マンガン解説

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マンガン解説


A.マンガンとは?
 マンガンは、岩石や土壌、淡水や海水など地球上に広く分布する元素で、多くの動植物中にも存在しています (3) 。生体内では、酵素の活性化や金属酵素の構成成分として機能しています (6) 。通常の食事で不足することはないとされており、穀類、種実類などの植物性の食品に多く含まれています (4) 。

B.マンガンの供給源になる食品
 主な食品のマンガン含有量は以下の通りです (4) 。(可食部100gあたり)




C.マンガンの特性(単位・化学的安定性)
 マンガンは元素記号Mn、原子番号25、原子量54.94の銀白色の金属で、空気中では表面が酸化されます。多くの元素と直接作用し、水とは徐々に反応、酸には溶けやすい性質を持ちます (7) 。

D.マンガンの吸収や働き
 マンガンは、吸入・経口・経皮的に吸収されます。食事から摂取したマンガンは、胃酸によって2価として溶け、腸管細胞の酸化機構で3価となって吸収されます (1) 。腸管細胞に吸収された後の輸送機構については不明な点が多いのですが、吸収されたマンガンは門脈を通って肝臓に運ばれ、胆汁中から腸管に分泌されて、ほとんどが糞便として排泄されます (3) 。マンガンの吸収はと競合するため、食事中の鉄の含有量が高いとマンガンは吸収されにくくなるという関係があります (1) 。マンガンの吸収率は0.5〜3%と低いことが知られています (3) 。
 マンガンは体重70 kgの成人の体内に約12 mg存在し、全身の各組織に一様に分布していますが (1) 、中でも、ミトコンドリア内に多く存在し (3) 、その他では網膜、毛髪、皮膚色素沈着部など体内の色素部で高濃度に含まれます (3) 。マンガンは、酸化還元酵素、加水分解酵素、脱水素酵素、転移酵素など、多くの酵素活性に対して特異的・非特異的に影響を与えます (6) 。また、アルギニン分解酵素、乳酸脱炭酸酵素、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ (MnSOD) の構成成分でもあります (1) 。生理的作用としては、結合組織と骨の形成や内耳の発育形成、耐糖能、生殖能、脂質代謝、成長および脳機能への関与が報告されています (3) 。

E.マンガン不足の問題
マンガン不足はどのようにして起こるの?
 健康な人では、通常の食事でマンガンが不足することはほとんどありません (3) 。

マンガンが不足すると、どのような症状が起こるの?
 ヒトにおけるマンガン不足については、研究が不十分なため明確にはされていません (6) 。不足により、骨格異常、糖質の代謝障害、脂質代謝異常、生殖機能低下、運動失調 (3) 、皮膚代謝の異常 (1) などが起こる可能性があると考えられていますが、いずれもマンガン不足に特異的な症状ではありません (1) 。

F.マンガン過剰摂取のリスク
 健康な人では、通常の食生活でマンガンの過剰摂取が問題となることはありません。マンガンの慢性中毒は大部分が経気道吸収によるものです。マンガン中毒では、強い精神障害やパーキンソン病に似た中枢神経系障害、マンガン肺炎が起こります (3) 。



G.マンガンはどのぐらい摂取すればよいの?
 各年齢別のマンガンの食事摂取基準 (日本人の食事摂取基準2020年版) は以下の通りです (1) 。


<マンガンの食事摂取基準 (mg/日) >

性別男性女性
年齢等 目安量 
(AI)
耐容上限量
(UL)
 目安量 
(AI)
耐容上限量
(UL)
0〜5 (月)0.01-0.01-
6〜11 (月)0.5-0.5-
1〜2 (歳)1.5-1.5-
3〜5 (歳)1.5-1.5-
6〜7 (歳)2.0-2.0-
8〜9 (歳)2.5-2.5-
10〜11 (歳)3.0-3.0-
12〜14 (歳)4.0-4.0-
15〜17 (歳)4.5-3.5-
18〜29 (歳)4.0113.511
30〜49 (歳4.0113.511
50〜64 (歳)4.0113.511
65〜74 (歳)4.0113.511
75以上 (歳)4.0113.511
妊婦3.5-
授乳婦3.5-


目安量 (AI,adequate intake)
 ある性・年齢階級に属する人々が、ある一定の栄養状態を維持するのに十分な量。
 (特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量)
耐容上限量 (UL,tolerable upper intake level)
 ある性・年齢階級に属するほとんど全ての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことがないとみなされる習慣的な摂取量の上限。


H.マンガン摂取状況
 マンガンは、現在、国民健康・栄養調査の調査項目に入っていないためデータがありません (2) 。

■有効性と安全性に関する研究情報をまとめている「素材情報データベース」や関連情報もあわせてご覧ください。
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<国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所>


参考文献

(1) 日本人の食事摂取基準 2020年版
(2) 令和元年 国民健康・栄養調査報告
(3) ミネラルの辞典:朝倉書店
(4) 日本食品標準成分表2015年版(七訂)
(5) 健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック:第一出版
(6) 専門領域の最新情報 最新栄養学 第8版:建帛社
(7) 理化学辞典 第5版:岩波書店

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