健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ブラックコホシュ [英]Black cohosh、 Black snakeroot [学名]Cimicifuga racemosa (L.) Nutt.、Actaea racemosa L.

概要

ブラックコホシュは北米に分布するキンポウゲ科の多年草植物であり、薬草として、鎮痛剤や強壮薬として用いられてきた。俗に、「女性ホルモンのバランスを整える」と言われているが、特定の抽出物で更年期障害における諸症状に有効性が示唆されているものの、さらなる検証が必要である。安全性については、適切に摂取する場合は安全性が示唆されているが、肝毒性の可能性が懸念されている。妊娠中は自己判断で使用してはならない。授乳中は危険性が示唆されているため使用を避ける。海外ではブラックコホシュ摂取との関連が疑われる肝機能障害の事例報告が多数あるため、厚生労働省をはじめ、欧州医薬品局 (EMEA) のハーブ医薬品に関する委員会 (HMPC) 、英国医薬品 (MHRA) 、フランス食品安全庁 (AFSSA) 、フィンランド食品安全局では、製品への警告表示の追加など、健康被害防止に対する注意喚起を行っている。ブラックコホシュに関する安全性・被害情報はこちらを参照。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・全草は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品とは判断しない成分本質 (原材料)」に該当 (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・トリテルペン配糖体 (actein、シミゴシド)、サリチル酸塩、isoferulic acid、タンニン、長鎖脂肪酸、精油、fukinolic acid、カフェイン酸 (94) 、イソフラボン (フォルモノネチン) (101) 、アルカロイド (アデニン、コリン、シチジン、シミプロニジン、N-ホルミルアルギニン) (102) などを含む。

分析法

・トリテルペン配糖体 (actein、27-deoxyactein、cimicfugoside M、cimicifugoside) をLC/MSにより分析した報告がある (PMID:11105569)

有効性








循環器・
呼吸器


RCT
・更年期症状のある女性310名 (平均52±2歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ160 mg/日 (試験群71名) もしくはマルチ植物サプリメント (試験群68名、ブラックコホシュ200 mg、アルファルファ400 mg、チェストツリー200 mg、トウキ400 mg、Chamaelirium luteum 200 mg、リコリス200 mg、オーツ400 mg、ザクロ400 mg、シベリアニンジン400 mg/日を含む) 、マルチ植物サプリメント+イソフラボン42〜70 mg含有大豆製品 (試験群71名) を3ヶ月間摂取させたところ、血清中の総コレステロール、HDL、LDL、トリグリセリド、グルコース、インスリン、フィブリノゲン濃度に影響は認められなかった (PMID:17275226)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

一般情報
・特定のブラックコホシュ抽出物は、更年期障害における諸症状 (ホットフラッシュなど) に有効性が示唆されている (94) 。
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) では、ブラックコホシュの根の月経前症候群や月経困難症、更年期障害への使用が承認されている (58) 。
メタ分析
・2016年3月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験62報について検討したメタ分析において、ブラックコホシュの摂取は、ホットフラッシュの頻度 (4報) に影響を与えなかった (PMID:27327802)
・2008年1月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験9報について検討したメタ分析において、ブラックコホシュの摂取は更年期のホットフラッシュなどの血管運動性徴候 (7報) を改善さたが、試験によるバラツキが大きかった (PMID:20085176)
RCT
・更年期症状のある女性351名 (平均52.2±2.4歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ160 mg/日 (80名) もしくはマルチ植物サプリメント (ブラックコホシュ200 mg、アルファルファ400 mg、チェストツリー200 mg、ザクロ400 mg、トウキ400 mg、Chamaelirium luteum 200 mg、リコリス200 mg、オーツ400 mg、シベリアニンジン400 mg /日を含む) (76名) を1年間摂取させたところ、ホットフラッシュや夜間発汗 (PMID:17179056) 、膣症状、月経周期、ホルモン状態 (PMID:18257142) に影響は認められなかった。
・ホットフラッシュ症状のある更年期女性66名 (試験群18名、平均53.94±4.04歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験においてブラックコホシュ128 mg/日を12ヶ月間摂取させたところ、ホットフラッシュ、認知機能に影響は認められなかった (PMID:19590458)
・閉経後女性122名 (試験群81名、平均52.5±3.7歳、スイス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ6.5 mg/日を12週間摂取させたところ、更年期症状に影響は認められなかった (PMID:16039414)
・ホットフラッシュや夜間発汗症状のある閉経期もしくは閉経後の女性88名 (試験群21名、平均54.4±3.9歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ128 mg/日を12ヶ月間摂取させたところ、症状の改善は認められなかった (PMID:19609225)
・閉経後女性84名 (試験群42名、平均51.4±4.0歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ根抽出物6.5 mg/日を8週間摂取させたところ、GCS (更年期症状スケール) の総スコアおよび各項目 (精神症状、身体症状、血管運動症状、性的症状) の改善 (PMID:24499633) 、ホットフラッシュの回数減少 (PMID:25276716) が認められた。
・更年期症状のある女性54名 (試験群27名、平均50.3±3.4歳、タイ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ抽出物40 mg/日を12週間摂取させたところ、更年期症状の評価 (ホットフラッシュの回数、クッパーマン指数、MENQOL、Global satisfaction) に影響は認められなかった (PMID:24941138)

脳・神経・
感覚器


・閉経期不安障害の女性28名 (試験群15名、平均56.7±6.53歳、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ64 mg/日を2週間、続けて128 mg/日を10週間 (計12週間) 摂取させたところ、不安障害の評価 (HAM-A、 PGWBI) に影響は認められなかった (PMID:19745648)
・健康な男性20名 (年齢20〜29歳、日本) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ抽出物200 mgを単回摂取させ60分後にUchida-Kraepelin test (30分歩行-5分安静-30分歩行) を行ったところ、テスト終了直後の心理的尺度のストレス感情スコアの低下が認められたが、不安スコアに影響は認められず、テスト終了60分後ではいずれも影響は認められなかった (PMID:22790213)
・睡眠障害のある閉経後女性42名 (試験群20名、平均52.2±5.5歳、イギリス) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ2.5 mg×2/日を6ヶ月間摂取させたところ、中途覚醒の減少、睡眠効率、更年期特有のQOLの4項目中1項目で改善が認められたが、その他の項目には影響は認められなかった (PMID:26000551)

免疫・がん・
炎症

RCT
・乳がん患者またはそのリスクが高い女性116名 (平均56.4±8.53歳、アメリカ) を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験において、ブラックコホシュ20 mg/日を4週間摂取させたところ、顔面紅潮やQOLに影響は認められなかった (PMID:16782922)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

・動物実験 (ラット、マウス) において、抽出物はエストロゲン受容体に結合せず、エストロゲン依存性遺伝子を制御せず、エストロゲンが関連する腫瘍の増殖を抑制しなかった (PMID:8905606) (PMID:11875334) (PMID:12711012) (PMID:11368622)
・動物実験 (ラット) において、骨に対して弱いエストロゲン様活性があり、下垂体からの黄体形成ホルモン分泌を抑えたが、子宮重量は増加しなかった (PMID:14514351)
・in vitro試験 (ヒト乳がん細胞) において、腫瘍増殖の促進は認められず、(PMID:12408370) (PMID:12067987) (PMID:15167307) 複数の成分が乳がん細胞の増殖を抑えた (PMID:14758092)

安全性

危険情報

<一般>
・適切に摂取した場合、安全性が示唆されている (94) 。
・摂取により、胃腸の不調、発疹、頭痛、めまい、体重増加、下肢のだるさ、痙攣、乳房圧痛、膣の斑形成、出血を生じる可能性がある (94) 。
・ドイツのコミッションE (薬用植物の評価委員会) では、使用の上限を6ヶ月としている (58) 。
【肝毒性に関する情報】
・ブラックコホシュの利用が疑われる肝障害の事例報告が海外で報告され、日本やカナダ、英国、オーストラリア、フランス、フィンランドが注意情報を発信している (104) (105) (106) (107) (108) (110) (111) (112) が、因果関係の詳細は定かではないようである (103) (PMID:12697018)。そのため、米国薬局方は、肝機能障害患者は避けるべきであると勧告している (103) (PMID:18340277)
ブラックコホシュに関するHFNetの安全情報・被害関連情報はこちらを参照。
・2000年〜2007年を対象に5つのデータベースで検索できたハーブ製品による肝毒性報告について検討したレビューにおいて、減量を目的とした製品 (N-ニトロソフェンフルラミン、ウスニン酸、エフェドラアルカロイドを含むもの) やテルペノイドを含むハーブ (ニガクサ属、スカルキャップ、ツボクサ、ブラックコホシュ) による肝毒性の危険性が指摘されている (PMID:18318821)
・2007年6月までを対象に2つのデータベースと、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダの政府機関の公表で検索できた症例報告を対象に米国薬局方がレビューを行ったところ、ブラックコホシュ製品に関する肝機能障害の症例報告が30例報告され、全ての症例がブラックコホシュ製品に関連する可能性があった (PMID:18340277)
・ブラックコホシュとの関連が疑われる肝毒性報告69例を国際医学団体協議会 (CIOMS) の基準で分析したところ、肝機能障害とブラックコホシュとの因果関係は希薄であった (PMID:19586731)
・1つのデータベースで検索できた無作為化比較試験5報について検討したメタ分析において、ブラックコホシュのイソプロパノール抽出物 (40〜128 mg/日) の3〜6ヶ月間の摂取は、肝機能に影響を与えなかった (PMID:21228727)
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中の摂取は、危険性が示唆されている。流産のおそれがあるため、摂取は避ける (94) 。自己判断で使用してはならない (22) 。
・授乳中の摂取は、危険性が示唆されている (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<その他>
・乳がんの人は転移リスクを高める可能性があるため、使用を避ける (94) 。
・ホルモン感受性の高い人は、症状に影響を与える可能性があるため、使用を避ける (94) 。
・腎臓移植を受けた人は、ブラックコホッシュとアルファルファサプリメントの併用で急性移植腎臓拒絶反応を起こす可能性があるため、使用を避ける (94) 。
・肝臓病の人は肝障害を悪化させる可能性があるため、使用を避ける (94) 。
・プロテインS欠乏症の人は、血栓症のリスクが増加する可能性がある (94) 。
・ニューヨークで2002〜2004年に購入した11種のブラックコホシュ製品の品質について分析した結果、3種にはブラックコホシュではなくそれに類似したアジア産ハーブのActaea種 (Actaea cimicifuga、A. dahurica、A. yunnanensis等) が、1種にはブラックコホシュとActaea種の両方が使用されていることが確認された (PMID:16637680)
<被害事例>
【肝臓疾患に関する被害事例】
・47歳女性 (オーストラリア) がブラックコホシュを1週間摂取 (摂取量不明) したところ、肝不全を起こして移植を行った (PMID:12381254)
・50歳女性 (イギリス) が更年期症候群を軽減するためにブラックコホシュを摂取後 (摂取量不明) 、持続する頭痛を発症し、肝機能の低下が認められ、摂取の中止により改善した (PMID:18202968)
・37歳女性 (イタリア) がブラックコホシュ含有サプリメントを1年半摂取 (摂取量不明) したところ、肝炎を発症し、摂取中止により回復した (PMID:19472866)
・2ヶ月前に子宮摘出と両側卵管卵巣摘出を受けた51歳女性 (イギリス) が、ブラックコホシュを摂取後 (摂取量不明) 、上腹部痛を訴えた。肝機能の低下が認められ、摂取の中止により改善した (PMID:18202968)
・52歳女性 (ドイツ) がブラックコホシュと他のハーブの混合製品 (200 mL中にブラックコホシュ20 mL、グランドアイビー80 mL、ゴールデンシール20 mL、イチョウ40 mL、オート40 mL含有) を3ヶ月間で600 mL以上摂取したところ、急性肝不全を起こし、移植を行った (PMID:14503910)
・53歳女性 (アメリカ) がブラックコホシュと大豆イソフラボンを含有する製品を度々摂取 (摂取量、期間不明) したところ、肝機能障害と診断された (PMID:20130783)
・62歳女性 (ベルギー) がブラックコホシュ240 mg/日と他のハーブ含有製品 (大豆抽出物4.41 g/日、アカツメクサ120 mg/日、ワイルドヤム500 mg/日、クズ12.5 mg/日、トウキ500 mg/日、セントジョーンズワート100 mg/日、カルシウムリン酸塩350 mg/日) を3ヶ月間摂取したところ、肝壊死を伴う肝機能障害を起こした (PMID:19404202)
・レボチロキシン (甲状腺ホルモン剤) を100μg/日使用していた54歳の女性 (アメリカ) が、ブラックコホシュ1,000 mg/日を8ヶ月間併用したところ劇症肝炎を生じた (PMID:16721764)
・レボチロキシン (甲状腺ホルモン剤) を0.05 mg/日使用していた42歳女性 (アメリカ) が、ブラックコホシュ含有製品 (摂取量不明) を6ヶ月間併用したところ、軽い黄疸が認められ急性肝炎と診断された (PMID:20130783)
・閉経後50歳女性 (アメリカ) が、2年間摂取していたランソプラゾール (15 mg/日、胃薬でプロトンポンプインヒビター) とともにブラックコホシュを40 mg/日、2週間摂取したところ、急性肝炎を発症した。症状がブラックコホシュの摂取開始により出始め、摂取中止により回復したことなどから、発症原因はブラックコホシュであると診断された (PMID:18203607)
・イルベサルタン、レボチロキシン、インスリン、シンバスタチンを服用している58歳女性 (ベルギー) がブラックコホシュ80 mg/日を12ヶ月間摂取し、慢性肝炎を起こした (PMID:19404202)
・44歳女性 (ドイツ) がブラックコホシュ製品5 mg/日を4週間前から摂取したところ (摂取量不明) 、体液貯留、血液凝固活性化、一過性自己免疫性肝炎を起こした (PMID:19657787)
・35歳女性 (イタリア) がハーブ (ブラックコホシュ、ツルドクダミ、カンゾウ) 含有製品を4週間摂取し (摂取量不明) 、胆汁うっ滞と肝機能障害を起こしたが、ハーブ含有製品の摂取を申し出なかったため、胆のう切除術を受けた (PMID:21222373)
・51歳女性 (オーストラリア) が更年期症状のためにブラックコホシュ根抽出物を20 mg含む錠剤を1錠、3年間間欠的に摂取し、更年期症状が悪化したため2ヶ月前より2錠/日摂取したところ、昏睡、吐き気、関節痛、黄疸が生じて医療機関を受診。血清中の肝酵素値上昇が認められたため、ブラックコホシュ摂取による急性肝機能障害と診断、肝臓移植後に回復した (PMID:18393750)
・甲状腺機能低下症で服薬中の60歳女性 (イギリス) が、ブラックコホシュを2週間摂取したところ (摂取量不明) 、痒み、暗色尿、黄疸を呈し、亜急性肝不全と診断され、肝移植を行った (PMID:23833086)
・44歳女性 (アメリカ) が、ブラックコホシュを約1ヶ月摂取したところ (摂取量不明) 、無痛性黄疸を生じて医療機関を受診。肝機能検査値の異常、結節性肝硬変、胆汁うっ滞、肝細胞損傷などが認められた。ブラックコホシュの摂取開始時より発症、摂取中止により肝機能検査値が正常化したことなどから、ブラックコホシュ摂取による亜急性肝機能障害と診断された (PMID:25093128)
【その他の被害事例】
・54歳女性 (イタリア) が、更年期症状を緩和する目的でブラックコホシュ由来の健康食品1粒 (根茎抽出物20 mg含有) ×2回/日を1年間摂取したところ、重度の筋無力症を起こし、血中クレアチンフォスフォキナーゼと乳酸デヒドロゲナーゼの顕著な上昇が認められ、摂取中断により症状と血中生化学値は徐々に回復した (PMID:16360941)
・54歳と64歳の女性 (アメリカ) がブラックコホシュを40 mg含むハーブ製品を2回/日、2〜4ヶ月摂取したところ、皮膚血管炎を発症した (PMID:17434040)
・既往歴のない健康な59歳女性 (オーストラリア) が、ブラックコホシュの根の抽出物製品を1粒/日 (含有量不明) 、2週間摂取したところ、3度の失神を起こし、完全心ブロックと診断された (PMID:20955128)
・46歳女性 (トルコ) が更年期症状のためにブラックコホシュ20 mg/日と朝鮮ニンジン50 mg/日を含むサプリメントを15ヶ月間以上摂取したところ、口唇ジスキネジアを発症し、摂取の中止と加療により回復した (PMID:24247891)
・腺筋症と子宮筋腫があるが症状の安定していた55歳女性 (韓国) がブラックコホシュとセイヨウオトギリソウ含有ハーブ製品を17ヶ月間摂取したところ (摂取量不明) 、類内膜腺がんを発症した (PMID:24456461)

禁忌対象者

・妊娠中は、医療従事者監督下以外での使用を禁止 (22) 。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・健康な成人12名 (平均24±3.0歳、アメリカ) を対象としたオープンラベル無作為化比較試験において、ブラックコホシュ根抽出物1,090 mg×2回/日を28日間摂取させたところ、CYP2D6活性を阻害したが、CYP3A4、CYP1A2、CYP2E1の活性に影響は認められなかった (PMID:15900287)
・健康な成人16名 (平均26±5歳、アメリカ) を対象としたオープンラベル無作為化比較試験において、ブラックコホシュ抽出物20 mg×2回/日を14日間摂取させたところ、ジゴギシン (P糖蛋白質基質) の血中濃度、クリアランスに影響は認められなかった (PMID:16221754)
・健康な成人19名 (平均28±6歳、アメリカ) を対象としたオープンラベル無作為化比較試験において、ブラックコホシュ抽出物40 mg×2回/日を14日間摂取させたところ、ミダゾラム (CYP3A4基質) の血中濃度、クリアランスに影響は認められなかった (PMID:16432272)
<試験管内・動物>
・動物実験 (マウス) において、ブラックコホシュ抽出物は総CYP含量およびCYP2B、CYP3A活性を増加させた (PMID:23470874)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、市販のブラックコホシュ製品7製品のいずれにもCYP3A4阻害作用は認められなかった (PMID:19353999)
・in vitro試験 (ヒト酵素タンパク) において、ブラックコホシュのエタノール抽出物およびイソプロパノール抽出物は、CYP1A2、CYP2C9、CYP2D6、CYP3A4活性を阻害した (PMID:20406160)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、ブラックコホシュのエタノール抽出物は、CYP2D6、CYP3A4活性を阻害した (PMID:21827327)
・in vitro試験 (ヒト肝ミクロソーム) において、セイヨウオトギリソウ、ブラックコホシュ、ショウガはタモキシフェン (CYP450基質) 、イリノテカン (carboxyesterase基質) の代謝を阻害した (PMID:23738729)
・in vitro試験 (ヒト酵素タンパク) において、ブラックコホシュから単離したトリテルペングリコシド6種はCYP3A4活性を阻害した (PMID:15937564)
<理論的に考えられる相互作用>
・肝毒性のあるハーブやサプリメント、医薬品との併用は、肝機能障害のリスクを増加させる可能性がある (94) 。
・アトルバスタチン (高コレステロール血症薬) との併用は、肝酵素を上昇させる可能性があるため、慎重に使用する必要がある (94) 。
・シスプラチン (抗がん剤) との併用は、効果を減弱させる可能性があるため避ける (94) 。
・CYP2D6により代謝される薬物との併用は、代謝に影響を及ぼす可能性があるため、慎重に使用する必要がある (94) 。
・有機アニオン輸送ポリペプチド基質2B1により代謝される薬物との併用は、効果を減弱させる可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中に見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

・根茎:クラス2b (22) 。

総合評価

安全性

・適切に用いればおそらく安全である。
・肝毒性の可能性が懸念される。
・ドイツのコミッションEでは使用の上限を6ヶ月としている。
・妊娠中は自己判断で使用してはならない。
・授乳中は危険性が示唆されているため、摂取は避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・ドイツのコミッションE (薬用植物評価委員会) では、月経前症候群や月経困難症、更年期障害への使用が承認されている。

参考文献

(20) ハーブ大百科 誠文堂新光社 デニ・バウン
(21) グリーンファーマシー 健康産業新聞社 James A.Duke
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
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