健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

タイム 、タチジャコウソウ [英]Common Thyme [学名]Thymus vulgaris L.

概要

タイム (タチジャコウソウ) はヨーロッパ南部の地中海沿岸地方原産で、香料用などに栽培される常緑小低木。高さ18〜30 cmまで生長し、花期は5〜6月。タイムには種、変種が多く、分類は複雑化しており、正規の種が推定で100〜400ある。ヨーロッパで料理に欠かせないハーブとして有名で、伝統的に薬用目的でも使用されている。薬用部分は全草 (麝香草<ジャコウソウ>) 。健康食品の素材として、俗に、「精神的なストレスを和らげる」と言われるが、ヒトでの有効性については調べた文献に十分な情報が見当たらない。料理やハーブティーなど、通常の食品に含まれる量を用いる場合はおそらく安全であるが、精油を摂取したり、直接体に塗ると炎症やアレルギーを誘発する可能性がある。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・全草は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。「既存添加物」:抽出物は苦味料等の香辛料抽出物である。
・米国ではGRAS (一般的に安全とみなされる物質) 認定。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・精油 (約1%) はチモール (thymol) が主成分で、他にフェノール (phenol) 、カルバクロール (carvacrol) 、p-シメン (p-cymene) 、ピネン (pinene) 、l-リナロール (l-linalool) 、オレアノール酸 (oleanolic acid) 、ウルソール酸 (ursolic acid) 、ルテオリン配糖体 (luteolin-7-glucoside) 、カフェ酸 (caffeic acid) などを含有する。その他、タンニン、フラボノイド、サポニンを含む。

分析法

・品質の指標として、チモール (thymol) 、カルバクロール (carvacrol) 、p-シメン (p-cymene) 、γ-テルピネン (gamma-terpinene) をキャピラリーGC/MSを用いて分析した報告がある (PMID:12093498)

有効性








循環器・
呼吸器


・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) では、葉および莢の便秘への使用を承認している。


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

RCT
・円形脱毛症の63名 (試験群35名) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、タイム精油88 mg/日を、他のハーブ精油と組み合わせて7ヶ月間使用したところ、症状が改善した (PMID:9828867)





試験管内・
動物他での
評価

・タイムオイルを生理食塩水で5%懸濁液にしてネコに静脈投与したところ、呼吸量が増加した (23) 。
・タイムはラットにおいて抗甲状腺刺激ホルモン作用を示した (23) 。

安全性

危険情報

<一般>
・通常、食品に含まれる量を摂取する場合、おそらく安全である (94) 。
・精油の摂取については、信頼できる十分な情報がない (94) 。
・有害事象として、胃腸症状、頭痛、めまいを生じる可能性がある (94) 。
・精油は皮膚、粘膜に炎症やアレルギーを起こすことがある (20) (2003250000) (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊婦や授乳婦が通常の食品に含まれる量を摂取することはおそらく安全である (94) 。しかし、過剰量摂取の安全性については信頼できるデータが十分にないため、使用を避ける (94)。
<小児>
・通常、食品に含まれる量を摂取する場合、おそらく安全である (94) 。
・精油の摂取については、信頼できる十分な情報がない (94) 。
<その他>
・交差反応が起こる可能性が示唆されている (94) 。
・手術の少なくとも2週間前までに、使用を中止したほうがよい (94) 。
<被害事例>
・14日齢男児 (トルコ) が小児疝痛のためにグラニュー糖入りタイムジュースを50 mL摂取したところ、1時間後に低血糖、高尿酸血症、乳酸アシドーシスによる呼吸困難を生じた。この男児は検査にてフルクトース-1,6-ジホスファターゼ欠損が確認された (PMID:24600990)
・70歳女性 (トルコ) がタイム茶を1〜2杯/日、約20〜25年間摂取していたところ、腰痛を呈し、子宮内膜巨大ポリープが見つかった。ホルモン剤は服用しておらず、他に要因が考えられなかったため、タイム茶の長期摂取との関連が疑われた (PMID:25093134)

禁忌対象者

調べた文献に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・抗血小板薬、抗凝固薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、エストロゲンなどの薬効に影響を与える可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・タイムオイルを投与:ラット経口2.84 g/kg (91) 、マウス経口1.3 g/kg (91)。
2.その他
・ラット肝S-9Mixを用いたエイムス試験でタイムが突然変異原性を示した (1985178027) 。
・マウスに濃縮タイムエキスを0.5〜3 g/kg (タイム4.3〜26 g/kg相当量) を経口投与したところ、自発運動や呼吸活動の低下が認められた (94) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・全草:クラス2b (22) 。

総合評価

安全性

・通常、食品に含まれる量を摂取する場合、おそらく安全である。ただし精油の摂取に対する安全性については、十分な情報がない。
・妊娠中および授乳中は通常の食事に含まれる量であればおそらく安全であるが、過剰量摂取の安全性については、調べた文献に十分な情報が見当たらない。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) では葉および莢の便秘への使用を承認しているが、その他、ヒトでの有効性については調べた文献に十分な情報が見当たらない。

参考文献

(20) ハーブ大百科 誠文堂新光社 デニ・バウン
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(23) 天然食品・薬品・香粧品の事典 朝倉書店 小林彰夫ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(PMID:12093498) J Pharm Biomed Anal. 2002 Jul 20;29(4):691-700.
(PMID:8630713) Ann Allergy Asthma Immunol. 1996, 76(5):416-8.
(PMID:10617990) Am J Clin Nutr. 2000 Jan;71(1 Suppl):323S-6S.
(PMID:9828867) Arch Dermatol. 1998 Nov;134(11):1349-52.
(2003250000) 皮膚の科学.2003;2(1):9-13
(1985178027) 薬学雑誌.1982;102(6):596-601
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)
(94) Natural Medicines
(PMID:24600990) Clin Lab. 2014;60(1):151-3.
(PMID:25093134) Case Rep Obstet Gynecol. 2014;2014:518398.

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