健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

画面を閉じる

項 目

内 容

名称

フッ素 [英]Fluorine (F) 、フッ化物 Fluoride [学名]

概要

フッ素は、植物や動物でごく微量に含まれる元素で、体内ではほとんどが骨や象牙質などの硬組織に存在する。小児および成人で虫歯 (歯牙う蝕症) の有病率とその重症化を抑制する効果があるが、栄養学的には必須とは判断されておらず、欠乏症状も未だ認められていない。必要量は微量で、取りすぎは有害である。ヒトでの有効性については虫歯に対して有効であり、骨粗鬆症に対して有効性が示唆されている。安全性については、適切に用いれば経口でおそらく安全であるが、長期にわたる高用量摂取は危険性が示唆されている。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・「緑茶フッ素」を関与成分とし「歯を丈夫で健康にする」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・元素記号F、原子番号9、原子量19.00。フッ素そのものはほとんど無色の刺激性のある有毒な気体である。

分析法

・イオンクロマトグラフ法が用いられる (PMID:14698273)

有効性








循環器・
呼吸器


調べた文献の中に見当たらない。


消化系・肝臓

一般情報
・予備的な臨床知見によると、骨量が低いクローン病患者の椎骨の骨量を増加させた (PMID:10656205) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (94) 。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

一般情報
・骨粗鬆症に対して有効性が示唆されている (94) 。フッ素元素換算で11.3〜20 mg/日を継続あるいは周期的に摂取すると骨密度を増加させるという知見がある。骨減少がみられる閉経後女性がフッ素20 mgを含むモノフルオロリン酸を毎日継続して96週摂取したところ、背骨の骨密度が2.4%増加した。ホルモン代替療法と併用した場合、モノフルオロリン酸は骨密度を11.8%増加させた (PMID:10487657) 。骨減少がみられる閉経後女性がフッ素20 mgを含むモノフルオロリン酸を4年間摂取した試験では、骨密度が10%増加した (PMID:9652994) 。骨減少の男性が15 mgフッ素を含むモノフルオロリン酸を3年間摂取したところ、背骨の骨密度が9%増加した (PMID:11730262)
・骨折に対する効果は骨粗鬆症ほど明確にされていない。骨減少がある閉経後女性がフッ化ナトリウム25 mg/日 (フッ素元素換算で11.3 mg) を周期的 (12ヶ月摂取+2ヶ月休止) に42ヶ月間使用したところ、椎骨の骨折リスクが32%低下した (PMID:11606148) 。骨減少がある男性においてフッ素治療が椎骨の骨折リスクを30%低減し、腰痛も軽減した (PMID:11730262) 。その他の研究では骨折に対するフッ素の有効性は示されていない (PMID:10865219) (PMID:9692071) 。効果を得るには変形性関節症の初期からフッ素使用を開始し、フッ素20 mgとカルシウム800〜1,000 mgを毎日、少なくとも3年間摂取することが必要とする研究者もいる (94) 。フッ素添加した水を20年間使用したところ、高齢女性の股関節骨折のリスクが31%、椎骨骨折のリスクが27%低減した (PMID:11021862)
・予備的な臨床知見によると、骨量が低い慢性関節リウマチ患者の椎骨の骨量を増加させた (PMID:9415633) 。この効果については、さらなる科学的根拠の蓄積が必要である (94) 。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

一般情報
・虫歯に対して有効である (94) 。フッ素を添加した飲料水、歯磨き粉、口漱剤、その他の歯科製品は虫歯のリスクを減らす (PMID:11209578) (PMID:11021862) (PMID:12076446)
・欠乏により骨多孔症、虫歯を起こす可能性がある (55) 。
・「緑茶フッ素」を関与成分とし「歯を丈夫で健康にする」保健用途の表示ができる特定保健用食品が許可されている。





試験管内・
動物他での
評価

・動物では欠乏により成長阻害や寿命抑制が見られる (1) 。
・高フッ素摂取でラットとマウスの繁殖・造血・成長を改善 (1) 。
・歯周病菌 (P.gingivals) で免疫したマウスの脾臓細胞をフッ化ナトリウム (NaF) 存在下、P.gingivalsで再び処理したところ、対照群と比較し低濃度のNaFでは細胞増殖、抗原特異的IgG抗体産生、IFN-r、IL-10の産生がそれぞれ上昇した。また高濃度のNaFでは前述の免疫応答が完全に消失した (PMID:12675204)

安全性

危険情報

<一般>
・妊婦・授乳中の成人は、適切に用いれば経口でおそらく安全である。フッ素元素換算で上限摂取量10 mg/日以下であれば安全に使用できる (94) 。20 mg/日までは経口で安全性が示唆されている。フッ素元素として20 mgを含むモノフルオロリン酸は4年間まで安全に使用できた (PMID:9652994) (PMID:10487657)
・飲料水に低濃度混ぜるような摂取の慢性毒性としては歯牙フッ素沈着症 (1) があり、その症状は小児の斑状歯など (1) (2) 。
・急性中毒では悪心、嘔吐、下痢、腹痛、過度の唾液分泌、流涙、肺障害、心不全、脱力、痙攣、感覚障害、麻痺、昏睡などが起きる (1) 。
・慢性的な大量摂取では骨格フッ素沈着症が起きることがある。症状としては関節のこわばりや痛み、慢性関節痛、さらに骨粗鬆症、筋肉消耗、神経学的欠陥など (1) 。中国四川省の農村で、屋内での石炭燃焼に起因する骨フッ素症の報告がある (101) (2000021708) 。
・フッ素治療に共通する副作用として骨折が多く発生することがある (1) 。
・NRC (National Research Council) は、現在推奨されるフッ化物を摂取しても腎臓、消化器、遺伝子毒性、発がん性のリスクを増大させることはないとしている (1) 。
・経口摂取、とくに長期摂取による有害事象として、胃痛、悪心、下肢痛が報告されている (PMID:11034769) 。フッ化ナトリウムを40〜65 mg/日摂取で、悪心、嘔吐、消化管出血、圧迫骨折が報告されている (PMID:12427685) 。上限量10 mg/日より高用量を10年以上摂取しつづけると骨のフッ素沈着が起きることがある (94) 。
・フッ素でアレルギー反応を起こすことがあり、その症状として蕁麻疹、剥脱性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、胃炎、消化管症状があげられる。呼吸器系のアレルギー反応が起きることはまれである (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊婦・授乳中の長期にわたる高用量摂取は危険性が示唆されている (94) 。20 mg/日以上を9ヶ月摂取すると、骨折リスクが上昇すると関連付けている (PMID:11908491)
・妊婦・授乳中においても、適切に用いれば外用でおそらく安全である (94) 。一般に歯磨き粉、口漱剤、歯科的処置で用いられる量であれば安全に使用できる (PMID:11209578)
<小児>
・小児は適切に用いれば経口でおそらく安全である。フッ素元素として上限量は、6ヶ月以下の乳児で0.7 mg/日、7〜12ヶ月で0.9 mg/日、1〜3歳で1.3 mg/日、4〜8歳で2.2 mg/日、8歳以上は10 mg/日 (94) 。
・小児の長期にわたる高用量摂取は危険性が示唆されている (94) 。
・小児においても適切に用いれば外用でおそらく安全である (94) 。
<被害事例>
・53歳女性 (イギリス) が、紅茶240 mL×6杯/日を5〜10年間摂取し、フッ素入り歯磨き粉で8〜10回/日、歯を磨いていたところ (紅茶と歯磨き粉で約15.1 mg/日、食事からの摂取も合わせると17〜18 mg/日のフッ素を摂取)、非常に高い骨密度 (BMD) を示し、骨フッ素症と診断された (PMID:20936399)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・カルシウムサプリメントと同時に摂取すると、フッ素化合物と不溶性化合物を形成し、フッ素の吸収を10〜25%に抑えることがある (94) 。カルシウムを多く含む食品や乳児用調整乳と同時に摂取した場合もフッ素の吸収が最大25%低下するという報告がある。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・妊婦・授乳婦を含む成人は、適切に用いれば経口および外用でおそらく安全である。しかし、長期にわたる高用量摂取は危険性が示唆されている。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・骨粗鬆症に対して有効性が示唆されている。
・虫歯に対して有効である。

参考文献

(1) 最新栄養学 第7版 (建帛社) 木村修一ら 翻訳監修
(2) 新栄養化学 朝倉書店 内藤 博ら
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(55) Harper's Biochem 23th ed
(101) 日中医学会 13:5-8、1999
(2000021708) 日本農村医学会雑誌. 1999;48(2):124-31.
(PMID:14698273) J Chromatogr B 800(1-2):321-3, 2004.
(PMID:12675204) Immunopharmacol Immunotoxicol. 2003 Feb;25(1):123-7.
(PMID:10656205) Eur J Gastroenterol Hepatol. 2000 Jan;12(1):19-24.
(PMID:9652994) Ann Intern Med. 1998 Jul 1;129(1):1-8.
(PMID:11730262) Calcif Tissue Int. 2001 Oct;69(4):252-5.
(PMID:11606148) Arch Intern Med. 2001 Oct 22;161(19):2325-33.
(PMID:10865219) Bone. 2000 Jul;27(1):123-8.
(PMID:9692071) Osteoporos Int. 1998;8(1):4-12.
(PMID:9415633) J Rheumatol. 1997 Dec;24(12):2308-13.
(PMID:11021862) BMJ. 2000 Oct 7;321(7265):860-4.
(PMID:12076446) Cochrane Database Syst Rev. 2002;(2):CD002280.
(PMID:10487657) J Clin Endocrinol Metab. 1999 Sep;84(9):3013-20.
(PMID:11908491) Osteoporos Int. 2002;13(2):158-70.
(PMID:11209578) J Am Diet Assoc. 2001 Jan;101(1):126-32.
(PMID:11034769) Cochrane Database Syst Rev. 2000;(4):CD002825.
(PMID:12427685) CMAJ. 2002 Nov 12;167(10 Suppl):S1-34.
(PMID:20936399) Osteoporos Int. 2011 Sep;22(9):2557-60.
(94) Natural Medicines

© National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition. All Rights Reserved.