モリブデン解説

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モリブデン解説


A.モリブデンとは?
 モリブデンは輝水鉛鉱という鉱石から発見された金属で、硫黄と結合しやすく、地球上の窒素サイクルや硫黄サイクルに大きくかかわっています (3) 。人の体内では、酸化還元反応を触媒するモリブデン酵素の構成成分としてはたらき、食品では穀類、豆類、種実類に豊富に含まれます (6) 。モリブデンは通常の食事で充分に摂取することができ、また、他の重金属に比べて比較的毒性が低いため、過剰症が問題となることはほとんどありません

B.モリブデンの供給源になる食品
 主な食品のモリブデン含有量は以下の通りです (4) 。

植物性食品

食品名1食あたり
の重量(g)
モリブデン(μg)
 1食あたり 100gあたり
 納豆40116290
 そらまめ(生)6090150
 えだまめ(生)3072240
 木綿豆腐1506644
 玄米めし1505134
 精白米めし1504530
 緑豆もやし502855
 そば(ゆで)2002211
 落花生(いり)151496
 中華麺(ゆで)200105
(「日本食品標準成分表2020年版 (八訂)」のデータより引用)

動物性食品

食品名1食あたり
の重量(g)
モリブデン(μg)
 1食あたり 100gあたり
 豚レバー(生)4048120
 牛レバー(生)403894
 鶏レバー(生)403382
 あわび(生)60915
 普通牛乳20084
 ひれかつ12076
 アイスクリーム(高脂肪)9067
 鶏つくね40512
 脱脂粉乳10435
 あさり(生)4049
※脱脂粉乳:別名 スキムミルク
(「日本食品標準成分表2020年版 (八訂)」のデータより引用)



C.モリブデンの特性 (単位・化学的安定性)
 モリブデンは、元素記号Mo、原子番号42、原子量95.94の銀白色の金属です。熱濃硫酸には溶けますが、水、塩酸、希硫酸には溶けません (7) 。



D.モリブデンの吸収や働き
 モリブデンは胃や小腸で容易に吸収されます (6) 。モリブデンの栄養状態は、硫黄-銅の相互作用によって大きく変化するといわれており (6) 、食品に含まれるモリブデンの平均的な生物学的有効性は、現時点では約75%と見積もられています (1) 。生体内ではモリブデンは肝臓と腎臓に多く存在し、キサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ、亜硫酸オキシダーゼの構成成分となっています (1) 。



E.モリブデン不足の問題
モリブデン不足はどのようにしておこるの?
 モリブデンは通常の食事から充分摂取することができるので、不足することはほとんどありません (6) 。
モリブデン不足になるとどうなるの?
 長期間の完全静脈栄養施行により、頻脈、多呼吸、夜盲症などを引き起こすことがありますが、モリブデンの投与により症状は改善されます (3) 。



F.モリブデン過剰摂取のリスク
 モリブデンは過剰に摂取しても速やかに排泄されるため、健康な人では通常の食生活で過剰症が問題となることは、ほとんどありません (3) 。
 モリブデンの急性中毒では、下痢を伴う胃腸障害を起こし、昏睡状態・心不全により死に至るとされています (3) 。慢性中毒では、関節の痛みや高尿酸血症など、痛風の様な症状が起こることがあります (3) 。



G.モリブデンはどのぐらい摂取すればよいの?
 各年齢別のモリブデンの食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2020年版) は以下の通りです (1) 。


<モリブデンの食事摂取基準 (μg/日) >

性別男性女性
年齢等 推奨量
(RDA)
目安量
(AI)
耐容
上限量
(UL)
推奨量
(RDA)
目安量
(AI)
耐容
上限量
(UL)
0〜5 (月)-2--2-
6〜11 (月)-5--5-
1〜2 (歳)10--10--
3〜5 (歳)10--10--
6〜7 (歳)15--15--
8〜9 (歳)20--15--
10〜11 (歳)20--20--
12〜14 (歳)25--25--
15〜17 (歳)30--25--
18〜29 (歳)30-60025-500
30〜49 (歳)30-60025-500
50〜64 (歳)30-60025-500
65〜74 (歳)30-60025-500
75以上 (歳)25-60025-500
妊婦(付加量)+0--
授乳婦 (付加量)+3--


推奨量 (RDA,recommended dietary allowance)
 ある性・年齢階級に属する人々のほとんど (97〜98%) が1日の必要量を充たすと推定される1日の摂取量。
目安量 (AI,adequate intake)
 ある性・年齢階級に属する人々が、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量。
 (特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量)
耐容上限量 (UL,tolerable upper intake level)
 ある性・年齢階級に属するほとんど全ての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことがないとみなされる習慣的な摂取量の上限。


H.モリブデン摂取状況
 モリブデンは、現在、国民健康・栄養調査の調査項目に入っていないため、データがありません (2) 。

■関連情報
・モリブデンの有効性と安全性について、個々の研究結果については「素材情報データベース【モリブデン】」をご覧下さい。

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<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>


参考文献

(1) 日本人の食事摂取基準 2020年版
(2) 令和元年 国民健康・栄養調査報告
(3) ミネラルの辞典:朝倉書店
(4) 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
(5) 健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック:第一出版
(6) 専門領域の最新情報 最新栄養学 第8版:建帛社
(7) 理化学辞典 第5版:岩波書店

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