健康食品等の素材情報データベース

注意!(1) データの無断転用,引用、商用目的の利用は厳禁.(2) 以下の情報は現時点(最終更新日時)で調査できた素材の科学論文情報です. 実際に販売されている商品に以下の素材が含まれているとしても,その安全性・有効性がここに紹介した情報と一致するわけではありません.(3) 詳細情報として試験管内・動物実験の情報も掲載してありますが,この情報をヒトに直接当てはめることはできません.有効性については,ヒトを対象とした研究情報が重要です.(4) 医療機関を受診している方は,健康食品を摂取する際に医師へ相談することが大切です.「健康食品」を利用してもし体調に異常を感じたときは、直ぐに摂取を中止して医療機関を受診し,最寄りの保健所にもご相談下さい.

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項 目

内 容

名称

ラクトフェリン [英]Lactoferrin [学名]-

概要

ラクトフェリンは、鉄結合性の糖タンパク質であり、1分子当たり2つの鉄分子と結合できる。主にほ乳類の乳汁に存在し、その量は牛乳よりヒトの母乳の方が多いと言われている。また乳汁以外にも、哺乳類の涙、唾液、膵液などに含まれている。ラクトフェリンは、トランスフェリンファミリーに属するが、血液中のトランスフェリンとは免疫学的に区別される。俗に、「鉄の吸収効率を良くする」「抗菌活性がある」「ノロウイルスに効く」「体脂肪を減らす」などと言われているが、C型肝炎に対して有効性が示唆されているものの、その他の有効性については信頼できる十分なデータが見当らない。安全性については、通常の食品に含まれる量の摂取はおそらく安全であるが、妊娠中・授乳中の過剰量の摂取に関しては信頼できる情報が十分でないため避ける。 その他、詳細については、「すべての情報を表示」を参照。

法規・制度

・ラクトフェリンは「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に該当 (30) 。
・「ラクトフェリン濃縮物」は既存添加物 (用途:製造用剤) としての使用が認められている (78) 。
・米国FDAのGRAS (一般的に安全とみなされた物質) 認定を受けている (94) 。

成分の特性・品質

主な成分・性質

・分子量はウシで86,000、ヒトで88,000 (32) 。
・酸性下 (pH2) で鉄を遊離し、アポラクトフェリンになる (32) 。
・ラクトフェリン濃度:ヒトの母乳は2 mg/mLで多く、牛乳は0.02〜0.35 mg/mL。牛乳の初乳で1 mg/mLである (101) 。

分析法

・逆相高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法 (PMID:11883664) 、アフィニティー質量分析法 (PMID:9781339) 、免疫蛍光分析 (PMID:12666996) などによって測定した報告がある。

有効性








循環器・
呼吸器


RCT
・女性長距離走者16名 (試験群8名、平均20.3±1.3歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化比較試験において、ウシ由来ラクトフェリン1.8 g/日と鉄6 mg/日を夏期トレーニング期間中の8週間摂取させた群は、鉄のみを摂取させた群と比較して赤血球数減少の抑制が認められ、このうち3,000 mビルドアップ走を完遂した11名 (試験群5名) を対象とした解析において、走行後の血中乳酸量増加の抑制が認められた (PMID:18391460)


消化系・肝臓

一般情報
・C型肝炎に対して有効性が示唆されている (94) 。
RCT
・C型慢性肝炎患者36名 (試験群18名、平均54.5±11.5歳、日本) を対象とした無作為化比較試験において、標準の治療法 (INF-α-2b、ribavirin) にラクトフェリン600 mg/日を加えて24週間摂取させたところ、治療効果 (生化学的、ウイルス学的反応、ヘモグロビン濃度、血清鉄、フェリチン、Th1/Th2比など) に影響は認められなかった (PMID:15936247)
・12〜18ヶ月齢の幼児555名 (試験群277名、平均15.76±2.08ヶ月齢、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ウシ由来ラクトフェリン0.5 g×2回/日を6ヶ月間摂取させたところ、下痢の日数、症状の持続期間、脱水、液便の日数の低下が認められたが、下痢の発症率、重症度、血性下痢の発症率に影響は認められなかった (PMID:22939927)
・C型慢性肝炎患者63名 (試験群36名、中央値55歳、日本) を対象とした無作為化比較試験において、ウシ由来ラクトフェリン600 mg+ラクチュロース600 mg+Bifidobacterium longum生菌 3×10 (9) 個/日を12ヶ月間摂取させたところ、血清ALT、HCV-RNA、IL-10、Th1およびTh2の割合に影響は認められなかった (PMID:12697243)
・C型慢性肝炎患者21名 (試験群10名、平均56.1±11.3歳、日本) を対象とした無作為化比較試験において、インターフェロン療法とともに、ラクトフェリン3 g×3回/日を26週間、その後、単独でラクトフェリン3 g×3回/日を24週間摂取させたところ、治療の奏効率に影響は認められなかった (PMID:15135340)
・健康な成人男女60名 (試験群30名、平均41.6±11.6歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ウシ由来ラクトフェリン270 mg/日を4週間摂取させたところ、糞便の腐敗産物3成分中1成分で差が認められたが、唾液中や糞便中の分泌型免疫グロブリンA、排便頻度、排便量、糞便の性状、腸内細菌叢に影響は認められなかった。また、起床時睡眠感や気分・感情においても影響は認められなかった (2017152314)
・健康な新生児476名 (生後12〜16日、アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ウシ由来ラクトフェリン0.6 g/L (164名) 、1.0 g/L (158名) 含有粉ミルクを365日齢まで摂取させたところ、硬さ、排便頻度、体重、身長、頭部周囲径に影響は認められなかった (PMID:26547414)

糖尿病・
内分泌

調べた文献中で見当たらない。

生殖・泌尿器

調べた文献中で見当たらない。

脳・神経・
感覚器

調べた文献中で見当たらない。

免疫・がん・
炎症

メタ分析
・2008年10月までを対象に5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験9報について検討したメタ分析において、ラクトフェリンの摂取はピロリ菌の除菌率を上げた (PMID:19298339)
・2008年3月までを対象に7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験5報について検討したメタ分析において、ラクトフェリンの摂取はピロリ菌の除菌率を上げる可能性があるが、根拠には限界があるため、さらなる検討が必要である (PMID:19183156)
RCT
・ピロリ菌感染患者150名 (試験群51名、平均50.1±11.1歳、イタリア) を対象とした無作為化比較試験において、ピロリ菌の除去に対して標準の治療法 (7日間) にラクトフェリン400 mg/日の摂取を加えたところ、除菌率が上昇した (PMID:12702979) (PMID:14620619)
・非潰瘍性消化不良とピロリ菌感染患者133名 (試験群65名、平均53±14歳、イタリア) を対象としたオープンラベル無作為化比較試験において、ピロリ菌除去の標準の治療法 (7日間) にラクトフェリン600 mg/日の摂取を加えたところ、除菌率に影響は認められなかった (PMID:15975536)
・健康な子ども172名 (2〜6歳、試験群96名、台湾) を対象とした単盲検無作為化比較試験において、ウシ由来ラクトフェリン70〜85 mg/日を15ヶ月間摂取させたところ、エンテロウイルス71およびロタウイルスへの感染リスクや血清中IFN-γ、IL-10濃度に影響は認められなかった (PMID:21880194)
・風邪をひきやすい成人105名 (試験群53名、平均32.9±16.3歳、オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ウシ由来ラクトフェリン200 mg+乳清タンパク質100 mg含有カプセルを2個/日、90日間摂取させたところ、風邪の発症率の低下が認められたが、症状の持続期間や重さに影響は認められなかった (PMID:2367947)
・乳児213名 (試験群115名、平均5.1±0.8ヶ月齢、中国) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ウシ由来ラクトフェリン38 mg/100 g含有ミルクを3ヶ月間摂取させたところ、呼吸器疾患、下痢関連疾患発症リスクの低下および期間の短縮、鼻水、咳、喘鳴、下痢の発生リスク低下が認められたが、鼻づまり、発熱、皮膚発疹、吐き気、嘔吐、疝痛の発生リスクに影響は認められなかった (PMID:26602290)

骨・筋肉

調べた文献中で見当たらない。

発育・成長

メタ分析
・2014年7月までに5つのデータベースで検索できた無作為化比較試験6報 (4試験) について検討したメタ分析において、早産児におけるラクトフェリンの摂取は、敗血症 (4報) 、ステージII以上の壊死性腸炎 (2報) のリスク、全死亡率 (2報) の低下と関連が認められたが、慢性肺疾患 (2報) リスクには影響を与えなかった (PMID:25699678)
RCT
・出生時体重500 g〜2,500 gの新生児190名 (試験群95名、ペルー) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ウシ由来ラクトフェリン200 mg/kg体重/日を4週間摂取させたところ、遅発型敗血症の発症リスクに影響は認められなかった (PMID:25973934)
・妊娠31週未満で出生した早産児79名 (試験群40名、カナダ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、ウシ由来ラクトフェリン100 mg/日を36週間摂取させたところ、140 mL/日の哺乳ができるようになるまでの日数、非経口栄養を必要とした日数、死亡率、壊死性腸炎、遅発型敗血症、気管支形成異常、未熟児合併症のリスクに影響は認められなかった (PMID:26938920)

肥満

RCT
・健康な肥満者26名 (試験群13名、平均42.8±10.1歳、日本) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、胃での分解が避けられる腸溶性ラクトフェリン300 mg/日を8週間摂取させたところ、体重、BMI、ヒップ径、内臓脂肪面積の低下が認められたが、血圧、脈拍、皮下脂肪面積および腹部総脂肪面積、血中脂質、その他の血液指標に影響は認められなかった (PMID:20691130)
・レジスタンストレーニングをしている健康な男性68名 (アメリカ) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、上半身と下半身エクササイズ2回/週とともに、80%乳清タンパク質 (13名、平均21.3±0.7歳) 、高ラクトフェリン入り80%乳清タンパク質 (13名、平均21.8±0.9歳) 、80%乳清タンパク質加水分解物 (13名、平均21.5±0.9歳) を30 gX2/日、8週間摂取させたところ、乳清タンパク質加水分解物群のみで体脂肪量の減少が認められたが、その他の群では影響は認められなかった (PMID:27710436)。
・健康な成人115名 (オーストラリア) を対象とした二重盲検無作為化プラセボ比較試験において、腸溶性コーティングのサプリメントとして、ウシ乳清由来ラクトフェリン200 mg (19名、平均34.5±11.2歳) 、ウシ乳清由来免疫グロブリン200 mg (19名、平均36.0±12.8歳) 、グロブリン800 mg (19名、平均35.0±13.6歳) 、ラクトフェリン200 mg+グロブリン200 mg (20名、平均34.8±13.9歳) 、ラクトフェリン200 mg+グロブリン800 mg (19名、平均37.1±14.1歳) を28日間摂取させたところ、いずれの群においても体重、BMI、体脂肪量、血液検査の値に影響は認められなかった (PMID:27592680)

その他

調べた文献中で見当たらない。





試験管内・
動物他での
評価

調べた文献中で見当たらない。

安全性

危険情報

<一般>
・通常の食品に含まれる量の摂取であればおそらく安全である (94) 。
・米国FDAのGRAS (一般的に安全とみなされた物質) 認定を受けている (94) 。
・摂取により下痢を起こすことがある。また、過剰摂取による皮疹、食欲不振、疲労、悪寒、便秘が報告されている (94) 。
<妊婦・授乳婦>
・妊娠中・授乳中の摂取は、通常の食品に含まれている量であればおそらく安全であるが、過剰量を摂取した際の安全性に関しては信頼できる情報が十分でないため、過剰摂取は避ける (94) 。
<小児>
・サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して信頼できる十分な情報が見当たらない。

禁忌対象者

調べた文献中で見当たらない。

医薬品等との
相互作用

調べた文献中で見当たらない。

動物他での
毒性試験

1.TDLo (最小中毒量)
・ウシのラクトフェリンを投与:ラット経口 (間欠的) 1,200 mg/kg/80時間、(継続) 226.8 g/kg/27週、マウス経口 (間欠的) 2,100 mg/kg/7日、9 g/kg/9日、(継続) 10 g/kg/10日、3 g/kg/3日、ブタ経口 (間欠的) 1,350 mg/kg/3週 (91) 。

AHPAクラス分類
及び勧告

-

総合評価

安全性

・通常の食品に含まれる量を摂取する場合、おそらく安全であるが、妊娠中・授乳中の過剰量の摂取については信頼できる情報が十分でないため、避けるべきである。

有効性

(注:下記の内容は、文献検索した有効性情報を抜粋したものであり、その内容を新たに評価したり保証したりしたものではありません。)
・C型肝炎に対して有効性が示唆されているが、その他の有効性に関する信頼できるデータは見当たらない。

参考文献

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