健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

マンガン [英]Manganese (Mn) [学名]

概要

マンガンは動植物に必要な元素であり、体内では多くの酵素 (MnSOD、乳酸脱水素酵素、アルギニン分解酵素) の構成成分として、抗酸化や糖質・脂質・タンパク質の代謝に関わっている。生体内組織では、ほぼ一様に分布しているが、特にミトコンドリア内に多い。通常の食生活でマンガンが欠乏することは、ほとんどないとされている。一般に、「骨、関節を強化する」「糖尿病を予防する」などと言われている。ヒトでの有効性については、カルシウムとの併用で月経前症候群 (PMS) に有効性が示唆されている。安全性については、適切に摂取する場合、おそらく安全であるが、過剰に摂取するとパーキンソン病を中心とした中枢神経系障害を引き起こすという報告がある。マンガンを多く含む食品としては、穀類、ナッツ類、納豆、レンコンなどがある。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。基礎的な解説は「マンガン解説」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・元素記号Mn、原子番号25、原子量54.94。周期表7 (7A) 族の金属元素であり、動植物で不可欠な元素である。植物ではマンガンが欠乏すると葉緑素の生成が少なくなる。動物組織内では鉄と共存して微量ながら広く分布し、ヒトでは肝、膵臓、毛髪に多く存在する。
・茶葉中のマンガン含有量はウーロン茶1,440μg/g、煎茶670μg/g、紅茶535μg/gであった。茶浸出液500 mLを飲用した場合、マンガン推定摂取量は約1.2〜2.9 mg/日となり、食品からのマンガン摂取量の約32〜79%を占めるという報告がある (1995047710) 。
・一般の病院食中のマンガン摂取量を測定したところ、食物からは約3 mg/日、緑茶からは約4 mg/日であったという報告がある (1991175613) 。

分析法

・原子吸光光度法 (波長:279.5 nm) により分析されている (101) (102) 。最近では誘導結合プラズマ発光分析法 (ICP法) も使用されている (PMID:15161212) (PMID:15098084)

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

一般情報
・月経前症候群 (PMS) に対して有効性が示唆されている。カルシウムとの併用で、月経前の孤独感、不安、イライラ、情緒不安定、うつ、緊張などの症状が軽減したという知見がある (PMID:8498421)

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

一般情報
・骨粗鬆症に対して有効性が示唆されている。カルシウム、亜鉛、銅との混合摂取で閉経後の女性の背骨の減少を抑えた (PMID:8027856)

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

一般情報
・マンガン欠乏症の予防および治療に対して有効である (94) 。
・ヒトでの欠乏症は臨床で確認されていない (PMID:15105259)
・欠乏すると脂質代謝異常を起こす (28) 。
・欠乏すると骨の異常 (3) 、成長障害 (1) (3) を招く。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・過剰摂取でパーキンソン病様症状 (1) (3) (55) 、精巣障害 (55) 、脳障害 (94) 、精神病 (94) などを引き起こす。経管中心静脈栄養に添加された微量元素製剤の長期投与によるマンガン中毒性パーキンソニズムの報告がある (103) 。溶接作業によるマンガン中毒性パーキンソニズムの報告がある (PMID:11332192) 。高カロリー輸液 (1日総マンガン量20μmol) によりマンガン中毒をきたした (105) 。
・過剰摂取により、パーキンソン病様症状 (PMID:10768639) (PMID:12796527) を含む神経毒性のリスクが上昇するおそれがある。慢性肝疾患によるマンガンの蓄積は、パーキンソン病様の錐体外路症候群、脳障害、精神病を引き起こすと考えられる (PMID:8738919) 。マンガンに暴露されやすい職業に携わっている人で、錐体外路症候群、起立性低血圧、心拍数低下、気分障害、認知障害が報告されている (PMID:9630445)
・適切に用いる場合、おそらく安全である。一般的に19歳以上の成人で11 mg/日まで安全であるが、それ以上の多量摂取は危険性が示唆されている (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中においても適切に用いる場合、おそらく安全である (94) 。11 mg/日以上の多量摂取は危険性が示唆されている (94) 。
<小児>
・適切に用いる場合、おそらく安全である。多量摂取は危険性が示唆されている (94) 。
<被害事例>
・55歳男性 (アメリカ) が、高濃度のマンガン含有塵に暴露する環境で勤務していたところ、腕と手の甲にうろこ状の紅斑を5年間にわたって経験し、パッチテストでマンガンに陽性を示した。ステロイド塗布を続けていたが症状が継続し、工場勤務を辞めて3年後に改善した (PMID:25207694)
・37歳女性 (アメリカ) が複数のハーブサプリメントとともにマンガン100 mg/日を2〜4年間、その後30 mg/日を2ヶ月間摂取、2週間前より摂取を中止したが、首の筋肉の緊張異常、斜頸、首の痛み、不安、構音障害、嚥下障害、摂食障害、口の筋肉の緊張異常などを生じ、パーキンソン病と診断された。Naranjoの有害事象の因果関係評価指標は7 (probable) であり、慢性マンガンサプリメント摂取によりパーキンソン病が引き起こされたと考えられた (PMID:28074748)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・カルシウム、鉄との併用でマンガンの吸収が低下する可能性がある (PMID:2010579) (PMID:8498421) 。亜鉛との併用ではマンガン吸収が増加し、血中濃度が上昇する可能性がある (PMID:2010579)
・フィチン酸を含む食品 (シリアル、豆類など) やサプリメントとの同時摂取でマンガン吸収が低下する可能性がある。少なくとも2時間以上空けて使用すること (94) 。
・フルオロキノロン類、テトラサイクリン類と併用すると、同薬の吸収を阻害することが考えられる (94) 。
・臨床検査値において、アルカリフォスファターゼ、骨密度、便の色などに影響を与えることがある (94) (PMID:8027856)
・慢性の肝機能障害のある人は注意して用いること。マンガンが蓄積しやすく、毒性が発現するおそれがある (PMID:8738919) (PMID:7630246)
・鉄欠乏性貧血の人ではマンガン吸収が促進されることが考えられる (PMID:2693644)
・経管栄養を受けている患者はマンガン毒性のリスクが高い。0.1 mg/日の投与で毒性が報告されている。経管栄養患者におけるマンガン毒性は、添加したマンガンおよび意図しない混入の両方のケースで報告されている (PMID:15105259)

動物他での
毒性試験

1. LD50 (半数致死量)
・マンガンを投与:ラット経口 9 g/kg (91) 。
2. その他
・妊娠前半期、後半期、哺育期のラットに1,000 ppmのマンガン水を自由摂取させ飼育したところ (約25〜35倍の暴露量) 、各期における母獣・胎仔・哺育仔の経過および全身所見に異常はなかったが、哺育期の乳仔の全身マンガン量が高く、母獣へのマンガン暴露は、乳仔のマンガン量を増加させることを示唆した (1988162673) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・妊娠中・授乳中を含め、適切に用いる場合、おそらく安全であるが、過剰摂取は危険性が示唆されている。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・有効性が示唆されているのは、1) カルシウムとの併用で月経前症候群 (PMS) 、2) カルシウム、亜鉛、銅の併用で骨粗鬆症。

参考文献

(1) 最新栄養学 第10版 (建帛社) 木村修一ら 翻訳監修
(3) 日本人の食事摂取基準 (2015年版)
(28) 最新栄養学 第9版 (建帛社) 木村修一ら 翻訳監修
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(55) Harper's Biochem 23th ed
(101) 五訂 日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説 財団法人日本食品分析センター編集 (中央法規) ISBN 4-8058-4348-9
(102) 食品衛生検査指針 理化学編 厚生省生活衛生局監修 (社団法人日本食品衛生協会)
(103) 神経治療学16:623,1999.
(105) 日生病院医学雑誌29:32-35,2001
(PMID:2010579) J Am Coll Nutr. 1991, 10(1):38-43.
(PMID:8027856) J Nutr. 1994, 124(7):1060-4.
(PMID:8738919) Can J Neurol Sci. 1996, 23(2):95-8.
(PMID:7630246) Lancet. 1995, 346(8970):270-4.
(PMID:2693644) J Nutr. 1989, 119(12 Suppl):1832-8.
(PMID:8498421) Am J Obstet Gynecol. 1993 May;168(5):1417-23.
(PMID:15105259) Ann N Y Acad Sci. 2004 Mar;1012:115-28.
(PMID:10768639) Arch Neurol. 2000 Apr;57(4):597-9.
(PMID:12796527) Neurology. 2003 Jun 10;60(11):1761-6.
(PMID:9630445) Environ Res. 1998 Jul;78(1):50-8.
(PMID:15161212) J Agric Food Chem. 2004 Jun 2;52(11):3441-5.
(PMID:15098084) Anal Bioanal Chem. 2004 Jun;379(3):512-8.
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS).
(1995047710) 日本衛生学雑誌. 1993; 48(4)864-872
(1991175613) Osaka City Medical Journal.1990; 36(1): 53-59
(1988162673) 日本衛生学雑誌. 1987; 42(2): 633-639
(PMID:11332192) Rinsho Shinkeigaku. 2000 Nov;40(11):1110-5.
(94) Natural Medicines
(PMID:25207694) Dermatitis. 2014 Sep-Oct;25(5):280-1.
(PMID:28074748) Consult Pharm. 2016 Dec 1;31(12):698-703.

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