (94) (22) 。米国でサイリウムを調製する医療従事者にアレルギーの事例がある。
<妊婦・授乳婦>
・適切に用いればおそらく安全である (94) 。
<小児>
・信頼できる十分な情報が見当たらない。
<被害事例>
・肥満のため腹腔鏡下調節性胃バンディング術を受けた59歳女性 (フランス) が、便秘解消目的でサイリウム含有製品 (詳細不明) を摂取し始めたところ、胸の痛み、嚥下困難を生じ、サイリウム胃石による消化管閉塞と診断された (PMID:25771442)

禁忌対象者

・腸閉塞、食道狭窄、異常な腸の狭小化がある場合は禁忌 (22) 。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・統合失調症で精神科に入院した47歳女性 (アメリカ) が、フルフェナジン、メシル型ベンツトロピン、クエン酸リチウムとともに便秘解消を目的にサイリウム外皮をティースプーン1杯×2回/日摂取したところ、リチウムの血中濃度上昇が抑制され、サイリウムの摂取中止により改善した (PMID:1968148)
・フルドロコルチゾンとプレドニゾロンの服用で安定していた副腎不全症と橋本病による甲状腺機能低下症のある56歳女性 (イラン) が、サイリウムを3日間摂取したところ (摂取量不明) 、腹痛、虚弱、疲労、吐き気などを呈し、サイリウムによる薬剤の吸収阻害による副腎クリーゼと診断された (PMID:22071646)
・健康な成人男性4名 (エジプト) を対象に、カルバマゼピン (抗てんかん薬) 200 mgとともにサイリウム種皮3.5 g含有製品を摂取させたところ、カルバマゼピンの血中濃度低下が認められた。サイリウムは、カルバマゼピンの吸収を抑制し血中濃度を低下させ、薬効を減弱させる可能性がある (101) 。
・健康な成人女性12名 (アメリカ) を対象に、リボフラビン30 mgとともにサイリウムガム由来食物繊維7.5 gを含む試験食を摂取させたところ、食物繊維1.3 g含有のコントロール食摂取時と比較して尿中リボフラビン排泄量の減少が認められた (PMID:2828453)
<試験管内・動物>
・動物実験 (イヌ) において、サイリウム粘液の摂取は、正常および貧血状態での鉄吸収率を低下させた (PMID:6278918)
<理論的に考えられる相互作用>
・粘質性を有し、腸の通過速度を速まらせるため、一部の薬の吸収を阻害する場合がある。医薬品を摂取する場合、サイリウム摂取の1時間前または数時間後を目安とすること (22) 。
・鉄サプリメントとの併用で鉄の吸収が抑えられることがある (94)。
・糖尿病治療薬、降圧剤との併用により、薬剤の効果を増強する可能性がある (94) 。
・ジゴキシン、ワルファリンとの併用により、これらの薬剤の吸収を遅らせる可能性があるため、投与量の調節などが必要である (94) 。
・エチニルエストラジオールとの併用により、その吸収率を上昇させ、吸収速度を遅延させる可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1. TDLo (最小中毒量)
・ブロンドサイリウムを摂取:ヒト経口 (間欠的) 1.05 g/kg./1週 (91) 。
・サイリウムガムを投与:ラット経口 (間欠的) 3,500 mg/kg/7日 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・種子、ハスク(種子の外皮):クラス2d (22) 。

総合評価

安全性

・妊娠中・授乳中を含め、適切に用いればおそらく安全である。十分な量の水とともに摂取する。
・摂取により消化器症状を呈する場合がある。消化管に狭窄などの障害がある場合は禁忌。
・サイリウムを扱う職業従事者などでアレルギーの発症が報告されている。
・特定保健用食品では個別に製品ごとに安全性が評価されている。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・便秘に対して有効である。
・高コレステロール血症に対しておそらく有効である。
・成人の高血圧、下痢、痔核、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎の再発予防、II型糖尿病、肥満に対して有効性が示唆されている。
・再発性の結腸直腸腺腫の予防および末期の腎疾患に対して、効果がないことが示唆されている。
・特定保健用食品では個別に製品ごとに有効性が評価されている。

参考文献

(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(58) The Complete German Commission E Monographs
(101) Drug Dev Ind Pharm. 1995; 21: 1901-6.
(PMID:1968148) Lancet. 1990; 335(8686): 416.
(PMID:11073017) Lancet. 2000 Oct 14;356(9238):1300-6.
(PMID:6278918) Am J Clin Nutr. 1982 Jan;35(1):107-12.
(PMID:2820047) Scand J Gastroenterol Suppl. 1987;129:68-72.
(1998152940) Biological & Pharmaceutical Bulletin.1998; 21(2):184-7
(PMID:18332401) Ann Fam Med. 2008 Mar-Apr;6(2):100-6.
(PMID:17729055) Clin Exp Hypertens. 2007 Aug;29(6):383-94.
(PMID:18985059) Eur J Clin Nutr. 2008 Nov 5. [Epub ahead of print]
(PMID:21787454) Br J Nutr. 2011 Jul 26:1-10. [Epub ahead of print]
(PMID:22071646) Acta Med Iran. 2011;49(10):688-9.
(94) Natural Medicines
(PMID:25391814) Br J Nutr. 2015 Jan;113(1):134-41.
(PMID:26561625) Am J Clin Nutr. 2015 Dec;102(6):1604-14.
(PMID:25771442) Surg Obes Relat Dis. 2015 Mar-Apr;11(2):483-4.
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS).
(2005189773) 健康・栄養食品研究 2005 7(4) 57-69
(PMID:2828453) J Am Diet Assoc. 1988 Feb;88(2):211-3.

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