健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

銅 [英]Copper (Cu) [学名]

概要

銅は遷移元素であり、動植物に微量に存在する必須ミネラルの一つである。生体内では、主として骨・骨格筋・血液に存在し、血漿中では銅結合タンパク質のセルロプラスミンとして存在している。また、銅は種々の酸化還元反応を触媒する酵素の構成成分となっている。食品添加物 (製造用剤) として使用が認められている。俗に、「貧血を予防する」「骨を強くする」などと言われている。ヒトでの有効性については、銅欠乏症および銅欠乏による貧血に対しておそらく有効である。安全性については、適切に摂取すればおそらく安全であるが、過剰摂取するとまれに銅中毒を起こし、急性中毒では吐き気、嘔吐、下痢、低血圧など、慢性では発熱、嘔吐、黄疸などが起こる。銅は保健機能食品 (栄養機能食品) の対象成分となっているが、乳幼児・小児については、あえて錠剤やカプセル剤の形状で補給・補完する必要性がないとされている 。銅を多く含む食品としては、肉類、魚、甲殻類、アボカド、木の実、豆類などがある。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。基礎的な解説は「銅解説」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。
・「既存添加物」:製造用剤である。
・「栄養機能食品」の対象成分である (下限値:0.18 mg、上限値:6 mg) 。→通知文1 (PDF) 通知文2 (PDF)

成分の特性・品質

主な成分・性質

・元素記号Cu、原子番号29、原子量63.546。一価の化合物は不溶性の塩および錯塩として存在し、二価の塩および錯塩が一般的である。動植物に不可欠な微量栄養素の一つ。

分析法

・原子吸光光度法 (波長;324.7nm) (PMID:14684406) 、誘導結合プラズマ発光分析法 (ICP法) や誘導結合プラズマ質量分析法 (ICP-MS法) が用いられる (PMID:15161212)(PMID:15098084) (PMID:11225672)

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・銅欠乏症、および銅欠乏症による貧血に対しておそらく有効である (94) 。
RCT
・健康な男性59名 (試験群30名、平均31±9歳、チリ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、銅8 mg/日 (硫酸銅のサプリメントとして) を6ヶ月間摂取させたところ、血中脂質 (総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド) に影響は認められなかった (PMID:24096552)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

一般情報
・欠乏症はまれである。一般的には長期に経管栄養を行っている場合に多い (94) 。
・欠乏により貧血症 (28) (3) (55) (56) 、高コレステロール血症 (28) (3) (53) (56) 、高トリグリセリド血症 (28) 、赤血球寿命の短縮 (28) 、心血管系異常 (3) (53) などを引き起こす。
・急性の欠乏では運動に反応して血圧が上昇したり、心電図に異常をきたす (53) 。
・欠乏によりカテコールアミン合成抑制 (15) 、神経組織において脱ミエリンを起こす (56) 。
・欠乏により白血球 (好中球) 減少、免疫力低下を引き起こす(28) (3) (56)。
・欠乏により耐糖能低下を招く(3) 。
・メラニン色素の生成に関わるため、欠乏により髪や皮膚の脱色を招く (3) 。
その他
・高齢女性38,772名 (平均61.6歳、アメリカ) を対象に平均19年間の追跡を行ったコホート研究において、カルシウムサプリメント利用者では総死亡リスクの低下が認められたが、マルチビタミン、ビタミンB6、葉酸、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅サプリメントの利用者では死亡リスクの増加が認められた (PMID:21987192)





試験管内・
動物他での
評価

・銅欠乏食を与えたラットにレーウィストリパノソーマ感染させると、標準食ラットに比べて血中寄生虫数が高かった (PMID:1507261)

安全性

危険情報

<一般>
・成人、小児ともに適切に用いればおそらく安全である (94) 。日本人の食事摂取基準2015年版における上限量は成人で10 mg/日 (3) 。耐容上限摂取量未満ならば安全だが、それ以上は危険性が示唆されている (94) 。多量摂取すると肝機能障害を起こすことがある (94) 。
・肝硬変 (28) 、消化器の障害 (28)、嘔吐 (3) 、吐き気 (3) が起きることがある。銅経口摂取の有害事象としては胃腸の不調(腹痛、痙攣、吐き気、下痢、嘔吐)がよく知られている (28) (3) 。急性の銅中毒では吐き気、嘔吐、血便の下痢、低血圧、溶血性貧血、尿毒症、冠状動脈虚脱が起こる (94) 。慢性中毒は散発性の発熱、嘔吐、上腹部痛、下痢、黄疸が挙げられる (94) 。
・急性の肝機能障害が、30〜60 mg/日を4年以上摂取した人で報告されている (94) 。硫酸銅1 g摂取で腎不全が起こり、死に至ることが知られている (94) 。
・慢性中毒はウィルソン病で肝と脳に銅が蓄積し機能的形態学的変化をもたらす (3) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中においても適切に用いればおそらく安全である (94) 。
<その他>
・銅サプリメント摂取は特発性銅中毒症、インド人小児性慢性肺炎 (ともに遺伝素因の関与も考えられている) の症状を悪化させるおそれがある (94) 。
・銅サプリメント摂取はウィルソン病の症状を悪化させ、またペニシラミン療法に影響を与えることがある (94) 。銅の摂取はペニシラミンの効果を阻害するので、併用は避けること (PMID:1869762)
・エタンブトールとその活性代謝物は銅をキレート化することにより組織中の銅レベルの低下を起こすおそれがある (PMID:7257959) 。網膜の銅キレート化により眼神経障害を引き起こすことがある (PMID:52087) (PMID:9554173)
・抗HIV薬のジドブジン服用患者において、血漿中銅レベルの低下することが報告されている (PMID:1941528)
<被害事例>
・自殺目的に約8 gの硫酸銅溶液を服用し、溶血性貧血、肝、腎機能障害、横紋筋融解症を来たした (PMID:10772131)
・食道狭窄の報告がある (2001269397) 。
・6歳男児の双子 (アメリカ) が、チョコレートミルク (銅3,488μg/日含有) とともにエネルギードリンクを8サービング/日 (銅1,600μg /日含有)、ビタミン剤2粒/日 (銅4,000μg/日含有) を8ヶ月以上摂取し、肝臓に銅が蓄積、このうち1人は急性肝不全を起こし、肝移植を受けた (PMID:22688507)
・ウィルソン病の既往歴があり、D-ペニシラミン治療で症状が安定していた21歳女性 (日本) が、ダイズ由来サプリメントを1ヶ月間摂取したところ、摂取開始2ヶ月後に黄疸を伴う劇症肝炎、溶血性貧血を生じ、肝臓移植を受けた。摂取したサプリメントに大量の銅 (0.8〜2.5 mg/日) と鉄 (23.4 mg/日) が含まれていたため、当該製品が原因と診断された (PMID:26192177)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・若い男性が日常的に1,500 mgのビタミンCを摂取していると銅および銅依存性酵素 (セルロプラスミン) 活性が著しく低下することがある (PMID:6837490)

<理論的に考えられる相互作用>
・幼児の場合、鉄の摂取量が多いと銅の吸収を阻害することが考えられる (94) 。しかし臨床的に有意であるか否か、鉄サプリメントを摂取している成人で起きるか否かは不明である (94) 。
・多量の亜鉛は銅の吸収を妨げ、銅欠乏症になることが考えられる (PMID:2094240) (PMID:7879727) (PMID:9794697) 。亜鉛の毒性量を摂取した場合は貧血を伴う有意な銅欠乏を起こす (PMID:2094240) が、通常サプリメントとして摂取するレベルでは起こらないと思われる (94) 。
・銅サプリメント摂取はウィルソン病の症状を悪化させ、またペニシラミン療法に影響を与えることがある (94) 。銅の摂取はペニシラミンの吸収を阻害するので、2時間以上あけて摂取する (PMID:1869762) ((PMID:52087) (PMID:9554173)

動物他での
毒性試験

・コラゲナーゼ処理されたヒト培養臍帯静脈血管内皮細胞と胎児肺組織由来ヒト培養線維芽細胞への硫酸銅の影響を検討したところ、生存能、増殖能、DNA合成能に対する銅の細胞毒性は血管内皮細胞により大きな作用を示した (1993209666) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・適切に摂取すればおそらく安全である。耐容上限摂取量未満ならば安全であるが、それ以上はおそらく危険である。
・小児、妊娠中・授乳中においても適切に摂取すればおそらく安全である。
・幼児の場合、鉄の摂取量が多いと銅の吸収を阻害することがある。成人においても多量の亜鉛は銅の吸収を妨げ、銅欠乏症になることがある。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・銅欠乏症、および銅欠乏による貧血に対して、おそらく有効である。

参考文献

(28) 最新栄養学 第9版 (建帛社) 木村修一ら 翻訳監修
(3) 日本人の食事摂取基準 (2015年版)
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(53) The Health Benefits of Vitamins and Minerals ERNA(European Responsible Nutrition Alliance)K.H.bassler et al.
(55) Harper's Biochem 23th ed
(56) Textbook of Biochemistry by Delvin
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(94) Natural Medicines

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