健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

サフラン [英]Saffron crocus [学名]Crocus sativus L.

概要

サフランは着色や香りづけに用いられる高価なスパイスとして知られている。一方、中国漢方では薬用ハーブ (蔵紅花) として使われ、循環器系疾患、月経不順、月経痛などの治療処方に応用される。食品素材として利用する場合の、ヒトでの有効性については信頼できるデータが見当たらない。一般的には食品の色付けや風味付けの用途が主で、その摂取量では安全と思われるが、大量摂取はおそらく危険である。大量摂取は特に子宮に対する刺激作用が強いため妊娠中は使用は避ける。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・柱頭は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に区分される (30) 。
・「既存添加物」:抽出物は苦味料等の香辛料抽出物である。米国ではGRAS (一般的に安全と見なされる物質) 認定。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・α、β、γ‐カロテン、色素配糖体であるクロシン (crocin) 、無色の苦味配糖体ピクロクロシン (picrocrocin) 、精油 (8〜10%、テルペン、テルペンアルコール、エステル) 、クロセチン (crocetin) などを含む。
・サフランの成分としてアデノシンを単離・同定したとの報告がある (1995027304) 。
・薬用部分は花柱 (蔵紅花<ゾウコウカ>、または蕃紅花<バンコウカ>) 大きな塊茎をもち、そこから葉を出す多年草。10〜11月の盛花期、その日に開花したものの花柱をとり、風通しのよい室内で陰干しにする。サフラン1 kgを得るには、100,000〜140,000の花が必要であるといわれている。それゆえ、もっとも高価なスパイスである。地中海東部地方が原産。栽培もさかんである。おもな生産国は、スペイン、フランス、トルコ、インド。高さ15 cm。

分析法

・品質の指標として、crocin 1、crocin 2、crocin 3、crocin 4およびcrocetinがC18逆相カラムを用いたHPLCにより分析されている (PMID:10457433)

有効性








循環器・
呼吸器


RCT
・健康な成人60名 (イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、サフラン200 mg/日 (20名、平均31.47±9.11歳) または400 mg/日 (20名、29.95±7.54歳) を7日間摂取させたところ、血漿中の血液凝固・抗凝固因子 (フィブリノーゲン、VII因子、プロテインC、プロテインS、PT、PTT) に影響は認められなかった (PMID:23733488)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

RCT
・不妊症の男性260名 (試験群130名、平均28.4±5.2歳、イラン) を対象とした、二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、サフランを60 mg/日、26週間摂取させたところ、精子の濃度、形態、運動性や精漿の抗酸化能に影響は認められなかった (PMID:20824894)
・大うつ病性障害のためウルオキセチンを服用中で、性機能障害を訴える男性30名 (試験群15名、平均36.6±8.3歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、サフラン15 mg×2回/日を4週間摂取させたところ、性機能評価6項目中3項目でのみ改善が認められた (PMID:22552758)
・フルオキセチンの服用により性機能障害を訴える大うつ病性障害女性34名 (試験群17名、平均34.7±4.7歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、サフラン15 mg×2回/日を4週間摂取させたところ、性機能評価6項目中3項目で改善が認められた (PMID:23280545)

脳・神経・
感覚器

一般
・うつ病に対して有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2013年4月までを対象に7つのデータベースおよび手動で検索できた二重盲検無作為化プラセボ比較試験5報について検討したメタ分析において、大うつ病性障害の患者によるサフランの摂取は、症状の低減と関連が認められ (2報) 、抗うつ薬と同等の効果を示した (3報) (PMID:24299602)
RCT
・経皮的冠動脈形成術を受けた後、うつ病と診断された患者40名 (試験群20名、平均52.05±8.92歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、サフラン30 mg/日を6週間摂取させたところ、フルオキセチン (抗うつ薬) 40 mg/日摂取群と同等の症状スコア (HDRS) の変化が認められた (PMID:24289892)
・産後うつ症状のある女性64名 (試験群32名、平均29.21±7.69歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、サフラン15 mgX2/日を6週間摂取させたところ、フルオキセチン (抗うつ薬) 20 mgX2/日摂取群と同等の症状スコア (HDRS) の変化が認められた (PMID:2795298)
・うつ病患者30名 (平均43.4歳、試験群19名、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、フルオキセチン (抗うつ薬) 20 mg/日とともに、サフラン30 mg/日を4週間摂取させたところ、ベックうつ評価尺度、血中脂質 (総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド) に影響は認められなかった (PMID:26611571)
その他
・予備的な知見によると、特定のサフラン抽出物30 mg/日を摂取したところ、軽度なうつ病の症状を改善した。このサフラン製品は6週間の摂取で抗うつ剤イミプラミン100 mg/日と同等の効果を示した (PMID:15341662) 。しかしイミプラミン100 mg/日は治療量よりも低い。この効果についてはさらなる科学的実証の蓄積が必要である 。

免疫・がん・
炎症

RCT
・健康成人男性99名 (試験群45名、平均22.5±0.6歳、イラン) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、サフラン100 mg/日を6週間摂取させたところ、3週間後の血清IgGの増加とIgMの低下が認められたが、6週間後においてはIgG、IgM、IgA、C3、C4のいずれにも影響は認められなかった (PMID:21480412)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

調べた文献の中に見当たらない。

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

・麻酔下のイヌやネコの血圧を降下させる (23) 。
・血清アルブミンに結合したクロセチンは、ウサギにおいて血清コレステロールを低下させることがわかっている (23) 。
・実験動物に対する子宮刺激作用がある (23) 。
・マウスの発情周期を延ばす作用がある。サフラン0.23〜2%を含む飼料を正常のマウスに3週間与えたところ、膣垢試験全角化のも続時間は正常の1〜2日から3〜4日に延び、摂取停止後にその作用はすぐ消失した (PMID:10457433)
・麻酔下のイヌ、ネコの呼吸刺激作用がある (23) 。
・in vitro で抗がん作用をもつことが示唆されている (エキスが細胞の核酸合成を阻害することで、実験的に発生させたがんの成長を制限させる) (23) 。

安全性

危険情報

<一般>
・短期間、適切に摂取した場合、安全性が示唆されている (94) 。
・大量摂取はおそらく危険である。5 g以上摂取すると重篤な有害事象が出る。致死量は12〜20 gである (94)
・1.5 g/日までの摂取において有害事象は報告されていない。5 g/日以上の摂取では皮膚や強膜、粘膜が黄色くなる黄疸様症状、嘔吐、めまい、血の混じった下痢、血尿、鼻や唇、目の縁、子宮からの出血、しびれ感、尿毒症による衰弱、鼻の壊死を招く血小板減少性の紫斑などの症状を起こす (23) 。
・成人男女30名 (20〜50歳) を対象とした二重盲検プラセボ比較試験において、乾燥サフラン柱頭200 mgもしくは400 mgを含むタブレット1錠/日を1週間摂取させたところ、摂取前と比較して血圧、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、血小板の減少や血中ナトリウム、尿素窒素、クレアチニンの増加がみられたが、安全に使用できたという予備的な報告がある (PMID:18693099)
<妊婦・授乳婦>
・堕胎作用、子宮収縮作用、通経作用に注意すること (22) 。
・授乳中の安全性については十分な情報がないため避ける (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<被害事例>
・結膜炎やアレルギーから誘導される喘息が報告されている (PMID:9226057)
・55歳女性 (日本) が更年期障害に対して処方された2種の漢方薬 (女神散、サフランK) を2ヶ月程度服用していたところ、褐色尿、右上腹部痛、全身倦怠感、眼球黄染が生じて医療機関を受診、総ビリルビン値および肝胆道系酵素値の上昇が認められた。肝生検により薬物性肝炎を示唆する肝組織所見が認められ、また、DLST (薬物リンパ球刺激試験) において服用していた2種の漢方薬において陽性であったため、摂取していた漢方薬による薬物性肝機能障害と診断された (2008199437) 。

禁忌対象者

・妊婦では、通常食事から経口で摂取する以上の摂取はおそらく危険である。多量のサフランには子宮を刺激し人工中絶薬の作用がある。使用は避ける (94) 。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・サフランはオリーブ属、オカヒジキ属、ドクムギ属の植物と交差過敏症があるので、これらの植物に過敏症がある人は注意が必要である (PMID:9226057)

動物他での
毒性試験

1.LD50 (半数致死量)
・マウス胃内投与:20.7 g/kg (90) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・柱頭:クラス2b (22) 。

総合評価

安全性

・通常食事から経口で摂取する量ではおそらく安全であるが、大量摂取はおそらく危険である。
・妊娠中に通常の食事に含まれる量以上を摂取することはおそらく危険であるので、妊婦には禁忌である。
・授乳中の安全性については十分な情報がないため避ける。
・5 g/日以上の摂取では黄疸様症状、嘔吐、めまい、血便、血尿、鼻や唇、子宮からの出血、しびれ感、尿毒症による衰弱、鼻の壊死を招く血小板減少性の紫斑などの症状を起こす。10 gで堕胎作用を示し、12〜20 gで致死と言われる。
・結膜炎やアレルギーから誘発される喘息やアナフィラキシー反応が報告されている。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
食品素材として利用する場合のヒトでの有効性については、信頼できるデータが見当たらない。

参考文献

(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(23) 天然食品・薬品・香粧品の事典 朝倉書店 小林彰夫ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(90) 現代中薬大辞典
(PMID:15341662) BMC Complement Altern Med. 2004 Sep 02;4(1):12
(PMID:9226057) Allergy. 1997 Jun;52(6):633-41.
(1995027304) 和漢医薬学会誌. 1993; 9(3):175-81
(PMID:18693099) Phytomedicine. 2008 Dec;15(12):1032-7
(PMID:10457433) J Chromatogr A. 1999 Jul 23;849(2):349-55.
(PMID:20824894) Phytother Res. 2011 Apr;25(4):508-16.
(2008199437) 肝臓.2008;49(4):166-70.
(PMID:21480412) Phytother Res. 2011 Dec;25(12):1801-5.
(PMID:22552758) Psychopharmacology (Berl). 2012 Oct;223(4):381-8.
(PMID:24299602) J Integr Med. 2013 Nov;11(6):377-83.
(PMID:24289892) J Affect Disord. 2014 Feb;155:216-22.
(PMID:23280545) Hum Psychopharmacol. 2013 Jan;28(1):54-60.
(PMID:23733488) Phytother Res. 2014 Apr;28(4):539-43.
(94) Natural medicine
(PMID:2795298) Pharmacopsychiatry. 2017 Mar;50(2):64-68.
(PMID:26611571) Asian J Psychiatr. 2016 Aug;22:174-6.

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