健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

カリウム [英]Potassium (K) [学名]-

概要

カリウムは必須ミネラルで、自然界に広く分布する。生体内では主要な陽イオンで、大部分は細胞内に存在し、浸透圧の調整、筋収縮や神経伝達などに重要な役割を担っている。野菜、じゃがいも、果実に豊富に含まれている。一般に、「血圧を正常に保つ」「筋肉の働きをよくする」などと言われている。ヒトでの有効性については、低カリウム血症の治療と予防に経口摂取で有効である。安全性については、適切に摂取すれば、おそらく安全であるが、腎機能が低下している人では注意が必要である。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・元素記号K、原子番号19、原子量 39.10。一価のイオンとして体内で働く。

分析法

・原子吸光光度法 (波長:766.5 nm) により分析されている (101) (102) 。最近では誘導結合プラズマ発光分析法 (ICP法) も使用され始めている (PMID:15161212) (PMID:15098084)

有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・高血圧の治療に経口摂取で有効性が示唆されている。カリウム摂取により、最大血圧で2〜4 mmHg、最小血圧で0.5〜3.5 mmHg低下がみられた (PMID:9168293) 。カリウム摂取は血中カリウム濃度が低い人、ナトリウム摂取が多い人、アフリカ系アメリカ人において、より効果が高いと思われる (PMID:7826557) (PMID:9168293) (PMID:7795836)
・低カリウム血症の治療と予防に経口摂取で有効である (94) 。
・高カルシウム血症の治療に経口摂取で有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2015年12月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験22報 (検索条件:期間≧4週間) について検討したメタ分析において、高血圧患者によるカリウムサプリメントの摂取は収縮期血圧、拡張期血圧の低下と関連が認められたが、拡張期血圧は試験によるバラつきが大きかった (PMID:28419159)
・2013年11月までを対象に1つのデータベースで検索できた無作為化比較試験15報について検討したメタ分析において、成人によるサプリメントとしてのカリウム摂取は収縮期血圧 (14報) 、拡張期血圧 (14報) の低下と関連が認められた (PMID:26039623)
・複数の無作為割付臨床試験 (RCT) を統合したシステマティック・レビュー (系統的な総説) によると、多くの成人にとって約60 mmol (2,000 mg) /日のカリウムを補充することが実行可能で、軽微な血圧低下を認めた。カリウム補充が心血管疾患の死亡率や罹患率に与える効果を調べた無作為割付臨床試験 (RCT) は見つからなかった。21件の無作為割付臨床試験 (RCT) を統合したシステマティック・レビュー (系統的な総説) では、高血圧の成人1,560例を対象にカリウム補給と、プラセボあるいは非補給とを比べた結果、補給群ではコントロールと比較して収縮期血圧、拡張期血圧ともに低下した (25) 。
RCT
・軽度 (拡張期血圧が80〜100 mmHg、かつ降圧剤の服用なし) の高血圧症患者48名 (男性:23名、45.5歳、女性:25名、44.8歳、イギリス) を対象としたクロスオーバー無作為化比較試験において、野菜と果物もしくはサプリメントからカリウム20〜40 mmol/日を6週間摂取させたところ、収縮期・拡張期血圧、動脈硬化、内皮機能、尿および血漿中のイソプラスタンとC反応性蛋白濃度に影響は認められなかった (PMID:20673378)
・健康成人36名 (平均65.8±8.8歳、オランダ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較において、ナトリウム2.4 g/日、カリウム2.3 g/日、エネルギー2,500 kcalのコントロール食とともにカリウムサプリメント2.8 g/日を4週間摂取させたところ、収縮期・拡張期血圧、血中IL-8濃度の低下、血流依存性血管拡張反応 (FMD) の増加が認められたが、その他の内皮機能・炎症マーカーに影響は認められなかった (PMID:26343780)
・健康な男女39名 (平均38±16歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、高カリウム高ナトリウム食 (カリウム38 mmol、ナトリウム65 mmol含有) を摂取させたところ、低カリウム高ナトリウム食 (カリウム3 mmol、ナトリウム65 mmol含有) の摂取時と比較して、血流依存性血管拡張反応 (FMD) 低下の抑制、低流量誘発性収縮の抑制、血清エンドセリン-1濃度の低下抑制が認められたが、動脈血管径、収縮期、拡張期、平均血圧、脈波伝播速度 (PWV) 、脈波増大係数、脈圧、血清ICAM-1濃度、E-セレクチン濃度に影響は認められなかった (PMID:25787997)
その他
・日常的に食品からカリウムを摂取していると、高血圧と脳卒中の予防に有効性が示唆されている (94) 。カリウムを一回に350 mg以上含み、ナトリウムおよびコレステロール、飽和脂肪酸が少ない食事を摂っていると、高血圧と脳卒中のリスクが減るという知見がある (PMID:11411758) 。しかし、サプリメントで同様の効果があるという実証はない (94) 。


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

RCT
・慢性関節リウマチ患者32名 (平均48.6±6歳、試験群16名、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、塩化カリウム6,000 mg/日をグレープジュースに溶かし28日間摂取したところ、痛みの自己評価 (VAS) と症状の改善 (ヨーロッパリウマチ連盟改善基準:EULAR) が認められたという予備的研究がある (PMID:18468955) 。(注:腎機能が低下している場合は、過剰摂取には注意が必要。)

骨・筋肉

RCT
・健康な中高年52名 (平均65.2±6.2歳、試験群34名、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、クエン酸カリウム60 mmol/日または90 mmol/日を6ヶ月間摂取させたところ、90 mmol/日摂取群においてのみカルシウムバランスの改善、副甲状腺ホルモンの低下が、両群において24時間尿中カルシウム、血清C-テロペプチドの減少が認められたが、カルシウム吸収、骨型アルカリホスファターゼ濃度に影響は認められなかった (PMID:22991267)

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

一般情報
・欠乏により不整脈、心伝導障害を招く (19) 。
・欠乏により神経障害・脱力感などを招く (55) 。
・欠乏すると筋力低下を招く (55) 。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・適切に用いれば、カリウム総摂取量 (食品およびサプリメント) として80〜90 mEq/日以下ならばおそらく安全である(94)。大量摂取した場合は高カリウム血症を起こすおそれがある (94) 。血中濃度が6 mEq/L以上になるような摂取は危険である。死に至ることがある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・カリウム総摂取量 (食品およびサプリメント) として40〜80 mEq/日以下ならば、おそらく安全である (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<その他>
・経口摂取ではまれに、経腸投与で心停止の危険がある (55) 。
・十二指腸潰瘍のおそれがある (55) 。
・経口摂取および静注の有害事象としては、胃腸の不調、吐き気、下痢、嘔吐、げっぷ、鼓腸、潰瘍があげられる (25) (PMID:9168293) 。血中カリウム濃度が5 mEq/L以上になる高カリウム血症は感覚異常、虚弱、弛緩症、無気力、めまい、精神錯乱、低血圧、血便、不整脈、心ブロック、死の原因となりうる (PMID:9168293)
・2014年10月までを対象に1つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験22報 (検索条件:期間≧2週間) について検討したメタ分析において、18歳以上の健常者におけるカリウムサプリメントの摂取は、心拍数に影響を与えなかった (PMID:27289164)

禁忌対象者

・カリウムカプセルおよびカリウム錠は、腸管運動亢進症の人には禁忌である (94) 。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・巨赤芽球性貧血を経管的にビタミンB12で治療している場合、一過性の低カリウム血症となることがある。低カリウム血症は一時的なもので、ホメオスタシスで回復する。低カリウム血症リスクの高い人は血中濃度をモニターすること (94) 。
・ACE (アンジオテンシン変換酵素) 阻害剤、アンジオテンシン受容体ブロッカー、カリウム保持性利尿剤との併用は、カリウム濃度を上昇させ高カリウム血症を起こす可能性がある (94) 。また、ループ利尿剤、サイアザイド系利尿剤、峻下剤、アミノ配糖体などの抗生物質、アンホテリシンB、フルコナゾール、ステロイド剤、レボドパなどの医薬品もカリウム濃度に影響を与えることがある (PMID:7828395) (PMID:6373278)(PMID:1554972)
・β-2作動薬は細胞内へのカリウムの取り込みを促進するので、低カリウム血症を起こすことがある (PMID:9186877) (PMID:3168573) 。特にβ-2作動薬を急速に高濃度で用いた際に血中カリウム濃度が低下することが報告されている (PMID:2545455) (PMID:2898368)(PMID:8681661) (PMID:9186877) (PMID:3168573) (PMID:1623802) (PMID:2178522)(PMID:6364906) (PMID:3948547) 。β-2作動薬を用いる時は血中カリウム濃度をモニターすること。他の低カリウム血症リスクがある人は、症状が出たらサプリメントでカリウムを補う必要があると思われる (PMID:9186877)
・カリウムの排出はほとんど腎臓に限られているため、腎機能が低下している場合は高濃度のカリウム摂取は問題がある (28) (2) 。腎機能が低下している場合は、カリウム含有量が多い食品 (果物、シリアル、豆類、牛乳、野菜など) との同時摂取も注意が必要である (94) 。
・抗真菌剤であるアムホテリシンB、フルコナゾールは腎毒性により尿中カリウム排泄を増加させることがあるので、カリウムレベルをモニターし、必要であればサプリメントで補給する (PMID:1554972)
・高用量のβ-2作用薬、テオフィリンや関連の薬物を急性に服用した場合に、カリウムレベルが低下するおそれがあるので、カリウムレベルをモニターする (PMID:2898368) (PMID:9186877) (PMID:1623802) (PMID:2178522) (PMID:2472535) (PMID:2879708)(PMID:3168573)
・臨床検査値で血圧に影響を与えることが考えられる (PMID:9168293)

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・腎機能が正常な人が適切に用いればカリウム総摂取量 (食品およびサプリメント) として80〜90 mEq/日以下ならばおそらく安全である。妊娠中・授乳中も腎機能が正常であれば、カリウム総摂取量(食品およびサプリメント)として40〜80 mEq/日以下なら、おそらく安全である。しかし、カリウムの排出はほとんど腎臓に限られているため、腎機能が低下している場合は、過剰摂取は問題がある。経口摂取および静注の有害事象としては、胃腸の不調、吐き気、下痢、嘔吐、げっぷ、鼓腸、潰瘍がある。
・禁忌として腸管運動亢進症の人、また、電解質バランスが正常でない人におけるカリウムカプセルおよびカリウム錠の摂取。
・心臓および腎臓に疾患のある人、腸管出血の恐れのある人、鎌状血球症の人には注意を要する。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・経口摂取で低カリウム血症の治療と予防に有効である。
・経口摂取で有効性が示唆されているのは、1) 高血圧の予防と治療、2) 脳卒中の予防、3) 高カルシウム血症。

参考文献

(28) 最新栄養学 第9版 (建帛社)木村修一ら 翻訳監修
(19) ミネラル事典 朝倉書店 糸川嘉則編
(3) 日本人の食事摂取基準 (2015年版)
(25) クリニカル・エビデンス日本語版 日経BP社 日本クリニカル・エビデンス編集委員会
(55) Harper's Biochem 23th ed
(101) 五訂 日本食品標準成分表 分析マニュアルの解説 財団法人日本食品分析センター編集 (中央法規) ISBN 4-8058-4348-9
(102) 食品衛生検査指針 理化学編 厚生省生活衛生局監修 (社団法人日本食品衛生協会)
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(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
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(94) Natural Medicines
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