健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

松樹皮抽出物 (俗名:ピクノジェノール、フラバンジェノール ) [英]French marine pine bark extract、Pycnogenol、FLAVANGENOL [学名]Pinus pinaster

概要

マツは古代からさまざまな部位が薬用として使用されてきた。別名としてカイショウシ/ショウボクヒ/マツノミ/マツバ/マツヤニがある。北アメリカ北東部の原産で、北米大陸に広く分布し、ヨーロッパでも栽培されているマツの樹皮とその抽出物が注目されている。マツ樹皮は北米先住民が古くから利用しているもので、外皮 (コルク) を除去した後に乾燥させた内側の樹皮が使用部位になっている。松香 (ショウコウ:樹脂) は樹幹に傷をつけて採取したもので、これを生松脂と呼びテレビンチナともいう。松樹皮抽出物とはフランスカイガンショウの樹皮抽出物 (プロシアニジン類を含む) であり、良く知られているピクノジェノール、フラバンジェノールという名称は登録商標である。松樹皮抽出物は、俗に、「慢性静脈不全症によい」「血管保護作用がある」「LDLコレステロールを減少させる」などと言われている。ヒトでの有効性については、一部の作用にのみ有効性が示唆されている。安全性については、適切に用いれば安全性が示唆されているが、妊娠中・授乳中の安全性については信頼できるデータが十分ではないため使用は避ける。松樹皮抽出物は、理論上免疫抑制治療に影響を与える可能性が考えられる。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・殻、殻皮、種子、樹脂、葉、樹皮は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・プロシアニジン (Procyanidin) 類、タンニン、粘質物、コニフェリン、コニフェリルアルコール、ジテルペノイド類、トリテルペノイド、揮発油、その他を含む。

分析法

・プロアントシアニジン類がブタノール-塩酸法を用いた比色法により分析されている (PMID:11996210) (102) 。また、松樹皮抽出物を人に経口投与後尿中に排泄されたフェルラ酸 (ferulic acid) およびその代謝物がフォトダイオードアレイ検出器を装着したHPLCにより分析されている (PMID:10889455)

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・慢性静脈不全症に対し、有効性が示唆されている (94) 。
・喘息に対し、有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・健康な成人男性16名 (試験群8名、平均22.4±2.2歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、松樹皮抽出物180 mg/日を2週間摂取させたところ、アセチルコリンに対する前腕血流反応が増大した (PMID:18037769)
・軽・中高血圧 (収縮期:130〜150 mmHg) でアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬の治療を受けていているII型糖尿病患者48名 (試験群24名、平均61.3±9.1歳、アメリカ) を対象とした二重盲検並行群間無作為化プラセボ比較試験において、松樹皮抽出物125 mg/日を12週間摂取させたところ、ACE阻害薬の投与量を半減しても血圧が良好にコントロールされ、血中エンドセリン-1 (血管内皮細胞由来の血管収縮物質) 、HbA1c、LDLコレステロール値、空腹時血糖値の低下がみられた (PMID:19083426)
・心血管疾患リスクの高い130名 (試験群64名、平均56.9±9.8歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、松樹皮抽出物200 mg/日を12週間摂取させたところ、血圧、BMI、血中脂質、肝トランスアミナーゼテスト、リポ蛋白コレステロール粒径、インスリン、リポ蛋白 (a) 、空腹時血糖、高感度CRPに影響は認められなかった (PMID:20876405)
・冠動脈疾患患者23名 (平均63.1±7.1歳、スイス) を対象とした二重盲検クロスオーバープラセボ比較試験において、ピクノジェノール200 mg/日を8週間摂取させたところ、血流依存性血管拡張反応 (FMD) の増加、血中F2-イソプロスタン濃度の低下が認められたが、その他の血管内皮機能、酸化ストレス、炎症、血小板凝集能のマーカー (GTN、高感度CRP、ADMA、SDMA、Endothrlin-1、sVCAM-1、sICAM-1、酸化LDLなど) や、血圧、血糖値、血中脂質濃度 (総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド) に影響は認められなかった (PMID:22240497)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

RCT
・女性105名 (18〜48歳、試験群49名、日本) を対象とした多施設二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、松樹皮抽出物60 mg/日を2生理周期摂取させたところ、月経困難の対象者 (試験群36名) においてのみ、鎮痛薬の必要量や利用日数の減少が認められた (PMID:18567279)
・閉経期前後の女性170名 (試験群86名、平均46.4±3.4歳、台湾) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、松樹皮抽出物30 mg×2回/日を3ヶ月間摂取させたところ、更年期症状の評価指数 (クッパーマン指数、WHQ15項目中3項目) が改善した (PMID:23447917)

脳・神経・
感覚器

一般情報
・糖尿病性あるいは他の網膜症に有効性が示唆されている (94) 。
・認知機能に対し、有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・高齢者101名 (60〜85歳、試験群49名、オーストラリア) を対象としたマッチドペアー二重盲検プラセボ比較試験において、松樹皮抽出物150 mg/日を、3ヶ月間摂取させたところ、作業記憶の改善および血漿中F2-イソプロスタン (酸化ストレスマーカー) の減少が認められた (PMID:18701642)

免疫・がん・
炎症

一般情報
・アレルギー性鼻炎に対し、有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・変形性膝関節症患者37名 (試験群19名、アメリカ) を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、松樹皮抽出物を50 mg×3回/日、3ヶ月間摂取させたところ、筋肉の堅さ以外の膝関節痛の評価スコアが改善し、治療前と比較すると非ステロイド性抗炎症薬の使用量が減少した (101) 。
・軽度の変形性膝関節症患者100名 (試験群50名、平均54歳、スロバキア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、松樹皮抽出物150 mg/日を3ヶ月間摂取させたところ、WOMAC (Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index、関節疼痛や機能性の指標) 、VAS (Visual Analog scale、痛みの指標) の改善が認められた (PMID:18570266)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

一般情報
・運動トレーニングとの併用で、運動能力向上に対し、有効性が示唆されている (94) 。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・適切に摂取した場合、安全性が示唆されている (94) 。松樹皮抽出物は投与量50〜450 mg/日を1年間まで摂取で安全であった (94) 。
・有害事象として、重度のめまい、胃腸障害、頭痛、口内炎が生じる可能性がある(94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中については、適切に摂取した場合、安全性が示唆されている (94) 。
・授乳中については、信頼できるデータが十分にないので使用は避ける (94) 。
<小児>
・適切に摂取した場合、安全性が示唆されている (94) 。
<その他>
・自己免疫疾患の治療に影響を与える可能性があるため、自己免疫疾患患者の利用は避ける (94) 。
・肝炎患者において、肝機能を悪化させる可能性がある (94) 。
・糖尿病患者において、血糖コントロールに影響を与える可能性がある (94) 。
・出血リスクを増加させる可能性があるため、手術の少なくとも2週間前には摂取を中止した方がよい (94) 。

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・血糖低下作用、抗凝固作用のある医薬品やハーブとの併用は、副作用を増強させる可能性がある (94) 。
・免疫抑制剤との併用は薬効を低下させる可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最小中毒量)
松樹皮抽出物を投与:ヒト経口 (間欠的) 121.8 mg/kg/12週、ラット腹腔内50 mg/kg、ラット腹腔内 (間欠的) 140 mg/kg/14日 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・経口摂取および外用で、適切に用いれば安全性が示唆されている。しかし、妊娠中・授乳中における安全性は、信頼できるデータが十分にないので使用は避ける。
・松樹皮抽出物は、その免疫賦活作用のため、免疫抑制治療に影響を与える可能性が考えられる。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・松樹皮抽出物は経口摂取で慢性の静脈不全症の改善、糖尿病性あるいは他の網膜症に有効性が示唆されている。

参考文献

(65) Cochran Library
(102) Phytochemistry. 1975; 14; 1107-13.
(PMID:11996210) Int J Cin Pharmacol Ther. 2002 Apr; 40(4): 158-68.
(PMID:10889455) Free Radic Biol Med. 2000 Apr 15;28(8):1249-56.
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(101) Nutrition Research. 2007; 27(11): 692-7.
(PMID:18567279) J Reprod Med. 2008 May;53(5):338-46.
(PMID:18701642) J Psychopharmacol. 2008 Jul;22(5):553-62.
(PMID:19083426) Nutrition Research. 2008;28(5):315-320.
(PMID:18570266) Phytother Res. 2008 Aug;22(8):1087-92.
(PMID:18037769) Hypertens Res. 2007 Sep;30(9):775-80.
(PMID:20876405) Arch Intern Med. 2010 Sep 27;170(17):1541-7.
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
(PMID:22240497) Eur Heart J. 2012 Jul;33(13):1589-97.
(PMID:23447917) J Reprod Med. 2013 Jan-Feb;58(1-2):39-46.
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(94) Natural Medicines

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