「雪茶」との関連が疑われる肝障害の事例

画面を閉じる

 

 

発信者

構築グループ

本文

「雪茶」との関連が疑われる肝障害の事例

 厚生労働省は2003年12月22日、中国製のダイエット茶「雪茶」を飲んだ福岡県の親子(母と娘)に肝障害の症状が出たことを発表しました(厚生労働省の発表)。2人は8月下旬から約3ヶ月間にわたり、中国から輸入・販売された「雪茶」5〜10グラムを約2リットルの湯で煮出し、1日約1リットルを飲んでいました。母は10月下旬、血液検査で肝機能の異常、動悸、倦怠感が見られ、娘は11月から急激に食欲がなくなって体重が減り、肝機能障害が見られて入院治療を受けているようです。現在2人とも回復に向かっていると報告されています。

  「雪茶」の概要:
 「雪茶」は、中国雲南省西北地方の高原に自生している地衣植物(学名:Thamnolia vermicularis Ach.)を乾燥させたものです。古くから生薬やお茶として利用された経緯があります(「本草綱目拾遺」に収録されています)。但し、主に現地に住む"納西族"(中国の少数民族)に利用されています。
 近年、中国では「雪茶」の独特な形(細長い管状な形、長さ約7センチ)、色(白)および渋みが注目され、大都市でも販売されるようになりました。「雪茶」の商品には、抗炎症、血圧や脂質代謝の調整作用などが記載されています。しかし、そのような効果は、食用の経験からの実証がなく、動物実験の結果でも報告されていません。但し、「雪茶」からデプシト類の化合物であるvermicularin(中国語名:雪茶素)が同定されています(参照サイト)。薬理試験において、"雪茶素"は抗炎症および解熱作用を有するとの報告がありますが(雲南植物研究誌)、脂質代謝に対する影響の科学的データは得られていません。従って、ダイエット効果を期待する根拠はありません。また、今回の肝障害の事例を見ると、被害者は、「雪茶」を湯で煮出して1日約1リットルを飲んでいました。本来の中国茶の飲み方は、茶葉を急須やコップに入れ熱湯を注いで、一回目を捨て、二、三回目を飲むことが普通です。茶葉を湯で煮出すと様々の成分が抽出されるため、人体に有害な物質が出てくる可能性が考えられます。おそらく、日本で販売されている「雪茶」は、ダイエット効果をアピールするため、このような通常は行わないお茶の飲み方を消費者に薦めたのではないかと考えられます。このような本来の摂取方法とは異なる方法で利用されたことも、被害の発生に関連しているのかもしれません
 自然の恵みは豊富で、我々の健康に有効なものはたくさん存在しています。それらを利用するとき私たちは、これまでの経験を生かし、また科学的に評価し、正しく利用することを忘れてはいけないと思います。

© National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition. All Rights Reserved.