ノニについて (Ver.190109)

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■はじめに
 健康食品としてよく見かけるノニジュース。美容に良い、病気を予防するなど様々な効果が謳われています。「いったい、ノニってなに?」「ノニジュースは健康に良いの?」「ノニジュースは安全なの?」といった疑問を解説します。

■いったいノニってなに?
 ノニはアカネ科 (Rubiaceae) に属する植物で、学名をモリンダ・シトリフォリア〔Morinda citrifolia〕といいます。ノニはポリネシアから東南アジア、沖縄など、熱帯から亜熱帯の広い地域に自生し、5〜8 m程になる常緑の灌木で、表面がゴツゴツした果実を付けます。未熟な果実は緑色ですが、熟すにつれて黄色になり中鎖脂肪酸による発酵臭を発生します。根、茎、樹皮、葉、花、果実といったあらゆる部位が古くから民間薬として利用されてきました。果実は生または加工して食用とされてきた歴史がありますが、独特の味と強い匂いのために食料としての摂取は飢饉のときに限られていたとも言われています。

■ノニジュースは健康に良いの?
 果実を圧搾してつくられるノニジュースは、「糖尿病によい」「血圧を下げる」「免疫力を上げる」「がんを予防する」「美容や健康に効果がある」などと宣伝されていますが、動物や細胞の実験で抗がん作用を示した報告はある (1) (2) ものの、ヒトでそのような効果を検討した科学的根拠は現時点では見当たりません。市販のノニジュースは、ノニ果汁100%の製品、果実から調製した果汁に少量のグレープジュースやブルーベリージュースまたは香料を添加して飲みやすくした製品などがあります。また、伝統的な製法では熟した果実を発酵させ、ジュースが作られますが (3) 、市販されているノニジュースの製造工程は製品によってさまざまで、ノニの熟成度や発酵期間による効果の差についても信頼できる根拠は見当たりません。

■ノニジュースは安全なの?
 ノニの根には発がん性や遺伝毒性があると報告されているアントラキノン (anthraquinones) のlucidinとrubiadinが含まれています (4) (5) 。しかし、果実や、果実から調製するジュースにはアントラキノンは含まれていないとの報告 (5) (6) (7) があるため、ノニジュースの発がん性には問題がないと思われます。
 2002年12月に欧州委員会 (Scientific Committee on Food) は、タヒチアン・ノニ・ジュース (モリンダ社 (MorindaInc.)、ノニ果実89%含有) の安全性について、「このノニジュースは、亜急性および亜慢性毒性、遺伝毒性、アレルギー誘発性の試験において有害な作用は検出できず、また数ヶ国で市販されてから数年経過しているが健康被害の報告はほとんどない。」と結論づけた報告書を公開しています (5) 。しかし、市販されているノニジュースにはさまざまな原材料を使った製品があります。特に天然のものから調製する場合は、同じメーカーの製品であっても、常に同じ成分組成を保つことは極めて困難です。そのため、この報告書の内容がすべてのノニジュース製品に当てはまるとは考えられません。
 海外ではノニジュースの摂取との関連が疑われる有害事象が報告されています。ノニジュースによって、病気治療中の方で肝障害が発生したり、肝障害の患者が重症化したりという報告 (8) (9) (10) があります。肝毒性について、ノニに含まれるアントラキノン類との関連を示唆する意見もありますが、因果関係は不明です。2009年に欧州食品安全機関はノニ果実のピューレおよびエキス製品の安全性評価書で、「現時点で、ノニジュースの摂取と肝毒性との因果関係を示すデータは十分ではないが、症例数が増加していることから、一部の人はノニ果実製品による肝毒性の影響を受けやすい可能性がある」と報告しています (11) 。
 また、ノニジュースはカリウムを多く含んでいることが知られています。腎機能に障害がありカリウムの摂取量を制限している場合は高カリウム血症の原因となるため、注意が必要です (12) 。
 病気治療中の方が、特別な効果を期待して自己判断で健康食品を利用すると、適切な治療の妨げになるだけでなく、新たな症状を生む可能性があります。摂取をする前にまず、医療従事者に相談してください。その他、昔は月経促進薬として使用されていたこともあるため、妊娠中の摂取には注意が必要です (13) 。
 ノニの安全性に関する詳細情報は、素材情報データベース「ノニ、ヤエヤマアオキ」をご覧ください。

■おわりに
 健康食品としてよく見かけるノニジュースですが、その効果に関する科学的根拠は十分ではありません。ノニの果実に毒性はないようですが、市販されているノニジュースにはさまざまな原材料を使った製品があります。その上、天然のものから調製された製品は、常に同じ成分組成を保つことは極めて困難ですので、すべての製品が等しく安全であるとはいいきれません。健康食品などの摂取による健康被害発生の原因には、製品の安全性だけでなく、利用者の体質なども挙げられます。「食品だから安全だ」という安易な考えで、過大な効果を期待して利用することはやめましょう。
 ノニに関する詳しい情報は、素材情報データベース「ノニ、ヤエヤマアオキ」に掲載しています。ぜひ、参考にしてください。

参考文献
1. (PMID:11795436) Ann N Y Acad Sci. 2001 Dec;952:161-8.
2. (PMID:10441776) Phytother Res. 1999 Aug;13(5):380-7.
3. (PMID:17286240) Planta Med. 2007 Mar;73(3):191-9.
4. (PMID:19793347) Cancer Sci. 2009 Dec;100(12):2261-712.
5. EUROPEAN COMMISSION
6. Zenk MH, El-Shagi H, Schulte U, Planta Medica (Suppl) 27: 79-101(1975).
7. (PMID:24062780) Evid Based Complement Alternat Med. 2013 2013 208378
8. (PMID:16094725) World J Gastroenterol. 2005 Aug 14;11(30):4758-60.
9. (PMID:15756098) Eur J Gastroenterol Hepatol. 2005 Apr;17(4):445-7.
10. (PMID:16837801) Digestion. 2006;73(2-3):167-70. Epub 2006 Jul 11.
11. European Food Safety Authority, The EFSA Journal 2009 998, 9-16
12. (PMID:10676732) Am J Kidney Dis. 2000 Feb;35(2):310-2.
13. Natural Medicines

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