健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ナイアシン、ニコチン酸およびニコチンアミド [英]Niacin、Nicotinic acid、Nicotinamide [学名]

概要

ナイアシンはニコチン酸とニコチンアミドの総称で、活性型補酵素 (NAD、NADP) として、生体内でエネルギー産生や、脂質の代謝、アミノ酸代謝などに関与するビタミンである。生体内ではトリプトファンから合成される。ナイアシンの欠乏症は皮膚炎・認知症・下痢を起こすペラグラであるが、日本人では欠乏症はほとんどみられない。一般に、「脳神経の働きを助ける」「血行をよくする」などと言われている。ヒトにおいてニコチン酸およびニコチンアミドは、ナイアシン欠乏症の予防に有効である。安全性については、適切に摂取する場合、おそらく安全である。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。基礎的な解説は「ナイアシン解説」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に区分される (30) 。 
・「指定添加物」:ニコチン酸、ニコチンアミドともに強化剤である。「栄養機能食品」の対象成分である (下限値:3.3 mg、上限値:60 mg) 。→通知文1 (PDF) 通知文2 (PDF)

成分の特性・品質

主な成分・性質

・ニコチン酸は分子量 (MW) 123、融点 234〜237℃、水・アルコール・アルカリに可溶。ニコチンアミドは白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味は苦い。水又は95%エタノールに溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けにくい。融点128〜131℃。

分析法

・乳酸菌 (Lactobacillus plantarum ATCC 8014) の成育度を利用する微生物学的定量法 (バイオアッセイ) により分析されている (101) (102) 。

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・いくつかのナイアシン製剤が医療用医薬品としてFDAに承認されている。脂質異常症の治療には高用量を要するため、通常サプリメントは適さない (94) 。
・LDLコレステロールを下げる必要のある患者の、二次治療として一般的に使用される。ただし、混合型脂質異常症またはHDLコレステロールを上昇させる必要がある患者の第一選択として考えられることもある (94) 。
・ナイアシンはLDLコレステロールとトリグリセリドを低下させ、HDLコレステロールを上昇させる (94) 。
・食事および単剤薬物治療では十分な効果が得られなかった場合において、他のコレステロール低下薬と併用で使用する (103) 。
・ナイアシンは心筋梗塞の再発予防に有効性が示唆されている (94) 。
・心臓血管疾患の既往症がある男性において、アテローム性動脈硬化症に対し、胆汁酸吸着剤と併用でナイアシンの摂取は有効性が示唆されている。大規模臨床試験において、ニコチン酸とコレスチポール (胆汁酸吸着剤) を併用した場合、冠状動脈のアテローム性動脈硬化症の進行を防ぎ、アテローム性動脈硬化症からの回復を促し、心臓血管病のイベント (死亡や心筋梗塞、血管移植処置などを含む) の発生率を減少させた (94) 。
・ニコチンアミドは高脂質血症に対してはおそらく効果がない (94) 。
メタ分析
・2017年10月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験179報について検討したメタ分析において、ナイアシンサプリメントの摂取は、心血管疾患 (発症:4報、死亡:3報) 、冠動脈疾患 (2報、3報) 、心筋梗塞 (5報、0報) 、脳卒中 (5報、0報) のリスクおよび総死亡率 (4報) への影響は認められなかった (PMID:29852980)
RCT
・冠状動脈性心臓病の患者146名 (平均53歳、アメリカ、カナダ) を対象とした、二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ナイアシン徐放性製剤2〜4 g/日とシンバスタチン (HMG-GoA還元酵素阻害剤) 2〜4 g/日を3年間併用させたところ、心血管系イベント (死亡、心筋梗塞、発作) の発症率が低下した (PMID:11757504)
・心筋梗塞の既往歴がある男性 (30〜64歳、アメリカ) を対象とした無作為化プラセボ比較試験においてナイアシン3.0 g/日を4.5年以上摂取させたところ、死亡率の低下が認められた (PMID:3782631)
・健康な成人1,000名 (18〜85歳、試験群665名、アメリカ) を対象とした、二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、1日にケルセチン500 mg、ビタミンC 125 mg、ナイアシン5 mg、または、ケルセチン1,000 mg、ビタミンC 250 mg、ナイアシン10 mgを12週間摂取させたところ、平均動脈圧、血中LDLコレステロール、HDLコレステロール濃度のごくわずかな低下がみられたが、収縮期・拡張期血圧、血糖値、血中中性脂肪、炎症マーカーなどに影響は認められなかった (PMID:21443986)
・血管疾患を有する男女25,673名 (試験群12,838名、平均64.9±7.5歳、イギリス、スカンジナビア諸国、中国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、スタチンベースのLDLコレステロール低下療法とともにナイアシン2 g/日+ラロピプラント(プロスタグランジンDP1受容体遮断薬でナイアシンのほてり防止) 40 mg/日を平均3.6年間摂取させたところ、血管再生術受療率低下が認められたが、主要血管イベントおよび脳卒中の発症リスクに影響は認められず、有害事象 (糖尿病患者における重篤な血糖コントロール障害、新規糖尿病発症、消化器・筋骨格・皮膚関連、感染症、出血) の頻度上昇が認められた (PMID:25014686)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

一般情報
・ニコチンアミドは、I型糖尿病のリスクが高い小児において、症状の進行を防ぐのに有効性が示唆されている。
・ニコチンアミドは新たにI型糖尿病と診断された患者において、残存する膵臓のβ細胞の機能を維持するのに有効性が示唆されている。プラセボ対照実験1件とビタミンEとの比較実験1件を含む複数の臨床研究において、ニコチンアミドは新たにI型糖尿病と診断された患者のハネムーン期 (一時的にインスリンの自己分泌が戻る寛解期) を延長させる。今日までにイタリアの1グループで臨床試験が終わっており、インスリン耐性の誘導が同時に起こる懸念が浮上している (94) 。
・ニコチンアミドはII型糖尿病の成人において、残存するβ細胞の機能を保護し、血糖値コントロールを向上するのに有効性が示唆されている。小規模単盲検プラセボ比較試験では、ニコチンアミドはスルホニルウレア系薬剤による治療が無効であった痩せた糖尿病患者において、C-ペプチドの分泌を増加させ、インスリンの分泌を促進した (94) 。
RCT
・膵島細胞抗体試験陽性(I型糖尿病)の児童 (5〜7.9歳、オランダ) 173名を対象とした二重盲検無作為化比較試験においてニコチンアミド500 mg×2回/日、2.5年の摂取は、I型糖尿病の進行予防効果がみられたという予備的な報告がある (PMID:8961125) 。毎日摂取した場合の糖尿病予防効果について、大規模な長期試験が多数の国で始まっている (PMID:8140661) 。ドイツのグループによる予備実験の結果では予防効果はみられなかったが、まだニコチンアミドの糖尿病予防効果の可能性は否定されてはいない (94) (PMID:15043959)

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

RCT
・健康な高齢女性220名 (平均63歳、試験群111名、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンサプリメント (ビタミンC 150 mg、ビタミンE 36 mg、ビタミンB1 2.4 mg、ビタミンB2 3.2 mg、ビタミンB6 3.4 mg、ビタミンB12 9μg、ナイアシン 34 mg、パントテン酸 16 mg、ビオチン 200μg、葉酸 400μg、カロテン 9 mg、マグネシウム 50 mg、セレン 60μg含有) を6ヶ月間摂取させたところ、認知機能に影響は認められなかった (PMID:15917019)
・慢性疲労症候群患者73名 (試験群39名、平均49.3±7.1歳、スペイン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、コエンザイムQ10 200 mg+NADH (還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド) 20 mg /日を8週間摂取させたところ、ピッツバーグ睡眠質問票における睡眠困難、睡眠薬使用の減少が認められたが、その他の睡眠の質、自転車エルゴメーターでの最大心拍数、呼吸商、最大運動負荷量、血圧、主観的運動強度、主観的な疲労の程度に影響は認められなかった (PMID 26212172) 。
その他
・65歳以上の高齢者3,718名 (アメリカ) を対象とした平均5.5年の追跡調査において、食事もしくはマルチビタミンサプリメントによるナイアシンの摂取が多いほどアルツハイマー病の発症および認知機能低下が低かった (PMID:15258207)
・予備的な臨床試験において、注意欠陥性多動障害 (ADHD) の治療に対して、他のビタミンの高用量併用で有効性が示唆されているが、さらなる検証が必要である (94) 。
・ニコチンアミドは統合失調症の治療におそらく効果がない (94) 。
・ニコチン酸は白内障の発生を減少させるのに対し、有効性が示唆されている。オーストラリア都市部の2,900名 (49〜97歳) を対象とした横断的研究において、食事からのナイアシンの摂取が多いと白内障リスクが低い (PMID:10711880)

免疫・がん・
炎症

一般情報
・ニコチンアミドは変形性関節症に対して、有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・変形性関節症患者72名 (アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ニコチンアミドを3 g/日、12週間投与すると、痛みの程度には変化が見られなかったが、赤血球沈降速度 (炎症性関節炎のマーカー) の減少、関節可動性の改善、抗炎症薬の使用量を減らすことができた (PMID:8841834)
・アフタ口内炎の経験者160名 (試験群83名、平均35.7歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、ナイアシン、パントテン酸、葉酸を米国の食事摂取基準値の100%量含有するマルチビタミンを1年間摂取させたところ、アフタ口内炎発生数、症状の持続期間、口内の痛みなどに影響は認められなかった (PMID:22467697)
その他
・健康な男性 (スウェーデン) にニコチンアミドを摂取してもらい、エンドトキシンを静脈注射したとき、TNF-α、IL-6、IL-8、IL-10が上昇した (PMID:14678271)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

RCT
・過体重、肥満を含む健康な成人 941名 (18〜85歳、試験群619名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ケルセチン500 mg/日、ビタミンC 500 mg/日、ナイアシン20 mg/日、またはその倍量を12週間摂取させたところ、体重や身体組成に影響は認められなかった (PMID:21574787)

その他

一般情報
・ニコチン酸およびニコチンアミドはナイアシン欠乏症の予防とペラグラの治療に有効である。この用途はFDAにより承認されている。ニコチンアミドは血管拡張作用がないため、この用途にはニコチン酸よりも好ましいといえる (94) 。
・欠乏するとペラグラを起こし、食欲減退や下痢を起こす (1) (13) (55) 。
・欠乏すると脳内ニコチンアミドアデニンジスクレオシド不足により神経症状がみられ (1) 、症状が進むと神経障害やノイローゼ、抑うつ、精神分裂、認知症を起こす (1) (13) (55) 。
RCT
・コレラの罹患時の水分損失のコントロールに有効性が示唆されている。48時間以内に水様性の下痢症状があるコレラ感染患者62名 (バングラディッシュ) を対象とした無作為化比較試験において、ニコチン酸2 g摂取させたところ、16時間後までの体液喪失を減少させた (PMID:6140541)





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・適切に摂取する場合、おそらく安全である。ニコチン酸とニコチンアミドはFDAにより承認された成分である (94) 。
・ニコチンアミドを外用で適切に使用する場合、12週間までは安全性が示唆されている (94) 。
・サプリメントによる摂取は30 mg/日程度の少量でも紅潮、ヒリヒリ、チクチク、痒みなどの感覚が、時に痛みを伴い、顔、腕、胸の紅斑と同様に起こることがある。紅潮は痒み、頭痛、頭蓋内血流増加を伴うことがある。紅潮の発現は、初回摂取後30分以内〜6週間後と非常に様々である (94) 。
・用量の漸増、徐放性製剤の使用、アスピリン325 mgの前投与、食事と共に摂取、持続製剤の就寝前投与などで紅潮は最小限に抑えられる可能性がある (94) 。
・過剰摂取により顔面紅潮がみられる (3) (13) 。
・ニコチンアミドは紅潮には関与しない (51) (94) 。
・ナイアシンは肝機能検査値の上昇および黄疸と関連し、特に3 g/日以上の摂取および投与量の急増と関連する。肝機能テストの数値が正常上限値の3倍まで上がったら、ナイアシン摂取をやめるべきである。ナイアシンによる、劇症肝炎や脳症を伴う重篤な肝機能障害がまれに見られる (94) 。
・高用量のナイアシン摂取により、吐き気、嘔吐、鼓腸、胸焼け、食欲不振、下痢、消化性潰瘍の悪化などの胃腸障害を引き起こす可能性がある (94) 。これらの作用は食事や制酸薬と同時に服用することで抑えられ、通常は治療2週間以内で消失する (94) 。
・高用量のニコチンアミドの摂取によっても、吐き気、嘔吐、胸焼け、食欲不振、上腹部痛、鼓腸、下痢などの胃腸障害や、発疹、そう痒、黒色表皮症、目まい、眠気、頭痛を起こすことがある (94) 。
・ナイアシンはおそらくインスリン抵抗性を引き起こしたり悪化させることにより、用量依存的に耐糖能を低下させる (94) 。
・高用量のナイアシンは尿酸排泄を減少させるため、尿酸排泄治療にも関わらず痛風発作が頻繁に起こる患者は、摂取を避けた方がよい (94) 。
・ナイアシンの血管拡張効果により、低血圧、目まい、頻脈、不整脈、失神、血管迷走神経性発作などが、特に降圧剤を服用している患者で起こる可能性がある (94) 。
・ナイアシンの高用量摂取はホモシステインの濃度を上昇させる (PMID:10577438) 。上昇したホモシステイン濃度は動脈閉塞性疾患のリスク因子だが、ナイアシンのホモシステインへの影響に関する臨床での有意性は不明である (94) 。
・ナイアシンの高用量で慢性的な摂取はまれに用量依存的で可逆的な発疹、そう痒、黒色表皮症、乾皮症、ドライアイ、中毒性弱視、かすみ目、黄斑浮腫、嚢胞様黄斑症を起こす (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中は摂取でRDA (1日当たりの推奨摂取量) を超えない量摂取する場合、おそらく安全である。ただし妊娠中・授乳中の大量のニコチン酸・ニコチンアミドの摂取、および外用でのニコチンアミドの使用に関する安全性については十分なデータが得られていないため、避けるべきである (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<被害事例>
・気管支喘息および自律神経失調症の既往歴がある42歳女性 (日本) が、自己判断で処方されていたエチゾラムを減量し、インターネットで購入したナイアシン (ニコチン酸) カプセル500 mgを1カプセル摂取したところ、直後に全身の紅斑および掻痒が出現し、2日間症状が軽快しなかったため医療機関を受診。加療により数日で軽快したため、摂取したナイアシンによるナイアシンフラッシュと考えられた (2012089949) 。
・高コレステロール血症の治療のためナイアシン3 g/日を13ヶ月処方されていた44歳男性 (アメリカ) が、約1Lの赤ワインを摂取した16時間後、攻撃的になるなど精神異常を呈し医療機関を受診。血中乳酸値は9.5 mmol/L であり、アルコールとナイアシンの同時摂取による精神錯乱及び乳酸アシドーシスと診断された (PMID:2054009)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・小児においてプリミドン (抗痙攣薬) とニコチンアミド60〜100 mg/kg/日の併用で、プリミドンの代謝を抑制し、全身クリアランスを低下させたという症例報告 (PMID:6214728) があるが、この相互作用の臨床的な意義は明確ではない (94) 。
・HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋疾患のリスクが高まることがある (94) 。高コレステロール血症の43歳男性 (アメリカ) が、ロバスタチン40 mg×2回/日およびコレスチポール10 g×2回/日とニコチン酸2.5 g/日を約2.5年間併用していたところ、横紋筋融解症を発症した (PMID:3421570)
・経皮吸収ニコチンとの併用でナイアシンによる紅潮が悪化したという60歳女性の報告 (PMID:8251701) があるが、ナイアシン用量が一定ではなく、多くの患者に起こるとは考えにくい (94) 。
・25歳女性 (ニュージーランド) が感染性単核球症の治療のため、紅茶キノコ、亜鉛、カルシウム、乳酸菌サプリメントを2ヶ月摂取したところ、足に痛みを伴う紅斑が生じて医療機関を受診、ペラグラと診断され、ニコチンアミド投与により回復した。食事調査により十分量のナイアシンを摂取していたため、複数の製品の併用によりナイアシンの吸収が阻害されたことが要因の一つと推察された (PMID:9529689)
・血管疾患を有する男女25,673名 (試験群12,838名、平均64.9±7.5歳、イギリス、スカンジナビア諸国、中国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、スタチンベースのLDLコレステロール低下療法とともにナイアシン2 g/日+ラロピプラント(プロスタグランジンDP1受容体遮断薬でナイアシンのほてり防止) 40 mg/日を平均3.6年間摂取させたところ、有害事象 (糖尿病患者における重篤な血糖コントロール障害、新規糖尿病発症、消化器・筋骨格・皮膚関連、感染症、出血) の頻度上昇が認められた (PMID:25014686)

<理論的に考えられる相互作用>
・理論上、肝臓に影響を及ぼす可能性のあるハーブやサプリメント (アンドロステンジオン、ルリヂサ、チャパラル、コンフリー、DHEA、ジャーマンダー、カバ、ハッカ油、紅麹など) との併用で、肝毒性を誘発する可能性がある (94) 。
・糖尿病治療薬との併用で血糖値に影響を与えることがあるので、注意してモニタリングし、使用量を調節する必要がある (PMID:8853585) (PMID:2374275)
・アロプリノール (尿酸産生抑制薬) およびプロベネシド、スルフィンピラゾン (尿酸排泄薬) との併用で、痛風患者の維持用量増加の必要が出てくる可能性がある (94) 。
・カルバマゼピン (抗痙攣薬) とニコチンアミド60〜80 mg/kg/日の併用摂取で、カルバマゼピンの血漿中濃度が上昇する。代謝酵素の阻害によると考えられるが、この相互作用の臨床的な意義は明確ではない (94) 。
・コレスチラミン、コレスチポールなど胆汁吸着剤との併用摂取でナイアシンの吸収が低下する (94) 。
・アルコールを大量に摂る人は注意して用いること。肝毒性のリスクが高まる (94) 。
・抗酸化物質 (セレン、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン) と併用すると、ナイアシンおよびシンバスタチンによるHDLコレスレロール上昇効果を減弱すると考えられる (94) 。
・クロムのインスリン活性およびグルコース濃度に対する効果を増強する可能性があるため、糖尿病患者はクロムとナイアシンを併用する際は低血糖に注意が必要である (94) 。
・慢性的なアルコール依存症のような、栄養不足やナイアシン欠乏の人では、亜鉛がトリプトファンからナイアシンへの変換を促進すると考えられる (PMID:2526999) ため、理論的には亜鉛との併用によりナイアシンによる有害事象のリスクが高まる可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・ニコチン酸を投与:マウス経口 3,720 mg/kg、ラット経口 7 g/kg、ウサギ経口 4,550 mg/kg (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・適切に摂取する場合、おそらく安全である。
・妊娠中、授乳中はRDA (推奨量) を超えない量を摂取する場合、おそらく安全である。大量摂取に関する安全性については十分なデータがないため避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・有効なのは、1)心筋梗塞の再発予防、2) ハイリスク男性のアテローム性動脈硬化症。
・ニコチン酸の摂取で有効性が示唆されているのは、1)白内障の発生の減少 、2) コレラ罹患時の水分損失コントロール。
・ニコチンアミドの摂取で有効性が示唆されているのは、1) I型糖尿病のリスクが高い小児における、症状の進行防止、2) I型糖尿病患者のβ細胞機能維持、3) II型糖尿病患者のβ細胞機能保護と糖質コントロール向上、4) 変形性関節症の緩和。
・ニコチンアミドの摂取でおそらく効果がないのは、脂質異常症と統合失調症の治療に対してである。

参考文献

(3) 日本人の食事摂取基準 (2015年版)
(13) ビタミンの事典 朝倉書店 日本ビタミン学会 編
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(55) Harper's Biochem 23th ed
(101) 五訂 日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説 財団法人日本食品分析センター編集 (中央法規) ISBN 4-8058-4348-9
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