健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ヨウ素、ヨード [英]Iodine (I) [学名]

概要

ヨウ素は生体内では、ほとんどが甲状腺に存在し、成長期の発達や基礎代謝調節で重要な働きをしている甲状腺ホルモンの構成成分として、必須な元素である。ヨウ素は植物中には少なく、魚や海草類には比較的多く含まれるため、日本人でのヨウ素欠乏はほとんど見られない。一般に、「甲状腺ホルモンを作る」「基礎代謝を高める」「発育を促進する」などと言われている。ヒトでの有効性については、ヨウ素欠乏による甲状腺腫、甲状腺機能亢進症に対して、経口摂取で有効である。安全性については、適切に用いれば経口摂取でおそらく安全である。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。基礎的な解説は「ヨウ素解説」を参照。

法規・制度

・ヨウ素は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・元素記号I、原子番号53、原子量126.90。天然では遊離型では存在せず、主に有機物として存在する。

分析法

・ヨウ素の分析には、ガスクロマトグラフィー法 (PMID:12568540) や誘導結合プラズマ質量分析法 (ICP-MS法) が用いられる (PMID:12876685)

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

一般情報
・甲状腺中毒急性発作の治療に経口摂取で有効である (94) 。
・甲状腺機能亢進症および地方病性甲状腺腫に経口摂取で有効である (94) 。

生殖・泌尿器

一般情報
・乳房線維嚢胞病の治療に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。

脳・神経・
感覚器

メタ分析
・2013年4月までを対象に2つのデータベースで検索できた無作為化比較試験2報について検討したメタ分析において、ヨウ素欠乏地域における学童のヨウ素摂取は認知機能の上昇と関連が認められたが試験によるばらつきが大きかった (PMID:24088547)
・2011年11月までを対象に1つのデータベースで検索できた介入試験およびコホート試験24報について検討したメタ分析において、妊婦によるヨウ素サプリメント摂取 (13報) や妊娠中の母体 (9報) および出生時の子ども (3報) のヨウ素濃度の高さは、子どもが5歳までの精神発達の評価の高さと関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:23609774)
その他
・妊婦1,040名 (17〜44歳、イギリス) を対象としたコホート研究において、妊娠初期の尿中ヨウ素/クレアチニン比の低い妊婦の子どもは、8歳時の言語IQ、9歳時の読取精度や読解能力の評価が低かった (PMID:23706508)

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

メタ分析
・2016年11月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験または準無作為化比較試験11報について検討したメタ分析において、妊娠直後、妊娠中、出産後の女性におけるヨウ素サプリメントまたは添加食品の摂取は、子の甲状腺腫リスク低下 (2報) 、甲状腺体積減少 (3報) との関連が認められたが、産後の甲状腺機能低下症 (3報) 、早産 (2報) 、低出生体重 (2報) 、子の甲状腺機能低下症または血中TSH上昇 (2報) 、自然流産 (3報) 、胎内発育不全 (2報) 、妊娠中および産後の甲状腺腫 (各2報) のリスクに影響は認められなかった (PMID:28260263)

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

一般情報
・放射性ヨードによる曝露に経口摂取で有効である (94) 。
・去痰剤として用いた場合、有効である (94) 。
・皮膚スポロトリクム感染に経口摂取で有効である (94) 。
・欠乏により甲状腺機能低下 (55) 、甲状腺腫 (1) (53) (55) (56) を起こす。
・欠乏により神経障害、情緒行動障害、神経筋肉障害などを招く (1) 。
・欠乏により胎児新生児死や不妊、骨形成抑制、聴覚障害、精神遅延を招く (1) 。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・過剰摂取からくる甲状腺腫 (3) (55) 、甲状腺機能亢進症 (55) 、体重減少 (1) 、頻脈 (1) 、筋力低下 (1) 、皮膚熱感 (1) などが知られている。
・適切に用いればおそらく安全である (94) 。適切に用いれば高摂取しても短期間ならば安全性が示唆されている。しかし長期間では甲状腺機能低下などの有害事象が現れることがある (94) 。
・高用量の経口摂取は危険性が示唆されている (94) 。上限量以上を、適切な医学的判断なしに使用しないこと。甲状腺機能低下などの有害事象が現れることがある (94) 。
・外用でも2%溶液として使用した場合、おそらく安全である (94) 。
・経口摂取で過敏症を起こし、その症状は血管浮腫、皮膚および粘膜出血、発熱、関節痛、リンパ節肥大、好酸球増加、蕁麻疹、紫斑病、重篤な動脈周囲炎が挙げられる (94) 。
・長期間の多量摂取で、金属味、歯と歯茎の痛み、口中や喉の焼けつく感じ、唾液増加、コリーザ (鼻感冒) 、くしゃみ、目の刺激、まぶたの腫れ、頭痛、せき、肺の浮腫、耳下腺や顎下腺の腫れ、咽喉頭および舌の炎症、にきび、胃腸の不調、下痢、食欲不振、うつが起きることがある (94) 。
・外用の副作用としては、皮膚のしみ、刺激、感作などがあげられる (94) 。
・2016年6月までを対象に5つのデータベースで検索できた横断研究9報について検討したメタ分析において、成人による多量のヨウ素摂取は潜在性甲状腺機能低下症、顕性甲状腺機能低下症 (各3報) のリスク上昇と関連が認められた (PMID:28282437)
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中においては適切に耐容上限量未満で用いるのであれば、おそらく安全である (94) 。それ以上の摂取は短期間でも危険性が示唆されている (94) 。
・2016年6月までを対象に5つのデータベースで検索できた横断研究9報について検討したメタ分析において、妊婦による多量のヨウ素摂取は潜在性甲状腺機能低下症 (各3報) のリスクと関連は認められなかった (PMID:28282437)
<小児>
・小児は適切に用いれば経口でおそらく安全である。長期間の多量摂取は危険性が示唆されている (94) 。
・2016年6月までを対象に5つのデータベースで検索できた横断研究9報について検討したメタ分析において、小児による多量のヨウ素摂取は潜在性甲状腺機能低下症 (各3報) のリスクと関連は認められなかった (PMID:28282437)
<その他>
・市販食品約100種類のヨード含有量を測定したところ、即製昆布だし、昆布入りうどんだし、昆布茶などでは通常摂取量で1日所要量を超える可能性がある (2003315156) 。
<被害事例>
・II型糖尿病、C型肝炎・肝硬変、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症、腰部脊柱菅狭窄症、狭心症の既往歴があり、多数の薬剤とともに慢性甲状腺炎および甲状腺機能低下症のためレボチロキシンを服用中の68歳男性 (日本) が、根昆布10 gで作った多量の昆布水 (ヨウ素約13,000μg含有) を2カ月間摂取したところ、全身倦怠感を訴え、それまで安定していた甲状腺ホルモンおよびサイログロブリン値の上昇、TSHの低下が認められ、ヨード誘発性甲状腺機能亢進症と診断された。レボチロキシン中止後も改善せず、昆布水の摂取中止と加療により改善した (2017288139) 。
ヨードの過剰摂取により、甲状腺機能低下症を発症した報告がある。
・生後38週男児 (日本) が、妊娠中より母親が昆布と即席昆布だしから4,300μg/日 (所要量の約30倍) のヨードを摂取していたため、先天性甲状腺機能低下症と診断された (2003315156) 。
・67歳男性 (日本) が糖尿病の食事療法として海藻類を多食し平均100 mg/日以上のヨードを2年間摂取していたため、ヨード誘発性甲状腺機能低下症と診断された (2003283994) 。
・79歳女性 (日本) が乾燥おやつ昆布を1週間に30 g、約1年間摂取し、原発性甲状腺機能低下症を発症した (2003205625) 。
・69歳女性 (日本) が1〜2年前より昆布を大量摂取していたため、原発性甲状腺機能低下症と診断された (2000218922) 。
・29〜47歳の男女8名 (オーストラリア) が、昆布エキス添加豆乳 (ヨード25 mg/L含有) を100〜1,000 mL /日、日常的に摂取し、甲状腺機能低下症を発症した (PMID:20919974)
・妊娠中の女性が昆布エキス添加豆乳 (ヨード27.58 mg/L含有) を500mL /日摂取していたため、生後19日の男児 (オーストラリア) が甲状腺機能低下症と診断された (PMID:20919974)
・授乳中の母親2名が海藻スープを毎日摂取していたため、それぞれの乳児 (生後3週1名、生後1ヶ月1名) (オーストラリア) が甲状腺機能低下症を発症した (PMID:20919974) (PMID:21276114)
・女性2名 (アメリカ) がヨードのサプリメント製品”Iodoral” (ヨード12.5 mg/日含有) を妊娠期間中摂取していたため、それぞれの新生児3名 (2名は二卵性双生児) が甲状腺機能低下症を発症した (PMID:22841183)
・授乳中の母親 (日本) が野菜と海藻のみを数ヶ月摂取していたところ、9ヶ月齢男児が甲状腺機能低下症と診断された (2009052989) 。
・II型糖尿病に罹患している43歳男性 (日本) が、昆布約100gと焼海苔30gおよび他の海藻類 (摂取量不明) をほぼ毎日摂取していたところ、慢性甲状腺炎と診断された (2010091059) 。
・31歳妊婦 (日本) が妊娠初期から「だしパック」 (さばぶし、かつおぶし、昆布を含む) 1袋 (摂取量不明) をコップ1杯のお湯に溶かし毎日摂取していたところ、胎児に甲状腺機能低下症性甲状腺腫が認められた (2010340358) 。
・妊婦 (日本) が妊娠後期から出産後3ヶ月まで、数種の海藻を50〜100 g/日 (ヨード20〜40 mg/日に相当) 摂取していたところ、新生児の出生5日後のスクリーニング検査では異常が認められなかったが、3ヶ月齢時に甲状腺機能低下症を発症した (PMID:23239635)
・妊娠高血圧の女性 (日本) が、妊娠初期から減塩のため自家製昆布だし約1 L (ヨウ素約900μg含有) /日と即席スープを用いた食事をほぼ毎日摂取していたところ、在胎35週で出生した新生児において、39日齢時に高TSH血症、低サイロキシン血症、45日齢時にサイログロブリン高値が確認された。投薬治療開始後も尿中ヨウ素が高値であったが、女性の昆布だしとスープの摂取中止によって改善し、妊娠中および授乳期の母体ヨウ素過剰摂取による甲状腺機能低下症と診断された (2016337984) 。

・66歳男性 (日本) が数十年間毎日わかめを摂取し、全身性掻痒性紅斑性皮疹が出現し、ヨードに対する遅延型過剰反応によるアレルギーと診断された (1991018045) 。
・甲状腺がんで放射性ヨウ素治療を受けている55歳の男性 (イギリス) が、複数のサプリメントを摂取し、体内ヨウ素濃度が高値を示して治療の妨げとなったという報告がある。摂取していた製品の表示にヨウ素含有の記載はなかったが、セレンサプリメント中のケルプがヨウ素源となっていた (PMID:19164199)
・新生児甲状腺機能低下症のマススクリーニング陽性者440名のうち、ヨード過剰による一過性甲状腺機能低下症と診断されたのは20名で、その予防には胎児造影の禁止、周産期のヨード含有消毒剤の安易な使用、妊娠中の海藻の過度の摂取や不要なヨード剤の摂取、ヨード含有消毒剤によるうがい、新生児の造影や消毒などに注意する必要がある (2002268410) 。

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・抗不整脈剤であるアミオダロンはヨウ素を37.3%含有するので、ヨウ素のサプリメントと併用すると、ヨウ素の血漿濃度が上昇する。使用に際しては甲状腺機能をモニターすること (94) 。
・ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、カリウム保持製利尿薬はヨウ化カリウムとの併用で高カリウム血症を起こすことがある (94) 。
・自己免疫甲状腺疾患を持つ人はヨウ素の有害事象が出やすい (94) 。甲状腺機能不全の人は、ヨウ素を長期や多量に使用すると甲状腺肥大、甲状腺腫、甲状腺機能低下が増悪するおそれがある (94) 。
・甲状腺に関する臨床検査値に影響を与えることがある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・ヨウ素を投与:ラット経口14 g/kg、マウス経口22 g/kg (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・適切に用いれば経口摂取でおそらく安全であるが、過敏症の症状として、血管浮腫、皮膚および粘膜出血、発熱、関節痛、リンパ節肥大、好酸球増加、蕁麻疹、紫斑病、重篤な動脈周囲炎がある。
・長期使用で甲状腺肥大、甲状腺腫、重篤な甲状腺機能不全が起こることがある。
・カリウムを含有する製剤[カリウム保持性利尿薬、ACE (アンジオテンシン変換酵素) 阻害剤]などとの併用で高カリウム血症を起こすことがある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・経口摂取で有効なのは、1) 甲状腺中毒急性発作の治療、2) 甲状腺腫 (ヨウ素欠乏によるものおよび甲状腺機能亢進症を伴うもの) 、3) 放射性ヨード汚染 (被爆) 、4) 皮膚スポロトリクム菌による感染。
・乳房線維嚢胞病の治療に経口摂取で有効性が示唆されている。

参考文献

(1) 最新栄養学 第10版 (建帛社) 木村修一ら 翻訳監修
(3) 日本人の食事摂取基準 (2015年版)
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(53) The Health Benefits of Vitamins and Minerals ERNA(European Responsible Nutrition Alliance)K.H.bassler et al.
(55) Harper's Biochem 23th ed
(56) Textbook of Biochemistry by Delvin
(PMID:12568540) J Agric Food Chem. 51(4):867-70, 2003.
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