健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ココナツオイル、ココナツ油 [英]Coconut Oil [学名]Cocos nucifera L.

概要

ココナツオイルは、乾燥させたココヤシ (Cocos nucifera) の実の胚乳層を圧搾して採油する油脂。ヤシ油とも呼ばれるが、同様にヤシ油と呼ばれることがあるアブラヤシ (Elaeis属) のパーム核油とは異なる。精製、脱臭加工を施していない製品が「バージンココナツオイル」と称されることがあるが、明確な工業的な規格はない。油脂中の脂肪酸は飽和脂肪酸が多く、特にラウリン酸を中心とした中鎖脂肪酸に富む。その含有量および共存する他の成分含量は、油脂の調製方法によって異なる。俗に、「ダイエットによい」「便秘によい」「認知症を予防する」などと言われているが、ヒトでの有効性については調べた文献中に信頼できる十分な情報が見当たらない。適切に摂取すれば、おそらく安全である。妊婦・授乳婦および小児についても、通常の食品に含まれる量の摂取はおそらく安全であるが、食品に使用されている量を超えて摂取した場合の安全性については信頼できる情報が十分に見当たらない。ココナツオイルの情報の中には、中鎖脂肪酸の情報と混同しているものがある。また、食事の油脂源としてココナツオイルを利用した研究では、比較対照とした油脂によって得られた結果が異なる点に留意する必要がある。健康効果を期待して日常の食事にさらに追加する形でココナツオイルを摂取し続けると、エネルギーおよび脂質の過剰摂取につながる可能性がある。その他、詳細については「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・ヤシ (ココヤシ/ヤシ油) の種子油・樹皮・葉・花は「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に分類されている (30) 。
・米国では「一般的に安全と認識される物質 (GRAS) 」に分類されている (94) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・ココナツオイルの脂肪酸は多くが飽和脂肪酸で、62〜70%は中鎖脂肪酸である。ラウリン酸が48%を占め、このほかミリスチン酸、パルミチン酸、カプリン酸などを含む (PMID:25997382) (101) 。

分析法

・市販のココナツオイルの脂肪酸組成をガスクロマトグラフィー、トリアシルグリセロール組成をHPLC、フェノール類をFolin-Ciocalteu法により分析した報告がある (102) 。

有効性








循環器・
呼吸器


RCT
・健康な男女45名 (平均30.1±8.3歳、マレーシア) を対象としたクロスオーバー無作為化比較試験において、血中の脂質、ホモシステイン、炎症マーカーに対する脂質の影響を検討する目的で、脂質供給源の3分の2をココナツオイル、パームオレイン、オリーブオイルとした脂質エネルギー比30%食を5週間摂取させたところ、ココナツオイルの摂取により、パームオレインに比べて非空腹時血清総コレステロール、オリーブオイルに比べて空腹時および非空腹時の総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールで高値を示した。血清トリグリセリド、総コレステロール/HDLコレステロール比、血漿総ホモシステイン、血清炎症マーカー (TNF-α、IL-1β、IL-6、高感度CRP、IFN-γ、IL-8) に影響は認められなかった (PMID:22030224)
・健康な男性19名 (平均25.6±3.5歳、アメリカ) を対象としたクロスオーバー無作為化比較試験において、総脂質エネルギーのうち60%をココナツオイルに置換した脂質エネルギー比35%食を5週間摂取させたところ、同エネルギー量の牛脂を摂取した場合と比較して血漿総コレステロール、HDLコレステロールの上昇、トリグリセリドの低下が、ベニバナ油を摂取した場合と比較して総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロールの上昇が認められた (PMID:4025191)
・高コレステロール血症の男女18名 (男性3名、平均55±8歳、女性15名、平均52±10歳、ニュージーランド) を対象としたクロスオーバー無作為化比較試験において、総脂質エネルギーのうち50%をココナツオイルに置換した脂質エネルギー比36%食を6週間摂取させたところ、同エネルギー量のバターを摂取した場合と比較して血漿総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリドが低値を示したが、ベニバナ油を摂取した場合と比較して総コレステロール、LDLコレステロールが高値を示し、HDLコレステロール、VLDLコレステロール、コレステロールエステル転送活性に影響は認められなかった (PMID:7595099)
その他
・健康な男女37名 (男性21名、平均35±9歳、女性16名、平均39±9歳、ニュージーランド) を対象とした介入試験において、総摂取脂質84 g/日のうち39 gをココナツオイルに置換した食事を6週間摂取させたところ、同エネルギー量のバターを摂取した場合と比較して摂取4週目の血漿LDLコレステロール値の低下が、ベニバナ油を摂取した場合と比較して総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール上昇が認められた (PMID:9756121)


消化系・肝臓

調べた文献の中に見当たらない。

糖尿病・
内分泌

調べた文献の中に見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献の中に見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献の中に見当たらない。

免疫・がん・
炎症

RCT
・化学療法を受けている乳がん患者女性60名 (試験群30名、平均47.10±8.2歳、マレーシア) を対象としたオープンラベル無作為化比較試験において、バージンココナツオイル10 mL×2回/日を、化学療法6サイクルのうち、3〜6サイクル目の1週間後に摂取させたところ、自記式回答によるQOL指標 (EORTC QLQ-C30) の機能QOL、全般的QOLの改善が認められたが、症状QOLおよび乳がん患者特異的QOL (QLQ-BR23) のスコアに影響は認められなかった (PMID:25163649)

骨・筋肉

調べた文献の中に見当たらない。

発育・成長

調べた文献の中に見当たらない。

肥満

RCT
・腹部肥満 (ウエスト径>88 cm) の女性40名 (ブラジル) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、食事指導および身体活動プログラムとともに、ココナツオイル (20名、平均31.0±6.4歳) 30 mLを12週間摂取させたところ、同量の大豆油 (20名、平均28.5±6.7歳) 摂取と比較して、血中HDLコレステロール値の上昇、LDL/HDL比の減少が認められたが、体重、BMI、ウエスト径、総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、高感度CRP、フィブリノゲン、空腹時血糖値、インスリン濃度、HOMA-β (インスリン抵抗性の指標) 、HOMA-S (インスリン感受性の指標) に影響は認められなかった (PMID:19437058)

その他

調べた文献の中に見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

・卵巣摘出した雌性Wistar系ラットにココナツオイル8%含有食を6週間摂取させたところ、卵巣摘出による体重増加、骨量および骨梁数減少、骨梁間隔増幅の抑制が認められたが、骨梁幅に影響は認められなかった (PMID:23024690)

安全性

危険情報

<一般>
・適切に摂取する場合、おそらく安全である (94) 。
・有害事象として、胃腸の不調や下痢が起こることがある (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・通常の食品に含まれる量の摂取はおそらく安全であるが、食品に使用される量を超えた摂取については、信頼できる情報が十分に見当たらない (94) 。
<小児>
・通常の食品に含まれる量の摂取はおそらく安全であるが、食品に使用される量を超えた摂取については、信頼できる情報が十分に見当たらない (94) 。
<被害事例>
ココナツやココナツオイルによるアレルギーが報告されている。
・50歳と21歳男性 (アメリカ) がクルミによる重度のアレルギー発症から数年後に、ココナツによる全身性アレルギー反応を呈し、交差反応と診断された (PMID:10359903)
・他の食物や花粉アレルギーのない3歳男児 (スペイン) が、ココナツデザートを摂取後すぐに、腹痛、嘔吐、口腔アレルギー症状、まぶたの浮腫を呈し、1年後、生のココナツ片を摂取し、再び同様の症状を呈した。パッチテストは陰性だったが、プリックテスト、特異的IgEが陽性を示し、ココナツによるアレルギーと診断された (PMID:12859570)
・季節性アレルギー性鼻炎の既往歴があり、ココナツ摂取による口の掻痒感を経験したことのある17歳男性 (イタリア) がソバ粉ケーキを摂取したところ、10分後に口の腫れ、全身性蕁麻疹、嘔吐、呼吸困難を生じ救急搬送された。プリックテスト、特異抗体検査にてソバとココナツに陽性を示し、ココナツとソバによる交差反応が発生したと診断された (PMID:26443434)

・外用による他の薬との併用で、痒みを引き起こすことがある (94) 。

禁忌対象者

調べた文献の中に見当たらない。

医薬品等との
相互作用

調べた文献の中に見当たらない。

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最小中毒量)
・ココナツオイルを投与:ラット経口 (継続的) 1,688 g/kg/90日 (91) 。
2.LD (致死量)
・水素添加ココナツオイルを投与:ラット経口 >5 mg/kg (91) 。
3.LD50 (半数致死量)
・ココナツオイル由来N-メチルタウリンナトリウム塩を投与:マウス腹腔内 300 mg/kg (91) 。
・ココナツ脂肪酸2-スルホエチルエステルナトリウム塩を投与:ラット経口 4,330 mg/kg (91) 。
4.その他
・in vitro試験 (MTT試験、エームス試験) において、ココナツのクロロホルム抽出物には遺伝毒性が認められた (PMID:26281312)

AHPAクラス分類
及び勧告

・参考文献中に記載なし (22) 。

総合評価

安全性

・適切に摂取すれば、おそらく安全である。小児や妊婦・授乳婦についても、通常の食品に含まれる量の経口摂取はおそらく安全であるが、信頼できる情報が十分に見当たらないため食品に使用されている量を超えた摂取は避ける。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・調べた文献中に信頼できる十分な情報が見当たらない。

参考文献

(22) メディカルハーブ安全性ハンドブック 第2版 東京堂出版 林真一郎ら 監訳
(91) Registry of Toxic Effects of Chemical Substances (RTECS).
(94) Natural Medicines
(PMID:10359903) J Allergy Clin Immunol. 1999 Jun;103(6):1180-5.
(PMID:12859570) Allergy. 2003 Aug;58(8):825-6.
(PMID:26281312) Turk J Med Sci. 2015;45(3):496-506.
(PMID:22030224) Am J Clin Nutr. 2011 Dec;94(6):1451-7.
(30) 「医薬品の範囲に関する基準」 (別添2、別添3、一部改正について)
(76) 日本食品大事典 医歯薬出版株式会社
(101) J. Hyg. Eng. Des. 2013;4:112–116.
(102) J Am Oil Chem Soc 2009 86(4) 301-307
(PMID:25163649) Lipids Health Dis. 2014 Aug 27;13:139.
(PMID:9756121) Eur J Clin Nutr. 1998 Sep;52(9):650-4.
(PMID:4025191) Am J Clin Nutr. 1985 Aug;42(2):190-7.
(PMID:19437058) Lipids. 2009 Jul;44(7):593-601.
(PMID:23024690) Evid Based Complement Alternat Med. 2012;2012:237236.
(PMID 25997382) Br J Nutr 2015 114(1)1-14
(PMID:7595099) J Lipid Res. 1995 Aug;36(8):1787-95.
(PMID:26443434) Ann Allergy Asthma Immunol. 2015 Dec;115(6):530-2.

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