健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

クコ 、ゴジベリー [英]Goji、Chinese wolfberry、Wolfberry、Duke of Argyll's tea-tree、Chinese box thorn、matrimony vine. [学名]Lycium chinense Mill. (=別名L.barbarum L.) et SCRIBAを用いるようである。 日本ではL.rhombifolium (MOENCH) DIPPEL ex DOSCH

概要

クコは果実、葉、根皮とも古くから漢方薬や民間薬として利用されてきた。中国では紀元前200年にクコに関する記載があり、中国医学においては「滋陰」 (“陰”を養う) 類の生薬としてもっとも多く利用されている素材の一つである。クコには、カロテノイド、ベタイン、ビタミンB1、B2、リノレン酸、アミノ酸および多種類のミネラル、微量元素が含まれているが、産地によって、その含有成分が異なる。近年、健康食品の素材としても注目されているものの、食品素材として利用する場合のヒトでの安全性・有効性については、信頼できるデータが見当たらない。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・根皮は「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」に、果実、葉は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料)」に区分される (30) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・根皮を乾燥した地骨皮にはベタイン、lyciumamide (L-phenylalanin-L-phenylalaniol) などを含む。果実を乾燥した枸杞子には約0.1%ベタイン、ゼアキサンチン、physalen、ビタミン、無機質などを含む。枸杞葉はルチン、β‐シトステロールなどを含む。なす科に特有の有害なアルカロイドを含む。 メカニズムに関与している物質として、kukoamineがあげられている (94) 。
・クコの葉抽出物から、クロロゲン酸、quercetin-3-O-sophoroside、kaempfenol-3-O-sophoroside、lyciumoside類を単離したという報告がある (1998137902) (1985109034) 。
・クコの揮発性中性成分としてカロテノイド由来と考えられる化合物 (ジヒドロアクチニジオリド、サフラナール、β-イオノン、メガスティグマトリエノン、3-ヒドロキシ-β-イオノン) 14種を検出したという報告がある (1984171674) 。
・薬用部分は果実 (枸杞子<クコシ>) 、葉 (枸杞葉<クコヨウ>) 、根皮 (地骨皮<ジコッピ>) 。秋に赤熟した果実を、葉は夏に採集し、根は秋に掘り取り芯を除いて日干しにする。さまざまな等級がある。本州〜沖縄、朝鮮半島、中国、台湾に分布。高さ1〜2 m。花期は8〜11月。

分析法

・lyciumoside、rutin、chlorogenic acid、quercetin-3-O-sophoroside、kaempferol-3-O-sophorosideが紫外可視検出器 (検出波長206、350 nm) を装着した高速液体クロマトグラフィー (HPLC) により分析されている (101) (1998137902) 。

有効性








循環器・
呼吸器


<メタ分析>
・2017年3月までを対象に4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験7報について検討したメタ分析において、クコの摂取は空腹時血糖 (4報) の低下と関連が認められたが試験によるバラツキが大きく、体重 (5報) 、拡張期血圧 (6報) 、収縮期血圧 (6報) 、総コレステロール (3報) 、トリグリセリド (3報) に影響は与えなかった (PMID:28401234)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

調べた文献の中に見当たらない。

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

RCT
・過体重かつ血中LDLコレステロール濃度が高めの男女53名 (試験群26名、平均49.85±1.40歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、クコの実抽出物13.5 g/日を8週間摂取させたところ、赤血球カタラーゼ活性上昇、DNA損傷の指標 (末梢白血球の% of DNA in tail) 減少が認められたが、赤血球GPx活性、酸化ストレス(血漿マロンジアルデヒド、酸化LDL) 、BMI、糖代謝指標 (空腹時血糖値、インスリン濃度、HOMA-IR) 、血中脂質濃度 (総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド) 、肝機能指標 (ALT、AST、γ-GTP) に影響は認められず、赤血球SOD活性の低下が認められた (PMID:28027641)

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

・クコ水性分画はウサギの頚動脈圧に対して23 mg/kg以上で著明な血圧降下を認めた (18) (24) 。
・果実のエキス、根皮には血圧、コレステロールの低下作用がある (20) (23) 。
・クコのエキスはアトロピン類似の副交感神経遮断作用をもつ (24) 。
・成熟したマウスのIL-2活性の上昇および老化マウスのIL-2レベルを成熟マウスのレベルに回復する。マウス細胞性免疫反応を著しく増加させる。シクロフォスファミドにより免疫抑制されたマウスと同様に正常マウスの免疫T細胞の増殖を高め、細胞障害性Tリンパ球およびNK細胞の細胞毒性を増大させる (23) 。
・クコシに含まれるベタインには抗脂肪肝作用があり、クコの水性エキスにも抗脂肪肝作用ならびに肝機能保護力があることが示唆されている (18) (24) 。
・in vitroで、マイトマイシンによる遺伝子の損傷を防ぐ (抗変異原性) 効果がある (23) 。

安全性

危険情報

<一般>
・適切に摂取した場合、安全性が示唆されている (94) 。
・乾燥させた根皮の有害事象として、吐き気、嘔吐が知られている (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中の安全性に関する信頼できる十分な情報が見当たらない。動物実験により、クコ果実は子宮刺激作用を有する可能性が示唆されているが、現時点でヒトでの作用に関する情報は見当たらない (94) 。
・授乳中は、安全性に関する信頼できる十分な情報が見当たらないため、摂取を避ける (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。
<その他>
・胃腸が虚弱で、消化不良、下痢気味の人には不向きである (PMID:19844860)
<被害事例>
・60歳女性 (スペイン) が、クコ (L. barbarum) のベリー茶 (ベリー1握り/カップ) を3回/日、10日間摂取したところ、無気力、関節痛、下痢、腹痛、黄疸、全身性紅斑、発疹を伴う肝毒性を呈し、摂取中止後1ヶ月で回復した (PMID:21621492)

クコ摂取によるアナフィラキシーが報告されている (PMID:22312943) 。詳細は以下の通り。
・レタス、トマト、チキン、ツナのサラダ摂取後にアナフィラキシーを起こした経験のある27歳女性 (スペイン) がクコを摂取したところ (摂取量不明) 、1時間以内に手および足の蕁麻疹、唇の腫れ、呼吸困難、急性鼻炎が生じて医療機関を受診。パッチテストにおいて、クコ、桃、トマト、ピーマン、脂質伝達タンパク質において陽性であり、クコにおける特異的IgE抗体値も高値であったため、クコによるアナフィラキシーと診断された。
・トマト、ピーマン、桃、アンズ摂取による口腔アレルギー症候群の経験がある13歳女児 (スペイン) がクコを摂取したところ (摂取量不明) 、全身性蕁麻疹、重度掻痒、血管性浮腫、呼吸困難が生じて医療機関を受診。プリックテストにおいてクコ、桃、キウイ、アーモンドなどが陽性であり、クコにおける特異的IgE抗体値も高値であったため、クコによるアナフィラキシーと診断された。
・植物性食物アレルギーのある30名 (スペイン) を対象にプリックテストを行ったところ、24名 (77%) がクコに陽性を示した (PMID:23101309)
・ラテックス・フルーツ症候群の40歳女性 (スペイン) が、クコを摂取 (摂取量不明) した直後に、咽頭の痒みを生じ、プリックテストにてクコに陽性を示した (PMID:23548535)
・花粉症の37歳男性 (イタリア) が、運動パフォーマンスと免疫力向上のためにクコ (L. barbarum) を摂取し (摂取量不明) 、約2時間後に運動を開始したところ、直後に気分が悪くなり、全身の蕁麻疹、喘鳴を生じて医療機関を受診、加療にて改善した。プリックテストにてクコが陽性を示したため、クコによる運動誘発性アナフィラキシーと診断された (PMID:25935431)

・53歳男性 (スペイン) がクコを1テーブルスプーン/日で5ヶ月間摂取、キャッツクローを3ヶ月間利用したところ、日光に当たる部位に痒みを伴う発疹を生じ、誘発テストによりクコ摂取が原因の全身性光過敏症と診断された (PMID:21950628)

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<ヒト>
・ワルファリンとの併用で、その作用を強め、出血傾向が高まる (PMID:11675844) ので、注意すること。
・80歳中国人女性が、ワルファリン服用中 (15.5〜16 mg/週、INR* 2.05〜3.56) にクコを含むハーブティーを3カップ/日 (ハーブ重量で30 g) 飲用した際に、INRが4.96に、また2カップ/日 (ハーブ重量で20 g) 飲用した際にINRが3.86に上昇した (PMID:18281140) *INR (国際標準比):血液凝固能の国際的に標準化した値。ワルファリン治療では2〜3に維持されることが多い。
・ワルファリン服用中の71歳エクアドル人女性 (アメリカ) が、クコ (L. barbarum) ジュースを60 mL/日、4日間摂取したところ、鼻血、紫斑、直腸出血などを呈し、安定していたINRが上昇した (PMID:22392461)
<試験管内・動物>
・in vitro試験 (ヒト酵素) において、クコ (L. barbarum) の生果実の水抽出物はCYP2C19、CYP2D6、CYP3A5を、熱水抽出物はCYP2C19、CYP2D6を、80%エタノール抽出物はCYP2C9、CYP2C19を、乾燥果実の水抽出物はCYP2C19、CYP3A7を、熱水抽出物はCYP2C19、CYP2D6、CYP3A5を、80%エタノール抽出物はCYP2C9、CYP2C19、CYP3A5、CYP3A7を、市販または自家製ジュースはCYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A7、CYP19、CYP4A11を中〜強度に阻害した (PMID:27352447)
<理論的に考えられる相互作用>
・抗凝固作用があるハーブやサプリメントとの併用は、出血傾向が高まると考えられる (94) 。
・チトクロームP450 (CYP2C9) を阻害するという知見があるので、CYP2C9で代謝される薬物を使用している患者は注意を要する。同酵素で代謝を受ける医薬品を服用している場合は薬物濃度の上昇に注意すること (94) 。
・血圧降下作用のあるハーブやサプリメント、血圧降下剤との併用で低血圧になりやすくなることが考えられる (94) 。
・血糖降下作用のあるハーブやサプリメント、血糖降下剤との併用で低血糖になりやすくなることが考えられる (94) 。
・臨床検査において、白血球数、血糖値などに影響を与えることがある (94) 。

動物他での
毒性試験

1. TDLo (最小中毒量)
・クコシ多糖類を投与:ラット経口(間欠的)2 g/kg/10日、マウス経口 (間欠的) 750 mg/kg/15日 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

・果実:クラス1 (22) 。

総合評価

安全性

・適切に摂取した場合、安全性が示唆されている。
・妊娠中の安全性に関する信頼できる十分な情報が見当たらない。
・授乳中は、安全性に関する信頼できる十分な情報が見当たらないため、摂取を避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・信頼できる十分なデータが見当たらない。

参考文献

(18) 和漢薬百科図鑑/II  保育社 難波 恒雄 著
(20) ハーブ大百科 誠文堂新光社  デニ・バウン
(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(23) 天然食品・薬品・香粧品の事典 朝倉書店  小林彰夫ら 監訳
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(101) Nat Med. 1995; 49(2): 133-6.
(92) 現代中薬薬理学
(PMID:11675844) Ann Pharmacother. 2001 Oct;35(10):1199-201.
(24) 漢方薬理学 南山堂 高木敬次郎ら 監修
(1998137902) Natural Medicines. 1997; 51(5):387-91
(1985109034) Chemical & Pharmaceutical Bulletin.1984; 32(9):3584-7
(1984171674) Agricultural and Biological Chemistry. 1983; 47(10):2397-9
(PMID:18281140) Food Chem Toxicol. 2008 May;46(5):1860-2.
(PMID:21621492) Dig Liver Dis. 2011 Sep;43(9):749.
(PMID:22392461) Pharmacotherapy. 2012 Mar;32(3):e50-3.
(PMID:22312943) J Investig Allergol Clin Immunol. 2011;21(7):567-70.
(PMID:23101309) J Investig Allergol Clin Immunol. 2012;22(5):345-50.
(PMID:23548535) Ann Allergy Asthma Immunol. 2013 Mar;110(3):206-7.
(PMID:25935431) Ann Allergy Asthma Immunol. 2015 Jun;114(6):535-6.
(PMID:21950628) Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2011 Oct;27(5):245-7.
(94) Natural Medicines
(PMID:19844860) Planta Med. 2010 Jan;76(1)7-19.
(PMID:28027641) J Agric Food Chem. 2017 Jan 18;65(2):309-316.
(PMID:27352447) J Complement Integr Med. 2016 Sep 1;13(3):257-265.
(PMID:28401234) Food Funct. 2017 May 24;8(5):1741-1748.
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS)

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