健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

バターバー、西洋フキ [英]Butterbur [学名]Petasites hybridus

概要

バターバーはヨーロッパ全域に分布する、高さ1 mになる多年草である。大型の穂状花序中に淡桃紫色の花をつける。地上部は夏に、根は春から秋に採取される。俗に、「鼻づまり、花粉症によい」「片頭痛によい」「尿管の炎症によい」などと言われている。ヒトでの有効性については、特定の製剤では片頭痛に対する有効性が示唆されている。安全性については、肝毒性などのおそれがあるピロリジジンアルカロイドを含むため、おそらく危険である。また、ピロリジジンアルカロイドを除去した製品でも肝機能障害が報告されたためヨーロッパ諸国ではバターバー製品は承認されていないか、制限されている。欧州評議会のカテゴリーでは「食品では使用されない」とされている。ピロリジジンアルカロイドに関する注意喚起情報はこちらを参照。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・現時点において、「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」にも「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」にも該当しない (30) 。
・欧州評議会 (Council of Europe) のカテゴリーでは「食品では使用されない」 (not used in food) とされている (81) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・セスキテルペン化合物 (ペタシン (petasin) とイソペタシン (isopetasin) ) 、セスキテルペンラクトン、揮発油、ペクチン、ピロリジジンアルカロイド (pyrrolizidine alkaloids) を含む (94) (33) 。根はイヌリンを含む (33) 。

分析法

・酵素免疫測定法 (EIA) により、葉に含まれるアルカロイドを測定した報告がある(PMID:8693043)

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

一般情報
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) ではバターバー根乾燥物 (ペタシンなどのセスキテルペン化合物を含有) の尿路の急性の痙攣痛に対する使用が承認されている (58) 。

脳・神経・
感覚器

一般情報
・特定の製剤では片頭痛の予防に対して有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・片頭痛のある60名 (試験群33名、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、バターバーの成分を含む特定の製剤 (ペタシンおよびイソペタシンを15%含み、ピロリジジンアルカロイドは含まない) 100 mg/日を12週間摂取させたところ、片頭痛の頻度、強度、持続期間が軽減した (PMID:11020030) (PMID:14752215)
・片頭痛のある202名 (18〜65歳、試験群139名、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、バターバー抽出物50 mgまたは75 mgを2回/日、4ヶ月間摂取させたところ、75 mg摂取させた場合でのみ、片頭痛の回数が減少した (PMID:15623680)

免疫・がん・
炎症

一般情報
・特定の製剤では花粉症などのアレルギー性鼻炎に対して有効性が示唆されている (94) 。バターバーに含まれるペタシンが、免疫メディエーターを抑制し、鼻炎の症状を緩和する (PMID:12188041) (PMID:12859442)
RCT
・アレルギー性鼻炎患者330名を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、バターバー抽出物 (総ペタシンとして8 mg、3回/日) 、またはフェキソフェナジン (ヒスタミンH1拮抗薬) を摂取させたところ、バターバー抽出物はフェキソフェナジンと同等の効果が認められた (PMID:16114089)
・花粉症患者125名 (試験群61名、平均39歳、ドイツ、スイス) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、バターバー抽出物 (総ペタシンとして8 mg、4回/日) 、またはセチリジン (ヒスタミンH1拮抗薬) を2週間摂取させたところ、セチリジンと同等の効果が認められ、鎮静等の有害事象は少なかった (PMID:11799030)
・アレルギー性鼻炎患者35名 (スコットランド) を対象とした二重盲検無作為化クロスオーバープラセボ比較試験においてバターバー抽出物50 mgを2回/日、2週間摂取させたところ、効果は認めなかった (PMID:15281472)
・アトピー患者20名 (平均42±2歳、スコットランド) を対象とした二重盲検無作為化クロスオーバープラセボ比較試験において、ヒスタミン炎症反応、皮膚炎症反応に抑制効果は認められなかった (PMID:14989395)
・健康な成人10名 (20〜63歳、スイス) および季節性アレルギー鼻炎 (草花粉またはセイヨウトネリコ (ash tree) 花粉による) の成人8名 (28〜59歳、スイス) を対象とした二重盲検無作為化クロスオーバー試験において、バターバー抽出物を含む特定の製剤 (ペタシンを8 mg/錠含む) を2錠またはacrivastine (短時間作用型の抗ヒスタミン剤) 16 mgを摂取させ、その15分前と90分後にコデイン、ヒスタミン、メサコリン、花粉 (牧草またはセイヨウトネリコ:アレルギー患者のみ) によるプリックテストを実施したところ、バターバー抽出物は膨疹反応を抑制しなかった (PMID:16784008)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・肝毒性などのおそれがあるピロリジジンアルカロイドを含むため、摂取はおそらく危険である (PMID:12927933) (PMID:7700976) (94) 。
・肝毒性、発がん性、変異原性を示すおそれがある (94) 。
・慢性的に摂取すると静脈閉塞性疾患を引き起こすが生じる可能性がある。亜急性静脈閉塞性疾患は持続性の肝肥大を起こす可能性があるが症状ははっきりしない。急性静脈閉塞性疾患は上腹部の疝痛、嘔吐、下痢、数日以内の腹水産生などが生じる可能性がある (94) 。
・英国MHRAによると、バターバー製品(摂取量、期間とも不明)との関連が疑われる肝毒性が40例報告されている (急性肝炎9例、うち2例は肝移植が必要となる肝不全) 。しかし、これらの症例で使用されたバターバー抽出物はピロリジジンアルカロイドがほとんど除去されていたことから、ピロリジジンアルカロイド以外の成分 (セスキテルペンのペタシンなど) が肝毒性に関係している可能性が想定された。そのため、ヨーロッパ諸国において、バターバー製品は、承認されていないか制限されている (101) 。
・スイスではバターバー抽出物が医薬品として使用されていたが、ドイツでの肝機能障害の事例報告を受けて、バターバー根抽出物を含む特定の製品の許可を取り消した (81) 。
・ピロリジジンアルカロイドを除去したバターバーの成分を含む特定の製剤は、適切に摂取した場合の安全性が示唆されている。1 (PMID:11020030) (PMID:14752215) (PMID:15623680) 。しかし、長期摂取での安全性は明確にはなっていない (94) 。
・バターバー摂取により血液中の肝酵素値が上昇する可能性がある (94) 。
・経口摂取の有害事象として、頭痛、目のかゆみ、長期の便秘、褐色便、下痢、喘息、呼吸困難、皮膚変色、痒み、胃腸の不調、疲労感、めまいなどがある (PMID:11020030) (PMID:12864764) (94) 。
・バターバー抽出物の摂取により、げっぷ等の軽度の消化器症状が報告されている (PMID:15623680)
<妊婦・授乳婦>
・催奇形性を示すおそれがあるため、妊娠中の摂取はおそらく危険である (94) 。
・母乳中に移行するため、授乳中の摂取はおそらく危険である (94) 。
・ピロリジジンアルカロイドを除去した製品の安全性は信頼できる十分な情報が見当たらない(94) 。
<小児>
・ピロリジジンアルカロイドを含むため、摂取はおそらく危険である。
<その他>
・ピロリジジンアルカロイドにより、肝疾患が悪化する可能性がある (94) 。
・キク科に過敏な人は、アレルギーを引き起こす可能性がある (94) 。

禁忌対象者

・妊娠中・授乳中は使用禁忌との情報もある (81) 。

医薬品等との
相互作用

<試験管内・動物>
・in vitro試験 (ヒト肝細胞) において、ペタシンを37%含むバターバー抽出物が6β-HT (テストステロン代謝産物) を増加させたため、CYP3A4の誘導作用が示唆された (PMID:19770483)

<理論的に考えられる相互作用>
・CYP3A4を誘導するハーブやサプリメントおよび医薬品との併用により、バターバーに含まれるピロリジジンアルカロイドの毒性代謝物への変換が増加し、その毒性が強まることがある (PMID:12927933) (PMID:15649625)

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・特定のバターバー抽出物 (15%以上ペタシンおよびイソペタシンを含む) を投与:ラット経口2.5 g/kg以上 (PMID:12864764) (PMID:19770483) 、腹腔内約1 g/kg (PMID:12864764)
2.その他
・ヒト肝細胞を用いた in vitro試験において、ペタシンを37%含むバターバー抽出物15 μg/mLで細胞生存率の低下、細胞内ATP濃度の減少、細胞外のLDH活性の増加、AST活性の増加が認められた (PMID:19770483)

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・肝毒性などのおそれがあるピロリジジンアルカロイドを含むため、摂取はおそらく危険である。
・妊娠中・授乳中の摂取はおそらく危険である。使用禁忌との情報もある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) ではバターバー根乾燥物 (ペタシンなどのセスキテルペン化合物を含有) の尿路の急性の痙攣痛に対する使用が承認されている。
・特定の製剤では片頭痛、花粉症に対して有効性が示唆されている。

参考文献

(PMID:11799030) BMJ. 2002 Jan 19;324(7330):144-6.
(PMID:12188041) Int Immunopharmacol. 2002 Jun;2(7):997-1006
(PMID:12859442) Clin Exp Allergy. 2003 Jul;33(7):882-6.
(PMID:14752215) Eur Neurol. 2004;51(2):89-97. Epub 2004 Jan 28.
(PMID:12927933) J Hepatol. 2003 Sep;39(3):437-46.
(PMID:12864764) Headache. 2003 Jan;43(1):76-8.
(PMID:15649625) Toxicol Lett. 2005 Mar 15;155(3):411-20.
(PMID:8693043) Planta Med. 1996 Jun;62(3):267-71.
(PMID:15623680) Neurology. 2004 28;63(12):2240-4.
(PMID:16114089) Phytother Res. 2005;19(6):530-7.
(PMID:15281472) Ann Allergy Asthma Immunol. 2004;93(1):56-60.
(PMID:15649625) Toxicol Lett. 155(3):411-20 (2005)
(PMID:11020030) Int J Clin Pharmacol Ther 2000;38:430-5.
(PMID:14989395) Ann Allergy Asthma Immunol. 2004 92(2):250-4
(58) The Complete German Commission E Monographs
(PMID:7700976) Pharmazie. 1995 Feb;50(2):83-98.
(PMID:11020030) Int J Clin Pharmacol Ther 2000;38:430-5.
(101) 英国MHRAウェブページ (2012年1月27日)
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」 (別添2、別添3、一部改正について)
(33) 世界薬用植物百科事典 誠文堂新光社  A.シェヴァリエ
(PMID:16784008) J Investig Allergol Clin Immunol. 2006;16(3):156-61.
(PMID:19770483) Toxicol Sci. 2009 Dec;112(2):507-20. Epub 2009 Sep 21.
(94) Natural Medicines
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(81) Herbal Medicines Third edition (Pharmaceutical Press)

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