健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

Saccharomyces boulardii [英]- [学名]Saccharomyces boulardii (Saccharomyces cerevisiae Hansen CBS 5926)

概要

Saccharomyces boulardiiは、ライチやマンゴスチンの果実から単離された非病原性酵母で、Saccharomyces cerevisiaeに属する菌株のひとつである。ビール酵母としての用途の他、プロバイオティクスとして使用されることもある。俗に、「炎症性腸疾患に効果がある」「うつ病に効果がある」などと言われているが、有効性が示唆されているのは、抗生物質関連や旅行者下痢症、HIV関連の下痢とニキビの発生に限られており、その他の有効性に関する信頼できるデータは見当たらない。また、安全性については、適切に摂取する場合にはおそらく安全であるが、妊婦・授乳婦の摂取は信頼できる情報が十分でないため使用は避ける。その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。 ビール酵母の情報はこちらを参照。

法規・制度

-

成分の特性・品質

主な成分・性質

・ライチやマンゴスチンの果実から単離された非病原性酵母である (94) 。

分析法

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有効性








循環器・
呼吸器


一般情報
・新生児高ビリルビン血症に効果がないことが示唆されている (94) 。
RCT
・在胎期間35〜42週で出生した高ビルビリン血症の新生児119名 (試験群58名、トルコ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、光線療法中 (4日間) にSaccharomyces boulardiiを12時間毎に125 mg摂取させたところ、血清ビルビリン値に影響は認められなかった (PMID:24915562)


消化系・肝臓

一般情報
・ドイツのコミッションE (薬用植物の評価委員会) では食欲不振の改善に対して有効性が承認されている (58) 。
・抗生物質関連、その他の下痢におそらく有効である (94) 。
・クロストリジウムデフィシル下痢症、ヘリコバクターピロリやHIV関連下痢、旅行者下痢症への有効性が示唆されている (94) 。
メタ分析
・2009年までを対象に6つのデータベースで検索できた無作為化プラセボ比較試験10報について検討したメタ分析において、Saccharomyces boulardiiの摂取は成人における抗生物質による下痢のリスク低下と関連が認められた (PMID:20458757)
・2015年5月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験21報について検討したメタ分析において、Saccharomyces boulardiiの摂取は成人および子どもにおける抗生物質による下痢 (21報) リスク低下と関連が認められたが、クロストリジウム感染による下痢 (10報) リスクとの関連は認められなかった (PMID:26216624)
RCT
・過敏性腸症候群患者90名 (試験群45名、平均40.2±13.1歳、韓国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、Saccharomyces boulardiiを2×10 (11) cell/日、4週間摂取させたところ、QOL評価9項目中3項目で改善が認められたが症状の評価に影響は認められなかった (PMID:21301358)
・小児急性下痢患者108名 (試験群54名、3〜59ヶ月齢、インド) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、Saccharomyces boulardiiを250 mg×2回/日、5日間摂取させたところ、下痢の期間の短縮が認められた (PMID:21997865)
・抗生物質投与を受けている患者204名 (試験群106名、平均78.4±10.0歳、イタリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、Saccharomyces boulardiiを5×10 (9) cfu×2回/日、抗生物質の投与開始48時間以内から終了7日後まで摂取させ、12週間後まで追跡したところ、抗生物質による下痢、Clostridium difficile感染による下痢、死亡率に影響は認められなかった (PMID:22472744)
・極低出生体重児208名 (試験群104名、平均在胎期間28.8±2.2週、トルコ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、Saccharomyces boulardiiを50 mg/kg体重×2回/日、栄養摂取開始時から退院まで摂取させたところ、新生児壊死性腸炎、敗血症のリスクおよび死亡率、栄養摂取、発育の状態に影響を与えなかった (PMID:24041815)

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中には見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中には見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中には見当たらない。

免疫・がん・
炎症

メタ分析
・2010年7月までを対象に3つのデータベースで検索できた無作為化比較試験5報について検討したメタ分析において、ピロリ菌除去の標準の治療法にSaccharomyces boulardii摂取を加えると、除菌率の向上や、副作用である下痢の発症率低下と関連が認められた (PMID:21039671)
RCT
・慢性的な下痢に悩むクローン病患者20名 (平均28.6歳、試験群10名、ドイツ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、通常の治療と共にSaccharomyces boulardii 250 mg×3回/日を7週間摂取させたところ、排便回数の減少が認められた (PMID:8465554)

骨・筋肉

調べた文献の中には見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中には見当たらない。

肥満

調べた文献の中には見当たらない。

その他

一般情報
・ドイツのコミッションE (薬用植物の評価委員会) では慢性ニキビの改善に対して有効性が承認されている (58) 。
・ニキビの発生に有効性が示唆されている (94) 。





試験管内・
動物他での
評価

・無菌マウスにSaccharomyces boulardiiを定着させたところ、無菌マウスに比べて総sIgA量、抗S. boulardii sIgA量、Kupper cellが増加し、血清中のTNF-α、IFN-γ、IL-12レベルが高まり、Escherichia coli B41のクリアランス効果が高まった (PMID:11021572)
・マウスにToxoid A (Clostridium difficile由来) と同時にSaccharomyces boulardiiを投与したところ、小腸の総IgA、抗toxin A IgAレベルが増加した (PMID:11254650)

安全性

危険情報

<一般>
・適切に摂取する場合、おそらく安全である (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・安全性について信頼できる情報が十分でないため使用は避ける (94) 。
<小児>
・適切に摂取する場合、安全性が示唆されている (94) 。
<その他>
・酵母アレルギー患者は、アレルギー症状を引き起こす可能性がある (94) 。
・易感染または致命的な疾病をもつ患者は、真菌血症のリスクが高くなる可能性がある (94) 。 
・副作用として、鼓腸を引き起こすことがある。また、免疫担当性患者や易感染性の患者で、サッカロミセス真菌血症に感染することがある (94) 。
<被害事例>
・慢性関節リウマチ患者で腸切除術を受けた79歳女性 (デンマーク) が、術後の下痢にSaccharomyces boulardiiを含むプロバイオティクス治療を受けたところ、13日後にS. boulardii真菌血症を生じた (PMID:22605806)
・高脂血症、事故による対麻痺、MRSA蜂窩織炎、反復性尿路感染の既往歴がある60歳男性 (アメリカ) が腹痛を伴う尿路感染症を生じ入院、抗生物質と共にSaccharomyces boulardiiを250 mg×2回/日投与されたところ、Saccharomyces boulardiiによる真菌血症を生じた (PMID:28024866)
・急性骨髄性白血病の8ヶ月乳児(イタリア)が、化学療法中の下痢予防のためにSaccharomyces boulardii投与をうけたところ、発熱、好中球減少症、CRP上昇を呈し、Saccharomyces属による真菌血症と診断された (PMID:11094997)

禁忌対象者

調べた文献の中には見当たらない。

医薬品等との
相互作用

<理論的に考えられる相互作用>
・抗真菌薬との併用は作用を弱める可能性がある (94) 。

動物他での
毒性試験

調べた文献の中には見当たらない。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・適切に摂取する場合はおそらく安全であるが、サプリメント等の濃縮物の摂取に関する信頼できる十分な情報は見当たらない。また、妊婦・授乳婦は信頼できる情報が十分でないので避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・抗生物質投与による下痢、旅行者下痢症やニキビの発生に有効性が示唆されている。

参考文献

(30) 「医薬品の範囲に関する基準」(別添2、別添3、一部改正について)
(58) The Complete German Commission E Monographs
(94) Natural Medicines
(PMID:8465554) Z Gastroenterol 1993 Feb;31(2):129-34
(PMID:21039671) Aliment Pharmacol Ther. 2010 Nov;32(9):1069-79.
(PMID:20458757) World J Gastroenterol. 2010 May 14;16(18):2202-22.
(PMID:22472744) Am J Gastroenterol. 2012 Jun;107(6):922-31.
(PMID:21997865) Indian J Pediatr. 2012 Apr;79(4):478-82.
(PMID:22605806) BMJ Case Rep. 2012 Mar 27;2012.
(PMID:21301358)J Clin Gastroenterol. 2011 Sep;45(8):679-83.
(PMID:24041815) Early Hum Dev. 2013 Dec;89(12):1033-6.
(PMID:24915562) Am J Perinatol. 2015 Feb;30(2):137-42.
(PMID:26216624)Aliment Pharmacol Ther. 2015 Oct;42(7):793-801.
(PMID:28024866) Diagn Microbiol Infect Dis. 2017 Mar;87(3):286-288.
(PMID:11021572) J Appl Microbiol 2000 Sep;89(3):404-14
(PMID:11254650) Infect Immun 2001 Apr;69(4):2762-5
(PMID:11094997) Support Care Cancer. 2000 Nov;8(6):504-5.

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