健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

クルクミン [英]Curcumin [学名]-

概要

クルクミンは、カレー粉のスパイスに混合してあるターメリック (ウコン) に含まれる黄色の色素で、スパイスや、食品添加物 (着色料) として利用されている。


●有効性
俗に、「抗酸化作用がある」「肝臓によい」「発がんを抑制する」などと言われているが、人においては信頼できる十分な情報が見当たらない。


●安全性
サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報は見当たらない。



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法規・制度

■食薬区分
「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当する。

■食品添加物
・既存添加物
 ウコン色素 (クルクミン/ターメリック色素/ウコン):着色料

成分の特性・品質

主な成分・性質

・ショウガ科の植物ウコン (Curcuma longa) の根茎から抽出した黄色色素。橙色の結晶。融点183℃。アルカリ性溶液、エタノールに溶け、水に不溶 (31) 。

分析法

・吸光光度計 (検出波長420 nm) により分析されている (PMID:6675771) 。紫外可視検出器 (検出波長425 nm) を装着したHPLCにより分析されている (1991056697) 。
・紫外可視検出器 (検出波長420 nm) を装着したHPLC、FIDを装着したガスクロマトグラフィー (GC) 、GC-MSにより分析されている (2003250325) 。

有効性








循環器・
呼吸器


メタ分析
・2015年11月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験9報について検討したメタ分析において、クルクミンの摂取は血中IL-6濃度の低下と関連が認められた (PMID:27392742)
・2013年4月までを対象に2つのデータベースで検索できた臨床試験6報について検討したメタ分析において、クルクミノイドの摂取はCRPの低下と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:23922235)
・2012年9月までを対象に5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験5報について検討したメタ分析において、クルクミンの摂取は血中脂質 (TC (5報) 、LDL-C (4報) 、HDL-C (4報) 、TG (5報)) との関連は認められなかったが、試験によるばらつきが大きく、さらなる検討が必要 (PMID:24139527)
RCT
・2型糖尿病患者213名 (試験群107名、平均59.16±1.07歳、タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、クルクミノイド250 mg×6個/日を6ヶ月間摂取させたところ、PWVの低下、血中アディポネクチン濃度の増加、レプチン濃度、TG、HOMA-IR、内臓脂肪率、体脂肪率の低下が認められた (PMID:24445038)


消化系・肝臓

メタ分析
・2018年11月までを対象に5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験6報について検討したメタ分析においてNAFLD患者によるクルクミンまたはアキウコン抽出物の摂取は、肝機能マーカー (AST、ALT) 低下と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:30653773)
RCT
・健康な男女58名 (試験群28名、平均44.2±7.9歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、アキウコン熱水抽出物 (ビサクロンとして400μg含有) +クルクミン30 mg含有飲料100 mLを12週間摂取させたところ、POMSの6項目中5項目と総合評価の低下、BMIの低下抑制が認められた。一方、肝機能マーカー (AST、ALT、γ-GTP) に影響は認められなかった (2017000432) 。
・健康な男女69名 (試験群33名、平均51.8±9.8歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、アキウコン熱水抽出物 (ビサクロンとして400μg含有) +クルクミン30 mg含有タブレットを12週間摂取させたところ、POMSの6項目中1項目 (疲労) の低下が認められた。一方、肝機能マーカー (AST、ALT、γ-GTP) 、炎症マーカー (CRP、SAA、IL-6、TNF-α、プロスタグランジンE2) に影響は認められなかった (2017326978) 。

糖尿病・
内分泌

メタ分析
・2017年7月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ対照試験9報 (検索条件:期間≧4週、年齢>18歳) について検討したメタ分析において、クルクミンの摂取は、空腹時血糖値 (5報) 、HbA1c (4報) を、クルクミノイドの摂取は、空腹時血糖値 (4報) を低下させたが、いずれも試験によるばらつきが大きかった。一方、クルクミノイドの摂取はHbA1c (3報) との関連は認められなかった (PMID:28928074)
RCT
・糖尿病前症の成人237名 (試験群120名、平均56.95±1.10歳、タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、クルクミン250 mg×6個/日を9ヶ月間摂取させたところ、糖尿病への進展率、空腹時血糖、OGTT、HbA1c、C-ペプチド、HOMA-IRの低下とHOMA-βの上昇が認められた (PMID:22773702)

生殖・泌尿器

RCT
・月経前症候群 (PMS) の女性70名 (試験群35名、平均25.21±9.2歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、クルクミン100 mg×2回/日を10日間 (月経前7日間+月経開始後3日間) ×3月経周期摂取させたところ、PMS評価尺度における症状の軽減、BDNFの上昇が認められた (PMID:26608718)

脳・神経・
感覚器

メタ分析
・2014年12月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験8報について検討したメタ分析において、ショウガ科 (ショウガ:5報、クルクミン:2報、ジャワショウガ:1報) の摂取は慢性疼痛の自覚症状軽減と関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった (PMID:25972154)
RCT
・過体重または肥満の2型糖尿病性末梢神経障害患者80名 (30〜60歳、試験群40名、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、高吸収型クルクミン80 mg/日を8週間摂取させたところ、抑うつ・不安・ストレス尺度 (DASS-21) 3項目中2項目 (抑うつ、不安) のスコア低下が認められた。一方、ストレスに影響は認められなかった (PMID:31788880)

免疫・がん・
炎症

メタ分析
・2018年2月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ対照試験15報について検討したメタ分析において、肥満、メタボリックシンドローム患者におけるクルクミンの摂取は炎症マーカー (IL-6 (5報) 、高感度CRP (9報)) 、酸化ストレスマーカー (MDA (5報)) 低下との関連が認められたが、試験によるばらつきが大きかった。一方、炎症マーカー (TNF-α (5報)) 、抗酸化マーカー (SOD (3報)) との関連は認められなかった (PMID:30402990)
・2015年9月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験8報について検討したメタ分析において、クルクミンの摂取は血漿中TNF-α濃度低下と関連が認められた (PMID:27025786)
RCT
・メタボリックシンドロームの男女109名 (18〜65歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、クルクミン500 mg×2回 (36名) またはクルクミンリン脂質複合体500 mg (クルクミン100 mg含有) ×2回/日 (37名) を6週間摂取させたところ、いずれの群においても酸化関連マーカー (酸化/抗酸化バランス) が増加した (PMID:28840615)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

RCT
・肥満の成人30名 (平均38.43±10.84歳、イラン) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、クルクミノイド1 g/日をbioperine (クルクミノイドの吸収補助) とともに30日間摂取させたところ、TG、不安尺度 (BAI) の低下が認められたが、TC、LDL-C、HDL-C、高感度CRP濃度、体重、BMI、腹囲、ヒップ径、腕径、体脂肪、抑うつ尺度 (BDI) に影響は認められなかった (PMID:22610853) (PMID:25776839)
・メタボリックシンドロームの男女117名 (試験群59名、平均44.80±8.67歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ対照試験において、クルクミノイド500 mg+ピペリン5 mg x2/日を8週間摂取させたところ、高感度CRP、MDA、空腹時血糖値の低下、SOD活性の増加が認められたが、血圧、HbA1cに影響は認められなかった (PMID:25618800)

その他

メタ分析
・2018年1月までを対象に7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験8報 (検索条件:期間≧4週、人数≧30人) について検討したメタ分析において、クルクミンの摂取は、酸化ストレスマーカー (血中MDA (7報)) の低下、抗酸化マーカー (SOD活性 (4報)) の上昇と関連が認められたが、いずれも試験によるばらつきが大きかった。一方、抗酸化マーカー (GPx (2報)) との関連は認められなかった (PMID:30527253)





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献の中に見当たらない。



安全性

危険情報

<病者>
・がん患者における第1相臨床試験の結果では、クルクミン8,000 mg/日、3ヶ月間の摂取は安全であった (PMID:11712783)
・胆嚢収縮を引き起こすことがあるので、胆石・胆嚢疾患患者は注意して使用すること (PMID:12495265)
・18歳以上の乾癬患者12名 (アメリカ) にクルクミン4.5 g/日を12週間摂取させたところ、3名で症状が悪化した (PMID:18249471)
<被害事例>
・クルクミン含有食品 (ウコン) による肝機能障害の報告がある (2004263248) (2004149979) 。
・クルクミン含有食品 (ウコン) による皮膚炎の報告がある。58歳男性 (日本) が繰り返し出現する顔面の色素斑を主訴としたウコンによる固定薬疹と診断された (2004276909) 。
・38歳男性 (韓国) がクルクミン含有の錠剤を20〜30錠×2回/日 (クルクミンを含むターメリックの含有量約3〜4.5 g/日) (摂取量は、医師に指示された量の倍以上) を1ヶ月間摂取し、完全房室ブロックを発症した (PMID:19892416)
・糖尿病と高血圧のためシンバスタチン、アスピリン、シタロプラム、ロサルタン、メトホルミン、オキシブチニンを服用中の78歳女性 (アメリカ) が、自己判断でシンバスタチンの代わりにクルクミンサプリメント1回/日 (摂取量不明) を1ヶ月間摂取したところ、黄疸と無胆汁便の症状が1週間続き、検査にて肝機能マーカー (ALP、AST、ALT、総ビリルビン) の上昇を認めた。摂取中止と加療により改善し、因果関係評価 (RUCAM) がprobableであったため、摂取したクルクミンサプリメントによる薬物性肝機能障害と診断された (PMID:31781418)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト試験>
・健康な男性16名 (平均23.5歳±1.6歳、中国) にクルクミン1,000 mg/日を14日間摂取させ、クルクミンの薬物代謝酵素に対する影響を投与したカフェインの代謝物の変動により評価したところ、CYP1A2活性の低下とCYP2A6活性の上昇が認められ、クルクミンが医薬品との相互作用を起こす可能性が示された (PMID:20484172)
・健康な成人8名 (24〜52歳、アメリカ) を対象としたクロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、薬物摂取前日の朝、夕、投与直前および投与4時間後におけるクルクミノイド4 g + ピペリン24 mgの摂取は、ミダゾラム (催眠薬:CYP3A基質) 、フルルビプロフェン (抗炎症薬:CYP2C9基質) 、パラセタモール (解熱鎮痛薬:CYP2E1基質) の血中濃度やクリアランスに影響は与えなかった (PMID:22725836)
・健康な成人38名 (平均57±5.8歳、アメリカ) を対象とした臨床試験において、クルクミン2,920 mg/日、デメトキシクルクミン 880 mg/日、ビスデメトキシクルクミン 200 mg/日を30日間摂取させたところ、直腸粘膜のUDP-グルクロン酸転移酵素1A10および2B17発現に影響は与えなかった (PMID:27069633)
・健康な成人男性8名 (20〜26歳、インド) を対象とした単盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照試験において、クルクミン2 gとピペリン20 mgを併用させたところ、クルクミンの血中濃度 (Cmax、AUC) が増加した (PMID:9619120)
・健康な男性8名 (年齢不明、日本) を対象とした試験において、クルクミン2 gを摂取させた30分後にサラゾスルファピリジン (リウマチ治療薬:BCRP基質) 100 μgまたは2 gを摂取させたところ、代謝時間 (消失速度定数) には影響を及ぼさなかった。一方、サラゾスルファピリジンの血中濃度 (Cmax、AUC) 上昇、経口クリアランスの低下が認められた (PMID:22300367)
<動物・試験管内>
・クルクミンは、動物実験 (ラット) においてタモキシフェン (抗がん剤:CYP2D6、CYP3A4基質) の血中濃度 (AUC、Cmax) を増加させ、in vitro試験においてCYP3A4 (ヒト酵素タンパク) やP糖タンパク (MCF-7細胞) の活性を阻害した (PMID:22512082)
・動物実験 (ラット) において、自己乳化薬物送達システムを用いたクルクミンの摂取は、ドセタキセル (抗がん剤:CYP3A4、P糖タンパク質基質) の血中濃度 (AUC、Cmax) を増加させたが、半減期やクリアランスに影響は認められなかった (PMID:22201019)
・動物実験 (ラット) において、クルクミン100 mg/kg、7日間の経口摂取は、ワルファリン (抗凝固薬:CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4) およびクロピドグレル (抗血小板薬:CYP1A2、CYP2B6、CYP2C19、CYP3A4、P糖タンパク質基質) の血中濃度を増加させたが、プロトロンビン時間や血小板凝集能に影響は認められなかった (PMID:23807811)
・動物実験 (ラット) において、クルクミンの経口摂取は、エベロリムス (CYP3A4、p糖タンパク質基質) の血中濃度を低下させた (PMID:25300360)
・動物実験 (マウスを用いた強制水泳試験) において、クルクミン20 mg/kgの摂取は、フルオキセチン (うつ病治療薬:CYP2C9、CYP2D6基質) の抗うつ作用を増強した (PMID:25035531)
・動物実験 (糖尿病ラット) において、クルクミンとグリベンクラミド (糖尿病治療薬:CYP2C9、CYP3A4基質) の単回および2ヶ月間の併用はいずれも、グリベンクラミドの半減期、平均滞留時間を増加させた (PMID:27047124)
・動物実験(カニクイザル)において、クルクミンの経口摂取は、サラゾスルファピリジン (リウマチ治療薬:BCRP基質) とロスバスタチン (脂質異常症治療薬:CYP3A4、BCRP基質) の血中濃度 (AUC、Cmax) および生物学的利用能を増加させたが、フェキソフェナジン (アレルギー治療薬:P糖タンパク質基質) 、タリノロール (不整脈治療薬:P糖タンパク質基質) 、アリスキレン (レニン阻害薬:CYP3A4基質) やミダゾラム (催眠薬:CYP3A基質) の薬物動態には影響を与えなかった (PMID:29358184)
・動物実験 (ラット) において、クルクミンとダクラタスビル (抗ウイルス薬:CYP3A4、P糖タンパク質基質) の同時摂取は薬物動態に影響を及ぼさなかったが、事前に7日間クルクミンを摂取させたラットでは、ダクラタスビルのクリアランスが上昇し、血中濃度 (Cmax、AUC) が減少した (PMID:29806225)
・動物実験 (ラット) において、クルクミンの単回摂取は、ピオグリタゾン (糖尿病治療薬:CYP2C8、CYP3A4基質) の薬物動態に影響を及ぼさなかったが、クルクミンの一週間事前摂取ではピオグリタゾンの血中濃度 (AUC) 、平均滞留時間を増加させ、クリアランスを低下させた。また、血糖値には影響を及ぼさなかった (107) 。
・動物実験 (糖尿病モデルラット) において、クルクミンの単回摂取は、ピオグリタゾン (糖尿病治療薬:CYP2C8、CYP3A4基質) の薬物動態に影響を及ぼさなかったが、クルクミンの一週間事前摂取ではピオグリタゾンの血中濃度 (AUC) 、平均滞留時間を増加させ、クリアランスを低下させた。また、いずれの摂取条件においても血糖値の低下が増強された (107) 。
・動物実験 (ラット) において、クルクミンの摂取は、静脈投与したロラタジン (アレルギー治療薬:CYP2D6、CYP3A4、P糖タンパク質基質) の薬物動態に影響を及ぼさなかったが、経口投与したロラタジンのTmax、半減期には影響を及ぼさず、血中濃度 (AUC、Cmax) 、生物学的利用能を増加させた (108) 。
・動物実験 (ラット) において、クルクミンの事前摂取は、ロサルタン (アンジオテンシンII受容体拮抗薬:CYP2C9基質) の血中濃度 (AUC) 、Tmaxには影響を及ぼさなかったが、ロサルタンのCmax、その代謝産物EXP3174の血中濃度 (AUC、Cmax) を上昇させた (PMID:22293343)
・動物実験 (ラット) において、クルクミンの直前投与はドセタキセル (抗がん剤:CYP3A4、P糖タンパク質基質) の血中濃度に影響を及ぼさなかったが、クルクミンの4日間の事前投与は、ドセタキセルの血中濃度 (Cmax、AUC) を上昇させた (PMID:20727390)
・動物実験 (ペンチレンテトラソール誘発てんかんモデルラット) において、クルクミンの摂取は、バルプロ酸 (抗てんかん薬) のてんかん発作抑制作用、脳中MDA低下作用、脳中GSH上昇作用を増強した (PMID:21641922)
・動物実験 (最大電気ショック誘発てんかんモデルラット) において、クルクミンの摂取は、フェニトイン (抗てんかん薬:CYP2C9、CYP2C19基質)、フェノバルビタール (抗てんかん薬:CYP3A4基質)、カルバマゼピン (抗てんかん薬:CYP3A4基質) のてんかん発作抑制作用、脳中MDA低下作用、脳中GSH上昇作用を増強した (PMID:21641922)
・動物実験 (ラット) において、クルクミンとピペリンの併用は、クルクミンの血中濃度 (AUC、Cmax) に影響を及ぼさなかったが、Tmaxを延長、排出半減期を短縮、クリアランスを低下させた (PMID:9619120)
・動物実験 (ラット) において、クルクミンの摂取は、静脈投与したエトポシド (抗がん剤:CYP3A、P糖タンパク質基質) の薬物動態に影響を及ぼさず、経口投与したエトポシドのTmax、生物学的利用能にも影響を及ぼさなかったが、血中濃度 (AUC、Cmax) を上昇、半減期を延長させた (PMID:21506134)
・動物実験 (ラット) において、クルクミンの摂取と、フェノバルビタール (抗てんかん薬:CYP3A4基質) またはカルバマゼピン (抗てんかん薬:CYP3A4基質) の腹腔内投与を21日間継続したところ、フェノバルビタールまたはカルバマゼピンの血中濃度には影響を及ぼさなかった (PMID:20667451)
・動物実験 (ウサギ) において、クルクミンの3日間の事前摂取は、ノルフロキサシン (抗菌薬、CYP1A2基質) の全身クリアランスに影響を及ぼさなかったが、血中濃度 (AUC) を上昇、平均滞留時間、消失半減期を延長させ、吸収半減期を短縮させた (PMID:19934593)
・動物実験 (マウス) において、クルクミンの摂取は、サラゾスルファピリジン (リウマチ治療薬:BCRP基質) の血中濃度 (Cmax、AUC) を上昇させた (PMID:22300367)
・in vitro試験 (ミクロソーム) において、クルクミンはCYP2D6、CYP3A4活性を阻害しなかったが、CYP2C8、CYP2C9活性を阻害した (PMID:20393001)
・in vitro試験 (ヒト肝細胞) において、クルクミンはCYP2C8/2C9、CYP2D6活性を誘導しなかったが、CYP3A4活性を誘導した (PMID:20393001)
・in vitro試験 (ヒト小腸上皮細胞) において、クルクミンによる細胞毒性はOTC薬 (イブプロフェン (解熱鎮痛薬:CYP2C9基質) 、アスピリン (抗血小板薬) 、アセトアミノフェン (解熱鎮痛薬)) により増強した (PMID:23025432)
・in vitro試験 (ヒト肝がん由来細胞) において、クルクミンはCYP3A4遺伝子およびタンパク質の発現を誘導した (PMID:25473508)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、クルクミンはCYP2C9活性を阻害した (PMID:24517573)
・クルクミンは、in vitro試験 (ラット肝ミクロソーム) においてCYP1A、CYP2D活性に影響を与えず、CYP3Aの活性を阻害したが、動物実験 (ラット) における経口投与ではブスピロン (抗不安薬:CYP3A基質) の薬物動態に影響は与えなかった (PMID:27013798)
・in vitro試験 (ヒト腎臓細胞) において、クルクミンはOATP1B1およびOATP1B3によるドセタキセル (抗がん剤:CYP3A4、P糖タンパク質基質) の取り込みを阻害し、in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、CYP3A4によるドセタキセルの代謝を阻害した (PMID:27452633)
・in vitro試験 (ヒト酵素タンパク) において、クルクミンはCYP2C9、CYP3A4活性を強く阻害し、CYP1A2、CYP2D6活性をわずかに阻害した (PMID:27821437)
・in vitro試験 (ヒトCYPタンパク) において、クルクミンはCYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2D6、CYP3A4活性を阻害した (PMID:17433521)
・in vitro試験 (ヒト腎細胞) において、クルクミンおよびクルクミングルクロン酸抱合体はOATP1B1およびOATP1B3によるロバスタチン (脂質異常症治療薬:CYP3A4、BCRP基質)の取り込みを阻害し、動物実験 (ラット、イヌ) において、ロバスタチンの半減期及び血中濃度 (Cmax、AUC) を増加させた (PMID:27174018)
・in vitro試験 (ヒト酵素) において、クルクミンはCYP3A4活性を阻害した (108) 。
・in vitro試験 (ヒト乳癌細胞) において、クルクミンはP糖タンパク質の活性を阻害した (108) 。
・in vitro 試験 (LS-180V細胞) において、クルクミンによる48時間事前処理はP糖タンパク質活性を亢進したが、クルクミンの同時作用はP糖タンパク質活性に影響を及ぼさなかった (PMID:20118549)
・in vitro試験 (ヒト酵素) において、クルクミンはCYP3A4活性を阻害した (PMID:21506134)
・in vitro試験 (MCF-7/ACR細胞) において、クルクミンはP糖タンパク質活性を阻害した (PMID:21506134)
・in vitro試験 (ブタ腎上皮細胞、P糖タンパク質発現ブタ腎上皮細胞) において、クルクミン、デメトキシクルクミンはP糖タンパク質の活性を阻害した。一方、ビスデメトキシクルクミンは影響を及ぼさなかった (PMID:19879740)
<理論的に考えられる相互作用>
・血小板凝集を抑制するため、抗凝血作用をもつハーブや医薬品との併用で出血傾向が高まる可能性がある (PMID:10484074)

動物他での
毒性試験

1. LD50(半数致死量)
クルクミンを投与:マウス経口2.0g/kg(91)、リーシュマニア36.7±3.5μM (PMID:11824543) 。※リーシュマニア=サシチョウバエによって媒介される寄生虫。
2. その他 
・第61回FAO/WHO合同食品添加物専門家会議 (JECFA) (2003.6) において添加物としての再評価がされ、ADI (一日摂取許容量) は0〜3 mg/kg体重とされた
(詳細はこちら) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・クルクミン含有食品 (ウコン) による肝機能障害や皮膚炎の報告がある。
・クルクミンは、第61回JECFA (2003.6) において添加物としての再評価がなされ、ADIは0〜3 mg/kg体重とされた (PDFはこちら) 。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・信頼できる十分なデータは見当たらない。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(1991056697) 東京衛研年報. 1989;40:178-82.
(2003250325) 広島県保健環境センター研究報告. 2002;10:7-13.
(2004263248) 肝胆膵. 2004;48(6):747-55.
(2004149979) 肝臓. 2004;45(2):96-108.
(PMID:10484074) Biochem Pharmacol.1999 Oct 1;58(7):1167-72
(PMID:12495265) Asia pac J Clin Nutr.2002;11(4):314-8.
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS).
(2004276909) 皮膚病診療. 2004;26(8):1003-6.
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(PMID:18249471) J Am Acad Dermatol. 2008 Apr;58(4):625-31.
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(31) 理化学辞典 第5版 岩波書店
(PMID:10404539) Phytother Res. 1999 Jun;13(4):318-22.
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